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更新日:令和6(2024)年2月19日

ページ番号:5975

(大多喜町)ぼてふり平さん

内容

浜から魚や干物(ひもの)を天秤棒(てんびんぼう)でかついで売りにくる人を「ぼてふり」とよんでいました。むかしは、ぼてふりが老川によくやってきました。平(へい)さんも、その一人でした。

日ざしのあたたかい、秋の日のことでした。平さんはいつものように魚や干物をかついで、老川に向かいました。

 

平さんはひたいに汗をにじませながら、山道を歩いていました。

外出川(とでがわ)にさしかかりました。川は浅くて小さな谷川ですから、跳(と)び石がおいてあるだけで橋はかかっていません。

ふしぎなことに、その日は天気がいいのに、水かさがあって跳び石もみえません。今までこんなことはありませんから、平さんはびっくり。

「こりゃあ、こまったなぁ」

「川をわたれないや・・・」

一人ごとを言いながら、天秤棒で水の深さをはかりました。

「これなら、わたれそうだ」

ジャブジャブ、ジャブジャブ川に入って行きました。

そうして、やっとのことで向こう岸にたどりつきました。

「さあ、先を急ごう」

としました。しかし

「何かたりないなあー」

と思いました。そうそう

「桶(おけ)をむこう岸においてきた。なんていうことだ」

まぬけな自分にあきれながら、川をみていました。

 

「なに、なに・・・・」

平さんはびっくり。先ほどまでゴウーゴウー音をたてて流れていた川が、今はチョロチョロと流れているではありませんか。どうも、がてんがいきません。

チャプチャプ、チャプチャプ桶をとりにまた川をわたりました。かごは、もとの所に二つならべておいてありました。

「よいこらしょ」

桶をかついでみますと、ばかに軽いではありませんか。

「おかしいな」

とおもいながらふたをとってみました。

「やられた」と思いましたが、あとのまつりです。

そうです、きつねにばかされたのです。むかし、老川の山にはきつねがたくさん出て、人をよくばかしたそうです。

 

おしまい

 

出典・問い合わせ先

  • 出典:「広報おおたきNo.418」(「ふるさと民話さんぽ」斉藤弥四郎)
  • 問い合わせ先:大多喜町外部サイトへのリンク

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