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更新日:令和4(2022)年3月4日
ページ番号:23697
答申第181号
平成29年3月21日
千葉県公安委員会
委員長小堀陽史様
千葉県個人情報保護審議会
会長土屋俊
審査請求に対する裁決について(答申)
平成27年2月4日付け公委(監)発第10号による下記の諮問について、別紙のとおり答申します。
記
諮問第157号
平成26年12月17日付けで審査請求人から提起された、自己情報不開示決定(平成26年11月4日付け監発第439号)に係る審査請求に対する裁決について
|1.審議会の結論|2.審査請求の経緯|3.審査請求人の主張要旨|4.諮問実施機関の説明要旨|5.審議会の判断|6.附言|7.審議会の処理経過
千葉県警察本部長(以下「実施機関」という。)が平成26年11月4日付け監発第439号で行った自己情報不開示決定(以下「本件決定」という。)について、千葉県個人情報保護審議会(以下「審議会」という。)は、次のとおり判断する。
実施機関の判断は、妥当である。
(1)審査請求人は、平成26年10月23日付けで、実施機関に対し、千葉県個人情報保護条例(平成5年千葉県条例第1号。平成28年千葉県条例第15号による改正前のもの。以下「条例」という。)第16条第1項の規定により、次のとおり開示請求(以下「本件請求」という。)を行った。
「私に関しての文書
1.事件番号平成○年(○)第○○号損害賠償等請求事件〈原告○○被告千葉県〉に関して平成○年●月●日から同年■月■日の間に作成された文書
(1)監察官室所属の警察職員等が作成した文書等
(2)(1)職員と被告訴訟代理人弁護士等の法律事務所関係の文書
(3)会計課の(2)の法律事務所に対する金銭の支払いに関する文書等
2.その他の上記1.に関する文書」
(2)本件請求に対し実施機関は、本件請求のうち、千葉県警察本部総務部会計課(以下「会計課」という。)に係る部分を除いた請求について、開示請求に係る個人情報を作成及び取得しておらず、行政文書を保有していないことを理由として本件決定を行い、また、会計課に係る部分の請求について、平成26年10月31日付け会発第1351号で自己情報不開示決定を行った。
(3)本件決定に対し審査請求人は、行政不服審査法(昭和37年法律第160号)第5条の規定により、実施機関の上級行政庁である千葉県公安委員会に対し、平成26年12月26日付けで審査請求(以下「本件審査請求」という。)を行った。
(4)本件審査請求を受けて、条例第46条第2項に規定する諮問実施機関となる千葉県公安委員会(以下「諮問実施機関」という。)は、同条第1項の規定により、平成27年2月4日付け公委(監)発第10号で審議会に諮問した。
審査請求書において、審査請求人はおおむね次のとおり主張している。
必ず存在する文書と思料されるので速やかに開示決定願いたい(隠蔽、隠匿していると思料される)。
ア平成○年●月●日から、同年■月■日の間において、千葉地方裁判所民事第○○号法廷にて第○回公判が同年■月▲日午前○時○分から開廷、審理されており、出席した指定代理人2名が文書を作成すると思料される。
イ公判の審理、記録は、必ず上司に報告し、文書作成を実施すると思料される。
ウ上記イの文書を作成してないと極めて不自然な状況である。
エ以上の状況から、作成された文書は必ず存在すると思料される。
理由説明書において、諮問実施機関はおおむね次のとおり主張している。
審査請求人は、平成○年■月▲日に千葉地方裁判所において行われた、審査請求人を原告、千葉県を被告とする国家賠償請求事件(以下「本件訴訟」という。)の審理(第○回口頭弁論)(以下「本件口頭弁論」という。)に関して、本件口頭弁論に被告として出廷していた指定代理人(千葉県警察本部警務部監察官室(以下「監察官室」という。))が、本件口頭弁論の状況について上司に報告するために何らかの文書を必ず作成しているはずであるのに、審査請求人の開示請求に対して、同文書は保有していないとして不開示決定としたのは、同文書を隠蔽、隠匿していると思料される等と主張する。
ア国家賠償請求事件等において監察官室が作成する行政文書
千葉県(千葉県警察)を被告とする国家賠償事件又は行政事件の訴訟が提起された場合、監察官室が作成する行政文書は、千葉県知事や千葉県公安委員会に対して訴訟の発生・応訴を報告する行政文書、弁護士事務所と訴訟委任契約を締結する場合における会計手続のための行政文書、警察庁及び関東管区警察局に訴訟が提起されたことを申報する行政文書である。また、訴訟が結審・判決となった場合は、監察官室は、判決の見通しに関する行政文書、弁護士事務所と訴訟委任契約を締結する場合における判決に伴う訴訟委任料(終結金)を支払う会計手続のための行政文書、警察庁及び関東管区警察局に判決結果を申報する行政文書を作成することとなる。そして、その他に作成する場合としては、審理途中における請求内容の変更や和解・取下げ等の当該訴訟にかかる重要事項についての報告文書や伺い文書等を作成する。
しかし、訴訟係属中における個々の口頭弁論の状況等についての文書は作成していない。また、同内容に係る行政文書を作成しなければならない旨を定めた文書に関する規定も存在しない。
イ本件訴訟の場合
本件訴訟においては、審査請求人から当初国家賠償事件として訴訟が提起されたことから、弁護士事務所に訴訟委任し、かつ、監察官室の職員が千葉県の指定代理人に指定された。その後、同職員は、前記アのとおり、本件訴訟の提起及び結審・判決における行政文書を作成した。
そして、本件口頭弁論に被告として出廷した指定代理人(監察官室職員)は、所属長である監察官室長に口頭で弁論の状況を報告したが、同内容や報告結果についての行政文書は作成していない。
ア本件請求は、本件訴訟に関して、平成○年●月●日~同年■月■日の間に作成されたはずであると審査請求人が主張する次の(ア)~(エ)の文書に記録されている自己の個人情報の開示を求めるものである。
(ア)監察官室所属の警察職員等(以下「監察官室職員等」という。)が作成した文書
(イ)監察官室職員等と訴訟代理人(弁護士)の法律事務所(以下「本件法律事務所」という。)との間でやり取りした文書
(ウ)会計課の本件法律事務所に対する金銭の支払いに関する文書
(エ)その他の文書
イなお、上記ア(ウ)に対して、実施機関が会計課を担当課として行った平成26年10月31日付け会発第1351号の自己情報不開示決定は本件審査請求の対象ではないと認められるため、上記ア(ア)、(イ)及び(エ)について検討する。
ア実施機関が作成した文書
実施機関によれば、本件訴訟に関し、次の(1)~(7)のとおり文書を作成したが、すべて審査請求人が求める期間内に作成されたものではなく、(1)~(3)の文書については保存期間内であるため現存しているものの、(4)~(7)の文書については保存期間が満了したため廃棄した旨説明する。
(1)訴訟委任契約関係(着手)に関する文書
(2)訴訟委任契約関係(終結)に関する文書
(3)申報(判決結果)に関する文書
(4)発生応訴に関する文書
(5)申報(発生)に関する文書
(6)判決見通しに関する文書
(7)審理途中における請求内容の変更についての報告文書
(ア)現存する文書
審議会で、現存する上記(1)~(3)の文書を見分したところ、審査請求人が求める期間に作成されたものではないことから、かかる文書について本件請求に係る対象文書ではないとした実施機関の説明に不合理な点は認められない。
(イ)廃棄した文書
すでに廃棄された上記(4)~(7)の文書について、審査請求人が求める期間内に作成されたものではなく、本件請求の対象外であるとする実施機関の主張の妥当性を確認するため、かかる文書の作成年月日を以下のとおり検討する。
a上記(4)及び(5)の文書について
上記(4)の文書は、千葉県知事や千葉県公安委員会に訴訟の発生・応訴を報告する文書であり、上記(5)の文書は、警察庁及び関東管区警察局に訴訟が提起されたことを報告する文書である。
実施機関によれば、これらは、訴状送達後、間を置かずに作成されるものである。
審議会で検討したところ、本件訴訟の訴状送達が平成○年▲月▲日であることから、審査請求人が求める期間内に作成されたものではないと考えられる。
b上記(6)の文書について、
上記(6)の文書は、警察庁及び関東管区警察局に判決結果を申報する行政文書である。
実施機関によれば、口頭弁論終結後から判決までの間に作成されるものである。
審議会で検討したところ、本件訴訟の最終口頭弁論が平成○年□月□日であることから、審査請求人が求める期間内に作成されたものではないと考えられる。
c上記(7)の文書について
上記(7)の文書は、審理途中における訴訟内容の変更等、当該訴訟に関わる重要事項について報告する行政文書である。
このことについて、審議会が改めて実施機関に確認したところ、会計手続に関する文書の一部として、会計課が保管していることが判明した。
審議会で、かかる文書を見分したところ、審査請求人が求める期間内に作成されたものではないことが認められる。
dよって、上記(4)~(7)の文書について、本件請求に係る対象文書ではないとした実施機関の説明に、特段不合理な点は認められない。
イ実施機関が作成していない文書
(ア)上記(1)ア(ア)、(イ)及び(エ)について、実施機関が上記アにおいて作成したと説明する文書以外に存在するか検討する。
(イ)審査請求人は、千葉県の指定代理人2名が本件口頭弁論の状況等に係る文書を必ず作成しているはずであると主張する。
審議会で検討したところ、本件口頭弁論の状況等に係る文書が存在するとすれば、本件口頭弁論に出席した指定代理人である監察官室職員による所属長等への報告文書や準備書面等の訴訟に関する書類が考えられる。
a監察官室職員による所属長等への報告文書について
諮問実施機関は、本件訴訟に関する対応方針はおおむね定まっており、個々の口頭弁論において、当該対応方針の変更を検討する必要性も認められなかったことから、指定代理人である監察官室職員は、所属長である監察官室長に口頭で弁論の状況を報告したため、訴訟係属中における個々の口頭弁論の状況等に係る文書は作成していないと説明する。
また、実施機関によれば、監察官室職員が本件訴訟に関する書類の保管場所を確認したところ、かかる文書は確認できなかったとのことである。
審議会で、本件訴訟の内容を確認したところ、諮問実施機関の説明を否定する特段の事情は認められず、さらに、監察官室職員による文書の探索結果を踏まえると、監察官室職員による所属長等への報告文書は存在しないとする諮問実施機関の説明は、不合理とまではいえない。
b訴訟に関する書類
実施機関によれば、訴訟に関する書類については、訴訟代理人である弁護士が作成しており、監察官室の職員は作成しておらず、事件確定後、弁護士が作成した文書は実施機関に対し提出されたものの、実施機関では行政文書に該当しないとして、受領後すぐに廃棄しているとのことである。
このことについて、審議会がさらに実施機関に確認したところ、弁護士から受領した文書には、一連の訴訟記録等が含まれると説明しており、そうだとすると、これらを一概に行政文書に該当しないとする実施機関の判断については疑義があり、その妥当性について以下検討する。
(a)行政文書について
条例による自己情報開示の対象となるのは「行政文書に記録された自己の個人情報」(条例第15条第1項)であり、「行政文書」については、条例第2条第3号により「実施機関の職員が職務上作成し、又は取得した文書、図画及び電磁的記録であって、当該実施機関の職員が組織的に用いるものとして、当該実施機関が保有しているもの」と定義されている。
そして、「組織的に用いるもの」に該当するか否かは、文書の作成、取得、利用、保存又は廃棄の状況を総合的に考慮して、実質的に判断することが相当である。
(b)弁護士から受領した文書について
弁護士から受領した文書について、弁護士によって作成された文書であっても、実施機関の訴訟委任によって作成されたものであり、実施機関を被告とする訴訟事務のために利用されていた状況を考慮すると、「実施機関の職員が職務上作成し、又は取得」し、かつ「組織的に用いるもの」に該当すると認められる。
よって、実施機関は、弁護士から受領した文書について、行政文書として適切に取り扱うべきであったと考えられるが、本件請求時においては本件法律事務所で保管されていたことから、かかる文書について、存在しないとする諮問実施機関の説明は、不合理とまではいえない。
(ウ)次に、審議会で検討したところ、本件訴訟の訴訟代理人である弁護士から、実施機関に対し本件口頭弁論に係る報告文書等が送付されているものと推察される。
審議会が実施機関に確認したところ、監察官室職員は、各期日に訴訟代理人とともに出席し、概要を把握していることから、改めて訴訟代理人である弁護士から報告書等をもらうことはしておらず、また、実施機関職員が、本件訴訟に関する書類の保管場所を確認したところ、かかる文書は確認できなかったとのことである。
そうだとすると、監察官室職員等と本件法律事務所との間でやり取りした文書について、存在しないとする実施機関の説明は、不合理とまではいえない。
(エ)また、上記(ア)~(ウ)で検討した文書の他に、本件請求に係る文書が存在するという事情は認められない。
ウよって、本件請求に係る個人情報を作成及び取得しておらず、行政文書を保有していないとする諮問実施機関の説明に特段不合理な点は見当たらず、本件決定は、妥当なものであると認められる。
以上のことから、「1審議会の結論」のとおり判断する。
実施機関がすでに廃棄したと説明する文書について、本件審査請求に係る審議の論点となり得るものが含まれており、これらが廃棄されたことにより、審議会の審議に支障をきたすこととなった。実施機関においては、千葉県警察の文書に関する訓令(平成20年千葉県警察本部訓令第22号)第23条の規定により、必要に応じた保存期間の延長を行う等、行政文書の適正な管理に努められたい。
審議会の処理経過は、下記のとおりである。
年月日 |
処理内容 |
---|---|
平成27年2月4日 |
諮問書の受理 |
平成27年4月23日 |
諮問実施機関の理由説明書受理 |
平成28年11月29日 |
審議(平成28年度第3回第2部会) |
平成28年12月20日 | 審議(平成28年度第4回第2部会) 実施機関の口頭理由説明 |
平成29年1月24日 | 審議(平成28年度第5回第2部会) |
平成29年2月28日 | 審議(平成28年度第6回第2部会) |
氏名 |
職業等 |
備考 |
---|---|---|
石井徹哉 |
千葉大学副学長 |
|
中曽根玲子 |
國學院大學専門職大学院法務研究科教授 |
部会長 |
藤岡園子 |
弁護士 |
部会長職務代理者 |
答申第181号(平成29年3月21日付け)(PDF:171KB)
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