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更新日:令和4(2022)年3月4日
ページ番号:23699
答申第183号
平成29年6月7日
千葉県知事
鈴木栄治様
千葉県個人情報保護審議会
会長土屋俊
異議申立てに対する決定について(答申)
平成27年3月16日付け障第4240号による下記の諮問について、別紙のとおり答申します。
記
諮問第166号
平成27年2月3日付けで異議申立人から提起された、自己情報不開示決定(平成26年12月22日付け障第3138号)に係る異議申立ての決定について
|1.審議会の結論|2.異議申立ての経緯|3.異議申立人の主張要旨|4.実施機関の説明要旨|5.審議会の判断|6.審議会の処理経過|
千葉県知事(以下「実施機関」という。)が平成26年12月22日付け障第3138号で行った自己情報不開示決定(以下「本件決定」という。)について、千葉県個人情報保護審議会(以下「審議会」という。)は、次のとおり判断する。
実施機関の決定は、結論においては妥当である。
(1)異議申立人は、平成26年12月9日付けで、実施機関に対し千葉県個人情報保護条例(平成5年千葉県条例第1号。平成28年千葉県条例第15号による改正前のもの。以下「条例」という。)第16条第1項の規定により、「○年○月○日付けで私が提出した県知事あて要望書(担当、障害福祉課)に対して、回答するにあたって担当課が作成した文書一切(メモも含む)」の開示請求(以下「本件請求」という。)を行った。
(2)本件請求に対し実施機関は、該当文書が不存在のため、本件決定を行った。
これに対し異議申立人は、行政不服審査法(昭和37年法律第160号)第6条の規定により、実施機関に対し、平成27年2月3日付けで異議申立て(以下「本件異議申立て」という。)を行った。
(3)本件異議申立てを受けて、実施機関は、条例第46条第1項の規定により、平成27年3月16日付け障第4240号で審議会に諮問した。
(1)異議申立書及び平成27年9月15日付けで審議会に提出した意見書において、異議申立人はおおむね次のとおり主張している。
「本件決定を取り消す。」との決定を求める。
自己情報文書の存在は次のとおり明白である。
(ア)私は○年○月○日付けで千葉県知事あてに要望書を提出した。要望書の回答は同年△月△日までに文書で欲しいことを明記しており、提出時に直接担当課にもその旨伝えてあった。△月△日の回答期限になっても何の連絡もないので、△月△日16時ごろ千葉県庁秘書課に出向いたところ秘書課の方から、担当課からの伝言として「回答書は明日郵送するそうです」と聞いた。これに対して、回答書は回答内容について説明をいただきながら直接手渡しでいただきたいとお願いし、郵送は断った。この時点で回答書を翌日郵送できる状況にあったと推察される。
(イ)△月□日14時半より千葉県庁舎内において要望書への回答の場が設けられた。この際、担当課からは3名が出席した。そのうちの1名は手書きで発言内容の記録を取っており、私が「ちゃんと書いてくださいね」と伝えると「書いています」と答え、実際に目の前で書いていた。この記録は本件請求の対象文書であり私の目の前に存在していた。この記録についてはこの場に同席した友人も書いているところを見ている。
(ウ)△月□日14時半より行われた回答の場で、担当者が「口頭での回答と決まったので回答書は渡すことはできない」と言い、口頭回答として手元にある紙を読み上げようとした。「その紙をコピーして欲しい」と私が頼んだところ「コピーは渡せない」と断られた。したがって回答のために作成された書類が存在していることは明白である。
(エ)△月□日14時半より行われた回答の場で、私がなぜ回答書がいただけないのか、どのように決裁が取られたのかと伺ったところ「上司に決裁を取ったところ文書ではなく口頭での回答ということだった。」「ちゃんと決裁を取った。自分も印鑑を押した」と言われた。回答に当たって、決裁のための印鑑を押した文書が存在していたことは明らかである。
(オ)下記4(2)第2文に対し、管理職の立会いの有無に関係なく、業務として記録は残さなければならないはずである。
(カ)下記4(2)第2文に対し、要望書への回答は県として回答するのであるから、必ず決裁を取った文書が存在するはずである。
(キ)下記4(2)第3文に対し、県が回答するに当たり、要望書は回答の決裁のために起案文と一体となっていたはずなので起案文と一緒に開示されるはずである。要望書まで不存在にされてしまっているとしか考えられない。
(2)なお、異議申立人は次のア~ウの点についても意見書に記載している。
ア下記4(1)に対し、口頭意見陳述で主張した内容は文書が存在していたことは明白であると主張したものであるとする点
イ下記4(2)第1文に対し、この相談とは私たちが障害者差別を受けたので助けてほしいと相談したことであるとする点
ウ要望書の要望事項に真摯に回答せず、文書不存在などと隠蔽とも思えることを県がするとする点
平成27年6月10日付けで実施機関が審議会に対し提出した理由説明書において、おおむね次のとおり主張している。
平成27年4月13日に口頭による意見陳述を行ったが、口頭意見陳述における異議申立人の主張は、異議申立て内容である本件決定とは関係ないものと考えられる。
相談後は、管理職に口頭による復命がなされたため千葉県健康福祉部障害福祉課(以下「障害福祉課」という。)には相談記録等は存在しない。また、異議申立人の主張に対する検討を行ったが、要望書提出後からはその都度、管理職である副課長、室長が立ち会っていたことから記録等は作成されていない。よって、本件決定の不開示の判断は妥当である。
ア本件請求は、平成○年○月○日付けの異議申立人が障害福祉課に提出した要望書に対し、障害福祉課が回答するに当たって作成した文書の開示を求めるものである。
これについて、異議申立人は、上記3(1)イ(ア)~(キ)のとおり、本件請求に係る文書は存在するはずであると主張しているが、実施機関は、上記4(2)のとおり、本件請求に係る相談について、相談記録等の行政文書を作成していないと説明する。
イこのことについて、実施機関に対し追加説明を求めたところ、おおむね次の(ア)~(エ)のとおり説明する。
(ア)障害関係団体等からの要望に対して、障害福祉課の慣行として口頭で回答を行っており、口頭で回答する場合は起案を行わない。異議申立人からの要望書に対しても口頭で回答することとし、内容を検討するに当たって、課長を含めた協議により方針を決定したため、起案を行わなかった。
また、協議においては、要望書に沿って論点を確認したため、要望書以外の検討資料は存在しない。
(イ)障害者関係団体等からの要望に対して回答する場合、障害福祉課の慣行として回答の場における発言内容等を記録した行政文書は作成しない。異議申立人からの要望書への回答についても同様である。
平成○年△月□日の回答の場において、出席した職員が取っていた手書きの記録は、回答した副課長と、後に話し合いの内容について整理するための個人的な備忘録であり、回答終了後、副課長と内容の整理をし、当日中に廃棄している。
(ウ)平成○年△月□日の回答の場において、回答として読み上げられた文書は、障害福祉課で協議した内容を担当者が個人的にまとめたメモであったことから、回答終了後、当日中に廃棄している。
(エ)障害福祉課障害者権利擁護推進室(以下「障害者権利擁護推進室」という。)が障害者差別に関する相談を受ける際、対応は室長以下の職員が行い、その対応の概要を文書にまとめ、室長まで供覧処理を行っている。
本件請求に係る相談において、要望書の提出という重要性に鑑み、要望書の提出後から室長及び副課長の2名が対応している。このような場合、対応を行う室長と副課長が相談の内容を把握していれば足りるので、相談記録は作成していない。
ウ実施機関は、障害福祉課には要望に対し口頭で回答する慣行があり、その場合、起案を行わず、回答の場における発言記録も作成しないなどと説明している。
しかし、障害福祉課において、要望に対し口頭で回答する慣行があるかどうかはともかく、通例、知事に対する外部の団体からの要望に対し回答をしようとする際には、どのような回答をするのかについて、課長等のしかるべき立場の者の了解を得ることを要するから、正式に「起案」、「決裁」という手順を踏むかどうかは別として、そのために、少なくとも何らかの行政文書を作成するはずであって、起案はもとより検討資料すら作成していないとする実施機関の説明は、合理性に欠けている。
エそこで、審議会事務局職員をして、本件請求に係る行政文書について、障害福祉課(現「障害者福祉推進課」)の執務室内に保管されている簿冊等を探索させたものの、その結果は、次の(ア)~(ウ)のとおりであり、本件請求に係る文書を見つけることはできなかった。
(ア)平成29年4月21日、障害者福祉推進課共生社会推進室の担当職員1名同席のもと、審議会事務局職員2名による文書の探索を行った。
(イ)実施機関は、上記イ(エ)において、障害者差別に関する相談を受けた際、対応記録を作成し、室長まで供覧処理を行っている旨説明していることから、当該対応記録について確認したところ、これらを綴じた簿冊が存在した。しかし、本件請求に係る事案が発生した平成○年度の簿冊に編冊されたものを確認したものの、本件請求に係る要望書の対応に関する記録は存在しなかった。
(ウ)そのほか、障害のある人もない人も暮らしやすい千葉県づくり条例に関係する簿冊が保存されたロッカー等を確認しても、本件請求に係る行政文書を確認することはできなかった。
オしたがって、本件請求に係る要望書に対して回答するに当たり、一切の行政文書を作成していないとする実施機関の説明が合理性に欠けていることは上記ウのとおりであるが、現に本件請求に係る文書が見当たらない以上、本件請求に対し、対象文書が不存在であるとした本件決定自体については、是認せざるを得ない。
以上のことから、「1審議会の結論」のとおり判断する。
なお、異議申立人のその他の主張は、本件決定の適否に関する審議会の判断に影響を及ぼすものではない。
審議会の処理経過は、下記のとおりである。
年月日 |
処理内容 |
---|---|
平成27年3月16日 |
諮問書の受理 |
平成27年6月10日 |
実施機関の理由説明書受理 |
平成27年8月11日 | 口頭意見陳述関係書類の受理 |
平成27年9月16日 | 異議申立人の意見書受理 |
平成29年2月23日 | 審議(平成28年度第6回第1部会) |
平成29年3月23日 |
審議(平成28年度第7回第1部会) |
平成29年4月27日 | 審議(平成29年度第1回第1部会) |
平成29年5月18日 | 審議(平成29年度第2回第1部会) |
氏名 |
職業等 |
備考 |
---|---|---|
海野朋子 |
千葉家庭裁判所家事調停委員 |
ー |
川瀬貴之 |
千葉大学法政経学部准教授 |
ー |
土屋俊 |
大学改革支援・学位授与機構研究開発部教授 |
部会長 |
永嶋久美子 | 弁護士 | 部会長職務代理者 |
答申第183号(平成29年6月7日付け)(PDF:171KB)
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