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更新日:令和6(2024)年10月7日
ページ番号:3130
第二部県民のみなさんから寄せられた声(2.障害者計画に関するフォーラム)
2.障害者計画に関するフォーラム
1.入所施設から地域生活への移行の推進
家族の高齢化とグループホーム
- 障害を持つ子の親としては、親亡き後どのようにこの地域でその人らしく生きていけるかが共通の悩みであり願望。そこで重要なのはグループホーム。
グループホームの整備や利用者数は数値目標を達成しているが、入所施設から地域への移行が中心。在宅で暮らしていた人たちも入れるようなグループホームがぜひ欲しい。
素案に今後より一層グループホームの供給を増やすための記述があるが、グループホームの建設にはスプリンクラー等、一般家庭より費用がかかる。ただ、我々は規制の緩和を望むのではない。安全で快適に住むためには費用もかかるだろう。費用面を含めた支援の検討をお願いしたい。
ケアホームのグループホームへの一本化に際しては、従来のケアホームのように夜間援助員がいて、パニック等緊急の際に安全が確保できる体制を、親たちは強く望んでいる。
親子とも高齢化しているので、障害者が65歳を過ると介護保険適用の問題も出てくる。高齢者が入れるグループホームは認知症のもの。65歳を過ぎた障害者で身体は健康、自由に動けるとなると、親はほとんど亡くなっている年齢であり、そういう人たちが地域で暮らす場合にグループホームが当然検討されてしかるべき。
- 私たちの施設では、約45年の病院生活の後に初めてグループホームに入る精神障害者を受け入れようとしているが、老人ホームのほうが適しているような状況であった。玄関の少しの段差でも困難がある、高低があって入浴ができない等。グループホームは今後老人ホーム化する方向性なのか、それともグループホームと老人ホームとの連携、あるいは地域の医療センター、福祉施設等が統合的に地域でサポートしていくのか。県としての方向性は。
グループホーム整備
- グループホーム整備の法規制に関して、「関係省庁間で調整すべき旨、国へ要望します」とあるが、千葉県が障害のある人の地域生活へ向けての取組としてこのスタンスでやるということを是非次回の計画に盛り込んでいただきたい。
日常生活自立支援事業・生活困窮者自立支援法
- 日常生活自立支援事業と、生活困窮者自立支援法とが一括りになっているが、平成27年4月から施行される生活困窮者自立支援法については別項目で取り上げてほしい。ひきこもりも含めて生活困窮の方々を支援していくという計画である。
2.精神障害のある人の地域生活への移行の推進
ピアサポート
- ピアサポーターの活動を希望する当事者からは、活動したいものの経済的な担保が具体的にならないところが多いという声をよく聞く。一方、相談支援事業者の側が雇用しようとする際、特定求職者雇用開発助成金の枠組みには合わない。ピアサポートの有効性を実感していながら、うまく雇用につながっていかないようだ。
ピアサポーターとして活躍したい方は数多くいるだろう。また、昨今はスカイプ(注・パソコンでの相互通話ソフト)を使ったテレビ電話等によるカウンセリングを行っているピアの方もいるようだ。ピアサポートについてもう少し突っ込んだ記述を。
アウトリーチ
- 精神科医療機関を退院しようにも、親も引き取れないほど高齢化している。現実には退院できないでそのまま病院に残っている。アウトリーチをなるべく早く行って、家族を含めた支援を。
グループホーム
- 長期入院が続いている人に対してグループホームへというが、精神障害者にグループホームは厳しい。人間関係がうまくいかない病気なのに、グループの家に入れようというのは大変だ。民間アパートに入居する方法もある。また、グループホームが近所にはない。駅から離れた場所に住まわされても出かけられない。もっと現実を見据えた方法でやっていただきたい。
家族会
- 問題解決には行政と当事者とが共同でやることが重要。当事者や家族は、差別や偏見が強いので黙っている。家族会に来て初めて他人に話をしたという人も多い。もう少し家族会と連携した動きを。
理解促進
- 精神障害には今なお差別と偏見がある。障害当事者自身が自分を差別する。家族が差別する。マスコミ報道によって間違った理解が広がったことで、入院患者がこれほどまで多いままである。
まず学校教育の場において必ず精神の病気についての教育をしてもらいたい。事業者の施設に通っている精神障害者と地域との交流によって理解を得るのが一番早い。そして周りの方に対する啓発を。事業者、県ということでなく、我々と共に運動していただきたい。
また、身体、知的の人と同程度の支援(交通機関の減免・割引や医療費助成)をしてほしい。
3.障害のある人への理解を広げ権利を擁護する取組の推進
理解促進
- 障害者条例や障害者に関するマークの周知は広報紙等でもされているだろうが、条例の認知度が2割未満という状況。広報紙等も読まれていない。気が長いとは思うが、教育と連携して、若い人たちに周知していくことが非常に大切だ。最近いくらか教育界も福祉に目を向けつつあるようだが、まだまだ福祉に対する理解を得ていないと感じる。
障害のある人もない人も人生は長い。行政が縦割りになるようには人生は進まない、重なり合っているところが必ずある。全庁的に協力体制を作って進められないか。
4.障害のある子どもの療育支援体制の充実
教育
- 特別支援学校の整備理由が教室不足や過密化の対策と聞いたが、理念がずれているのではないか。「誰もが地域で」という条例を推進する中で、これまでは地域共生のために必要であるとされていた。隣の市の特別支援学校に通っている子どもたちは、自分の住んでいる市の行政の中で、いわゆるインクルージョンの部分で阻害されていることになる。特別支援教育を差別だとする主張もあるが、自分の地域に通える学校がないことのほうが差別ではないか。地域の通常学級に併設してあれば、誰もがいきいきとして暮らせるのではないか。インクルージョン、共生のために必要な教育であり学校であると思う。
- 福祉教育について、県の社会福祉協議会ではパッケージ指定という言葉を使っている。これはその地区、おおむね中学校区の範囲で、小学校、中学校、高校、地区の社会福祉協議会が含まれる。表記の仕方の検討を。
5.障害のある人の相談支援体制の充実
計画相談
- 計画相談のこと自体を知らない保護者が多い。このことを保護者に知らせるのはどこの役目か。市に聞けば事業所の仕事と、事業所に聞けば市の仕事と言われてしまう。
- 計画相談に関して件数ではなく質の目標はできないか。現在のところ、自分自身で今やっていることを書き上げて提出するような、現状追認のセルフのものが多い。事業所の計画相談に行っても、自法人の内容しか分からないことがある。計画相談の趣旨に合うのだろうか。件数だけ増えても質の向上が不安だ。計画相談の中身としてセルフとそれ以外、さらに、法人が作成した場合に他の法人も含めて紹介したかどうか、データを積み上げていくような仕組み作りを。
相談支援専門員
- この10月から相談支援専門員として始めたばかりで、感じたことをいくつか。
相談計画の依頼の電話を受けるが、年度内に計画を作るのがとても大変な状況。受けてしまって計画ができなかったら利用者に申し訳ないので他の所にと話している。セルフプランができそうな人はセルフをお願いしているが、利用者から直接電話をもらう立場なので、利用者に申し訳ないと感じている。
また、障害のある幼児は地域の福祉分野を利用している。学齢期には高等部まで教育委員会で守られている。そして高等部が終わるとまた福祉分野で地域に帰る。その橋渡しを私たちはしなくてはいけないが、苦労している。教育と福祉とは非常に壁が厚く高いと感じる。行政で何とかしていただければ私たちも動きやすいし子どもたちも保護者も助かるのではないか、地域で暮らせるようになるのではないかと思う。
もう一点、新米であっても、研修に行き、難病の方と面談をして相談を受けることにはしたが不安もある。利用者が不利益を受けることのないよう、指導、相談してもらえる場所がほしい。
6.障害のある人の一般就労の促進と福祉的就労の充実
就労継続支援
- 就労継続支援A型事業所の生活支援について触れられたが、B型事業所でも当事者への生活支援が重要。B型の利用者には比較的障害が重く、自閉症では家庭での生活が困難で、仕事に対してエネルギーが向かない場合もある。そのような問題でB型事業所の職員は様々な相談に乗ったり家庭訪問したりもしている。積極的に取り組んでいる事業所への評価を。
また、A型、B型に関わらず、支援に困難のある人に対して仕事を提供して、本人の能力を引き出している事業所への評価をすれば、支援がもっと活発になるのではないか。
工賃向上と優先調達
- 障害者がB型事業で工賃を得るというのも大変な作業だろう。今後またB型の事業所が増えていくといわれているなかで、B型事業所の運営、工賃の確保には、やはり困難、限界があると思う。計画にもあるように、障害者優先調達法の推進等がもう少し充実されると事業所も利用者に工賃の支給ができるようになると思うので、優先調達法の充実にも力を入れていただきたい。
7.障害のある人一人ひとりに着目した支援の充実
強度行動障害
- 強度行動障害を作らないために、医療提供体制の充実は欠かせない。第四次計画では医療分担における課題と対応、医療提供体制について、障害のある子供に対応できる医師の不足と記述されている。今回の第五次計画においてはこれらの記述が抜けているのではないか。
強度行動障害の多くは、残念ながら自閉症・発達障害の二次障害、三次障害である方が多いので、強度行動障害を作らないためには、子供の頃から医療等が寄り添った丁寧な子育てが非常に大事だと思う。障害の早期発見や早期支援のためには、児童精神科や小児科での診断体制と継続した医療体制を求めたい。子どもたちの成長や自立に大きな成果を期待している。
ひきこもり
- 精神障害の方の特にアウトリーチについて。通所の事業所に通うのが難しくて、在宅で引きこもっている方も多い。このような状況では精神障害者の方の支援においてアウトリーチが今後全国的にも必要になってくる。千葉県でもアウトリーチに十分力を入れて、引きこもっている方たちの支援、精神障害者の方たちの支援の充実というところで強化を。
8.その他各視点から取り組むべき事項
福祉避難所
- 千葉県は福祉避難所の設置が他県に比べて非常に遅れている。障害者の方々の命を行政が守れるよう、福祉避難所を早急に作る施策を計画の中でしっかり位置づけをお願いしたい。
全体に関する意見要望、推進体制等
移動支援
- 障害の重い方々は、社会資源ができてもそこまで到達する移動の部分が非常に困難だ。一般の公共交通機関の利用も難しく、事業者が送迎サービスをドアツードアで行うのも設備面・人員面で非常に難しい。送迎、移動支援を広く検討いただければありがたい。
最優先課題
- それぞれ皆さん関心の度合いは違うと思うが、千葉県としてこのプランを強化していく、真っ先にやりたいものは何か。このプランがみな絵に描いた餅にならないようにするためにも、希望を持てる意味でも、そういったことを強調できないだろうか。
地域フォーラム感想
- 講演内容が勉強になった。講師の熱意が感じられた。
- 質疑の時間が充実していた。当事者や家族の様々な声を聞くことができて参考になった。
- 障害者計画にはこれまで関心がなかったが、読み込んでみようと思う。
- 障害者計画は分量も多く、理解するには事前の知識が必要だと感じた。
- 障害者計画が絵に描いた餅にならないよう実行性を確保してほしい。
- 今後もこのようなフォーラムを実施してほしい。
障害者計画フォーラム感想
- 実践に基づいた講演に深い感銘を受けた。内容も理解しやすく共感できた。
- 障害のある人がその人らしく暮らせることの大切さを講演で実感した。
- 講演で当事者の思いを汲んだ支援の必要性と難しさを知ることができた。
- 日常の支援の内容を振り返り、今後のサービスに活かしたい。
- パネリストの方々の本音の意見は迫力があり、熱意が感じられた。
- 様々な立場にあるパネリストの意見を聞けたので勉強になった。
- 意見聴取の時間が短かったのが残念であった。シンポジウムの議論の時間がほしい。
- 本人、家族、地域の人々が障害を理解することが地域移行に必要だと感じた。
- 今後、千葉県がどのように障害福祉政策を展開していこうと考えているのか、概論の部分が分かって良かった。
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