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更新日:令和6(2024)年3月18日
ページ番号:316923
千葉の落花生|落花生の原産地|千葉県落花生の歴史|千葉県の落花生生産状況|千葉県で栽培されている主な落花生の品種|落花生の購入情報|落花生の栽培|おいしい落花生の選び方|落花生の栄養成分|落花生の上手な保存方法|ピーナッツの日|どうして「落花生」と呼ぶの?
国内での落花生作付面積は、ピークであった昭和40年には66,500ヘクタールありましたが、輸入などの影響で徐々に減少し、令和元年には6,330ヘクタールとなりました。現在、国内の落花生流通量は、全体の9割が外国産で、国内産は約1割程度となっています。
国内産の約8割が千葉県で生産されています。
畑でゆっくりと自然乾燥された千葉県産落花生は、味の良さで消費者の強い支持を得ています。
落花生は南米原産のマメ科作物です。
日本では沖縄県でかなり古くから栽培されており、本州へは宝永3年(1706年)に中国から伝播しましたが、栽培にはいたりませんでした。現在のわが国の栽培は明治7年(1874年)に政府がアメリカより種子を導入して各地に配布し、栽培を推奨したのが初めてとされていますが、明治4年には神奈川県の渡辺慶次郎氏が種子を入手して栽培を始めています。
千葉県の落花生の栽培は明治9年に山武郡南郷町(現山武市)の農家牧野万右エ門氏が神奈川県三浦郡中里村から種子を購入して試作したのが始まりとされています。
写真は牧野万右エ門氏。
明治10年には、当時の県令(知事)柴原和氏が種子を鹿児島から取り寄せて県民に論告し、その栽培奨励に着手しました。当時の干潟(現在の旭市)付近はやせたひどい砂地のため、畑作として適当な作物がなく、農家はほとんど甘藷、野菜等を作って現在の旭市・銚子市・山武市付近を商うことを生業としていました。
匝瑳郡鎌数村(現在の旭市)の戸長であった金谷総蔵氏が、落花生栽培及び販売に尽力した結果、旭市を中心とした千葉県の落花生産地が育成されました。
写真は金谷総蔵氏。
大正に入ってから、旭市から印旛郡台地(現在の八街市、富里市など)へ漸次普及されました。
当時の落花生栽培は旭市を中心としていました。しかし、旭市で栽培されていた当時の品種は大粒の立性が中心で、干ばつの被害を受けやすく、年によって収量に大きな差があること、甘藷の売れ行きが良かったこと等から、落花生栽培は減少し、甘藷に転換していきました。
一方、八街市付近の畑地では干ばつや砂地などの悪条件に強く、比較的安定した収穫を得ることができる品種(青島種等)が中国から入ったと思われ、次第に栽培面積が増加していきました。
昭和2年頃には、県下の栽培面積が3,000ヘクタールを下回り最低となったことから、千葉県は昭和2年から農業試験場での落花生研究に着手し、多収で良質な優良品種の改良を目的として、在来種の改良に当たりました。その結果、昭和5年には優良品種「千葉43号」、「千葉55号」、「千葉74号」の3品種が育成され、青島種に代わって栽培されるようになり、収量が安定したため昭和10年には4,000ヘクタールに、昭和15年には5,000ヘクタールを上回るようになりました。
*写真は「昭和20年代の落花生の手選別風景」です。
特に「千葉43号」は良質、多収で栽培しやすく、干ばつにも強いため、千葉県ばかりでなく、茨城県やその他全国的に普及し、昭和27年に現在の優良品種「千葉半立」が育成されるまで、20数年も栽培の主力品種となりました。昭和16年に戦時体制に入ると、八街市の一部を除き、落花生栽培は禁止されました。
戦後、昭和21年から再び栽培が始まり、特に栄養価の高い落花生は食品としての価値が急に高まり、売れ行きが伸びました。
しかし、需要量を供給できなかったため、価格が暴騰し、昭和23~24年頃に60キログラム当たり20,000円以上になったため、八街市を中心とした印旛郡台地での栽培が急激に増加し、昭和27年には10,000ヘクタールを超え、戦前の旭市に代わって、八街市が落花生の集散地として多くの商人が誕生しました。
昭和27年には千葉県農業試験場において、優良品種「千葉半立」が育成されます。この「千葉半立」は栽培が比較的容易なこと、収量が高く安定していることなどから、印旛郡だけでなく、香取・山武・長生・君津等、千葉県の全県下にわたって栽培されるようになりました。
また、県及び生産者の一体的な取り組みにより、昭和36年度の作付面積は26,400ヘクタール、生産量は61,000トンに達し、畑作物の中で重要な位置を占めるようになりました。
その後、昭和40年頃を境に、高度経済成長期に入り、他産業並みの農業所得が求められ、落花生から野菜類への作付転換、農地の改廃等により、作付面積は大幅に減少し、昭和62年には11,500ヘクタールとなりました。
年次 | 作付面積 (ヘクタール) |
10アール当たり収量 (キログラム) |
作況指数 | 収穫量(トン) | 産出額(千万円) |
---|---|---|---|---|---|
昭和 55年 |
13,600 | 172 | 90 | 23,400 | 963 |
平成2年 | 10,400 | 231 | 116 | 24,000 | 1,016 |
20 | 5,930 | 244 | 100 | 14,500 | 840 |
30 | 5,080 | 256 | 106 | 13,000 | 990 |
令和元年 | 5,060 | 199 | 83 | 10,100 | ― |
千葉農林水産統計年報及び関東農政局千葉支局資料
注:作況指数欄の平成14年以降は10アール当たり平均収量対比(過去7か年の実績値のうち最高・最低を除いた5か年の平均値との対比)
品種 項目
|
作付面積(ヘクタール) |
構成比(パーセント) |
作付面積(ヘクタール) |
構成比(パーセント) |
作付面積(ヘクタール) |
構成比(パーセント) |
その他 付面積(ヘクタール) |
その他 成比(パーセント) |
計 付面積(ヘクタール)
|
計 成比(パーセント) |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
昭和 55年 |
10,661 | 78.4 | 9 | 0.1 | - | - | 2,930 | 21.5 | 13,600 | 100.0 |
平成 2年 |
6,895 | 66.3 | 2,496 | 24.0 | - | - | 1,009 | 9.7 | 10,400 | 100.0 |
20 | 3,950 | 66.6 | 1,583 | 26.7 | 184 | 3.1 | 213 | 3.6 | 5,930 | 100.0 |
30 | 3,190 | 62.8 | 1,260 | 24.8 | 178 | 3.5 | 457 | 9.0 | 5,080 | 100.1 |
令和 元年 |
3,006 | 59.4 | 1,341 | 26.5 | 187 | 3.7 | 531 | 10.5 | 5,060 | 100.1 |
令和 2年 |
2,923 | 58.3 | 1,275 | 25.6 |
168 | 4.0 | 614 | 11.7 | 4,980 | 100.0 |
令和 3年 |
2,797 | 57.2 | 1,311 | 26.8 | 201 | 4.1 | 581 | 11.9 | 4,890 | 100.0 |
※構成比について、四捨五入のため合計値が100.1となる場合があります。
生産振興課調べ
地区 市町村名 | 作付面積(ヘクタール) | 10a当たり収量(キログラム) | 収穫量(トン) |
---|---|---|---|
県計 | 6,300 | 245 | 15,400 |
千葉地区 千葉市 | 779 | 241 | 1,880 |
習志野市 |
5 | 220 | 11 |
八千代市 |
40 | 228 | 91 |
市原市 |
367 | 236 | 866 |
千葉小計 |
1,191 | 239 | 2,848 |
東葛飾地区 市川市 | 1 | 210 | 2 |
船橋市 |
4 | 225 | 9 |
松戸市 |
1 | 210 | 2 |
野田市 |
3 | 220 | 7 |
柏市 |
4 | 225 | 9 |
流山市 |
1 | 210 | 2 |
我孫子市 |
3 | 220 | 7 |
鎌ケ谷市 |
1 | 210 | 2 |
浦安市 |
- | - | - |
東葛飾小計 | 18 | 222 | 40 |
印旛地区 成田市 | 235 | 252 | 593 |
佐倉市 |
468 | 262 | 1,210 |
四街道市 |
198 | 251 | 497 |
八街市 |
802 | 264 | 2,120 |
印西市 |
45 | 247 | 111 |
白井市 |
38 | 241 | 92 |
富里市 |
372 | 261 | 972 |
酒々井町 |
77 | 249 | 192 |
印旛村 |
97 | 252 | 244 |
本埜村 |
26 | 246 | 64 |
栄町 |
16 | 245 | 39 |
印旛小計 | 2,374 | 258 | 6,134 |
香取地区 香取市 | 216 | 256 | 553 |
神崎町 |
5 | 240 | 12 |
多古町 |
67 | 258 | 173 |
東庄町 |
81 | 259 | 210 |
香取小計 | 369 | 257 | 948 |
海匝地区 銚子市 | 25 | 216 | 54 |
匝瑳市 |
124 | 223 | 277 |
旭市 |
177 | 229 | 406 |
海匝小計 |
326 | 226 | 737 |
山武地区 東金市 | 188 | 207 | 389 |
大網白里町 |
135 | 204 | 275 |
九十九里町 |
105 | 207 | 214 |
山武市 |
368 | 204 | 752 |
横芝光町 |
119 | 204 | 243 |
芝山町 |
92 | 207 | 190 |
山武小計 | 1,007 | 205 | 2,063 |
長生地区 茂原市 | 95 | 200 | 190 |
一宮町 |
17 | 194 | 33 |
睦沢町 |
9 | 189 | 17 |
長生村 |
56 | 200 | 112 |
白子町 |
73 | 204 | 149 |
長柄町 |
36 | 192 | 69 |
長南町 |
10 | 190 | 19 |
長生小計 | 296 | 199 | 589 |
夷隅地区 勝浦市 | 3 | 195 | 6 |
いすみ市 | 8 | 200 | 16 |
御宿町 | 1 | 185 | 2 |
大多喜町 | 4 | 185 | 7 |
夷隅小計 | 16 | 194 | 31 |
安房地区 館山市 | 40 | 220 | 88 |
鴨川市 | 4 | 200 | 8 |
南房総市 | 42 | 205 | 86 |
鋸南町 | 2 | 200 | 4 |
安房小計 | 88 | 211 | 186 |
君津地区 木更津市 | 118 | 294 | 347 |
君津市 | 105 | 292 | 307 |
富津市 | 37 | 289 | 107 |
袖ケ浦市 | 363 | 307 | 1,110 |
君津小計 | 623 | 300 | 1,871 |
資料:作物統計,平成19年産から統計資料なし
現在、千葉県で栽培されている主な品種は次の5品種が中心です。
昭和27年千葉県農業試験場で在来品種から選抜育成した品種。
昭和28年本県奨励品種に採用。
草型は半立で、株は横に広がり、晩生で収量性は高くないが、煎豆の食味は独特な風味があり良好。
千葉県作付面積の58パーセントを占めている。(令和4年)
「関東8号」と「334A」とを交配し、昭和54年千葉県農業試験場で育成した品種。同年に本県奨励品種に採用。
立性の草型で、開花期から収穫適期まで80日前後の中生、多収、良食味品種。ただし収穫適期を過ぎると子実の品質、食味ともに低下しやすい。子実はやや大きく、充実、色沢や粒揃いが良く、煎豆の食味もあっさりとした甘みがあり良好。
千葉県作付面積の26パーセントを占めている。(令和4年)
「ナカテユタカ」と「八系192」とを交配し、平成7年に千葉県農業試験場で育成した品種。平成8年に本県奨励品種に採用。
早生の多収品種。草型は立性で、株元に莢が集中する。莢は白くて、熟度が揃う。ゆで落花生に適し、食味は良好。
千葉県作付面積の4パーセントを占めている。(令和4年)
「ナカテユタカ」と極大粒品種「ジェンキンスジャンボ」とを交配し、平成18年に千葉県農業総合研究センターで育成した晩生品種。平成22年に品種登録がされた。
子実の重さが一般品種の約2倍と極めて大きい落花生。ゆで落花生に適し、甘みが強くて柔らかく、食味が優れている。
平成21年から一般栽培されている。⇒千葉育成品種「落花生おおまさり」
「郷の香」と「関東96号」を交配し、平成25年に千葉県農林総合研究センターで育成した品種。平成27年に品種登録出願の公表がされ、平成30年にデビューした。
やや早生から中生の多収品種。草型は立性で、株元に莢が集中する。莢は白くて、甘みが強く、煎豆に適している。
千葉県内の落花生販売店における品種別の取扱状況や落花生の特徴等を掲載したリーフレット「ちばの落花生ショップリスト((一社)千葉県落花生協会作成)」です。
落花生の種まきは5月中旬から6月上旬に行われます。
莢を割って中の子実を取り出し、畝間60~70センチメートル、株間27~30センチメートル(郷の香の場合20cm程度)で、3cm程度の深さに1~2粒ずつ播きます。
太陽の光をたっぷり浴びて、どんどん成長します。
種まきから40~50日ぐらい経過すると落花生の花が咲きます。花径1cmほどの蝶が羽を広げたようなかわいい黄色い花です。花は明け方に開いて夕方にはしぼんでしまいますが、8月中旬頃まで次々に咲き続けます。
花が咲いて数日するとしぼんだ花の茎の基から子房柄が伸び始め、地中にもぐって莢をつけます。
収穫の時期は花が咲き始めてから75~95日前後で、品種によって差があります。
掘り取った落花生は、3~5株をひとまとめにして根を上にして立てて、畑で1週間ほど乾かします。これを地干し(じぼし)と言います。
地干しが終わったら、円筒状に積み上げ、1~2ヶ月間、風に当ててゆっくりと自然乾燥させます。この円筒状に積み上げたものを「ぼっち」といいます。千葉県ではおなじみの晩秋の風景です。
乾燥が終わったら、莢だけとって出荷します。
さやがきれいなものは、収穫時期が早すぎる場合があります。落花生の品質は、さやの色の濃淡等の外見では一概に判断できません。良くできた落花生は、カルシウムを充分吸収し、さやも固くなっています。落花生は品種により味が異なり、「千葉半立」は味が良く、特に美味しい品種と言われています。
赤い渋皮にも栄養分(ポリフェノール)があります。実の大きさは「ナカテユタカ」の方が「千葉半立」より一回り大きくなっています。両品種とも実が丸く大きくなりすぎたものは、収穫遅れの場合が多く、適期収穫したものより風味が落ちます。特に「ナカテユタカ」は収穫が遅れると品質低下の大きい品種です。
落花生の渋皮には、ポリフェノールの一種、レスベラトロールが多く含まれるため渋皮ごと食べるのがお勧めです。渋皮が気になるという方には「Qなっつ」。「Qなっつ」は他の品種よりも渋皮が薄く、渋皮ごと食べやすいという試験結果が出ています。
また、ゆで落花生には様々なミネラルやビタミンが含まれています。特にビタミンEとナイアシンは、枝豆よりも豊富です!
成分 | 落花生 | 枝豆 |
---|---|---|
銅 | 0.36mg | 0.36mg |
ビタミンE(αトコフェロール) | 6.8mg | 0.6mg |
ナイアシン | 8.2mg | 1.0mg |
葉酸 | 150μg | 260μg |
出典 日本食品標準成分表 七訂(らっかせい未成熟ゆで、枝豆ゆで)
落花生は多くの脂肪を含んでいます。
保存方法が悪いと、この脂肪が酸化してしまい風味が落ちます。
莢付き煎り落花生を購入した場合はすぐにむき実にして、容器に密閉して冷蔵庫に入れて保存します。
11月11日はピーナッツの日です。11月は美味しい新豆が出回る時期。
ピーナッツは一つの莢に二つの豆が入っていて、かわいい双子のようです。
そこで、11が二つ重なるこの日をピーナッツの日として昭和60年に(財)全国落花生協会が制定しました。
落花生は、地上にある枝に咲いた花の基部から子房柄が伸び出して地中にもぐり、土の中で実が育ちます。
花が落ちて豆が誕生することから「落花生」と呼ばれています。
千葉県らっかせい百年誌(昭和51年10月1日、千葉県農林部農産課編集・発行)
落花生ハンドブック(平成3年3月、落花生主産県連絡協議会発行)
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