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更新日:令和6(2024)年2月19日
ページ番号:5994
むかし、むかし。いたずらばかりする子供がいた。小さい子どもたちをいじめる乱暴者(らんぼうもの)だった。
ある時、この乱暴者(らんぼうもの)が犬を木にしばりつけ、棒(ぼう)でたたいていじめていた。犬はこわがってキャンキャン・・・鳴いた。
それでも、乱暴者(らんぼうもの)はおもしろがって、なんどもなんども棒でたたいていじめた。とうとうがまんできなくなった犬は、キャーンと子どもにとびかかった。乱暴者(らんぼうもの)は
「こんちくしょう。おれに手むかう気か」
と言ってとがった竹の棒(ぼう)を投げつけた。竹の棒は犬の腰にささり、血を流しながらたおれた。
「ほれみろ、おれに手むかうやつは、みな、こうなるだ」
乱暴者(らんぼうもの)はいばって帰って行った。犬はクンクンクンクン悲しい声で鳴いた。その後、犬は足をひきずるようになり、とうとう傷(きず)がもとで死んでしまった。
おそろしいのは、そのあとのことだ。乱暴者(らんぼうもの)が、犬と同じように、足をひきずるようになった。しばらくすると、こんどはワンワン・・・ワンワン鳴くようになった。とうとうしまいには、よだれを流して口もきけず苦しみ、ただクンクン・・・・・・クンクン・・・・・・鳴きながら死んでいった。
「犬をいじめた、たたりだろう・・・・・・」
「あん子は、いたずらばありしていたからな・・・・・・」
「でも、かわいそうに・・・・・・・・・」と言って、村の衆は寺の庭に犬と子どもを手あつくほうむった。
不思議なことに、このお墓をお参りした者には御利益(ごりやく)がたくさんあった。ことに浜の猟師たちには、きまってたくさんの魚が捕(と)れた。そこで『犬神さま』として、まつられるようになった。これを聞くと猟師たちばかりでなく、大勢(おおぜい)の人がお詣りにやって来るようになり、寺はにぎわった。
しかし、今はそのおもかげはない。墓石と小さな犬の石像だけが残っているだけだ。
おしまい
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