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更新日:令和4(2022)年3月4日
ページ番号:23687
答申第171号
平成28年12月15日
千葉県公安委員会
委員長岩沼静枝様
千葉県個人情報保護審議会
会長土屋俊
審査請求に対する裁決について(答申)
平成26年12月24日付け公委(警)発第116号による下記の諮問について、別紙のとおり答申します。
記
諮問第152号
平成26年11月17日付けで審査請求人から提起された、平成26年11月10日付け警発第1785号で行った自己情報不訂正決定に係る審査請求に対する裁決について
|1.審議会の結論|2.審査請求の経緯|3.審査請求人の主張要旨|4.諮問実施機関の説明要旨|5.審議会の判断|6.審議会の処理経過|
千葉県警察本部長(以下「実施機関」という。)が平成26年11月10日付け警発第1785号で行った自己情報不訂正決定(以下「本件決定」という。)について、千葉県個人情報保護審議会(以下「審議会」という。)は、次のとおり判断する。
実施機関の判断は妥当である。
(1)審査請求人は、平成23年5月10日付けで、実施機関に対し、千葉県個人情報保護条例(平成5年千葉県条例第1号。平成28年千葉県条例第15号による改正前のもの。以下「条例」という。)第16条第1項の規定により「○○警察署○○課長○○警部が作成した平成○年○月○日付で退職した私の退職理由等が詳細に記入された文書及び関係書類(本部警務課が保有するもの)」の開示請求を行った。これに対し、実施機関は平成23年5月23日付け警発第719号で、平成○年○月○日付け○警親発第○○号「職員の退職について(副申)」(以下「本件文書」という。)を特定し、自己情報部分開示決定(以下「本件部分開示決定」という。)を行った。
(2)上記(1)の決定を受けて審査請求人は、平成26年10月9日付けで、実施機関に対し、条例第31条第1項の規定により、別表のとおり本件文書の訂正請求(以下「本件訂正請求」という。)を行った。
(3)本件訂正請求に対し実施機関は、「請求に係る記載部分については、調査の結果、誤りが認められなかったため」として本件決定を行ったため、審査請求人は、行政不服審査法(昭和37年法律第160号)第5条の規定により、実施機関の上級行政庁である千葉県公安委員会に対し、平成26年11月17日付けで本件決定の取消しを求め審査請求(以下「本件審査請求」という。)を行った。
(4)本件審査請求を受けて、条例第46条第2項に規定する諮問実施機関となる千葉県公安委員会(以下「諮問実施機関」という。)は、同条第1項の規定により、平成26年12月24日付け公委(警)発第116号で審議会に諮問した。
厳正なる再調査が必要、自己情報訂正請求書で示した通りに訂正願いたい。
ア事実を誤認しており、適正な判断がされていないため。
イ調査事項に関して、身内の警務部内にて行われているため。
ウ証拠関係を隠滅しているおそれがあるため。
エ警務部警務課、監察官室所有の事件番号平成○年(○)第○○号損害賠償等請求事件(国賠)の一件書類(各種証拠)から、訂正が妥当と思料されるため。
千葉県警察の処務に関する訓令(昭和60年千葉県警察本部訓令第5号)は、第80条で退職手続を規定し、第1項で「職員が退職(定年又は出向の場合を除く。)しようとするときは、原則として、退職を希望する日のおおむね1か月前までに退職願(様式第16号)を、県本部警務課長を経由して本部長に提出しその承認を得なければならない。」とし、第2項で「この場合において所属長は、副申書(様式第17号)により、その事情聴取結果等を報告しなければならない。」と規定している。
本件文書は、この規定に基づき作成されたものであり、退職願を受理した所属長が、これを千葉県警察本部警務部警務課長を経由して本部長に報告する際、退職に関する事情聴取の状況等を明らかにするため作成した行政文書である。
条例第30条は、「何人も、開示決定に基づき開示を受けた自己の個人情報に事実の誤りがあると認めるときは、実施機関に対し、その訂正(追加又は削除を含む。以下同じ。)の請求(以下「訂正請求」という。)をすることができる。」と規定している。また、千葉県個人情報保護条例解釈運用基準(以下「解釈運用基準」という。)は、「事実」について、氏名、住所、年齢、性別、生年月日、家族構成、学歴、日時、金額、面積、数量を例示しており、その性質上客観的な正誤の判定に適するものであることから、「事実」に限って訂正請求権を認めることとしている。
条例第31条第2項は、「訂正請求をしようとする者は、訂正請求の趣旨及び理由が事実に合致することを明らかにする書類等を実施機関に提出し、又は提示しなければならない。」と規定し、訂正請求の趣旨及び理由が事実に合致することを明らかにする書類等を実施機関に提出し、又は提示しなければならないとしている。解釈運用基準は、この書類等を、開示された情報が事実と合致していないこと及び訂正請求者の主張する内容の方が事実に合致しているということが確かだと、実施機関に思わせる程度の資料をいうとしている。
条例第32条は、「実施機関は、訂正請求があった場合は、必要な調査を行い、当該訂正請求に理由があると認めるときは、当該訂正請求に係る個人情報の利用目的の達成に必要な範囲内で、当該個人情報の訂正をしなければならない。ただし、法令の定めがあるときその他訂正をしないことにつき正当な理由があるときは、この限りでない。」と規定している。解釈運用基準は、「必要な調査」とは、訂正請求者が提出し、又は提示した訂正請求の趣旨及び理由が事実に合致することを明らかにする書類等を端緒に、訂正請求に係る誤りの有無及び内容並びに訂正すべき内容を確認するために行う必要な調査をいうとしている。また、「当該訂正請求に理由があると認めるとき」とは、実施機関による調査の結果、請求どおり個人情報が事実でないことが判明したときをいうとしている。
ア「必要な調査」について
千葉県警察(以下「県警」という。)は、本件訂正請求を受け、対象文書記載内容の真偽の確認、訂正請求の趣旨及び理由が事実に合致することを明らかにする書類等の精査、訂正請求の対象となる「事実」該当性の検討、関係所属に対する確認を行い、訂正請求に係る誤りの有無及び内容並びに訂正すべき内容を確認するために必要な調査を実施した。
イ「事実の誤り」について
審査請求人は、本件訂正請求において、本件文書中の退職理由欄記載事項の訂正を請求しており、そのための根拠資料として、平成○年○月○日付けで審査請求人が作成した文書(以下「疎明資料」という。)を提出している。
疎明資料は、本件文書中の退職理由欄記載内容の削除・訂正を求めた千葉県公安委員会宛ての文書であり、千葉県公安委員会は、警察法(昭和29年法律第162号)第79条の規定に基づき、平成○年○月○日付けで、この文書を苦情として受理している(以下「本件苦情」という。)。
本件苦情に関し、千葉県公安委員会から調査・回答を求められ、県警において調査を実施した結果、本件文書には虚偽がないとの結論に達し、平成○年○月○日付けで千葉県公安委員会委員長宛てに回答している。
本件訂正請求において、この結論を覆す書類等の提出又は提示はなされなかった。
したがって、本件訂正請求については、条例第30条が定める個人情報に事実の誤りがあるものとは認められず、条例第33条第2項の規定により不訂正としたことは妥当である。
ウ審査請求人の主張について
(ア)上記3(2)アの主張について
審査請求人は、本件文書の退職理由欄に事実の誤認があることを主張しているが、本件苦情への対応として、平成○年に本件文書の調査を実施しており、その結果、県警として記載内容に虚偽がないとの結論に達していることから、主張に妥当性は認められない。
(イ)上記3(2)イの主張について
審査請求人は、身内の千葉県警察本部警務部で調査がなされていることを主張しているが、平成○年当時、千葉県警察本部総務部広報県民課が本件苦情を受理し、関係所属に依頼した上で調査を実施した結果、県警として対象文書に虚偽が認められないとの結論に達していることから、主張に妥当性は認められない。
(ウ)上記3(2)ウの主張について
審査請求人は、証拠書類が隠滅されたおそれについて主張している。
本件文書は、審査請求人が退職願を作成した2日後の平成○年○月○日付けで作成され、同年○月○日には千葉県警察本部警務部警務課で収受しており、審査請求人の請求により平成23年5月23日付けで部分開示している。
また、本件決定に関して作成された文書については、平成26年11月17日に審査請求人から開示請求を受け、「起案用紙(本部長決裁用)平成○年○月○日付け警発第○○号(件名「自己情報不訂正決定通知書について」)に綴られた文書」を、同年12月17日付け警発第2001号で部分開示している。
本件文書は、作成から部分開示までの間、改ざん等がなされた形跡はなく、これを疑うべき根拠もない。また、本件決定について作成された文書は開示請求を受け審査請求人に全て開示されていることから、証拠関係を隠滅されたおそれに妥当性は認められない。
(エ)上記3(2)エの主張について
審査請求人は、現在争訟中の案件の証拠資料(疎明資料を含む。)を根拠に訂正の必要性を主張しているが、正に争訟中であり、同証拠資料の正当性が不確定である以上、主張に妥当性は認められない。
エ訂正請求の対象となる「事実」該当性解釈運用基準は、訂正請求に係る「事実」について、氏名、住所、年齢、性別、生年月日、家族構成、学歴、日時、金額、面積、数量等の事実をいうとし、これらの情報は、その性質上客観的な正誤の判定に適するものであることから、「事実」に限って訂正請求権を認めることとしている。
本件訂正請求については、本件文書の退職理由欄に記載された審査請求人の発言内容を訂正すべき事実としているが、これは客観的な正誤の判定が不可能であり、訂正請求の対象となる「事実」には該当しない。
したがって、本件訂正請求に係る事実は、訂正すべき事実とはいえない。
ア条例第30条第1項では「何人も、開示決定に基づき開示を受けた自己の個人情報に事実の誤りがあると認めるときは、実施機関に対し、その訂正・・・の請求・・・をすることができる。」とし、開示を受けたところの自己の個人情報に事実の誤りがあると確認した者に、その訂正の請求をすることができるよう、権利を定めている。
イ訂正の請求を受けた実施機関については、条例第32条で「訂正請求があった場合は、必要な調査を行い、当該訂正請求に理由があると認めるときは、当該訂正請求に係る個人情報の利用目的の達成に必要な範囲内で、当該個人情報の訂正をしなければならない。」と定められている。この「当該訂正請求に理由があると認めるとき」とは、実施機関による調査の結果、請求どおり個人情報が事実でないことが判明したときをいい、反対に調査の結果、請求人が訂正を求めている事柄に誤りがあるとは認められない場合には、実施機関に訂正義務はないものと解する。
上記(1)アのとおり、訂正請求の対象となるには、開示決定に基づき開示を受けた自己の個人情報であることが必要であるところ、本件訂正請求の対象となる情報については、本件部分開示決定により開示を受けた自己の個人情報にあたり、訂正請求の対象に該当する。
また、条例上、訂正できる情報として、氏名、住所、年齢等、その性質上客観的な正誤の判定に適する「事実」であることが必要とされているが、本件訂正請求の対象である発言内容は、その内容が記録された文書の性質から全く客観的な正誤の判定になじまないとは言えず、訂正請求の対象となる「事実」に該当すると解する。
ア上記(1)イのとおり、訂正請求を受けた実施機関は調査を実施し、記録されている個人情報に誤りがあると判明した場合は、訂正義務を負うこととなるため、実施機関が行った調査の状況、結果について確認する必要がある。
イ諮問実施機関は、理由説明書(上記4(3)イ)において、審査請求人が訂正対象と主張する個人情報(以下「本件対象個人情報」という。)の内容につき、平成○年に本件苦情の処理の一環として調査し、虚偽がないとの結論に達しており、平成26年にされた本件訂正請求においても、かかる結論を覆す書類等の提出又は提示は審査請求人からされなかったと説明する。
ウ審議会において、自己情報訂正請求書、審査請求書及び本件苦情に係る調査結果を見分し、また審議会事務局職員をして、実施機関に確認させたところ、本件訂正請求を受けた平成26年10月にも関係職員への聞き取りを実施し、平成○年に実施した本件苦情に係る調査の結果で間違いない旨を確認しているとのことであったことから、本件文書において現在記載されている本件対象個人情報の内容が、審査請求人が発言した内容と異なると認めることはできなかった。
この点、発言内容の客観的な正誤を確認するにあたって、発言の場で確かに録音されたという音声データや正式な手続を経て作成された議事録、またその当時にとった当事者のメモを資料として確認するのが適当と考えられるが、そうしたものが存在しなかったため、関係職員からの聞き取りにより調査結果を出したという実施機関の行為に不合理な点は認められない。また、本件訂正請求に係る審査請求人の発言が、審査請求人からの申出によって急遽設けられた面談の場であることに鑑みると、音声データや議事録等が存在していないこと自体にも不自然な点は認められない。もっとも、メモが作成された可能性は思料されるが、正式な文書作成後にメモが処分されるのは十分想定しうることであり、本件訂正請求時に存在していなかったことにも不自然な点は認められない。
エしたがって、本件対象個人情報について、必要な調査の結果、審査請求人からの訂正請求に理由があるとは認められず、不訂正の決定をした実施機関の判断に不合理な点は認められない。
以上のことから、「1審議会の結論」のとおり判断する。
なお、審査請求人及び諮問実施機関のその他の主張は、本件決定の適否に関する審議会の判断に影響を及ぼすものではない。
審議会の処理経過は、下記のとおりである。
年月日 |
処理内容 |
---|---|
平成26年12月24日 |
諮問書の受理 |
平成27年2月25日 |
諮問実施機関の理由説明書受理 |
平成28年9月29日 |
審議(平成28年度第1回第1部会) |
平成28年10月18日 |
審議(平成28年度第2回第1部会) |
平成28年11月24日 |
審議(平成28年度第3回第1部会) |
氏名 |
職業等 |
備考 |
---|---|---|
海野朋子 |
千葉家庭裁判所家事調停委員 |
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川瀬貴之 |
千葉大学法政経学部准教授 |
|
土屋俊 |
大学改革支援・学位授与機構研究開発部教授 |
部会長 |
永嶋久美子 | 弁護士 | 部会長職務代理者 |
訂正請求部分 | 審査請求人が主張するところの事実 |
---|---|
(略) | (略) |
答申第171号(平成28年12月15日付け)(PDF:185KB)
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