「千葉県における鉄道アクセス向上に関する調査」の結果について
発表日:平成28年3月29日
総合企画部交通計画課
県では、今後の千葉県における都市鉄道ネットワークの充実に向け、「鉄道アクセス向上に関する調査」を行い、結果を取りまとめましたのでお知らせいたします。
この結果は、今後、更なる鉄道利便性の向上についての検討や、国や鉄道事業者に対する要望等に活用してまいります。
1 調査目的
今後、更に発展が見込まれる京葉線沿線地域や、県内全域へ及ぼす効果等を検討するとともに、京葉線とりんかい線の相互直通運転(以下、「相互直通運転」という。)の実現に関する要請が高まっていることを踏まえ、東京都心への鉄道アクセス向上について調査を実施しました。
2 調査結果の概要
(1)期待される効果
ア 首都圏の鉄道ネットワークの充実
- 1都3県を結ぶ鉄道ネットワークの充実
相互直通運転により京葉線と埼京線が結ばれることになり、総武・横須賀線、上野東京ラインなどと相まって、都心を中心とする1都3県の鉄道ネットワークが形成されます。
- 京葉線及びりんかい線を経由する乗換え利便性の向上
新たに20路線との直接乗換えが可能となるほか、新たな鉄道利用者を開拓することが期待できます。
- 既存ストックを活用した鉄道ネットワークの充実
京葉線とりんかい線は、新木場駅付近で線路が接続していることから、既存の施設・設備を活用して鉄道ネットワークの充実を図ることが可能です。
イ 幕張新都心・東京湾岸地域の活性化
- 大規模集客施設利用者等の利便性の向上
大規模な商業施設・レジャー施設やホテルのほか、オフィスビルなどの利用者の利便性を向上させることができます。
- 大規模コンベンション施設の連携を支える鉄道アクセスの向上
幕張メッセと東京ビッグサイトの連携により、両施設の活性化や機能強化を図ることが期待できます。
- スポーツ拠点地域の発展を支える鉄道アクセスの向上
オリンピック・パラリンピック大会の開催を契機に、幕張新都心を含めた東京湾岸地域がスポーツ拠点地域として発展することを鉄道アクセスの面から支えることにつながります。
ウ 京葉線・りんかい線利用者の利便性向上
- 所要時間の短縮
- 混雑緩和・列車遅延の解消(京葉線、総武線、東西線等)
エ 県内への波及効果(南房総・外房地域)
- 県内観光の振興
- 移住定住の促進、都心への通勤圏の拡大
(2)東京都心への鉄道アクセス向上策
京葉線の複々線化事業について、3つの運行ケースを設定して行った分析・検討の結果は、以下のとおりです。
ア 分析結果
区分 |
ケースA |
ケースB |
ケースC |
直通増加本数(ピーク時) |
3本/h |
5本/h |
9本/h |
特徴 |
京葉線の混雑率150%以内を前提 |
ケースAに、京葉線(東京行)2本を減便して振替 |
京葉線~羽田空港直通も設定しつつ、更に増便 |
費用便益比(B/C) |
A |
A |
A |
収支採算性 |
C |
B |
C |
- 【費用便益比】
A:B/Cが1.0以上
B:B/Cが1.0未満
- 【収支採算性】
A:累積資金収支が30年で黒字転換する
B:単年度収支が黒字となるが、累積資金収支が30年で黒字転換しない
C:単年度収支が赤字となる
- 概算事業費については、京葉線には長大橋梁が存することや工期の変更など、詳細設計を行った場合には、事業費が増加する可能性がある。
- 一方で、鉄道利用者数については、鉄道ネットワークの充実や沿線開発の更なる進展等により増加する可能性がある。
イ 総括
- 相互直通運転及び京葉線の複々線化の実現により、京葉線・りんかい線利用者の利便性向上のみならず、首都圏の鉄道ネットワークの充実、幕張新都心を含めた東京湾岸地域の活性化、更には南房総・九十九里地域の振興などの面から、大きな効果が期待されます。
- 複々線化事業の費用便益比については、検討した運行パターンのいずれのケースにおいても、一定の整備効果が期待できるものの、収支採算性については、ケースBにおいても累積資金収支の黒字転換に相当の長期間を要するなどの課題が認められました。
- 以上のことから、運賃収受の問題を含め、収支採算性の確保などの課題について、検討を更に進めていくことが必要です。
3 その他
「成田空港への鉄道アクセス向上」について、成田空港第3滑走路の整備等に向けた協議が開始されるなど、航空需要が大きく変動することが見込まれることを踏まえ、成田空港付近の単線区間の複線化等について、効果や課題の整理を行いました。
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