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更新日:令和6(2024)年4月1日

ページ番号:643690

3 障害のある人への理解を広げ権利を擁護する取組の推進

  • 障害者条例に基づき、相談活動等を通じて個別の差別事案の解決を図るとともに、差別の背景にある社会慣行などの問題について、様々な立場の関係者で協議し、障害のある人に優しい取組を応援します。同条例及び障害者差別解消法について周知し、障害のある人への理解を広げ、障害のある人への差別をなくすための取組を推進します。
  • 障害のある人への虐待の防止や早期発見・早期対応を図るため、市町村等関係機関との連携強化や研修の実施、県民への周知啓発等に努めます。
  • 障害者差別解消支援地域協議会が各市町村に設置されるよう課題などを収集し情報提供を行い支援するなど、同協議会の活性化を図ります。
  • 県で策定した「障害のある人に対する情報保障のためのガイドライン」を周知するほか、視聴覚障害者情報提供施設である点字図書館、聴覚障害者情報提供施設や、障害者ITサポートセンターの安定的な運営に努めます。
  • 手話言語等条例等に基づき、手話通訳者、要約筆記者、盲ろう者向け通訳・介助員の養成や、手話等の普及を促進します。
  • 点訳・朗読奉仕員、失語症者向け意思疎通支援者等の人材養成に取り組み、情報・コミュニケーションのバリアフリーを推進します。
  • 「障害のある人に関するマーク」の県民への周知と理解の促進に取り組みます。

(1)障害のある人への理解の促進

I 現状・課題

平成28年4月に障害者差別解消法が施行され、不当な差別的取扱いが禁止されるとともに、合理的配慮の提供が国や地方公共団体等の行政機関に義務付けられました。また、令和3年に同法が改正され、民間事業者に対しても合理的配慮の提供が義務付けられました。改正法は令和6年4月に施行されます。

千葉県では、障害のある人への差別を禁止した全国初となる障害者条例が平成18年に制定、翌19年に施行されました。この条例の基本理念では、障害のある人に対する差別の多くは、障害のある人に対する誤解、偏見その他の理解の不足から生じていることを踏まえ、差別をなくす取組は、障害のある人に対する理解を広げる取組と一体のものとして行わなければならないこととなっています。また、障害のある人もない人も相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会を実現するためには、人権尊重の重要性について社会全体が理解を深めていくことが必要となります。そのため、条例の存在やその目指すところを県民に広めることによって、県民全体で障害のある人の問題を考える機会となることを目指しています。

また、障害等により支援や配慮を必要としていることが外見からは分からない方が、周囲の人に支援等を必要としていることを知らせるためのヘルプカード・ストラップ型ヘルプマークを作成・配布し、障害のある人が配慮を申し出やすい環境づくりに努めています。

さらに、東京2020パラリンピック競技大会で4競技(ゴールボール・シッティングバレーボール・テコンドー・車いすフェンシング)が本県で開催されたことを契機に県民のパラスポーツへの関心が高まり、県内各地で競技の体験会や各種イベントが開催されています。また、聴覚障害のある人の国際スポーツ大会である東京2025デフリンピックが東京都などで開催される予定です。

加えて本県は、令和3年3月に「千葉県障害者文化芸術活動推進計画」(令和3年度~令和8年度(6年間))を策定し、障害のある人の文化芸術活動の推進により、社会参加や自立を促進し、共生社会の実現を目指しています。また、文化芸術活動の支援拠点となる「千葉県障害者芸術文化活動支援センター」を設置し、相談支援や人材育成等の講座の実施、作品等の発表機会の創出等に取り組んでいます。

しかし、障害者条例の施行から15年以上が経過した現在でも、障害を理由とした差別と思われる事案が多く発生しており、引き続き、障害のある人への理解を広げ、障害のある人への差別をなくすための周知・啓発が求められています。障害を理由とした差別には、制度や慣習が原因となっている事案も数多くあり、障害者条例に基づく推進会議等において議論し、改善を図っていく必要があります。

また、東京2020パラリンピック競技大会後も、共生社会実現への理解をより一層深めるため、県民全体を巻き込んだ各種の取組を行うことが求められています。

新型コロナウイルス感染症拡大時には、障害特性によりマスクの着用が困難な方々の不安や不便が少しでも解消されるよう、理解促進のための周知・啓発を行いました。

II 取組の方向性

  1. 障害者条例に基づく広域専門指導員・地域相談員による地域に根差した周知・啓発活動や各種広報媒体の使用、人権啓発に関する講演会・研修会の開催を通し、障害のある人への理解の促進及び障害のある人に対する差別の解消に努めます。また、障害者条例による各種施策の展開により、各種障害に対する正しい理解や偏見の解消に取り組みます。
  2. パンフレットや「マンガでわかる障害者差別解消法」の配布等を通して、障害者条例と併せ、障害者差別解消法についても周知・啓発を図るとともに、差別相談の多い分野等を分析の上、その分野の関係者等に、より一層の周知・啓発を行っていきます。また、障害者差別解消法の改正により民間事業者による合理的配慮の提供が義務化されることについて、商工関係団体等と連携して民間事業者に対する周知を図ります。なお、障害のある人に対しても合理的配慮の周知を引き続き行います。
  3. パラスポーツフェスタや各種競技体験会において、様々なパラスポーツへの理解促進につながる周知や、障害のある人とない人の交流を図り、多くの人を巻き込みながら、共生社会形成の促進を図ります。また、東京2020パラリンピック競技大会に向けた一連の取組を、そのレガシーとして受け継ぐことができるよう推進していきます。
  4. 障害のある人とない人が一緒に行うワークショップの実施や、障害のある人による作品の展示等を通じて、障害のある人への理解の促進を図ります。また、「千葉県障害者芸術文化活動支援センター」と連携し、活用することで障害のある人による文化芸術活動を推進し、社会参加や自立を促進するとともに、共生社会の実現を目指します。
  5. 実際に差別が起こっている事案では、「これは差別に当たる」という自覚がないまま差別行為を行ってしまうというケースも見られるため、広域専門指導員による活動で蓄積した差別に関する報告書をホームページに掲載するなど啓発を行います。
  6. 障害のある人への差別の背景にある制度や慣習などの問題について、障害者条例に基づく推進会議で議論し、改善を図ります。また、より専門的な分野に関しては、分野別会議をもって対応します。
  7. 「障害のある人に優しい取組を応援する仕組み」により、障害のある人への理解を広げるために頑張っている取組を紹介します。
  8. マスクの着用が困難な人など、障害特性により様々な状況で困難を抱える人への理解の促進について、ホームページへの掲載など、広く県民や事業者に向けて周知を図ります。

III 数値目標

数値目標

項目

4年度実績

6年度

7年度

8年度

1

共生社会という考え方を知っている県民の割合(%)

38.2

50

2

障害のある人もない人も共に暮らしやすい千葉県づくり条例に関する周知・啓発活動の回数(回)

3,979

2,000

2,000

2,000

(2)子どもたちへの福祉教育の推進

I 現状・課題

子どもの頃から障害のある・なしにかかわらず活動を共にすることは、全ての子どもの社会性や豊かな人間性を育成する上で大きな意義があり、同じ社会に生きる人間として、お互いを正しく理解し、共に助け合い、支え合って生きていくことの大切さを学ぶ重要な機会であると考えられています。そこで、千葉県では、福祉教育への取組等を進める学校を福祉教育推進校として毎年18校程度新たに指定し、その活動を支援しています。福祉教育推進校では、障害のある人からの講話や車椅子体験、パラスポーツ体験等、各学校における独自の創意と計画に基づき、子どもの理解と関心を高め、思いやりの心やノーマライゼーションの醸成に努めています。

また、障害者条例に基づき16障害保健福祉圏域に1名ずつ配置された広域専門指導員が市町村教育委員会や学校等を訪問するなど、周知・啓発活動を行っています。さらに、公立幼・認定こども園・小・中・義務教育学校・高等学校・特別支援学校の管理職や人権教育担当者に対する研修を毎年開催し、人権課題の一つとして障害がある人の人権について周知しています。今後も子どもへの広報啓発活動や市町村、地域の自立支援協議会等の関係機関との連携の在り方について検討をしていく必要があります。

II 取組の方向性

  1. 福祉教育への取組等を進める学校を引き続き年18校程度福祉教育推進校として指定し、その活動を支援します。その際、福祉教育をより効果的に推進するため、同じ地区の福祉教育推進校と千葉県社会福祉協議会が指定する福祉教育推進団体が連携・協働する「パッケージ指定」により、地域の社会資源や人材を活用した福祉教育プログラムの協議・連携・企画・実践を行い、福祉教育を推進します。
  2. 福祉教育関係者を対象に福祉教育推進養成研修を開催し、福祉教育に関する必要な知識・技能を身に付けるとともに、学校や地域における福祉教育の普及・活性化を目指します。
  3. 特別支援学校と近隣の小・中学校等の幼児児童生徒との交流及び共同学習を通して、障害のある幼児児童生徒と障害のない幼児児童生徒とが、共に尊重し合いながら協働して生活していく態度を育むことを目指します。
  4. 学校における授業等に資するよう、引き続き、公立幼・認定こども園・小・中・義務教育学校・高等学校・特別支援学校の管理職や人権教育担当者に対し、障害者理解に関する研修を実施します。
  5. 県内の小学校に通う児童が、障害のある人、高齢者の特徴や関わり方について学ぶための「地域リハビリテーション出前講座」を実施します。講座は授業の一環として行い、内容は、学校の希望を踏まえて調整することとし、理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士を講師として派遣します。
  6. 学校において障害のある児童生徒等に適切な合理的配慮がなされるよう、県教育委員会として、対応要領の周知等による職員への啓発等を行うほか、広域専門指導員等が市町村教育委員会や学校等に対して障害のある人への理解を広げ、障害のある人への差別をなくすための周知・啓発活動を行います。また、千葉県社会福祉協議会等と連携し、福祉教育を推進するための方策について検討を行います。

III 数値目標

数値目標

項目

4年度実績

6年度

7年度

8年度

3

福祉教育推進員養成研修の修了者数(人)

51

40

40

40

(3)地域における権利擁護体制の構築

I 現状・課題

我が国は、障害のある人の人権や基本的自由の享有を確保し、障害のある人の固有の尊厳の尊重を促進することを目的として、障害のある人の権利の実現のための措置等を規定する障害者権利条約を平成26年に締結しました。

障害のある人に対する虐待は、障害のある人の尊厳を害するものであり、障害のある人の自立及び社会参加にとって、これらの行為を防止することは極めて重要です。そのため、障害者虐待防止法においては、障害のある人の権利利益の擁護に資することを目的として、障害者虐待の防止や養護者に対する支援等に関する施策の促進が規定されています。しかしながら、依然として障害者虐待は後を絶たず、千葉県における養護者又は福祉施設従事者等による障害者虐待は、近年では毎年400件超の通報があり、うち150件前後が虐待と判断されています。そこで、障害者虐待を防止するには、何よりも県民一人ひとりが、障害者虐待防止など障害のある人の権利擁護に関する理解を深めることが重要です。

また、養護者、障害者福祉施設従事者等、使用者については、どのような行為が虐待行為に当たるかの知識や認識が不足していることで障害者虐待を引き起こしている事例もあるため、これらの関係者に対し、障害者虐待防止に関する知識等の普及啓発や研修の開催等の取組を進めていく必要があります。なお、家族、親族といった養護者による障害者虐待については、障害のある人や近親者等とのこれまでの関係性や、時として養護者や障害のある人が近隣社会から孤立しかねないといった状況を踏まえ、それぞれの事情を考慮した上で養護者に対する適切な支援体制を構築していくことが必要です。また、障害者福祉施設従事者等による障害者虐待については、各施設において管理者や虐待防止マネージャーを中心として、内部研修の開催や外部研修への参加などの取組を行うことで、障害者虐待の問題に対する従事者等の意識向上につながり、虐待行為の防止に資することとなります。

障害者虐待への対応については、当該虐待事案を早期に発見し、各関係機関の連携・協力の下、被虐待者等に対して速やかに支援を開始することが重要です。そのためには、これらの対応に当たる行政機関の職員の能力向上や、迅速な対応が可能な体制の構築が求められます。

障害のある人の中には、障害の特性から、自分のされていることが虐待だと認識できない場合や、虐待を受けても被害を訴えられない場合もあるため、家族や支援者などの周りの人がいかに気付くかが重要となります。そのため、関係者に虐待防止に関する通報義務を広く周知する必要があります。

精神上の障害により判断能力が不十分な人が地域で安心した暮らしを送るための権利擁護の取組の一つとして成年後見制度があります。成年後見制度の利用状況は、認知症高齢者や知的障害、精神障害のある人の増加を背景に、近年増加傾向にあるものの、その利用度は認知症高齢者等の数と比較するとまだまだ低いまま推移しています。

平成28年には「成年後見制度の利用の促進に関する法律」が施行され、その後令和4年に閣議決定された「第二期成年後見制度利用促進計画」において、市町村は、制度利用の促進に関する施策についての基本的な計画の策定や、中核機関の整備・運営が求められていることから、成年後見を必要とする人が成年後見制度を利用できるよう地域における体制づくりを進めるとともに、県においても、同計画において担い手の育成方針の策定や担い手の養成研修の実施、専門職の派遣等により市町村を支援していく必要があります。

また、障害者差別解消法において、地方公共団体等の職員が障害を理由とする差別の禁止に関して適切に対応するために職員対応要領を定めるよう努めるものと規定されています。千葉県においては、任命権者ごとに対応要領を策定し、運用しているところですが、市町村によってはこの対応要領をまだ策定していない市町村があります。障害を理由とする差別の解消に向けて施策を率先して実施すべき行政機関として、まだ策定していない市町村は積極的に対応要領を策定する必要があります。

II 取組の方向性

  1. 虐待を防止し、早期発見するために、市町村や障害者支援施設等に虐待防止アドバイザーを派遣し、関係者に理解を求め、権利擁護に係る体制の整備を図ります。
  2. 県において障害者虐待の通報・届出を受けた場合や、虐待事案を覚知した場合、障害者虐待防止法の対応スキームに即して、迅速な対応に努めます。その際、市町村や警察、労働局など関係する機関と適宜連携を図り、的確な対応を行います。複数又は県外の市町村が関わることとなる事案などについては、県において必要な調整・協力を行います。また、「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」の改正により、令和6年4月から精神科病院における虐待防止の措置や、虐待を発見した際の通報が義務化されることから、県は、各精神科病院へ虐待を防止するため必要な措置を講ずるよう周知するとともに、虐待等の通報を受理した場合は、必要に応じて調査及び指導を行います。
  3. 家族等の養護者に対する支援の一環として、障害のある人やその家族、関係機関を含めた県民向けの講演会等を開催し、虐待防止や権利擁護への理解促進、啓発を行います。また、当事者等により実施される権利擁護のための取組を支援します。
  4. 障害者支援施設等に配置される虐待防止責任者(虐待防止マネージャー)に対する研修を実施し、施設内部における研修の実施を支援します。さらに、各施設における権利擁護に関する意識の醸成や虐待の発生しにくい環境づくりを支援するため、施設の管理職に対する研修も実施します。
  5. 雇用する障害のある人の人権や障害者虐待についての理解を深めるため、労働局と連携を図り、障害のある人を雇用する事業主等を対象に虐待防止・権利擁護に関する研修を実施します。
  6. 虐待の通報や届出を受け付ける市町村によって対応に差異が生じないよう、虐待防止業務を担う市町村職員に対し、虐待防止・権利擁護に関する研修を実施するとともに、適宜情報交換を行うことで、虐待防止に関する受付体制の確保・充実に努めます。
  7. 成年後見を必要とする人が成年後見制度を利用できるよう、権利擁護支援の行政計画等の策定推進において、市町村等が行う利用促進のための計画策定、中核機関の整備など地域連携ネットワークづくりに対して、専門職の派遣などの支援を行います。
  8. 成年後見制度への正しい理解の促進や権利擁護の担い手の育成のため、本人や、家族・市町村・市町村社会福祉協議会など支援者の立場それぞれに応じた研修を引き続き行います。
  9. 策定した職員対応要領の適切な運営に努めるとともに、県職員による障害を理由とする差別を防ぎ、合理的配慮を的確に行うため、県職員に対する研修を実施します。
  10. 障害のある人にとって最も身近な行政機関である市町村において、その職員による障害を理由とした差別が生じないよう、まだ職員対応要領を策定していない県内市町村に対し、職員対応要領の策定を呼び掛けます。

III 数値目標

数値目標

項目

4年度実績

6年度

7年度

8年度

4

虐待防止アドバイザー派遣数(回)

12

17

17

17

5

職員対応要領を策定した市町村数(市町村)

48

50

52

54

6 成年後見制度利用促進基本計画を策定した市町村数(市町村) 54 54 54

(4)地域における相談支援体制の充実

I 現状・課題

障害のある人がその地域で自立した生活を送るためには、その障害のある人が求めるニーズや課題に対応し、必要に応じて適切な障害保健福祉サービス等につなげていく相談支援が重要です。

権利擁護の面においては、相談をどのように受け止め、適切に対応していくのか、市町村の虐待防止の窓口、差別に関する窓口、その他の相談機関を活用した権利擁護の相談支援体制を充実させる必要があります。千葉県では障害を理由とした差別の相談は障害者条例に基づき、広域専門指導員及び地域相談員が担当しており、広域専門指導員や地域相談員のより有効な活用方法の検討や、研修等を通じた相談対応力の強化を図る必要もあります。

相談を受ける機関の職員だけではなく、障害のある人や関係者に対する相談窓口の周知や明確化も必要となります。障害者条例のみならず、条例に基づく相談員である広域専門指導員等を周知することにより、相談しやすい地域づくりに取り組むとともに、障害者差別解消法や障害者虐待防止法に基づき市町村に設置された窓口と連携を図らなければなりません。

障害者差別解消法に基づき、各地域に障害者差別解消支援地域協議会を設置することができるとされていますが、自治体により設置の有無やその在り方などに違いがあり、自立支援協議会と併せた形で設置している場合や、複数の自治体が合同で設置している場合があります。地域における相談支援体制の充実のため、自立支援協議会や障害者差別解消支援地域協議会の活性化を図る必要があります。

また、ノーマライゼーション理念の浸透や障害のある人の権利擁護が求められる中、自ら意思を決定することに困難を抱える障害のある人への意思決定支援は重要であるため、厚生労働省が作成した意思決定支援ガイドラインの相談支援事業所等への周知・啓発が求められています。

II 取組の方向性

  1. 障害を理由とした差別の相談窓口である広域専門指導員や地域相談員について、障害者差別解消法や障害者条例の周知とともに、関係機関や県民への広報に努めます。
  2. 障害を理由とした差別の相談に適切な対応ができるよう、広域専門指導員や地域相談員のより有効な活用方法を検討しつつ、研修等を通じた相談対応力の強化を図っていきます。また、様々な分野の差別相談にも対応できるよう、広域専門指導員、地域相談員及び市町村の連携強化に努めます。
  3. 障害のある人の当事者団体や家族会等との連携の下、市町村における自立支援協議会等への相談支援アドバイザーの派遣を通じて、相談支援活動の充実を図り、障害の種別や当事者の必要性に応じた相談支援体制の整備を図ります。
  4. 相談支援事業に従事する職員へ障害者虐待対応の知識及び技術の習得までの権利擁護の内容を含んだ研修を実施します。
  5. 障害者差別解消支援地域協議会が各市町村に設置されるよう、必要な助言や情報提供を行い支援します。また、設置された地域協議会の役割が十分に果たせるよう、取組状況や課題等を把握するとともに、必要に応じて研修を実施するなど、支援を行います。
  6. 相談支援の現場等において意思決定支援の仕組みを理解し、意思決定に基づく障害福祉サービスが提供されるよう、意思決定支援ガイドライン等を活用した研修を開催するなどにより、周知・啓発を図ります。

III 数値目標

数値目標

項目

4年度実績

6年度

7年度

8年度

7

障害者差別解消支援地域協議会を設置した市町村数(市町村)※共同設置を含む

50

52

54

54

(5)手話通訳等の人材育成、手話等の普及促進

I 現状・課題

「人材」はあらゆるサービスや事業の根本となるものであり、その「人材」を育成・確保することは、提供するサービスや事業の質を維持する上で不可欠なことです。

障害のある人とのコミュニケーションを支援する人材としては、手話通訳者、要約筆記者、点訳・朗読奉仕員、盲ろう者向け通訳・介助員、失語症者向け意思疎通支援者などがいますが、これら人材の確保、育成が求められています。

千葉県では、聴覚障害のある人のコミュニケーション手段の一つである手話を言語の一つであると位置付けた手話言語等条例により、手話通訳者等について養成研修の拡大を行うなど、障害のある人との意思疎通を支援する人材の養成を行ってきましたが、研修によっては養成課程が長期にわたるため、最終過程までに至らない場合もあります。

また、県では令和元年度より失語症者の自立と社会参加を図るため、失語症者向け意思疎通支援者の養成研修を開始し、失語症者向け意思疎通支援事業を行う市町村へ希望により研修修了者の名簿提供を行いました。

II 取組の方向性

  1. 手話通訳者については、養成研修事業を着実に実施するとともに、募集人員等の拡大を図っていきます。手話通訳技術のみならず、聴覚障害のある人の歴史・文化を理解し、社会情勢に応じた通訳が実施できるよう手話通訳者の養成に努めます。あわせて、現任の手話通訳者に対しても、今後、派遣依頼の増加により、通訳内容が多岐にわたり、より専門性の高い内容について通訳を求められる場合が出てくると想定されることから、様々な場面に対応できるよう、研修の実施等により技術向上を図ります。また、要約筆記者についても養成研修事業を着実に実施していくとともに、受講者を増やすために受講募集の周知を図ります。
  2. 手話通訳者及び要約筆記者養成研修に資するため、手話通訳者及び要約筆記者養成のための指導者育成を引き続き実施します。
  3. 盲ろう者向け通訳・介助員については、養成研修事業の内容の充実と受講募集の周知を図ります。
  4. 点訳・朗読奉仕員については、養成研修事業の内容の充実と受講募集の周知を図ります。
  5. 失語症者向け意思疎通支援者については、引き続き県で養成講習を行うとともに、市町村での派遣事業の実施について働きかけていきます。
  6. 市町村域を越えた手話通訳者・要約筆記者の派遣や夜間・緊急時の派遣に円滑な対応ができるよう、意思疎通支援を行う者の派遣に係る市町村相互間の連絡調整事業を実施します。

III 数値目標

数値目標

項目

4年度実績

6年度

7年度

8年度

8

点訳・朗読奉仕員の養成人数

8

点訳奉仕員の養成人数(人)

24

25

25

25

8

朗読奉仕員の養成人数(人)

20

25

25

25

数値目標(基本指針)

項目

4年度実績

6年度

7年度

8年度

9

手話通訳者実養成講習修了者数(人)

37

60

60

60

10

要約筆記者実養成講習修了者数(人)

5

20

20

20

11 盲ろう者向け通訳・介助員実養成講習修了者数(人) 14

20

20 20
12 手話通訳者・要約筆記者派遣実利用件数(件) 388 398 409 417
13 盲ろう者向け通訳・介助員派遣実利用件数(件) 1,675 1,700 1,725 1,749
14 失語症者向け意思疎通支援者実養成講習修了者数(人) 25 30 30 30

(6)情報・コミュニケーションバリアフリーのための普及啓発

I 現状・課題

障害のある人にとっての「障害」は日常生活や社会生活の様々な場面で多岐にわたるものです。特に、どのように情報を受発信するか、また、どのように人とコミュニケーションをとるかということは、普段の生活を送る上で重要な事項となります。そのため、障害のある人の情報・コミュニケーションバリアフリーをどのように確保するのかということが必要となります。

また、令和4年5月に「障害者による情報の取得及び利用並びに意思疎通に係る施策の推進に関する法律」が施行され、障害のある人による情報の取得及び利用並びに意思疎通に係る施策の推進について示されました。

千葉県では、障害者条例の取組の一つとして、行政職員等が障害のある人と情報のやり取りをする際にどのような配慮を行うべきか示すために「障害のある人に対する情報保障のためのガイドライン」を作成しました。県や市町村の行政職員のみならず、民間事業者等においても障害のある人に対して必要な配慮が行われるよう、このガイドラインの幅広い周知に努めています。

また、障害者権利条約において既に手話は言語の一つと定義付けられているところですが、手話言語等条例は、改めて手話を言語の一つとして位置付けるとともに、手話等に対する県民理解の促進を県の責務として規定しています。本条例の普及啓発のため、手話等学習用パンフレットの作成・配布を行いました。

手話言語等条例の策定により、県の広報番組や県議会の放送等において手話通訳者が設置されているところですが、手話をはじめとした意思疎通手段をどのように県民に知ってもらうか、理解してもらうかが重要となります。そして、手話言語等条例のみならず、障害者差別解消法や障害者条例においても会議等で手話通訳者の受け入れを拒否することは、差別に当たり得ることについても周知が必要です。

手話通訳者等の派遣については、障害者総合支援法における地域生活支援事業において県事業として広域派遣が位置付けられ、手話言語等条例においてその体制の整備が求められているところです。一方、市町村においては、同じ意思疎通支援事業として手話通訳者等の人材の派遣事業を行っていますが、事業を実施する市町村によって派遣の基準に違いがあります。

情報通信分野においては、情報機器の発達が障害のある人の日常生活に大きく寄与します。そのため、情報機器の使用について支援を行うため、障害者ITサポートセンターの設置・運営や障害のある人を対象としたパソコン教室の開催を行っています。また、視覚障害、聴覚障害のある人の情報支援の拠点として、点字図書館1箇所、聴覚障害者情報提供施設1箇所を県内に設置しているところですが、継続した情報提供を行うために、施設の安定した運営が必要となります。また、聴覚と視覚の重複障害のある人への支援を充実させるため、両情報提供施設の適切な連携体制が求められています。

ほかにも、災害時における迅速かつ適切な情報提供や政治参加のための投票所における投票環境の向上なども必要となります。

II 取組の方向性

  1. 情報コミュニケーションを支援するため、意思疎通支援事業の強化を図っていきます。手話言語等条例第11条に記載されているように、手話通訳者、手書き要約筆記者、パソコン要約筆記者等の派遣体制の整備及び充実に努めます。
  2. 手話言語等条例等の周知を図るため、チラシや冊子などの資料を活用し、広く県民への周知・啓発に努めます。
  3. 手話が県民に身近なものとなるように、簡単な手話が掲載された学習用冊子を活用し、県民への浸透を図ります。
  4. 県民が手話等を学ぶ機会を確保するため、県のホームページにおいて、手話を学ぶサークル等の情報を紹介し、学習機会の確保に努めるとともに、県の職員が手話等を学習するための研修を実施します。
  5. 地域によって手話通訳者や要約筆記者の派遣に差異が生じないよう市町村へ働きかけるとともに、広域的な派遣を円滑に実施できるよう、市町村相互間の連絡調整体制を整備します。
  6. 障害特性に合ったコミュニケーションを支援するためにヒアリングループ等のコミュニケーションを支える機器の設置を行政機関等の関係機関に働きかけ、コミュニケーション支援の普及と、それが使える地域の環境づくりを目指します。
  7. 障害者ITサポートセンターや障害のある人向けのパソコン教室について、市町村に対し周知を図るとともに、点字や音声による広報等でも周知し、利用者・受講者の増加に努めることで、障害のある人の情報通信技術の利用・活用の拡大を図ります。
  8. 災害時の避難情報の伝達については、迅速な避難を促すため防災行政無線や広報車、携帯端末の緊急速報メール等複数の手段を組み合わせ、障害の種別等に配慮した手段を用いることとします。また、避難所等での情報コミュニケーション支援の取組など、災害時の対応について市町村の取組を促します。
  9. 視聴覚障害者情報提供施設の安定した運営のために、現在行っている運営費の助成を継続し、施設機能の整備、充実を図ります。
  10. 視覚障害、聴覚障害等、各種障害のある人に対し、行政の職員などが障害のある人と情報のやり取りをする際にどのような配慮を行うべきか示すため定めた「障害のある人に対する情報保障のためのガイドライン」が幅広く活用されるよう、市町村をはじめとした関係機関や民間事業者への周知に努め、障害特性に応じた必要な配慮を行うよう働きかけます。
  11. 放送事業者における緊急災害時のテレビ放送について、字幕や手話通訳の付与、テロップの読み上げ等、障害特性に配慮した情報提供の一層の充実がなされるよう、国に働きかけます。
  12. 視覚障害のある人に選挙権の行使に必要な情報を提供するため、引き続き選挙公報の点訳版や音訳版を作成・配布します。また、障害特性に配慮した投票所のバリアフリー化のほか、不在者投票の適切な実施の促進により、投票所での投票が困難な障害のある人の投票機会の確保に努めます。
  13. 障害の有無にかかわらず、誰もがホームページ等で提供される情報や機能を支障なく利用できるよう、「千葉県ホームページウェブアクセシビリティ方針」に基づき、ホームページにおけるアクセシビリティの向上に努めます。

お問い合わせ

所属課室:健康福祉部障害者福祉推進課共生社会推進室

電話番号:043-223-2338

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