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更新日:令和6(2024)年2月19日

ページ番号:5976

(大多喜町)仁王様と盗人

内容

むかし、むかしのことだ。時々生(なま)あたたかい風がふく、丑三つ時(うしみつどき)だった。寺の境内(けいだい)に人影が。頬被(ほうかぶ)りした怪しい景だ。どうも盗人(ぬすっと)のようだ。

盗人は辺りを見回すと、本堂の入口の戸をゆっくり開けると草履(ぞうり)をぬいで入っていった。人影は本堂の正面に鎮座(ちんざ)している金の仏像に近づいた。人影は仏像をにぎると
「仏様すみません。いただいていきます」
手を合わせて頭を下げると、懐(ふところ)から風呂敷を取り出して仏像をていねいに包んだ。

ふところに入れると、忍(しの)び足で本堂を出た。その時だ、気がゆるんだせいか屁(へ)をしたくなった。
「俺の屁は大きな音がする。がまん、がまん」
そう言い聞かせて、長い石の階段をすばやく降(お)りようとした。しかし、あまり慌(あわ)てていたので一歩踏みはずして
ドドドードデーン
階段下まで転げ落ちた。その時だ、大きな足が盗人の頭を踏みつけた。
「痛い、だれだ。足をどかせやがれ」
叫んだ。

「わしじゃ。寺の山門にいる仁王じゃ」
と太い声が返ってきた。さらに今度は、別の大きな足が盗人の腹にのった。その時だ
ブッブー
大きな音が闇夜(やみよ)に響いた。音も大きいが、臭(くさ)いといったらありゃしない。二体の仁王様は
「くせー。こりゃ、たまらねえー」
「くせー、くせー」
と盗人を捕らえることを忘れ、逃げ出した。

盗人は、しめたこの時だ、と走り出した。二体の仁王様は
「まてー、待てー」
と追いかけた。盗人はあんまり急いだので、ふところの仏像がコロコロ転げだした。仁王様は仏像を拾(ひろ)うと本堂にもどした。
この後も、お寺に盗人が入ると二体の仁王様が寺の宝物を守ってくれたんだと。

おしまい

 

出典・問い合わせ先

  • 出典:「広報おおたきNo.436」(「ふるさと民話さんぽ」斉藤弥四郎)
  • 問い合わせ先:大多喜町外部サイトへのリンク

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