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更新日:令和6(2024)年3月29日

ページ番号:3248

2精神障害のある人の地域生活の推進

総合計画から

  • 精神障害のある人が、地域の一員として安心して自分らしい暮らしをすることができるようにするためには、医療機関による退院支援や地域の福祉関係機関による地域生活支援の両面が必要であることから、保健、医療、福祉関係者による「精神障害にも対応した地域包括ケアシステム」の構築を推進します。
  • また、精神障害のある人の地域生活への移行や地域生活を継続するための支援に積極的に取組んでいる精神科病院を「千葉県精神障害者地域移行・地域定着病院」として認定し、精神科病院に長期入院している患者の退院を促進します。
  • さらに、精神障害のある人が、自立した生活を維持し、社会参加を支援するためのピアサポート体制を推進します。

(1)精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築

【I現状・課題】

千葉県では、精神障害のある人の地域生活への移行を推進するため、千葉市を除く全障害保健福祉圏域に圏域連携コーディネーターを配置し、病院・障害福祉サービス事業所・行政等の連携を図り、地域移行支援に取り組んでいます。しかし、県内の精神科病院に入院している人のうち、在院期間1年以上の長期入院患者は、減少しているものの、約7千人います。また、平成26年度「患者調査」によると、在院期間1年以上の長期入院患者のうち、65歳以上の割合は51.8%となっており、入院患者の高齢化が進んでいます。このため、長期入院患者を減少させる取組みと併せて、高齢の入院患者への対策が必要です。

精神科病院等に入院中の人の中には、退院後の生活を不安に思っている人や、退院したいという意欲を持てない人がいます。病院と障害福祉サービス事業者等が連携して、退院後の生活への不安を軽減するための取組みが必要です。このために、同じ障害のある人の相談相手となったり、同じ仲間として社会参加や、問題の解決等を支援する活動を行っているピアサポーターは必要な存在です。引き続きピアサポーターの養成、活動の場の拡大や活動の仕組みの整備などの支援に取り組むことが必要です。

また、精神科病院等に入院中の人の地域移行・地域定着の理解・促進を図るため、地域移行・地域定着に積極的に取り組んでいる精神科病院を「地域移行・定着協力病院」として認定し、公表しています。今後も引き続き協力病院をより増やす仕組みづくりが必要です。

地域移行を進める上で重要となる家族については、本人に対する支援について、不安や、さまざまな課題を抱えています。地域で支えていくために必要な情報の提供や、福祉サービスの充実を図るとともに、家族が互いに理解できるような機会を設ける必要があります。

地域生活への移行の推進にあたり、住まいの場を確保することが必要です。

このため、できる限り身近な地域において日常生活及び社会生活を営めるよう、グループホームの整備・運営や、利用者に対する支援のための各種事業を実施しています。

今後より一層グループホームの供給を増やすためには、既存の戸建て住宅の空き家等をグループホームとして活用することは有効だと考えますが、利用者の安全性の確保の観点から、建築基準法等による規制があるため、活用がなかなか進まない状況にあります。今後は、グループホームの整備や、障害があっても単身で生活をしたいという人のニーズに対応するため、本体住居の食堂等を利用するなど密接な連携を前提とした、一人暮らしに近い形態のサテライト型住居のさらなる周知を行い、供給を増やすことが必要です。

公営住宅においては、精神障害のある人を含めた障害のある人の利用促進に向けて、障害のある人の世帯に対し、一般世帯より当選確率が高くなるよう優遇措置を講じるとともに、障害のある人の世帯が申込みできる戸数枠を設ける措置を講じています。

民間賃貸住宅においては、障害のある人が円滑に入居できるよう、住まい探しの相談に協力する不動産仲介業者や入居を受け入れる住宅を登録(千葉県あんしん賃貸支援事業)し、県ホームページで情報提供しています。また、千葉県すまいづくり協議会居住支援部会では、住宅確保要配慮者の民間賃貸住宅への円滑な入居の促進に関する協議などを行っています。

また、より住み慣れた地域社会の中で充実した生活が継続できるよう、障害のある人やその家族に対して、市町村が行っている居宅介護等の福祉サービスの充実が必要です。

さらに、地域生活を継続していくために欠かすことのできない医療の提供については、医療費の患者負担が課題となっています。

これらを踏まえ、差別や偏見のない、あらゆる人が共生できる社会の実現に向けて、医療、福祉、介護、住まい、社会参加(就労)、地域の助け合い、教育が包括的に確保された地域包括ケアシステムを構築する必要があります。

【II取組みの方向性】

  1. 精神科病院等に入院中の人に対して、医師、看護師、精神保健福祉士等の多職種と、相談支援専門員や介護支援専門員等の地域の関係者が連携し、退院し地域生活を送る当事者からの体験談を聞く機会や、入院中の人が地域の障害福祉サービス事業所や介護保険サービス事業所等に出向き、活動や入居の体験や見学を行う等、退院意欲を持ってもらえるような取組みを支援します。また、住み慣れた地域への退院支援や、退院後の医療を継続できる体制づくりの促進に努めます。
  2. ピアサポーターの養成に努めるとともに、ピアサポーターが積極的に活動できるよう、その役割や活動内容の周知に努めます。
  3. ピアサポーターの活動の場の拡大を目指し、養成したピアサポーターが就労へと繋がるよう関係機関等に対するピアサポートの普及や環境づくりに努めます。また、ピアサポーター同士の研鑽や交流の場づくりを支援します。
  4. 「地域移行・地域定着協力病院」を今後より増やせるような仕組みづくりについて検討します。
  5. 家族への支援については、家族が抱える課題等を共有できる機会の場や、それぞれのニーズに合った支援体制づくりの促進に努めます。また、家族会等の関係者と連携し、必要なサービスについて情報提供します。
  6. 地域移行支援型ホームの活用については、今後の国の動向や県内の地域移行の実情を踏まえて、本県の対応を検討します。
  7. グループホーム整備については、地域での必要性などを踏まえ、順次支援を行い、引き続き、量的拡充を図ります。精神障害ある人のためのグループホームの整備など、社会情勢に即応した整備に努めます。また、共同住居より単身での生活をしたいというニーズがあり、それに応えるため、サテライト型住居の設置・活用が図られるよう、引き続き周知に努めるとともに、病状の悪化時等に利用できるクライシスハウスについては、利用ニーズを把握し、整備の必要性について関係機関と協議します。
  8. 公営住宅において障害のある人の利用促進に向けた、優先入居制度を継続していきます。
  9. 民間賃貸住宅への円滑な入居については、障害者等の住まい探しの相談に応じる不動産仲介業者や、障害者等の入居を拒まない賃貸住宅を登録し、県ホームページ等で情報提供を行います。また、引き続き、関係機関等と連携を図りながら、障害のある人の民間賃貸住宅への円滑な入居の促進に関する協議等を行います。
  10. ホームヘルパー等に対する各種研修を継続することにより、支援の質の向上に取り組むとともに、利用者のニーズに応えられる十分なサービス量の確保に努めます。
  11. 就労定着を図るため、就労定着支援事業の実施事業所の実施体制と人材の確保・育成などの支援方法について関係機関と協議しながら検討を進めます。また、障害のある人の一般就労を促進するため、就労移行支援事業所の一層の拡充とともに、就労定着支援事業の実施事業所や障害者就業・生活支援センターをはじめとする支援機関による就職後の定着支援体制の充実を促進します。
  12. 地域生活の継続のため、多職種のアウトリーチや、訪問看護による支援体制の拡充に努めます。
  13. 地域包括ケアシステムを構築するため、障害保健福祉圏域ごとに協議の場を設置し、保健・医療・福祉関係者・訪問看護事業者・当事者・家族等との重層的な連携による支援体制を構築します。また、全市町村に協議の場を設置するよう努めます。
  14. 障害保健福祉圏域ごとの協議の場において、地域の課題等を共有化するとともに、包括ケアシステムの構築状況、評価を行い、地域に必要な基盤整備について検討します。
  15. 入院患者の高齢化が進んでいるため、高齢の入院患者の地域移行について、障害保健福祉圏域ごとの協議の場において対策を検討します。
  16. 精神障害者の地域移行及び地域包括ケアシステムの構築についての理解促進のため、病院・障害福祉サービス事業所等の地域移行関係職員に対して、研修を実施します。
  17. 精神障害のある人の実情や地域移行について理解を広げるため、心のふれあいフェスティバルや心の健康フェア等、精神障害のある人と地域の人がふれ合う機会を提供し、関係団体と連携した普及啓発に努めます。
  18. 子どもたちに対し、精神障害についての理解促進及び精神疾患の早期発見につなげるため、学校におけるメンタルヘルス教育の推進に向けて、教育機関への働きかけを行います。
  19. 重度心身障害者(児)医療費助成制度については、精神障害者を含めた、全国統一の公費負担医療制度を創設するよう、国に要望していきます。
  20. 措置入院者及び医療保護入院者の退院後の支援については、国の動向を踏まえ、本県の必要な取り組みについて検討します。

【III数値目標】

No.

項目

28年度実績

30年度

31年度

32年度

1

圏域毎の保健、医療、福祉関係者による協議の場の設置状況(箇所)

15

15

15

15

2

市町村毎の保健、医療、福祉関係者による協議の場の設置状況(箇所)

33

40

47

53

3

精神病床における65歳以上の1年以上長期入院患者数(人)

3,282
(H27.3)

3,208

3,134

3,058

4

精神病床における65歳未満の1年以上長期入院患者数(人)

3,046
(H27.3)

2,848

2,650

2,452

5

精神病床における3カ月時点の早期退院率(%)

69
(H26.6)

70

71

72

6

精神病床における6カ月時点の早期退院率(%)

85
(H26.6)

86

87

88

7

精神病床における1年時点の退院率(%)

90
(H26.6)

91

92

93

8

地域の精神保健医療体制の基盤整備量(利用者数)

382

764

1,104

9

地域移行・定着協力病院の指定数

11

15

21

26

10

地域移行・地域生活支援事業の実ピアサポーター活動箇所数(見込箇所数)

5

10

13

15

(2)精神科救急医療体制の充実

【I現状・課題】

在宅の精神障害のある人が増加する中、精神症状の急激な悪化等の緊急時における適切な医療及び保護の機会を確保できるよう「千葉県精神科救急医療システム」における救急医療相談窓口を24時間対応しています。また、「千葉県保健医療計画」に基づく保健医療圏単位で精神科救急基幹病院を中心に、より身近な地域で速やかに診療が受けられるようシステムの拡充を図りました。しかし、現在も、夜間等における空床確保が難しい状況もあります。

また、身体合併症の救急患者に対応できる病院は、県内4障害保健福祉圏域5病院のみとなっており、身体合併症に対応できるよう医療体制を今後ますます拡充する必要があります。

【II取組みの方向性】

  1. 関係機関との更なる連携や輪番体制への参画病院の拡大を図ることなどにより、空床の確保を推進します。
  2. 身体合併症を有する患者については、各圏域において、夜間休日を含め24時間365日の救急対応が可能になるよう、精神科を有する総合病院の機能強化や、一般の科との連携体制をとっていただくなど、対応可能となる病院を拡充できるよう働きかけます。

No.

項目

28年度実績

30年度

31年度

32年度

11

精神科救急基幹病院数

9

12

12

12

12

精神科救急身体合併症に対応できる施設数

5

5

5

5

 

お問い合わせ

所属課室:健康福祉部障害者福祉推進課共生社会推進室

電話番号:043-223-2338

ファックス番号:043-221-3977

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