ここから本文です。
ホーム > 教育・文化・スポーツ > 歴史・文化 > 文化・文化財 > その他の文化資源 > 語り継ごう千葉の民話・民謡・童謡 > 民話・民謡・童謡の一覧 > (大多喜町)狐にばかされた与太郎
更新日:令和6(2024)年2月19日
ページ番号:5978
むかし、むかし、今の西畑小学校の近くに酒好きの与太郎(よたろう)という百姓(ひゃくしょう)がすんでいました。
ある秋の日でした。与太郎は平沢(ひらさわ)のしんせきの家に稲刈(いねか)りの手伝いに出かけました。仕事が終わり、酒をごちそうになって、ほろよい気分で帰る途中のことでした。ちょうど船塚橋(ふなつかばし)まで来ると若いむすめが立っていました。
「与太さん、稲刈りごくろうさんでした」
と与太郎の手をとって歩き出しました。しばらく行くと
「さあ、お入りください」
というので、見ると湯気(ゆげ)がモウモウとたっています。与太郎は着物をぬぐとザブンとお湯(ゆ)に入りました。
「いい気持ちだ。いい気持ちだ」
と目をとじて首までつかりました。(ところで見たことがないが、いったいどこのむすめっ子だろう)不思議(ふしぎ)に思って
「むすめさんやむすめさん」
とよびましたが返事(へんじ)がありません。
「おーい、むすめさんやーい」
ありったけの声でよびました。
でも、返事がありません。
「おーい、むすめさん。むすめさん」
何度も何度もよびましたが返事がありません。
ちょうどその時、近くを通りかかった徳兵衛(とくべえ)さんが、(あれ、あの声は与太郎ではないか。いったい何ごとだ)と、声のする方に行ってみると畑の肥溜(こえだ)めに与太郎が気持ちよさそうにつかっているではありませんか。
「与太さん、与太さん。どうしたんだい」
声をかけると、与太郎は不思議そうな顔をして徳兵衛の顔をじっと見ています。徳兵衛が
「さあ、はやくあがんなよ」
と手をさしだしました。しかし、その臭(にお)いのひどいことといったらありません。近くの川におりて身体(からだ)を流してやると、与太郎はやっと正気にもどり、きつねにばかされたことに気づきました。
このあたりは、よくきつねが出て人をばかしたそうです。近くには「狐原(きつねっぱら)」とよぶ地名も残っています。
おしまい
関連リンク
お問い合わせ
※内容については、お手数ですが「問い合わせ先」の各市町村へお問い合わせください。
より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください