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更新日:令和4(2022)年3月4日
ページ番号:23692
答申第176号
平成29年2月2日
千葉県病院局長
矢島鉄也様
千葉県個人情報保護審議会
会長土屋俊
異議申立てに対する決定について(答申)
平成27年3月5日付け○○第○○号による下記の諮問について、別紙のとおり答申します。
記
諮問第159号
平成26年9月10日付けで異議申立人○○から提起された、千葉県病院局長が平成26年7月22日付け○○第○○号で行った自己情報部分開示決定に係る異議申立てに対する決定について
|1.審議会の結論|2.異議申立ての経緯|3.異議申立人の主張要旨|4.諮問実施機関の説明要旨|5.審議会の判断|6.附言|7.審議会の処理経過
千葉県病院局長(以下「実施機関」という。)が平成26年7月22日付け○○第○○号で行った自己情報部分開示決定(以下「本件決定」という。)について、千葉県個人情報保護審議会(以下「審議会」という。)は、次のとおり判断する。
実施機関が本件決定において不開示とした判断は、結論において妥当である。
(1)異議申立人は、平成26年7月9日付けで、実施機関に対し、千葉県個人情報保護条例(平成5年千葉県条例第1号。平成27年千葉県条例第15号による改正前のもの。以下「条例」という。)第16条第1項の規定により、「平成○年○月○日(○曜日)開催の特定県立病院医療安全管理委員会議事録」の開示請求(以下「本件請求」という。)を行った。
(2)本件請求に対し実施機関は、平成○年○月○日開催の特定県立病院医療安全管理委員会(以下「本件委員会」という。)の議事録(以下「本件文書」という。)を特定した上で本件決定を行った。
これに対し異議申立人は、行政不服審査法(昭和37年法律第160号)第6条の規定により、実施機関に対し、平成26年9月10日付けで異議申立て(以下「本件異議申立て」という。)を行った。
(3)本件異議申立てを受けて、実施機関は、条例第46条第1項の規定により、平成27年3月5日付け○○第○○号で審議会に諮問した。
(1)異議申立書において、異議申立人は概ね次のとおり主張している。
「本件決定を取り消す。」との決定を求める。
(ア)本件委員会の出席者等に関する情報について
(1)条例第17条第5号該当性について
特定県立病院(以下「特定病院」という。)○○院長(以下「院長」という。)は、異議申立人を、特定病院から排除する目的にて、事実に反する理由をでっち上げ、特定病院内の医療安全管理委員会(以下「委員会」という。)を悪用して、その不当な事実に反する理由を、あたかも、委員会の審議を経て得られた正当なものに仮装することをたびたび試みている。そもそも、委員会のメンバーは、意見や見解を形成するだけの医学的知識も経験もない。よって、率直な意見交換も意思決定の中立性も全く存在しない。不開示は、院長の公務員職権濫用罪の隠蔽である。これは違法である。
(略)また、会が成立するためのメンバーの人数も不足しているにもかかわらず、成立したと強弁している。不開示は、院長の公務員職権濫用罪の隠蔽である。これは違法である。
(2)条例第17条第6号ハ該当性について
そもそも、異議申立人に関する評価は、異議申立人を、特定病院から排除する目的にて、事実に反する理由をでっち上げ、委員会を悪用して、その不当な事実に反する理由を、正当なものに仮装して得られたものである。当該事務の目的及び将来同種の事務の目的が達成されるようなことは、断じてあってはならない。現時点において、事務の公正又は円滑な執行は存在しない。正義はない。
(イ)本件委員会の審議内容に関する情報について
(1)条例第17条第2号該当性について
異議申立人(開示請求者)に関する部分のみ開示すればよい。
(2)条例第17条第5号該当性について
上記(ア)(1)に記載しているとおりである。
(3)条例第17条第6号ハ該当性について
上記(ア)(2)に記載しているとおりである。
(4)条例第17条第6号ホ該当性について
人事管理に関して、看過できないどころか、「違法」な不正がまかり通っている。事務の公正又は円滑な人事を確保するためにも、開示すべきである。
(2)なお、異議申立人は次のア及びイの点についても異議申立書に記載している。
ア特定病院医療安全管理委員会運営要領(以下「要領」という。)第3条第5項に定める「委員会で決めた内容」の「委員長から定例会・医局会」への「報告」が全くないとする点
イ要領第6条第3項に定める「議事録」が作成されていないことは重大な違法であるとする点
平成27年6月29日付けで実施機関が審議会に対し提出した理由説明書において、概ね次のとおり主張している。
ア本件文書は、異議申立人が主治医として平成○年○月に担当していた患者症例を含むリスクマネジメントに関し、検討・評価を行った本件委員会の議事録である。
イ委員会とは、県立病院の医療安全管理体制を確立し、快適で良質な医療の提供に資することを目的に千葉県病院局において制定した「千葉県病院局医療安全管理指針」に基づき、設置されたものである。
ウ委員会は、病院長、○○○○長、○○○○長などを構成員とし、病院内における医療安全管理の全般を統括するものであるが、特に、院内の医療安全における重大問題への対応や医療事故の分析及び再発防止策の検討や医療事故防止のための啓発、教育等を取り扱うものである。
ア本件委員会の出席者等に関する情報
(ア)条例第17条第5号
本件文書は、異議申立人である医師の診療患者の症例を含むリスクマネジメントの検討・評価を行うための本件委員会での審議の議事録であるが、現在も診療制限は継続しており、今後も委員会において診療制限の継続等について検討を行うことが想定される。
本件文書中の出席者等に関する情報を開示した場合、今後の委員会での率直な意見交換や意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれがあること、また、将来予定されている同種の審議・検討に係る意思決定に不当な影響を与えるおそれがあることから不開示とした。
(イ)条例第17条第6号ハ
本件文書は、異議申立人が担当した患者症例を含むリスクマネジメントの検討・評価等に関する情報である。本件文書中の出席者等に関する情報を開示した場合、当該事務及び将来の同種の事務の目的が達成できなくなり、事務の公正又は円滑な執行に支障を及ぼすおそれがあることから不開示とした。
イ本件委員会の審議内容に関する情報
(ア)条例第17条第2号
本件文書の中には、特定病院内で治療を行った患者に関する情報について、年齢・病名・治療状況など、複数の情報を組み合わせることで、患者個人又は患者家族を特定できる情報が記載されており、当該文書を開示した場合、患者及び患者家族等の第三者の権利を侵害するおそれがあることから不開示とした。
(イ)条例第17条第5号
本件文書は、異議申立人である医師の診療患者の症例を含むリスクマネジメントの検討・評価を行うための本件委員会での審議の議事録であるが、現在も診療制限は継続しており、今後も委員会において診療制限の継続等について検討を行うことが想定され、当該文書を開示した場合、今後の委員会での率直な意見交換や意思決定の中立性が損なわれるおそれがあること、また、将来予定されている同種の審議・検討に係る意思決定に不当な影響を与えるおそれがあることから不開示とした。
(ウ)条例第17条第6号ハ
本件文書は、異議申立人が担当した診療患者の症例を含むリスクマネジメントの検討・評価を行った本件委員会での審議の議事録である。当該文書を開示した場合、当該事務及び将来の同種の事務の目的が達成できなくなり、事務の公正又は円滑な執行に支障を及ぼすおそれがあることから不開示とした。
(エ)条例第17条第6号ホ
本件文書は、異議申立人である医師に対して、現在、業務命令として発している診療制限に関連する人事管理に係る情報であり、当該文書を開示した場合、公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれがあることから不開示とした。
ア本件委員会の出席者等に関する情報(上記(2)ア)について
(ア)条例第17条第5号
本件文書中の出席者等に関する情報を開示した場合、今後の委員会での率直な意見交換や意思決定の中立性が損なわれるおそれがあること、また、将来予定されている同種の審議・検討に係る意思決定に不当な影響を与えるおそれがあることから不開示としたものである。
(イ)条例第17条第6号ハ
本件文書中の出席者等に関する情報を開示した場合、当該事務及び将来の同種の事務の目的が達成できなくなり、事務の公正又は円滑な執行に支障を及ぼすおそれがあることから不開示としたものである。
イ本件委員会の審議内容に関する情報(上記(2)イ)について
(ア)条例第17条第2号
本件文書は、本件委員会において、異議申立人である医師の診療状況を含むリスクマネジメントの検討・評価をした情報であり、異議申立人が作成した情報そのものではなく、本件文書は、異議申立人個人に関する情報であるとともに、患者個人又は患者家族等を特定できる情報が記載されており、当該文書を開示した場合、第三者の権利を侵害するおそれがあると考える。
(イ)条例第17条第5号
本件文書は、異議申立人である医師の診療患者の症例を含むリスクマネジメントの検討・評価を行うための本件委員会での審議の議事録であるが、現在も診療制限は継続しており、今後も委員会において診療制限の継続等について検討を行うことが想定されることから不開示としたものである。
(ウ)条例第17条第6号ハ
本件文書は、異議申立人が担当した患者症例を含むリスクマネジメントの検討・評価等に関する情報である。当該文書中の出席者等に関する情報を開示した場合、当該事務及び将来の同種の事務の目的が達成できなくなり、事務の公正又は円滑な執行に支障を及ぼすおそれがあることから不開示とした。
(エ)条例第17条第6号ホ
本件文書は、異議申立人に対して、業務命令として発した診療制限の根拠となる人事管理に関する情報である。人事管理に関する情報は、組織の維持、また組織の独自性を確保する観点から、一定の範囲で不開示にする必要があると考える。
ア条例第15条第1項で「何人も、実施機関に対し、行政文書に記録された自己の個人情報の開示の請求・・・をすることができる。」と定められていることから明らかなように、条例上の自己情報開示請求において開示の対象となっているのは、行政文書そのものではなく、行政文書に記録された自己の個人情報である。
イ本件において、異議申立人は、上記3(1)のとおり、本件文書のうち本件決定において実施機関が不開示とした情報(本件委員会の出席者及び審議内容に関する情報)について開示することを求めている。
これに対し、実施機関は、上記4(2)及び(3)のとおり、本件決定において不開示とした判断は妥当である旨主張している。
そこで、本件決定において実施機関が不開示とした情報について検討する。
ウ本件文書は次の(ア)及び(イ)の情報からなる。
(ア)本件委員会の会議結果報告部分及び次第
(イ)本件委員会において報告のあった各部会の資料
(1)○○○○部会の議事録、次第及び部会資料
(2)○○○○部会の議事録、次第及び部会資料
(3)○○○○部会の部会資料
エ審議会において本件文書を見分したところ、上記ウ(ア)及び(イ)の情報のいずれにも、異議申立人を識別できる情報を認めることはできなかった。そうすると、異議申立人と実施機関の間には不開示情報であるか否かという点につき意見の対立があるが、本件決定において争点とすべきなのは、本件文書を、異議申立人を本人とする個人情報が記載されたものとして特定すべきであったのか否かという点である。
そこで、本件決定において実施機関が行った本件文書の特定について検討する。
オ実施機関の説明(上記4(1)ア)によれば、本件委員会において、異議申立人が主治医として平成○年○月に担当していた患者症例を含むリスクマネジメントに関し検討・評価が行われていることから、上記ウ(イ)(1)について、さらに検討を加える。
確かに、上記ウ(イ)(1)のうち○○○○部会の部会資料には医療事故に関する報告(以下「本件医療事故報告」という。)が記載されており、当該事故の発生日や事故内容、患者の年齢等が記載されていることから、本件医療事故報告を異議申立人が見分すれば、自らが関わった症例であると分かるであろうことが推認される。
しかしながら、上記エのとおり、本件文書に異議申立人を識別できる情報は認められず、本件文書に記録されている情報は、異議申立人の自己情報ではないと考えるのが妥当である。
カなお、本件文書が本件委員会の議事録であり、自己情報であるかは別として、本件請求において異議申立人が求める文書であることは明らかであるから、本件請求において異議申立人が求める情報が他の行政文書に記録されていることは考えられない。
以上のことから、「1審議会の結論」のとおり判断する。
なお、異議申立人及び実施機関のその他の主張は、本件決定の適否に関する審議会の判断に影響を及ぼすものではない。
本件決定において、実施機関は異議申立人の自己情報が記録された文書として本件文書を特定したが、実際には異議申立人の自己情報はなかった。そうすると、そもそも条例上の自己情報開示請求における対象は自己情報であるから、実施機関は本件文書を異議申立人の自己情報が記載された対象として特定すべきではなかったものと認められる。今後、実施機関においては、自己情報開示請求に対する決定を行うに当たり、正確な事務の執行に努められたい。
審議会の処理経過は、下記のとおりである。
年月日 |
処理内容 |
---|---|
平成27年3月5日 |
諮問書の受理 |
平成27年6月29日 |
実施機関の理由説明書受理 |
平成28年12月20日 |
審議(平成28年度第4回第2部会) |
平成29年1月24日 |
審議(平成28年度第5回第2部会) |
氏名 |
職業等 |
備考 |
---|---|---|
石井徹哉 |
千葉大学副学長 |
|
中曽根玲子 |
國學院大學専門職大学院法務研究科教授 |
部会長 |
藤岡園子 |
弁護士 |
部会長職務代理者 |
答申第176号(平成29年2月2日付け)(PDF:171KB)
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