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更新日:令和4(2022)年3月4日

ページ番号:23685

答申第169号

答申第169号

平成28年12月12日

千葉県知事

鈴木栄治様

千葉県個人情報保護審議会

会長土屋俊

 

異議申立てに対する決定について(答申)

平成26年12月25日付け○児第274号による下記の諮問について、別紙のとおり答申します。

諮問第153号
平成26年10月14日付けで異議申立人から提起された、自己情報不開示決定(平成26年8月27日付け○児第198号)に係る異議申立ての決定について

答申第169号

1.審議会の結論2.異議申立ての経緯3.異議申立人の主張要旨4.諮問実施機関の説明要旨5.審議会の判断6.審議会の処理経過

1.審議会の結

千葉県知事(以下「実施機関」という。)が、平成26年8月27日付け○児第198号で行った自己情報不開示決定(以下「本件決定」という。)について、千葉県個人情報保護審議会(以下「審議会」という。)は次のとおり判断する。

実施機関の判断は妥当である。

2.異議申立ての経緯

(1)異議申立人は、平成26年7月23日付けで、実施機関に対し、千葉県個人情報保護条例(平成5年千葉県条例第1号。平成28年千葉県条例第15号による改正前のもの。以下「条例」という。)第16条第1項の規定により、「○○が○○から受けた事に関しての面談等の内容、それに関わる全て。」について、異議申立人の子(以下「本人」という。)の法定代理人として開示請求(以下「本件請求」という。)を行った。

(2)本件請求に対し実施機関は、次のとおり対象文書を特定して、本件決定を行った。

ア経過記録(平成○年○月○日)(以下「本件文書1」という。)

イ児童福祉司意見(平成○年○月○日)(以下「本件文書2」といい、本件文書1及び本件文書2を併せて「本件各文書」という。)

(3)本件決定に対し、異議申立人は、行政不服審査法(昭和37年法律第160号)第6条の規定により、実施機関に対し、平成26年10月14日付けで異議申立て(以下「本件異議申立て」という。)を行った。

(4)本件異議申立てを受けて、実施機関は、条例第46条第1項の規定により、平成26年12月25日付け○児第274号で審議会に諮問した。

3.異議申立人の主張要

異議申立書において、異議申立人は概ね次のとおり主張している。

(1)異議申立ての趣旨

「本件決定を取り消す」との決定を求める。

(2)異議申立ての理由

異議申立てに係る処分は次のとおり不適当である。

ア本人を守るため(本人も希望している)に児童相談所で面談をしてもらい(学校も公休になっている)本人が本人の言葉で喋った本人の知りうる内容はきちんと開示してほしい。

イ本来秘匿されるべき面談の内容や面談に関する評価、判断が含まれており、開示することにより、今後同種の事務の適正、円滑な遂行が阻害されるおそれがあるためとあるが、たしかに評価、判断に対してはそうかもしれないが、本人が本人の言葉で喋った経過記録の部分は開示すべきである。

ウ開示することにより、本人の今後の成長、発達に不利益になるおそれがあるとあるが、○○ではない児童心理プロの児童福祉司の前で本人の言った言葉をふまえることにより、今後、本人を育てていく親権者としては、成長、発達の大きな手助けになると考えている。

4.諮問実施機関の説明要

理由説明書において、諮問実施機関はおおむね次のとおり主張している。

(1)対象行政文書の内容

ア本件文書1

児童相談所が行う児童又は保護者に対する支援等や関係行政機関等との連絡調整の内容の経過が、時系列で記録されている。

本件については、平成○年○月○日に行われた、本人との被害確認面談の状況が記載されている。

イ本件文書2

児童相談所が取り扱う相談案件の内容について、児童福祉司が経緯や意見をまとめ、所内の援助方針会議において今後の方針を決定する資料としている。

本件については、平成○年○月○日に担当児童福祉司が、本人についてまとめた所見等が記載されている。

(2)不開示の理由について

ア条例第17条第6号ハ該当性について

本来秘匿されるべき面談の内容や面談に関する評価・判断が含まれており、開示することにより、今後同種の事務の適正・円滑な遂行が阻害されるおそれがあるため。

イ条例第17条第7号該当性について

開示することにより、本人の今後の成長・発達に不利益となるおそれがあるため。

(3)異議申立人の主張に対する検討

ア異議申立人は、異議申立ての理由として、「本人を守る為に児童相談所で面談をしてもらい、本人が本人の言葉で喋った本人の知り得る情報はきちんと開示して欲しい」とし、また、「たしかに評価・判断に対してはそうかもしれないが、本人が本人の言葉で喋った経過記録の部分は開示すべきである」としている。これらのことから、異議申立人は、児童相談所の面談において、本人が本人の言葉で喋った内容は、自己情報として開示すべきであると主張しているものと考えられる。

しかしながら、児童相談所の面談は、将来に渡り秘匿することを前提に行っており、そのことを児童にも説明し、了解を得た上で実施している。このため、児童は安心して、面談で真実を語ることが可能となる。もし、児童が話した内容が保護者等に知られうる、また外部に出ることがありうると児童に認識されれば、児童に不信感を抱かせ、今後、児童相談所が児童との信頼関係を築くことが困難となり、正確で詳細な話を聞き取ることに著しい支障をきたすこととなる。

よって、本人が本人の言葉で喋った内容であったとしても、その情報を開示することにより、今後児童相談所の同種の事務を適正・円滑に遂行することが困難になるおそれがあるため、上記(2)アで説明するとおり、条例第17条第6号ハの不開示情報に該当するものである。

なお、異議申立人は、「たしかに面談の評価・判断に対してはそうかもしれないが」としており、面談に関する評価・判断についての開示は、今後同種の事務の適正・円滑な遂行が阻害されるおそれがあるということを認めているものと考えられる。

イまた、異議申立人は、「○○ではない児童心理のプロの児童福祉司の前で本人の言った言葉をふまえることにより、今後、本人を育てていく親権者としては、成長、発達の大きな手助けになると考えている」と主張しているが、被害確認面談については、詳細に被害を思い出し語ることが、児童本人にとって心理的に大きな負担になること、またそのことで辛い思いをし、傷つくことなどで再被害になるおそれもあることから、1回のみの面談で終えることとしており、その後児童が被害について繰り返し問われるようなことはなく、児童に記録を渡すようなこともしていない。児童本人にとっては、面談時には体験し知り得ている内容であったとしても、それは本来一刻も早く忘れ去りたい記憶であり、幼い児童であれば、時の経過により忘れることもありうるものである。

しかしながら、法定代理人からの自己情報開示請求により、書面で直接内容が開示される場合は、その使用目的が問われることはなく、また、今後もずっと手元に残るものであることから、児童が内容を目にし、記憶が呼び起こされることや、児童が知られたくない他者に内容を知られること、児童が成長後に目にし、その内容を再認識すること等が考えられ、そのことで現在から将来にかけて、児童が傷ついたり、他者から中傷されたりすること等が十分に考えられる。

よって、面談の内容を開示することにより、本人の今後の健やかな成長・発達に大きな不利益を与えるおそれがあるため、上記(2)イで説明するとおり、条例第17条第7号の不開示情報に該当するものである。

5.審議会の判

(1)不開示情報について

実施機関は、本人と児童相談所の職員が面談を行った際に、その発言等を記録した本件文書1及び児童相談所が取り扱った相談に関して、児童福祉司が当該相談の経緯や児童福祉司の意見をまとめた本件文書2について、上記4(2)のとおり、条例第17条第6号ハ及び第7号を根拠として本件決定を行った。

(2)本件文書1について

ア条例第17条第6号ハ該当性について

(ア)本号は、県の機関や他の地方公共団体等の事務又は事業に関する情報であって、開示することにより、評価等に係る当該事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるものを不開示とすることを定めたものである。

これについて、異議申立人は、上記3(2)のとおり、本人が当該面談において話した内容は、本人に開示すべきであると主張するが、実施機関は上記4(3)アのとおり、児童相談所の面談は、将来に渡り秘匿することを前提に行っており、そのことを児童にも説明し、了解を得た上で実施していることから、もし、児童が話した内容が保護者等に知られうる、また外部に出ることがありうると児童に認識されれば、児童に不信感を抱かせ、今後、児童相談所が児童との信頼関係を築くことが困難となり、正確で詳細な話を聞き取ることに著しい支障をきたすこととなると説明する。

(イ)審議会で見分したところ、本件文書1は、本人と児童相談所の職員が面談を行った際に、その発言等を逐語的に記録したものである。

そうだとすれば、本人の法定代理人であっても、児童相談所が秘匿することを前提に本人から聞き取った内容である以上、異議申立人に開示することにより、児童相談所への不信感を招くおそれがあり、今後の児童相談所が行う相談業務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるものと認められる。

(ウ)よって、本件文書1は条例第17条第6号ハに該当し、不開示が妥当である。

イなお、条例第17条第6号ハに該当することから、同条第7号該当性について、判断するまでもない。

(3)本件文書2について

ア条例第17条第6号ハ該当性について

(ア)審議会で見分したところ、本件文書2は、児童相談所が取り扱った相談に関して、児童福祉司が当該相談の経緯や児童福祉司の意見をまとめたものであって、実施機関が行った評価及び判断に係る情報並びに本人以外の関係者から聴取した情報が記録されたものである。

a評価及び判断に係る情報について

審議会で見分したところ、当該情報は、担当した児童福祉司が、本人の言動等を前提として、その状況を評価・判断したものであって、これを開示することにより、今後、担当者が児童や関係者の意向を考慮して正確な内容の記載を躊躇することが予想され、記載内容が形骸化し、援助方針を決定するための公正な判断が行われなくなるなど、児童相談所が行う相談業務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあると認められる。

b本人以外の関係者から聴取した情報

審議会で見分したところ、当該情報は、実施機関が本人以外の関係者から聴取した情報であって、通常、児童相談所が関係者に調査を行った場合、関係者はそのことが外部に漏れないことを前提として調査に協力するものであることから、これを開示することにより、関係者との信頼関係が損なわれ、今後の情報入手等の連携・協力が円滑に行われず、児童相談所における相談業務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるものと認められる。

(イ)よって、本件文書2は条例第17条第6号ハに該当し、不開示が妥当である。

イなお、条例第17条第6号ハに該当することから、同条第7号該当性について、判断するまでもない。

(4)結論

以上のことから「1審議会の結論」のとおり判断する。

なお、異議申立人のその他の主張は、本件決定の適否に関する審議会の判断に影響を及ぼすものではない。

6.審議会の処理経

審議会の処理経過は、下記のとおりである。

審議会の処理経過

年月日

処理内容

平成26年12月25日

諮問書の受理

平成28年2月16日

諮問実施機関の理由説明書受理

平成28年10月25日

審議(平成28年度第2回第2部会)

平成28年11月29日

審議(平成28年度第3回第2部会)

千葉県個人情報保護審議会第2部会(五十音順)

氏名

職業等

備考

石井徹哉

千葉大学副学長

 

中曽根玲子

國學院大學専門職大学院法務研究科教授

部会長

藤岡園子

弁護士

部会長職務代理者

 


答申第169号(平成28年12月12日付け)(PDF:159KB)

お問い合わせ

所属課室:総務部審査情報課個人情報保護班

電話番号:043-223-4628

ファックス番号:043-227-7559

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