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更新日:令和4(2022)年3月4日
ページ番号:23705
答申第189号
平成29年10月18日
千葉県知事
鈴木栄治様
千葉県個人情報保護審議会
会長土屋俊
異議申立てに対する決定について(答申)
平成27年5月11日付け○児第113号による下記の諮問について、別紙のとおり答申します。
記
諮問第169号
平成27年3月15日付けで異議申立人○○○○法定代理人○○△△から提起された、平成27年1月28日付け○児第359号で行った自己情報不開示決定に係る異議申立てに対する決定について
|1.審議会の結論|2.異議申立ての経緯|3.異議申立人の主張要旨|4.実施機関の説明要旨|5.審議会の判断|6.審議会の処理経過|
千葉県知事(以下「実施機関」という。)が、平成27年1月28日付け○児第359号で行った自己情報不開示決定処分(以下「本件決定」という。)について、千葉県個人情報保護審議会(以下「審議会」という。)は、次のとおり判断する。
実施機関の決定は妥当である。
(1)異議申立人は、平成27年1月13日付けで、実施機関に対し、千葉県個人情報保護条例(平成5年千葉県条例第1号。平成28年千葉県条例第15号による改正前のもの。以下「条例」という。)第16条第1項の規定により、「○○児童相談所にある○○○○の現在の所在(住所)および連絡先がわかる書類」の開示請求(以下「本件開示請求」という。)を行った。
なお、本件開示請求は、当該請求に関する個人情報に係る本人(以下「本人」という。)の父親である異議申立人が、条例第15条第2項の規定により、本人の法定代理人として開示請求を行ったものである。
(2)本件開示請求に対し、実施機関が本件決定を行ったところ、異議申立人は、行政不服審査法(昭和37年法律第160号)第6条の規定により、実施機関に対し、平成27年3月15日付けで異議申立て(以下「本件異議申立て」という。)を行った
(3)本件異議申立てを受け、実施機関は、条例第46条第1項の規定により、平成27年5月11日付け○児第113号により、審議会に諮問した。
異議申立人の主張は以下のとおりである。
(1)親権の行使ができない。
(2)本人と連絡がとれないことから不都合が生じている。
実施機関の主張は以下のとおりである。
実施機関は、本件開示請求の対象となる本人の個人情報が記載された行政文書として以下の2点を特定した。
ア相談受付票相談を受ける際に、基本情報を記録したものである。
イ経過記録相談援助過程を記録したものである。
ア条例第17条第6号ハ該当
相談業務で得た情報であって、開示することにより、将来の同種の事務の目的が達成できなくなり、又はこれらの事務の公正若しくは円滑な遂行に支障を及ぼすおそれがあるため。
イ条例第17条第7号該当
開示することにより未成年者である本人の権利利益を害するおそれがあるため。
ア異議申立人は、親権の行使ができない、本人と連絡がとれないことから不都合が生じていると主張しているが、本件決定の理由とは直接関係がないものである。
イ条例は、不開示情報以外は開示しなければならないとする一方、公共の利益や第三者の権利利益等を適切に保護する必要があることから、開示しないことに合理的な理由がある情報を不開示情報と定めている。
ウ条例第17条第6号ハでは、業務の性質上、開示することにより将来の同種の事務の目的が達成できなくなり、又はこれらの事務の公正若しくは円滑な遂行に支障を及ぼすおそれがある場合は、開示できないとしている。
エさらに、条例第17条第7号では、未成年者と開示請求した当該未成年者の法定代理人との間で権利利益が相反する場合、法定代理人の請求に係る未成年者の情報は開示できないとしている。
オ本件は、これらに該当することから不開示としたものである。
ア児童相談所は、児童の基本的権利を保護するため、児童福祉法(昭和22年法律第164号)第12条第1項の規定により設置されている機関である。18歳未満の児童に関するあらゆる問題について、児童や保護者などからの相談に応じ、児童の最善の利益を図るため援助や指導を行うほか、緊急の場合の一時保護や児童養護施設等への入所措置等を行っている。
実施機関に確認したところ、本件開示請求の対象となった事案は、千葉県○○児童相談所が、本人からの相談を受けて、本人の親権者である異議申立人による虐待の疑いがあるとして、児童福祉法第33条第2項の規定による一時保護及び同法第27条第1項第3号の規定による里親委託措置を行っていた事案(以下「本件事案」という。)である。
なお、本件事案の性質から、本人の居所は異議申立人に対しては一切明らかにしない方針を取っていたとのことであった。
イ本件開示請求の対象となった個人情報は、審議会が確認したところ、○○児童相談所が作成した本件事案に係る相談受付票及び経過記録に記載されている、本件開示請求時点における本人の居所に関する情報(以下「本件居所情報」という。)である。
ウ実施機関は、本件居所情報を、本件開示請求の対象となる本人の個人情報として特定し、条例第17条第6号ハ及び第7号に該当するとして全て不開示とする本件決定を行ったところ、異議申立人は本件居所情報を全て開示すべきであると主張するため、以下、本件居所情報の不開示情報該当性について検討する。
ア条例第17条第6号では、開示することにより、その適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあると考えられる典型的な事務又は事業の類型をイからへまで例示的に掲げており、本号ハは、指導、相談、評価、選考、判定、診断等に係る事務に関し、当該事務若しくは将来の同種の事務の目的が達成できなくなり、又はこれらの事務の公正若しくは円滑な遂行に支障を及ぼすおそれがある情報を不開示情報と定めている。
ここでいう「おそれがある」とは、事務の性質上、それらに関する情報を開示すれば、事務の目的に沿った成果が得られず、実施する意味を喪失し、又は、事務の適正な執行が阻害され若しくはその可能性があるおそれがある場合をいうものと解される。
イこれを本件についてみると、本件開示請求は本人の所在がわかる書類の開示を求めるものであるところ、本件事案は本人を親権者から隔離する措置を行っていた事案であることから、本人の住所や連絡先といった具体的な情報が親権者に開示された場合、親権者が本人や関係者の意に反し面会等を試みる等といった事態に至る可能性は否定できない。
ウそして、そのような懸念があるとなれば、児童相談所に対する信頼が損なわれ、保護を必要とする児童や関係者が相談を躊躇するなどして、今後の相談事務や保護等の事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるものと考えられる。
エなお、実施機関によれば、開示請求時点においては、○○児童相談所の本人に対する里親委託措置等は終了していたということであるが、このことは、上記の不開示情報の妥当性の判断自体に直ちに影響を及ぼすものではなく、また、これらの判断を覆すような特段の事情も見当たらない。
オよって、本件居所情報は、条例第17条第6号ハに該当すると認められることから、同条第7号該当性を判断するまでもなく、不開示が相当である。
以上のことから、「1審議会の結論」のとおり判断する。
なお、異議申立人のその他の主張は、本件決定の適否に関する審議会の判断に影響を及ぼすものではない。
審議会の処理経過は、下記のとおりである。
年月日 |
処理内容 |
---|---|
平成27年5月12日 |
諮問書の受理 |
平成27年6月26日 |
実施機関の理由説明書受理 |
平成29年5月18日 | 審議(平成29年度第2回第1部会) |
平成29年6月29日 | 実施機関口頭理由説明 審議(平成29年度第3回第1部会) |
平成29年7月27日 | 審議(平成29年度第4回第1部会) |
氏名 |
職業等 |
備考 |
---|---|---|
海野朋子 |
千葉家庭裁判所家事調停委員 |
ー |
川瀬貴之 |
千葉大学大学院社会科学研究院准教授 |
ー |
土屋俊 |
大学改革支援・学位授与機構研究開発部教授 |
部会長 |
永嶋久美子 | 弁護士 | 部会長職務代理者 |
答申第189号(平成29年10月18日付け)(PDF:170KB)
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