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更新日:令和7(2025)年1月30日

ページ番号:733526

インタビュー企画「海と人」vol.3 銚子海洋研究所 宮内幸雄氏

千葉県の海に関わる様々な人を取材し千葉の海の魅力を語っていただきます。
今回は銚子市の「銚子海洋研究所」で、ウォッチング・クルーズなどを通じて海の魅力を伝え続ける宮内幸雄氏にインタビューを行いました。

表紙の写真です。船に乗るみやうちゆきおさんが写っています。

「里山があって、里海があって、少し沖へ出るとイルカやクジラの楽園。ここには、自然の魅力が詰まっています」

運命の出会い イルカを人生に

「もともとは水族館職員だったんです。でも、初めて沖でイルカを見て、野生の世界を知ってから、人生が大きく変わりました」

そう話すのは、銚子海洋研究所の所長 宮内 幸雄さん。イルカやクジラを中心とした海の生き物のウォッチング・クルーズなどを通じて、海の魅力を伝える事業を展開しています。

「水族館には24年間勤めました。最初は魚類中心の施設で、イルカやクジラなどの動物はいなかったんですよ。そんなある日、仕事の関係で訪れた別の施設で、イルカショーを見て。いつか自分もイルカを飼育してみたいという気持ちが生まれました」

初めは、飼育員としてイルカを育ててみたい、という憧れから始まったといいます。それから、イルカやクジラのことを調べ、ついに自分の施設でイルカを飼うことが決まったのは、10年も後のことだったそう。

水族館に勤めていた頃のみやうちさんの写真です。

「ようやくって感じですね。その話が上がった時は嬉しかったです。プールの設計も全て自分が関わって、もちろんショーにも立ちました。目の前でお客さんの歓声があがる瞬間は、やりがいを感じました」

10年思い続けた悲願を叶えた後、「イルカショーのお兄さん」の立場を離れても、飼育課長として長年イルカの飼育に関わり続けた宮内さん。まさに、イルカとの出会いが運命を大きく変えたといえます。ですが、宮内さんとイルカの運命は、この話だけに留まりません。ここからさらに、宮内さんの人生を大きく左右する、2つ目の出会いがあったといいます。

銚子から見た屛風ヶ浦の写真です。

海は大きい 世界は広い

それは、魚の提供などを通じて水族館の運営に協力してくれていた地元漁師と話していた時のことでした。

「地元の漁師がね『ところで、このイルカたちってどこからきているの』と聞いてきたんです。『大体の水族館は和歌山の太地から運んでいる』と答えると『なんだ、銚子にもいっぱいいるぞ』って言うんです。私は銚子沖にイルカがいることを知らなかったので、うそだろ、と思って。それで、船に同行して見せてもらうことにしたんです」

宮内さんが漁師の船に便乗してイルカの暮らす海域まで行くと、そこには衝撃の光景が広がっていたそうです。

船を運転するみやうちさんの後ろ姿の写真です。

「『ほら、いたぞ』って言われて見てみると、最初は波に紛れてよくわからなかったんです。でもだんだん近づいていってわかったんです。海の向こうに、たくさんのイルカが跳ねているんですよ。それも1頭や2頭じゃない。800から1,000頭はいたと思います。圧倒されました。こんな世界があるのかって」

水族館での飼育を通して、イルカの生態をわかった気になっていたと語る宮内さん。その時、激しくショックを受けたといいます。プールにいるイルカが全てだった宮内さんですが、地元の漁師の方は、もっと自然な、野生のイルカの姿を、当たり前に見ていたのです。

みやうちさんの写真です。

「それからは、週に1回くらいのペースで船に乗って、イルカの観察に行きました。いろんな種類がいることに気づき、自分自身が何度も通っているうちに、“この感動をたくさんの方々に体験してもらいたい“とイルカウォッチングを思いついたんです」

何度かの船出

早速、勤務している水族館や観光協会にイルカウォッチングを提案しに行った宮内さん。30年前は「イルカウォッチング」という言葉は馴染みがなく、一度で理解していただけなかったものの、熱意が伝わり、実現に漕ぎ着けます。その反響は予想以上のものでした。

「連日、メディアの取材が全国から来ました。お客さんもたくさん来て、大盛況だったんです。ところが、2年目になると、海が悪くて出航できない日も続きました。天候に左右されるため、事業としてのリスクが大きく、水族館では続けられないことに。ただ、自分としては、この野生の世界を知ってしまったらそこは外せなくて。それで、独立してこの研究所の立ち上げを決めたんです」

会社の立ち上げから3年は船もなく、漁師のオフシーズンに船を借りる形でお客さんを案内していたといいます。一方で、漁真っ只中の時期はウォッチングに使える船がなく、アルバイトをしていた期間もあったとか。そんな中、2002年、待望の船が完成します。それが、今も現役で活躍する「フリッパー号」です。40人乗りの遊覧船は、22年間たくさんのお客さんを乗せ、何種類ものクジラやイルカと共に、この銚子の海を走り続けてきました。

フリッパー号の写真です。

イルカ・クジラが連れてきてくれたもの

「確かに海の環境は変わりました。もっと一人ひとりに、海の問題、環境の問題に目を向けてほしいと思って、2019年から現在まで、月に一度はビーチクリーンと、船を使った海洋ゴミの回収活動を続けています。やっぱり知ってほしいんですよね。世界に90種類いると言われているイルカやクジラの中で、ここ銚子は24種類も見られるんですよ。こんな海、他にないですよ」

と、宮内さんの言葉にも熱がこもります。

「変わらないものもあります。それは、イルカやクジラに出会った人々の笑顔ですね。みんな、一瞬無言になるんです。息を呑むように。それから『わあ!』と歓声が上がります。この瞬間は本当にかけがえのないものです。テンションが上がりすぎてプロポーズする人も何人かいましたね。それから、昔ここでイルカを見たんですという方が、今度は親になって子どもを連れてきてくれることも。動物も好きだけど、人との繋がりも、この仕事の醍醐味かもしれません」

みやうちさんの写真です。

銚子沖 イルカやクジラの住む海

海と人をのぞいてみると、

時に大きく、時にさりげなく

人の運命を新しい航路へ導く、

優しい生き物の気配がありました。

 

Q.銚子の美味しいものを教えてください!

今川焼きの写真です。

昔からある老舗の今川焼きですね。銚子の人たちはみんな大好きですよ。たまに無性に食べたくなるというか。誰かがお土産で買ってきてみんなで食べる。それが銚子の船乗りたちのエネルギー源になっています。

 

お問い合わせ

所属課室:環境生活部文化振興課企画調整班

電話番号:043-223-2408

ファックス番号:043-224-2851

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