リハビリテーション科

リハビリテーション科とは
当院で医療管理が行われている方で、医師からの依頼があった方を対象としています。先天性疾患から外傷、内部障害、呼吸障害や発達促通など、機能獲得や回復を目的とし、お子様とご家族が健やかに穏やかに日々を過ごせることを目指しています。
2017年10月改訂
理学療法
理学療法では運動機能や呼吸機能に問題を持つお子様に対して、問題を改善するために主に動作や姿勢、運動機能に関する治療を行います。いろいろな運動経験を積み重ね、全体的な発達や成長を助け、生活におけるアドバイスを行います。お子様それぞれの状態に合わせて最適な運動・訓練を行い、身体、精神ともに機能の回復を援助します。
業務内容
運動発達の援助
発達の遅れのあるお子様に対して、基本的な運動発達(くびのすわり、寝返り、お座り、ハイハイ、歩く)の練習、日常生活動作(靴を脱ぎ履き、車いすに乗り移る)、筋力トレーニング、ストレッチの指導等を行います。

呼吸の援助(呼吸理学療法)
呼吸に問題のある場合、または心臓の病気により肺の合併症のあるお子様に、痰を出しやすくしたり、楽に呼吸ができるように援助します。
運動指導(運動療法)
外傷や手術後、または先天性の疾患に伴う運動機能の低下や長期入院により運動機能の改善を図る必要があるお子様にストレッチや筋力トレーニング、いろいろな動作や歩き、階段昇降を行います。
補装具、車いす、座位保持椅子等の作製、情報提供等の支援
立つ練習や歩くための補足具の作製、座ることが難しい子や坐位姿勢の崩れが生じてしまう子のための椅子(座位保持椅子)、移動のためや学校生活をおくるためのバギーや車いす、チャイルドシートの作製を医師と相談して行います。

哺乳、食事指導
哺乳や食事がうまくとれない新生児から幼児、学童以上のお子様へ姿勢や飲ませ方、食べさせ方の工夫、口、顔の体操を行います。
対象
先天性または後天性の運動発達の遅れ(脳性麻痺など)
生まれつきや生まれたて(周産期)から発達の支援が必要な赤ちゃん
先天性または後天性の疾患に伴う麻痺や運動機能の低下、手術後の運動機能の低下(整形骨系統疾患、二分脊椎など)
呼吸疾患や手術後の合併症での呼吸障害
治療や手術等で長期安静に伴う筋力低下、関節拘縮、体力低下(廃用症候群)
哺乳や食べる事が上手く出来ない(摂食嚥下障害)
スタッフの人数
理学療法士 3名
実績や各種認定資格と取得者数
運動発達支援
呼吸理学療法
運動療法
哺乳、食事指導
補装具、車いす、座位保持椅子作製
地域への情報提供支援
身体障害者手帳の計測
整形外科回診、リハビリ回診帯同
チーム医療への参加
NST(Nutrition Support Team=栄養サポートチーム)
毎週月曜に行われているNSTランチョンミーティングに参加しています。リハビリ介入しているケースも多いため、活動や現在の状況などを理学療法的な観点からNSTに必要な情報を提供しています。また、病棟ラウンドにも参加しNSTメンバーとして介入事例にも取り組んでいます。
ICT(Infection Control Team=感染対策チーム)
毎週火曜日に行われているICTミーティングに参加し、院内の感染管理、院内感染に関わる情報を共有しています。リハビリ業務に必要な感染対策等の連絡や相談を行っています。
褥瘡対策チーム
月一回の病棟ラウンドに参加しています。病棟看護師、WOCと情報を共有し、必要なポジショニングなどを共有しています。
事例検討部会
月一回の会議に参加し、情報の共有を行っています。
理学療法へのよくある質問
どうしたら理学療法(PT)を受けられるの?
PTは医師の処方がないと訓練が受けられません。外来PT希望の方は、まず先に当院の外来を受診し主治医に相談し処方を受けてください。その後外来PTの予約をし訓練へという流れです。PT外来は予約制です。入院のお子様も医師の処方によりPT訓練を行います。
病状の安定した方は、地域での生活や社会参加等に向けて各地域の療育機関等をご紹介しています。
外来予約時間は9時00分~13時40分で行っています。
作業療法
作業療法では主として運動機能(主に上肢機能)、情緒などの精神面、感覚・知覚の発達に何らかのやりにくさ、問題を抱えているお子様に対して問題を改善するために遊び、ADLを中心とした作業活動を通して全身的な発達や成長を促し支援を行います。
お子様の持つ能力、可能性を最大限に引き出し、家庭や学校、社会でその子らしく、いきいきと生活できるように支援を行います。

業務内容
運動発達の援助
発達の遅れのあるお子様に対して、基本的な運動発達訓練や遊びを通して感覚機能の向上、上肢機能の向上・改善を目的として訓練を行います。
認知機能の発達、遊び方の援助
セラピストとのやり取りを通じてコミュニケーション能力の向上や玩具での遊びを用いることで玩具での遊び方の獲得を目指して訓練を行います。
ADL(食事、更衣、排泄動作、入浴動作、整容)の獲得、向上
ADL活動においてやりにくさや困りごとを抱えているお子様に対して一緒に動作の方法の検討や、自助具などの道具の紹介や使い方の指導を行います。
学習の援助
幼稚園・保育園、学校生活において机上活動やはさみや縄跳び、裁縫、板書など多岐に渡る活動に対して身体的な機能へのアプローチだけでなく、道具の検討や社会への働きかけ(学校の教員への指導)などを通して指導、援助を行います。
哺乳、摂食指導
哺乳や嚥下が何らかの理由で難しいお子様に対して姿勢や飲ませ方、離乳食の食べさせ方、感覚入力、体操などを通して指導を行います。
運動指導
先天性疾患や外傷・手術後の運動機能の低下に対して身体機能の改善を目的にスプリントなどの装具療法も含めたアプローチを行います。
対象
先天性または後天性の運動発達の遅れ、上肢機能の稚拙さ(脳性麻痺、分娩麻痺、脳血管障害など)
先天性または後天性の疾患に伴う運動機能低下、手術後の運動機能低下(整形疾患、二分脊椎など)
発達の遅れや偏り(自閉症、ADHDなどの発達障害)
長期入院や身体抑制による経験不足や認知機能の未発達(廃用症候群)
哺乳や摂食嚥下機能の低下、未発達(摂食嚥下障害)

スタッフの人数
常勤作業療法士 1名
実績や各種認定資格と取得者数
リハ回診への帯同
整形回診への帯同
二分脊椎外来
緩和ケアチームへの参加
作業療法へのよくある質問
どうしたら作業療法(OT)を受けられるの?
作業療法(OT)は当院医師の処方が必要です。外来での作業療法をご希望の方は紹介状を持参の上、当院の外来を受診し主治医に相談の上処方を受けてください。その後作業療法の予約を取り、予約日にご来院していただくことになります。外来OTはすべて予約制となります。入院での作業療法に関しては主治医の処方により必要に応じて行います。
病状の安定した方は、地域での生活や社会参加等に向けて地域の療育機関をご紹介しています。
言語聴覚療法
きこえやことばに関する検査・訓練を行います。主な対象は、口唇口蓋裂、聴覚障害、構音障害、言語発達遅滞、吃音症、音声障害、摂食嚥下障害です。形成外科、耳鼻咽喉科など関連各科と連携しながら現状の評価を行い、必要に応じて訓練や経過観察をします。
主な対象と業務内容
口唇口蓋裂診療、先天性鼻咽腔閉鎖不全症
聴覚障害(難聴)
構音障害(発音不明瞭)
言語発達遅延(ことばの遅れ)
吃音症(どもり)
音声障害
摂食嚥下障害
口唇口蓋裂、先天性鼻咽腔閉鎖不全症
当院の「口唇口蓋裂診療チーム」の一員として、口唇口蓋裂の初回手術前から関わっています。哺乳、発達、構音、鼻咽腔閉鎖機能などについて継続的に評価し、必要に応じて構音訓練を行います。
聴覚障害(難聴)
新生児聴覚スクリーニング検査や健診などで難聴が疑われた場合の精密聴力検査や、難聴診断後の補聴、聴覚管理を行います。聴力検査は0歳から可能で、お子さんの発達段階に合わせた検査を組み合わせて行います。
構音障害(発音不明瞭)
口唇口蓋裂のように発声発語器官に形態的な問題があったり、難聴でよく聞こえなかったりすると構音障害(うまく発音できない状態)になることがあります。また、特に原因がなくても、特定の音が言いにくい場合もあります。構音検査を行い現状を把握するとともに、必要に応じて構音訓練を行います。
言語発達遅滞(ことばの遅れ)
年齢に比べてことばの発達が遅い場合、療育の必要性を検討し、お住まいの地域の療育機関と連携しながら必要に応じて評価、経過観察を行います。
吃音症(どもり)
ことばの始めを繰り返したり、伸ばしたり、言いたくてもなかなか出てこないといった症状が出ることがあります。現状を評価し、ご家族へ対応の仕方をアドバイスし、必要に応じて経過観察を行います。
音声障害
声がかすれている、ガラガラ声が治らない、など声についての心配がある場合、耳鼻咽喉科と連携しながら声の評価、衛生指導などを行います。
摂食嚥下障害
食事のときむせる、離乳食が進まない、など食事に関する相談に応じます。
スタッフの人数
言語聴覚士 常勤3名 非常勤2名
実績や各種認定資格と取得者数
検査実績
区分 | 聴力検査(件) | 障害児リハビリテーション(人) | 言語検査(件) |
---|---|---|---|
2021年度 | 4635 | 2244 | 1010 |
2020年度 | 4582 | 2064 | 1002 |
2019年度 | 4546 | 2487 | 1142 |
2018年度 | 4764 | 2453 | 1148 |
2017年度 | 4495 | 2649 | 1154 |
認定資格
音声言語認定士
2名
口蓋裂・口蓋裂認定師(音声言語分野)
1名
言語聴覚療法へのよくある質問
Q. 特定の音がうまく言えません。様子をみていてもいいでしょうか?
A. お子さんは本来、周囲の大人の話し方を手本にして自然に正しい音が言えるようになっていきますが、その途中で誤った癖をつけてしまったり、正しい音の獲得がうまく進まなかったりすることがあります。どんな音が言えないのか、どんな癖がついているのかによって、構音訓練(発音の練習)が必要になる場合があります。お近くの言語聴覚士のいる施設や当院にご相談ください。
Q. どうしたら訓練を受けられますか?
A. まず訓練が必要な状態なのか、いつ頃からどこで受けるのか、を判断する必要があります。かかりつけの小児科や耳鼻咽喉科から当院宛の紹介状をもらい、当該科(口唇口蓋裂関係;形成外科、その他;耳鼻咽喉科)の新患予約をお取りください。当日は予約した科の医師による診察となります。医師が言語聴覚療法の適応があると判断した場合、言語聴覚療法の新患予約を取得します。
言語聴覚療法の新患予約日は、ご家庭や集団生活場面での様子を伺い、発達や発音などご心配に応じた検査を行います。普段の様子を把握されている方とご来院ください。より詳細な検査が必要な場合は、後日改めて行うこともあります。