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更新日:令和4(2022)年6月30日

ページ番号:7263

ストックの栽培-需要期を見込んでしっかり管理-

ストックは、薄紫系の寒色から赤や黄等の暖色、さらにはパステルカラーなど花色が豊富で、独特な香りとともに早春の到来を強く感じさせる花です。品種にはスタンダード系(アイアン系品種、雪波、朝波、舞シリーズなど)とスプレー系(カルテット系品種など)とがあり、花壇にも栽植しますし、切り花としても用途が広い品目です。

栽培は、県南部などの温暖な地域で、排水の良い圃場が適しています。比較的低温での管理が可能なため、省エネの花き品目として全国的に栽培が広がっています。

このような特徴があるので、需要の多い3月の彼岸と近年人気の年末とを中心に、11月下旬から4月の切り花出荷に対応する計画生産が重要です。

1.栽培方法

(1)播種

11月下旬から4月に収穫するには、8月上旬から10月上旬に播種します。

播種用土は市販の育苗培土のほか、山砂又は川砂にくん炭2から3割、育苗培土を1から2割混合したものを用います。山砂は酸性、海砂はアルカリ性の場合があるためpHを確認しましょう。pH(H2O)で6.5から7.5程度の中性が適しています。

播種後、軽く覆土をして底面から吸水させ、乾燥防止に新聞紙などを掛けます。

発芽適温は20から23度で、播種後1から2日で発芽します。発芽が始まったら新聞紙を取り除きましょう。

(2)育苗

潅水が多過ぎると胚軸が徒長し、苗が倒伏しやすくなるので要注意です。

八重率を高めるために八重鑑別を実施します。播種量の60から70パーセントは抜き取ります。先ず、播種後7日で発芽の遅い株を抜き取り、播種後14日では子葉の大きさや色等の特徴で判断し抜き取ります。

なお、八重苗の特徴は次のとおりです。

  • 発芽が早く苗が大きい
  • 草丈、子葉長、子葉幅が長い
  • 子葉の形が長楕円形
  • 子葉の色が黄緑色

発芽後は光に当て健苗を育成しましょう。育苗期間は20から25日程度です。

(3)施肥

基肥は定植1週間前までに有機質肥料を中心に10アール当たり窒素、りん酸、加里を各成分で20キログラムを施用するのが標準的です。

追肥は定植後1か月以降に10アール当たり窒素6キログラム、加里6キログラム程度を施します。

(4)定植

定植前と活着するまでは十分に潅水します。苗は根が切れないように抜き取り、浅植えします。フラワーネットを1段張りましょう。

栽植密度は次のとおりです。

  • スタンダード系品種は株間、条間とも12センチメートル
  • スプレー系品種は株間、条間とも13.5から15センチメートル

(5)定植後の管理

活着後は潅水量を控えて、ハウス換気を十分に行いましょう。

スプレー系品種は頂花が「1輪完全に開花」したら「第一分枝部分の付け根から上の頂花を摘心」します。摘心後約1か月で収穫期を迎えます。

加温は室温摂氏5度の確保が目安です。加温開始後は室温を摂氏20度以上にしないように、早朝から換気を行います。

(6)収穫

切り前は出荷する市場や時期によって異なります。標準的には次のとおりです。

  • スタンダード系品種の切り前の目安は、冬期6から8輪開花、3月5から6輪開花
  • スプレー系品種は、1枝3輪以上、1株12から15輪開花
  • いずれの品種も分枝数4本以上が望ましい

収穫後に水揚げを十分に行って、しおれを防止しましょう。

2.発生しやすい病害虫

発生しやすい病害は、育苗時の苗立枯病、10から2月に萎凋病、生育後半の菌核病です。対策は、薬剤散布とともに、施設の換気、土壌や資材消毒です。発病株は抜き取り、施設外へ持ち出して処分します。

害虫は、7月から9月にハイマダラノメイガ、9から11月にコナガが発生し、いずれも生長点付近に寄生し、葉を食害するので要注意です。施設周辺のアブラナ科野菜の栽培を避け、施設の出入口は防虫網(1ミリメートル目合い)で覆い、成虫の侵入を防ぎましょう。コナガは薬剤抵抗性が発達しているので、成分の異なる薬剤でローテーション防除を行いましょう。

ハイノマダラメイガ

写真1.ハイマダラノメイガ

 

コナガの食害

写真2.コナガの食害

 

初掲載:平成25年7月

安房農業事務所改良普及課
館山グループ
普及指導員加藤美紀
電話番号.0470-22-8132

お問い合わせ

所属課室:農林水産部担い手支援課専門普及指導室

電話番号:043-223-2911

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