2 施策の方向性
(1) 序論
千葉における地方創生を確実に実現・深化させていくためには、それぞれの地域において、その特性を生かした取組を進めることが必要であり、県とともに、住民の生活に密着した市町村の果たす役割が重要である。
このため、県においては、全県的な施策を進めることに加え、各地域において「人が働き、活躍し、育み・育ち、暮らすこと」で地方創生をさらに進展させるとともに、「千葉らしいライフスタイル」を実現するために市町村が取り組む、地域の課題を踏まえた意欲と創意工夫による地域づくりを広域的な立場から支援するための施策を展開する。
(2) 基本目標
既に本県においても、総人口が減少に転じており、また、感染症の拡大を契機に、ライフスタイルの変化やデジタル化の進展、対面型から非対面型ビジネスモデルへの移行など、様々な社会情勢の変化が生じている。
こうした中、地域ビジョンである「千葉らしいライフスタイルの創造」を実現するため、国が戦略で示した取組方針を参考にするとともに、「千葉県総合計画」及び「千葉県デジタル・トランスフォーメーション推進戦略」、県総合戦略の基本的方向性を踏まえ、次の4 つの基本目標を設定するものとした。
【基本目標】
基本目標1:地域経済を活性化する環境づくり(働く)
・県民の働く場を確保するとともに、地域経済を活性化させていく。
基本目標2:多様な人材が活躍できる社会づくり(活躍する)
・多様な人材が活躍することで、社会の活力及び創造性の向上につなげる。
基本目標3:子育てしやすい社会づくり(育み・育つ)
・結婚・子育ての希望を実現し、未来を担う子どもや若者を育てる。
基本目標4:県民が暮らしやすい地域づくり(暮らす)
・県民が安全に安心して暮らせるよう、様々な地域づくりに取り組む。
(3) 地方創生におけるデジタルの活用
国はデジタル田園都市国家構想総合戦略の中で、デジタルの力を活用して地方創生を加速化・深化していくこととしており、このため、デジタル実装の基礎条件整備として、デジタル基盤の整備、デジタル人材の育成・確保及び誰一人取り残されないための取組を推進することとしている。
本県でも総人口が減少に転じており、特に東京から遠い地域などで人口減少が進み、少子高齢化による人手不足が避けられない状況である。こうした中、デジタルを活用することにより地域社会の生産性や利便性を高めるとともに、サービスや製品などの開発につなげ、新たな価値を生み出すことで、地域の活力を維持・向上させていくことが必要である。
また、デジタルには自動化、見える化、最適化、つながる、分かち合う「シェアリング」、個々に合わせる「パーソナライズ」など、様々な可能性がある。そのため、デジタルの活用は、人の暮らしの可能性を広げ、多様なニーズに対応でき、さらに、新たなビジネスなどを創造することができる。
加えて、千葉県は日本の縮図と言われているとおり、デジタル化においても、都市部と地方部で活用条件が異なっており、さらに地域ごとに必要となるデジタル技術やデジタル人材の育成状況も異なっている。そのような中、地域それぞれの課題等の解決に資するように、デジタル化を推進していくことや、デジタル化を担う人材の育成が重要である。
そこで、今回の総合戦略において設定した基本目標ごとにどのようにデジタルを活用していくか整理する。
1 デジタルで「働く」を次のステージへ
労働人口が減少する中、デジタル技術によって、地域産業の生産性の向上を図るとともに、その先進性によって新たなイノベーションやサービスの創出につなげるよう取り組むことで、「働く」場や質を次のステージへと押し上げる可能性を持つ。
- ア 中小企業のDXの推進
- イ スマート農林水産業の加速化
- ウ デジタルを活用した観光振興
2 デジタルは「活躍する」を広げる
新型コロナウイルスの感染拡大を契機に、デジタル技術を活用したテレワークなどの新しい働き方に取り組む企業等が増えているほか、メタバースなどの仮想空間でも人々の様々な活動が行われるなど、ネットワークを通じて、リアルでの生活の本拠地から離れた地域にも活躍の場を広げることができる。
3 デジタルが「育み・育つ」を変える
デジタル技術は、教育などの子どもを育む分野でも積極的に活用が図られており、子どもたちの可能性を引き出す個別最適な学びと協働的な学びを一体的に充実させることで、教育の質の向上を図ることができる。
4 デジタルで「暮らす」を安全で楽しく
デジタル技術を活用することで、社会基盤整備や医療・介護分野などの「暮らす」の安全がさらに向上するとともに、文化芸術などの新たな表現が創出される「楽しみ」等の実現が図られる。
- ア デジタルを活用した安全な地域づくりの推進
- イ 医療・福祉・介護分野でのデジタル化の推進
- ウ インフラDX
- エ まちづくり分野でのDX推進
- オ 県行政のDXの加速化
- カ 市町村DXの推進に向けた連携・支援
(4)豊かな自然環境の保全
本県は三方を海に囲まれ、九十九里浜をはじめとした美しい海岸線、東京湾に残された貴重な干潟、緑豊かな房総丘陵、様々な動植物が生息・生育する里山など、東京の隣にありながら、豊かで多様な自然に恵まれている。
この恵まれた自然環境は、移住・定住の促進、観光振興など、様々な分野の発展につながる可能性があることから、県民・企業・行政など様々な主体の取組により、本県の豊かな自然を次世代に引き継いでいくことが、地方創生の実現に必要である。
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