チャイルド・ライフ・スペシャリスト(CLS)
チャイルド・ライフ・スペシャリスト(CLS)とは、お子さんの病院での経験がよりストレスの少ないものとなり、安心して病気や治療と向き合っていけるよう心理社会的ケアを提供する専門職です。
痛みや苦痛を伴う処置や検査、病気や治療に伴う制限など、不安やストレスを増強する要素が多くあります。お子さんが病院で経験する「怖かった!」「痛かった!」という気持ちを少しでも小さくして、「頑張った!」「出来た!」という前向きな気持ちで医療体験を乗り越えられるように、他職種と連携しながら支援していきます。
業務内容
病気や治療への理解・受容サポート:子どもが自分の病気と向き合い、主体的に治療へと関わっていけるように、それぞれの子どもに合った方法で、身体の仕組み、病気や治療について説明し、子どもの理解を支援します。医療者から病気や治療について説明があった場合には補足説明や受け止めのサポートをします。
医療体験への心の準備サポート(プリパレーション):何が起こるか知らされずに病院に連れてこられ、理由もわからず押さえつけられたり、連れていかれて、「何か」されることほど怖いことはありません。実際の医療物品や人形、写真などを使い、処置、検査、手術についてお話しし、遊びを通して子どもの気持ちを確認し、受け止めながら医療体験へ前向きに臨めるように支援していく。
苦痛を伴う処置や検査中の精神的サポート:痛みや苦痛、恐怖、緊張を感じやすい処置や検査中にCLSが同席し、子どもの心の中が怖い気持ちでいっぱいにならずに、リラックスできるように、遊びや呼吸法を用いながら支援します。
治癒的遊び:入院生活を送る中で、処置や検査、治療を受けることで、子どもは様々なことを感じ、その気持ちを表現できず、一人で抱え込むことがあります。さまざまな遊びを通して、子どもの感情表出をお手伝いします。
きょうだいへの心理社会的支援:子どもが病気になると、そのきょうだいも様々な気持ちを抱えます。心配、恐怖、嫉妬、疎外感などを、一人で抱え込んでしまうことがあります。CLSは親御さんと一緒に、きょうだいへの関わり方を考えていきます。必要に応じて、きょうだいとの治癒的遊びや、他職種と連携して、病状や治療についてお話します。
スタッフの人数
2名
実績や各種認定資格と取得者数
CLSは1950年代より北米で発展し、小児発達学、発達心理学、家族社会学などを基礎とし、アメリカ大学や大学院で学んだ後、アメリカの病院でインターンシップを行い、アメリカに拠点を置くチャイルドライフ協会(ACLP)が実施している認定試験を受けます。現在、日本では49名が35施設で活動しております(令和4年度5月)。
患者さんとご家族へ(よくあるご質問)
MRI検査を挑戦しましたが、怖くなり、泣いてしまって、できませんでした。もう一度挑戦します。MRI検査できるようにはどうしたらいいですか?
初めてのことに挑戦することは、とても勇気のいることだと思います。「初めてMRI挑戦できたね!」と伝えてあげましょう。前回MRI検査をやってみてどう感じたのか、お子さんのお話しを聞いてみてください。誤解をしていることはないか、困難に感じていることははにか、できたことを一緒に確認してみましょう。お子さんは撮影中の機械の大きな音や機械の中に入っていく時、身体の位置を確認する赤い光に、子どもは不安や恐怖を感じることがあります。「機械の音は、お写真を撮るために機械の中に入っている磁石が頑張って働いている音だよ」や、「機械の中からはなにも出てこないよ。痛いこともないよ。」、「機械から出ている赤い光は、お写真撮る場所の確認をしているよ。」など、親御さんから、お話ししてあげてください。YouTubeにアップされているMRI練習用動画等を利用して練習をして、少しずつできることを増やしていくことが大切です。音楽を決めたり、両親の付き添いだったり、どうしたら頑張れるのかについてもお話し、気持ちの準備をしてみてください。MRIのYouTube動画のご案内や説明資料はMRI室近くに掲示してありますので、ご活用ください。
病気について先生から話がありました。子どもに病気のことや、これからの治療など、どのようにお話ししたらいいのかわかりません。私たち親でも、難しくて、どう説明していいのかわかりません。
病気や治療について、子どもにお話しするのは確かに難しいですよね。なんで具合が悪くなっちゃったのか、これからなにをしていくのか、なんのために治療をしているのか、わからずに家族と離れて入院することは不安や恐怖に繋がってしまうかもしれません。親御さんが聞いた全ての情報を子どもが理解するのは難しいと思われます。子どもの発達や特性に合わせた方法で、病気や治療についてお話ししていけるように、医師、看護師、CLSと一緒に考えていきましょう。
最近、きょうだいが、怒りっぽいように感じます。きょうだいには、まだ、入院している子どもの病気についても話せていません。どうしたらいいですか?
『怒りっぽい』というのは、きょうだいが発する「さみしいよ。不安だよ。助けて。」というサインかもしれません。まずは「〇〇が入院してから、ゆっくりお話できていなかったね。」とお話する時間を作ることから初めてみてください。自分も大切な存在なのだと感じられたり、自分の気持ちを受け止めてもらうことで安心感を得ることができます。入院している子どもの状況について説明されていない場合、きょうだいは不安や孤独感を感じます。病気や治療、入院生活や今後の見通しなど情報を伝えることが安心感に繋がります。
子どもに発達の遅れがあります。入院と手術が予定されていて心配です。事前に相談することはできますか?
お子さんの発達特性を踏まえた上で親御さんと共に支援していきたいと考えています。外来の看護師にお子さんの日頃の様子や心配なことをお話ください。例えば、コミュニケーションの仕方、発達の特性、苦手や嫌悪を感じる物事、今までの医療体験とその反応など教えていただいた内容を病棟看護師さんへ申し送りしています。必要時、外来でCLSと面談を行い、お子さんへの入院や手術の説明方法について相談することもできます。また、ご相談いただいたお子さんの情報を事前に病棟看護師や保育士と情報共有し支援体制を整えることもできます。