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更新日:令和4(2022)年3月4日
ページ番号:23706
答申第190号
平成29年10月18日
千葉県知事
鈴木栄治様
千葉県個人情報保護審議会
会長土屋俊
異議申立てに対する決定について(答申)
平成27年5月11日付け○児第114号による下記の諮問について、別紙のとおり答申します。
記
諮問第170号
平成27年3月15日付けで異議申立人○○○○法定代理人○○△△から提起された、平成27年3月11日付け○児第414号で行った自己情報不開示決定に係る異議申立てに対する決定について
|1.審議会の結論|2.異議申立ての経緯|3.異議申立人の主張要旨|4.実施機関の説明要旨|5.審議会の判断|6.審議会の処理経過|
千葉県知事(以下「実施機関」という。)が、開示請求に係る情報の存否を明らかにしないで行った平成27年3月11日付け○児第414号の自己情報不開示決定処分(以下「本件決定」という。)について、千葉県個人情報保護審議会(以下「審議会」という。)は、次のとおり判断する。
実施機関の決定は妥当である。
(1)異議申立人は、平成27年2月24日付けで、実施機関に対し、千葉県個人情報保護条例(平成5年千葉県条例第1号。平成28年千葉県条例第15号による改正前のもの。以下「条例」という。)第16条第1項の規定により、「○○○○が私(法定代理人)の保険証を用い医療機関を受診した記録(受診日、受診病院、病症名)」の開示請求(以下「本件開示請求」という。)を行った。
なお、本件開示請求は、当該請求に関する個人情報に係る本人(以下「本人」という。)の親権者である異議申立人が、条例第15条第2項の規定により、本人の法定代理人として開示請求を行ったものである。
(2)本件開示請求に対し、実施機関が本件決定を行ったところ、異議申立人は、行政不服審査法(昭和37年法律第160号)第6条の規定により、実施機関に対し、平成27年3月15日付けで異議申立て(以下「本件異議申立て」という。)を行った。
(3)本件異議申立てを受け、実施機関は、条例第46条第1項の規定により、平成27年5月11日付け○児第114号により、審議会に諮問した。
異議申立人は、異議申立書において以下を理由として異議を申し立てている。
(1)社会保険証を児相へあずける時、担当者へ使用する時は連絡するようにお願いした。
(2)しかし連絡をせずその説明もなく使用していた。
連絡、報告ができない理由があるのであれば、保険証をあずかる時に説明がないのはおかしいのではないか。
(3)この事により私は大変迷惑な思いをし、又、会社等へも迷惑をおかけしてしまった。
担当者の対応は本当に正しいのですか。少なくとも最初に使用した時に判断ができたのではないでしょうか。
実施機関の主張は以下のとおりである。
(1)本件異議申立ては、上記3(1)を理由とし、同(2)及び同(3)のとおり主張しているが、これらは、不開示の理由とは直接関係がないものである。
(2)異議申立人が求めている医療機関へ受診した記録は、異議申立人と利益相反関係にある本人(未成年者)の個人情報であり(条例第17条第7号)、条例第20条の規定は、開示請求に係る個人情報が存在しているか否かを答えるだけで不開示情報を開示することとなるときは、当該個人情報の存否を明らかにしないで当該開示請求を拒否することができるとしており、条例第17条の第2号(第三者の個人情報)及び第6号ハ(事務事業情報)で保護しようとする権利利益を侵害するおそれがあるので、当該文書の存否を答えないことは正当である。
ア児童相談所は、児童の基本的権利を保護するため、児童福祉法(昭和22年法律第164号)第12条第1項の規定により設置されている機関である。18歳未満の児童に関するあらゆる問題について、児童や保護者などからの相談に応じ、児童の最善の利益を図るため援助や指導を行うほか、緊急の場合の一時保護や児童養護施設等への入所措置等を行っている。
実施機関に確認したところ、本件開示請求の対象となった事案は、千葉県○○児童相談所が、本人からの相談を受けて、本人の親権者である異議申立人による虐待の疑いがあるとして、児童福祉法第33条第2項の規定による一時保護及び同法第27条第1項第3号の規定による里親委託措置を行っていた事案(以下「本件事案」という。)である。
イ本件開示請求の対象となった個人情報は、本件事案に係る本人の医療機関の受診日、受診病院及び病症名に係る情報(以下「本件請求情報」という。)である。
ウ実施機関は、条例第20条の規定により、本件請求情報の存否を答えるだけで不開示情報を開示することになるとして、本件決定においていわゆる存否応答拒否を行った。これについて、審議会において実施機関に説明を求めたところ、その内容は概ね以下のとおりであった。
(ア)児童相談所では相談者の秘密厳守をうたっており、本件事案の経緯や性質も勘案すると、本件請求情報の存否を法定代理人に対して応答した場合、相談者である本人からの信頼が損なわれ、今後児童相談所が適切な支援を行っていくにあたり正確な情報を得ることを困難にし、業務に支障を及ぼすおそれがあるため、条例第17条第6号ハに該当し、また、本人と異議申立人は利益相反関係にあると考えられることから、本件請求情報の存否は同条第7号に該当すると判断した。
(イ)よって、本人が医療機関を受診したという事実の有無が明らかとなることで、上記(ア)により不開示とするべき個人情報を開示することとなるとして、条例第20条の規定により存否応答拒否としたものである。
エ存否応答拒否による本件決定に対し、異議申立人は、これを取り消すべきであると主張するので、以下、本件決定の妥当性について検討する。
ア実施機関は、前記4(2)及び5(1)ウのとおり、本件請求情報の存否を答えることは、条例第17条第2号、第6号ハ及び第7号の不開示情報を開示することになるとして条例第20条の規定により本件決定を行った。
イ本件開示請求は、児童虐待の疑いがあるとして保護されていた本人に係る情報を、法定代理人である異議申立人が本人に代わって請求したものであり、審議会としては、このような経緯や本件請求情報の性質も踏まえ、まず、条例第17条第7号による存否応答拒否の該当性、すなわち、本件請求情報の存否を異議申立人に応答することが同号の不開示情報を開示することになるか否かについて検討する。
ウ条例第17条第7号は、「条例第15条第2項の規定により未成年者又は成年被後見人の法定代理人が本人に代わって行う開示請求に係る情報であって、開示することにより本人の権利利益を害するおそれがあるもの」を不開示情報として規定している。
これは、本人に代わって法定代理人から開示請求があった場合に、本人と法定代理人との間で権利利益が相反するときには、本人の個人情報を法定代理人に開示すると本人の権利利益を害することになりかねないことから、当該請求に係る本人の個人情報について不開示としているものと解される。
エこれを本件についてみると、本件は、本人が親権者である異議申立人から虐待を受けている疑いがあるとして○○児童相談所が両者を隔離する措置をとっていた事案であり、実施機関の説明によれば、この措置は、本人からの相談をきっかけにしたものであるとのことであるから、そうであれば、異議申立人と本人の権利利益は相反していると考えるほかない。
オそうすると、本件請求情報は、医療機関の受診の有無といった本人の私生活にも係わる情報であるから、その存否が異議申立人に明らかになることにより、本人の権利利益を害するおそれがあるものと認められる。
カよって、本件請求情報については、その存否を答えるだけで、条例第17条第7号に該当する不開示情報を開示することになると認められるため、その他の不開示情報の該当性を検討するまでもなく、実施機関が条例第20条の規定により本件決定を行ったことは妥当である。
以上のことから、「1審議会の結論」のとおり判断する。
なお、異議申立人のその他の主張は、本件決定の適否に関する審議会の判断に影響を及ぼすものではない。
審議会の処理経過は、下記のとおりである。
年月日 |
処理内容 |
---|---|
平成27年5月12日 |
諮問書の受理 |
平成27年6月26日 |
実施機関の理由説明書受理 |
平成29年5月18日 | 審議(平成29年度第2回第1部会) |
平成29年6月29日 | 実施機関口頭理由説明 審議(平成29年度第3回第1部会) |
平成29年7月27日 | 審議(平成29年度第4回第1部会) |
氏名 |
職業等 |
備考 |
---|---|---|
海野朋子 |
千葉家庭裁判所家事調停委員 |
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川瀬貴之 |
千葉大学大学院社会科学研究院准教授 |
|
土屋俊 |
大学改革支援・学位授与機構研究開発部教授 |
部会長 |
永嶋久美子 | 弁護士 | 部会長職務代理者 |
答申第190号(平成29年10月18日付け)(PDF:165KB)
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