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更新日:令和4(2022)年7月4日
ページ番号:522364
発表日:令和4年7月4日
県立中央博物館分館海の博物館
県立中央博物館 分館海の博物館(勝浦市)の川瀬(かわせ)裕司(ひろし)主任上席研究員らの研究グループは、奄美大島の小さなフグが産卵のために作った円形の幾何学模様の構造物(ミステリーサークル)をデジタルデータ化した3Dモデルを作成しました。
この3Dモデルは、2022年7月4日午後7時(日本時間)に、イギリスの科学雑誌Scientific Dataで公開されます。
当館では、7月5日(火曜日)から研究内容の概要と、ミステリーサークルの4分の1模型、3DモデルのCG映像を展示します。
川瀬 裕司(かわせ ひろし)千葉県立中央博物館 分館海の博物館 主任上席研究員
北嶋 友喜(きたじま ゆうき)元・大阪大学大学院基礎工学研究科 学生
岩井 大輔(いわい だいすけ)大阪大学大学院基礎工学研究科 准教授
2011年に奄美大島の海底で、全長およそ10cmの小さなフグが直径2mもある円形幾何学模様の構造物(ミステリーサークル)をつくっているのが発見された。このフグは後に新種であることがわかり、アマミホシゾラフグTorquigener albomaculosusと命名された。
ミステリーサークルは、アマミホシゾラフグのオスがおよそ1週間かけて建設し、完成した翌朝に、やって来たメスと中央エリアの砂上で放精・放卵する。オスは複数のメスと産卵した後、砂上に残された受精卵が孵化するまでおよそ1週間世話をする。つまり、ミステリーサークルは産卵して子育てをする産卵巣としての機能があることが明らかになった。
オスはメスと繁殖するために「ミステリーサークル」をつくるが、一体どのように精巧な円形幾何学模様の構造物をつくるのか、そのロジックを解明する研究の一環として、3Dモデルを作成した。
公開した3Dモデルはデジタルデータ化されているので、コンピュータ上で流体力学的な特性をシミュレーションすることができ、世界中のあらゆる分野の研究者が、さまざまな視点から「ミステリーサークル」を研究することが可能になった。
このミステリーサークルには、どの方向から潮流があっても、上流側半分の谷を通過した水は中央へ流れる(つまり、潮流があれば必ず中央へ水が流れる)特性のあることがわかっている。
デジタル化した3Dモデルを利用すれば、コンピュータ上でミステリーサークルの流体力学的な特性をシミュレーションすることが可能で、魚がつくった構造物をバイオミメティクス(生物模倣技術)へ応用することが期待される。
アマミホシゾラフグ(全長約10cm)
砂煙を巻き上げてヒレで谷を掘り進めるオス
水中撮影したミステリーサークル(直径約2m)
水中映像から構築してデジタルデータ化した3Dモデル
Scientific data
3D model of the geometric nest structure, the “mystery circle,” constructed by pufferfish
論文のダウンロード
(URL https://www.nature.com/articles/s41597-022-01466-4)
研究内容の概要と、ミステリーサークルの4分の1模型・3Dモデル映像を展示します。
期間 7月5日(火曜日)から
会場 千葉県立中央博物館 分館海の博物館(勝浦市吉尾123)
開館時間 午前9時~午後4時30分(入館は午後4時まで)
入館料 一般200円、高校生・大学生100円
※中学生以下・65歳以上・障害者手帳等をお持ちの方とその介護者1人は無料
県立中央博物館 分館海の博物館 主任上席研究員 川瀬(かわせ)裕司(ひろし)
電話:0470-76-1133
E-mail:kawase@chiba-muse.or.jp