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更新日:令和4(2022)年3月4日

ページ番号:23703

答申第187号

答申第187号

平成29年8月3日

千葉県知事

鈴木栄治様

千葉県個人情報保護審議会

会長土屋俊

 

異議申立てに対する決定について(答申)

 

平成27年5月12日付け○健福第406号による下記の諮問について、別紙のとおり答申します。

諮問第171号

平成27年4月7日付けで異議申立人から提起された、平成27年2月9日付け○健福第1848号で行った自己情報部分開示決定に係る異議申立てに対する決定について

答申第187号

1.審議会の結論2.異議申立ての経緯3.異議申立人の主張要旨4.諮問実施機関の説明要旨5.審議会の判断6.附言7.審議会の処理経過

1.審議会の結

千葉県知事(以下「実施機関」という。)が平成27年2月9日付け○健福第1848号で行った自己情報部分開示決定(以下「本件決定」という。)について、千葉県個人情報保護審議会(以下「審議会」という。)は、次のとおり判断する。

実施機関の決定は、妥当である。

2.異議申立ての経緯

(1)異議申立人は、平成27年1月20日付けで、実施機関に対し千葉県個人情報保護条例(平成5年千葉県条例第1号。平成28年千葉県条例第15号による改正前のもの。以下「条例」という。)第16条第1項の規定により、「私の医療保護入院に関わる事前に行われた自宅訪問及び入院に至るまでの身内からの申請等を含む経緯の記録」の開示請求(以下「本件請求」という。)を行った。

(2)本件請求に対し実施機関は、請求に係る個人情報が記載された行政文書を「相談・訪問指導記録」(以下「本件文書」という。)と特定した上で、このうち、別表の「本件決定の不開示部分」欄に掲げる部分については、「本件決定における不開示理由」欄に掲げる不開示情報に該当するとして本件決定を行った。

(3)異議申立人は、本件決定に対し行政不服審査法(昭和37年法律第160号)第6条の規定により、実施機関に対し、平成27年4月7日付けで異議申立て(以下「本件異議申立て」という。)を行った。

(4)実施機関は、本件異議申立てを受けて、条例第46条第1項の規定により、平成27年5月12日付け○健福第406号で審議会に諮問した。

3.異議申立人の主張要

(1)異議申立ての趣旨

「本件決定を取り消す」との決定を求める。

(2)異議申立ての理由

ア部分開示された内容について、事実と異なる記述が多く、現在訂正請求中であり、同様にマスキングされた部分に関する記述内容に関しても信憑性が疑われる。

イ記述内容に関して、○○○○に対しての聞き取りが全く行われておらず(○○相談所に電話にて確認済み)、偏った主観により書かれた内容である。

ウ(略)

エ(略)

オ部分開示理由にあげられている、「千葉県個人情報保護条例第17条第2号該当。開示請求者以外の個人を識別できるため。」という理由は不本意ながら受け入れざるを得ないが、「精神保健福祉相談事業を遂行する上での開示請求者以外に関する情報であり、開示することにより開示請求者以外との信頼関係が損なわれ、今後同種の相談について開示請求者以外が躊躇し、相談事務の円滑な遂行に支障が生じるおそれがあるため。精神保健福祉事業に関する情報であり、開示することにより当該事務若しくは将来の同種の事務の目的が達成できなくなり、これらの事務の公正若しくは円滑な遂行に支障を及ぼすおそれがあるため。」とある点に関しては、異議を申し立てる。虚偽の報告や記述、また、偏った所見により、一方的に医療保護入院を強いられたにも関わらず、その後のサポートや原疾患の難病に関してのサポートも十分に行われていない「保健所」に対しては、既に信頼関係が損なわれており、当時関わった行政関係者及び委託先の支援事業所との信頼関係も、同じく損なわれている。(略)精神保健福祉事業を公正若しくは円滑に遂行していただくためには、誤りは正していただき、虚偽の記述は再度聞き取り及び、再調査を実施していただく必要があると考える。精神保健福祉事業の公正若しくは円滑な遂行とはいかなるものか、今一度情報を開示し、誤りを訂正していただきたい。

4.実施機関の説明要

(1)本件文書について

本件文書である「相談・訪問指導記録」は、精神保健福祉相談事業において受け付けた、本人又は第三者からの相談や情報提供等について、記載しているものである。

本件決定に係る本件文書については、異議申立人及び異議申立人以外の第三者から受けた異議申立人に関する相談の内容や経緯等が記録されている。

(2)不開示部分及びその理由

別表「本件文書のページ等」欄、「本件決定の不開示部分」欄及び「本件決定における不開示理由」欄のとおりである。

(3)異議申立ての検討

ア不開示理由の該当性について

不開示部分については、条例第17条第2号及び第6号ハに該当する。

第2号該当部分は、開示請求者以外の個人を識別できる情報であり、第6号ハ該当部分は、精神保健福祉相談事業に関する情報若しくは精神保健福祉相談事業を遂行する上での異議申立人以外に関する情報である。

精神保健福祉相談事業に関する情報については、これを開示することにより、当該事業若しくは将来の同種の事務の目的が達成できなくなり、これらの事務の公正若しくは円滑な遂行に支障を及ぼすおそれがあるためである。

また、精神保健福祉相談事業を遂行する上での異議申立人以外に関する情報については、これを開示することにより、開示請求者以外の信頼関係が損なわれ、今後同種の相談について開示請求者以外が躊躇し、相談事務の円滑な遂行に支障が生じるおそれがあるためである。

イ上記3(2)異議申立ての理由について、次の(ア)~(ウ)のとおり検討する。

(ア)上記3(2)アについて

記述内容の信憑性と不開示理由とは関連がない。

(イ)上記3(2)イ~エについて

自己情報開示請求に対しては、開示するか否かを判断するものであり、修正の必要性等を判断するものではない。

(ウ)上記3(2)オについて

異議申立人以外の者同士の信頼関係の損失が、相談事務の円滑な遂行に支障が生じるおそれがある。

5.審議会の判

(1)本件文書について

実施機関が特定した本件文書は、全部で19枚の文書であり、以下のとおり構成されている。

ア本件文書1枚目は「精神保健福祉相談・訪問記録」との題名が付された文書であり、相談に係る対象者(本人)の氏名、住所及び生年月日、相談申込者の氏名及び電話番号、主訴、経緯、家族関係、記録者等の情報が記載されている。

イ本件文書2枚目から19枚目は、異議申立人の医療保護入院に関して、○○健康福祉センター(以下「センター」という。)の職員が作成した経過記録及びその付属資料であり、平成○年○月○日から同年○月○日の間に行われた相談内容等の情報が記載されている。

(2)本件異議申立てについて

実施機関は、本件請求に対し上記2(2)のとおり、本件文書に記録された個人情報を本件請求の対象として特定して本件決定を行った。

異議申立人は、本件決定に対し上記3(1)のとおり取り消しを求めており、不開示部分の開示を求めていると認められるので、以下、本件決定における不開示部分の不開示情報該当性について検討する。

(3)不開示情報該当性について

ア本件決定に係る不開示情報

審議会は、本件決定において不開示とされた情報を見分し、以下のように分類した。

(ア)異議申立人以外の第三者(以下「第三者」という。)を識別できる情報並びに第三者の氏名、所属先及び携帯電話番号(以下「不開示情報1」という。)

(イ)センターの担当職員が、異議申立人の医療保護入院に関し、第三者及び○○児童相談所の職員と相談した内容並びにその相談を踏まえたセンターの担当職員の判断(以下「不開示情報2」という。)

イ不開示情報該当性

(ア)不開示情報1

不開示情報1について、実施機関は条例第17条第2号により不開示としているので、不開示情報1の条例第17条第2号該当性について検討する。

条例第17条第2号は、開示による第三者の権利利益の侵害を防止するため、開示請求者以外の個人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により開示請求者以外の特定の個人を識別することができるものを不開示情報としている。

不開示情報1に記載されている、第三者を識別できる情報並びに第三者の氏名、所属先及び携帯電話番号は、開示請求者以外の個人に関する情報であって、氏名等の記述により開示請求者以外の特定の個人を識別できるものであるから、条例第17条第2号本文に該当する。

また、同号各ただし書きに該当する特段の事情も見当たらないことから、不開示情報1は条例第17条第2号に該当する。

さらに、不開示情報1のうち、第三者を識別できる情報及び氏名は、特定の個人を識別することができることとなる記述そのものであり、また第三者の所属先及び携帯電話番号は開示により個人の権利利益を害するおそれのあるものであるから、不開示情報1について条例第18条第2項により部分開示することはできない。

よって、不開示情報1は不開示が妥当である。

(イ)不開示情報2

a不開示情報2について

実施機関は、不開示情報2について、別表の「本件決定における不開示理由」欄のとおり、条例第17条第2号若しくは第6号ハに該当するとして不開示としている。

しかし、上記5(3)ア(イ)のとおり、不開示情報2は、部分的には第三者の氏名及び言動並びに第三者を識別できる情報が含まれているものの、全体として見るとセンターにおける精神保健福祉相談に係る情報として一体的に捉えるべきものである。このような特性も踏まえ、審議会としては、不開示情報2について、まず条例第17条第6号ハ該当性を検討する。

b条例第17条第6号ハ該当性について

条例第17条第6号ハは、事務又は事業の適正な遂行を確保するため、県の機関等が行う事務又は事業に関する情報であって、開示することにより、相談等に係る事務に関し、当該事務若しくは将来の同種の事務の目的が達成できなくなるおそれがあるものを不開示情報としている。

これを不開示情報2についてみるに、精神保健福祉相談は、その性質上、相談の対象となる本人だけでなく、事案の性質に応じて、本人以外の関係者とも十分連携した上で、本人に対する適切な措置等を行っていく必要があるところ、当該関係者の発言内容やそれに関する担当者の見解等を開示することとなれば、関係者との信頼関係を損なうことや無用な誤解や混乱を招くこととなる可能性は否定できない。

そうすると、不開示情報2を開示することで、今後の同種の相談業務において必要な情報を収集することができなくなること等により、業務の目的が達成できなくなるおそれが生じると認められることから、不開示情報2は、本号ハに該当する。

よって、不開示情報2は、条例第17条第2号該当性を判断するまでもなく、不開示が妥当である。

(4)結論

以上のことから、「1審議会の結論」のとおり判断する。

なお、異議申立人及び実施機関双方のその他の主張は、本件決定の適否に関する審議会の判断上影響を及ぼすものではない。

6.附言

審議会が見分したところ、本件決定により開示された情報の中に、第三者の相談内容など、その内容からすれば条例第17条第2号本文に該当し、かつ同号ただし書きのいずれにも該当しないと考えられる情報が含まれていることが認められた。

この点、条例に基づく個人情報の保護制度は、個人情報の適正な取扱いの確保に関し必要な事項を定め、個人の権利利益の保護を図る重要な制度であることから開示を原則としつつ、他方で、開示請求者以外の第三者の権利利益についても適切に保護する必要があることから、条例第17条第2号により第三者の個人情報を不開示としている。

実施機関においては、同号の趣旨を踏まえ、開示請求者以外の第三者の権利利益についても十分配慮した上で開示決定等を行うよう、慎重に対応されたい。

7.審議会の処理経過

審議会の処理経過は、下記のとおりである。

審議会の処理経過

年月日

処理内容

平成27年5月12日

諮問書の受理

平成28年2月16日

実施機関の理由説明書受理

平成29年5月30日

審議(平成29年度第2回第2部会)

平成29年6月27日

審議(平成29年度第3回第2部会)

平成29年7月25日 審議(平成29年度第4回第2部会)
千葉県個人情報保護審議会第2部会(五十音順)

氏名

職業等

備考

石井徹哉

千葉大学副学長

 

中曽根玲子

國學院大學専門職大学院法務研究科教授

部会長

藤岡園子

弁護士

部会長職務代理者

 

 

 

 

 

 

本件文書の
ページ等
本件決定の
不開示部分
本件決定における
不開示理由
答申で示した
各不開示情報
1枚目 精神保健福祉相談訪問記録 経緯欄の5行目一部
欄外1~2行目
条例第17条第2号該当 不開示情報1
2枚目 経過記録
1頁
5行目 条例第17条第2号及び第6号ハ該当 不開示情報2
6行目一部 不開示情報2
13行目一部 不開示情報2
15行目一部 不開示情報2
16行目一部 不開示情報2
18行目一部 不開示情報2
23行目一部 不開示情報2
25行目一部 不開示情報2
26行目一部 不開示情報2
31行目一部 不開示情報2
34行目一部 不開示情報2
35行目 不開示情報2
3枚目
2頁
3行目一部~9行目 条例第17条第2号該当 不開示情報2
14行目一部 不開示情報2
25~27行目 不開示情報2
31行目一部~32行目 不開示情報2
33行目~37行目 条例第17条第2号及び第6号ハ該当 不開示情報2
不開示情報2
4枚目
3頁
1行目~28行目 条例第17条第2号及び第6号ハ該当 不開示情報2
不開示情報2
31行目一部 条例第17条第2号該当 不開示情報2
32行目 不開示情報2
34行目一部 不開示情報2
35行目~38行目 条例第17条第2号及び第6号ハ該当 不開示情報2
不開示情報2
5枚目
4頁
1行目~3行目 条例第17条第2号及び第6号ハ該当 不開示情報2
5枚目
4頁
4行目一部 条例第17条第2号該当 不開示情報2
12行目一部 不開示情報2
15行目一部 不開示情報2
21行目一部 不開示情報2
33行目一部 不開示情報2
5~11行目一部 条例第17号第2号及び第6号ハ該当 不開示情報2
13行目~14行目一部 不開示情報2
16行目~20行目 不開示情報2
22行目~32行目 不開示情報2
34行目~35行目一部 不開示情報2
不開示情報2
不開示情報2
6枚目 H○年○月○日の記録(1枚目) 3行目~10行目 条例第17条第2号該当 不開示情報2
不開示情報2
13行目一部 条例第17条第6号ハ該当 不開示情報2
7枚目 同(2枚目) 4行目一部 条例第17条第2号及び第6号ハ該当 不開示情報2
13行目一部 不開示情報2
14行目一部 不開示情報2
16行目~19行目 不開示情報2
8枚目 同(3枚目) 1行目一部 条例第17条第6号ハ該当 不開示情報2
9枚目 同(4枚目) 1行目~8行目 条例第17条第6号ハ該当 不開示情報2
9行目一部 条例第17条第2号及び第6号ハ該当 不開示情報2
10行目~18行目 不開示情報2
10枚目 面談記録(1) 1行目一部 条例第17条第2号該当 不開示情報2
2行目一部 不開示情報2
3行目~32行目 条例第17条第2号及び第6号ハ該当 不開示情報2
不開示情報2
11枚目 面談記録(2) 全て 条例第17条第2号及び第6号ハ該当 不開示情報2
不開示情報2
12枚目 面談記録(3) 1行目~31行目 条例第17条第2号及び第6号ハ該当 不開示情報2
不開示情報2
13枚目 経過記録
5頁
1行目一部 条例第17条第2号該当 不開示情報2
6行目一部 不開示情報2
9行目一部 不開示情報2
15行目一部 不開示情報2
21行目一部 不開示情報2
34行目一部 不開示情報2
35行目一部 不開示情報2
2行目~5行目一部 条例第17条第2号及び第6号ハ該当 不開示情報2
7行目~8行目一部 不開示情報2
10行目~14行目 不開示情報2
16行目~19行目 不開示情報2
22行目~32行目 不開示情報2
36行目~38行目 不開示情報2
14枚目
6頁
1行目一部 条例第17条第2号該当 不開示情報2
15行目一部 不開示情報2
18行目一部 不開示情報2
22行目一部 不開示情報2
35行目一部 不開示情報2
38行目一部 不開示情報2
2行目~14行目 条例第17条第2号及び第6号ハ該当 不開示情報2
16行目~17行目 不開示情報2
19行目~21行目 不開示情報2
23行目~34行目一部 不開示情報2
36行目~37行目 不開示情報2
39行目~40行目 不開示情報2
15枚目
7頁
3行目一部 条例第17条第2号該当 不開示情報2
4行目一部 不開示情報2
7行目一部 不開示情報2
11行目一部 不開示情報2
14行目一部 不開示情報2
1行目一部~2行目 条例第17条第2号及び第6号ハ該当 不開示情報2
5行目~6行目一部 不開示情報2
8行目~10行目一部 不開示情報2
12行目~13行目 不開示情報2
15行目~18行目一部 不開示情報2
19行目一部~22行目一部 不開示情報2
16枚目 資料1 3行目一部 条例第17条第2号該当 不開示情報2
4行目一部 不開示情報2
5行目一部 不開示情報2
38行目一部 不開示情報2
39行目 不開示情報2
6行目~35行目 条例第17条第2号及び第6号ハ該当 不開示情報2
不開示情報2
17枚目 同2 1行目一部 条例第17条第2号及び第6号ハ該当 不開示情報2
10行目~13行目 不開示情報2
18枚目
19枚目
手書き
資料
全て 条例第17条第2号該当 不開示情報2

答申第187号(平成29年8月3日付け)(PDF:213KB)

お問い合わせ

所属課室:総務部審査情報課個人情報保護班

電話番号:043-223-4628

ファックス番号:043-227-7559

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