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更新日:令和6(2024)年7月10日
ページ番号:8458
近年、生産現場では気候変動に伴う気象災害や新たな病害虫・雑草の発生、地力の低下といった問題が深刻になっています。そこで、当研究室では、これまでの収量を維持しながら環境負荷低減と作業の軽労化または省力化の両方を実現する技術を開発し、化学農薬・化学肥料使用量の低減効果を実証します。
化学農薬使用量の低減技術では、ネギを対象に既知の天敵を活用したアザミウマ類等の防除技術を確立するとともに総合防除に基づいて本技術を実証します。また、ネギの病害防除支援技術のアプリの構築や、水稲の営農計画作成支援システムを構築を通じて、適期防除の実施による化学農薬の低減効果を解明します。
化学肥料使用量の低減技術では、ニンジン等の露地野菜を対象に土壌由来窒素を考慮しつつ、緑肥及び堆肥を組み合わせた減肥技術を開発します。また、有機質資材の肥効率を考慮した施肥設計支援ウェブアプリを開発を目指します。
これまでの収量を維持しながら環境負荷軽減と化学農薬使用量の低減を両立する技術を実証するため、秋冬ネギを対象に、既知の土着天敵類を活用したネギアザミウマ防除体系において、本種の発生量及び被害程度や土着天敵の発生状況から防除要否を判断する基準を策定します。
[写真]ネギの栽培ほ場
ネギを対象に、天敵類を活用したアザミウマ類等の各防除技術について、作期ごとに導入可能な技術を明らかにします。総合的な防除技術の導入条件を提示することにより、これまでの収量を維持しながら環境負荷軽減と化学農薬使用量の低減を両立する技術を実証します。
[写真]ネギの隣に緑肥を栽培して天敵を増やす
ネギの主要病害である「ねぎべと病」と「ねぎ黒腐菌核病」について、防除時期をスマートフォンで簡易に表示する防除支援システムを構築します。気象データに基づく適期の薬剤防除の実証を通して、化学農薬の使用量低減効果を解明します。
[写真]ネギの黒腐菌核病
土壌の無機態窒素含量、可給態窒素含量及び施肥窒素量の合量と収量との関係を明らかにし、黒ボク土で栽培される秋冬ニンジンの土壌由来窒素を考慮した施肥量算出技術を開発します。これまでの生産性を維持しつつ化学肥料を最大限減少させる栽培体系を確立します。
[写真]可給態窒素の分析
ニンジンの有機栽培における病害虫の発生実態を明らかにするとともに、有機栽培で害虫密度抑制に働くことが期待される土着天敵の発生相を明らかにします。併せて、対応可能な物理的防除法や有機栽培で利用可能な化学的防除法を実証します。
[写真]ニンジンほ場の調査
県内流通堆肥のデータを基に窒素肥効率を考慮しながら各種資材の施用量がスマートフォンで簡便に算出、表示するシステムを開発します。環境負荷軽減に対応した施肥設計により、化学肥料の使用量の低減及び生産者の施肥コストの低減効果を解明します。
[図]アプリの概念図
水稲の持続可能かつ効率的な栽培体系の確立に向けて、経営規模拡大や作業適期を考慮した作付け前での計画作成を支援する水稲の営農計画作成支援システムを構築します。生育ステージに応じた適期作業の実施や、適切な水管理等による化学農薬や化学肥料の低減効果を解明します。
[写真]水稲の移植作業
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