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更新日:令和4(2022)年11月24日
ページ番号:544658
小麦は、高品質であるほど畑作物の直接支払交付金(ゲタ対策)の単価が増加するため、収入の増加のためには、収量だけでなく品質も向上させる必要があります。小麦の品質区分は等級とランクで決定され、それに伴って交付金単価が大きく変わります(表1)。
表1.作物の直接支払交付金(ゲタ対策)の数量払(令和4年度単価)
(PNG:14KB)
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等級は農産物検査で決まり、ランクは品質評価項目の基準値と許容値の達成数で決まります(表2)。品質評価項目は4つあり(表3)、その一つであるタンパク質含有率は追肥で増加することが明らかとなっています。また、追肥には収量を増加させる効果があります。
区分 | 基準 |
---|---|
A | ・品質評価項目の基準値を3つ以上達成し、かつ、許容値を全て達成している麦 |
B | ・品質評価項目の基準値を2つ達成し、かつ、許容値を全て達成している麦 |
C | ・品質評価項目の基準値を1つ達成し、かつ、許容値を全て達成している麦 ・品質評価項目の基準値を2つ以上達成しているものの、許容値を達成していない麦 |
D | ・品質評価項目の基準値を全く達成していない麦 ・品質評価項目の基準値を1つ達成しているものの、許容値を達成していない麦 ・雑銘柄の麦 ・異なる銘柄を混合している麦 |
評価項目 | 基準値 | 許容値 |
---|---|---|
タンパク質含有率 | 9.7パーセント以上 11.3パーセント以下 |
8.5パーセント以上 12.5パーセント以下 |
灰分 | 1.60パーセント以下 | 1.65パーセント以下 |
容積重 | 1リットルあたり840グラム以上 | - |
フォーリングナンバー | 300以上 | 200以上 |
収量、タンパク質含有率を増加させるには、追肥のタイミングと量が重要なため、そのポイントについて紹介します。
小麦は、土壌や地力等により適切な施肥量が異なります。ほ場条件に合わせて施肥量を調節するようにしましょう。
茎立期の茎数を1平方メートルあたり750から1000本確保するため、基肥を施用します。千葉県における主要な栽培品種である「さとのそら」の基肥施用量の目安は、窒素10アールあたり6から8キログラム、りん酸10アールあたり15キログラム、加里10アールあたり12キログラムです。窒素の総施用量は、10アールあたり10から12キログラムを目安とします。
茎立期の追肥には、収量を増加させる効果があります。「さとのそら」は、茎立期10日前(幼穂形成期)に、窒素を10アールあたり4キログラム追肥することで最も増収します。追肥時期がこれより早くなると穂数が少なくなって収量が低下し、遅くなると千粒重が小さくなる他、遅れ穂が増加して外観品質が低下しやすくなります。11月上旬播種の場合は、3月上旬頃が幼穂形成期を迎える目安となります(写真1)。2月下旬頃から幼穂をこまめに観察するようにしましょう。
(JPG:439.8KB)
写真1.幼穂形成期頃の小麦の穂の様子
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出穂期の追肥には、収量に関わる千粒重と、品質に関わるタンパク質含有率と容積重を増加させる効果があります。「さとのそら」には、出穂期に窒素10アールあたり2キログラムを目安に追肥します。
実肥の施用により、収量と品質の向上効果が期待できますが、硝子粒が増加する恐れも増すため、施用の有無や量については生育状況から判断する必要があります。出穂期の葉色がSPAD値で40以上あれば出穂期に追肥した場合と同等のタンパク質含有率が得られるため、これを施用の判断の際の目安とします。
東葛飾地域では、小麦の収量とタンパク質含有率の向上に向けた施肥体系の改善に取り組んできました。令和3年度に実施した肥料試験では、基肥一発肥料と穂肥時期の緩効性肥料を組み合わせ、実肥時期まで窒素が溶出するような施肥体系を実証しました(写真2)。その結果、収量が向上し、タンパク質含有率が基準値を達成することを確認しました。
(JPG:836.7KB)
写真2.成熟期頃の肥料試験ほの様子
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令和4年度産の小麦栽培において、その施肥体系を地域で取り入れたところ、前年並みの収量を確保し、タンパク質含有率については基準値を達成することができました。
参考資料(千葉県「技術指導資料」ホームページ)
初掲載:令和4年11月
東葛飾農業事務所
改良普及課
北部グル―プ
普及技術員 藤丸 佑紀
電話番号:04-7162-6151
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