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更新日:令和4(2022)年2月24日
ページ番号:27867
県内の地すべり地の大部分は、嶺岡隆起帯及び隣接地に集中して分布しており、特に、南房総市平久里中より東部では、一連の山稜の南斜面に帯状に連続して分布しているのに対し、西部では帯状の連続性はなく、散在して分布する傾向があります。これらの分布の特徴は、地形・地質状況と極めて密接な相関性を有しています。すなわち、東部では超塩基性岩(主に蛇紋岩)の貫入をともなう造構造運動によって「山体の変形→嶺岡層泥岩の劣化」という過程を経て、地すべり発生の素因が形成されました。これらの南斜面直下には、曽呂川や西平川など主要河川が山稜と平行に流下しており、河川による斜面末端部の侵食が初生的な滑動の誘因の一つになったものと考えられます。さらに、超塩基性岩貫入時に形成された破砕帯に沿って被圧地下水が上昇し、これが斜面を流下していることも大きな誘因となっています。このように、東部では山稜に沿った地質的素因のみならず、誘因となる河川もこれに沿っているため、地すべりも帯状に連続して分布していると推察されます。一方、西部では隆起をともなう造構造運動によって「山体の変形→保田層・佐久間層の泥岩の劣化」という過程を経て、地すべり発生の素因が形成されているものの、山体の地塊化およびその後の沖積層の堆積によって、斜面直下が平坦面となっているところが多く、このため主要河川との直接の関連はなく、むしろ斜面内に形成された沢の侵食作用による渓岸崩壊が地すべりの誘因となっていると思われます。したがって、西部では、地すべりが散在して分布する傾向があると推察されます。次に、その他の特性としてブロックの細分化があります。地すべりの規模は、幅20m~30m、奥行50m~80m、移動土塊の層厚は3.0m~5.0m程度の小規模なブロックとなっていますが、これが序々に上部斜面や隣接斜面に波及、進行し、広大な地すべり地形を形成しています。また、地表はほとんど一様な緩勾配の斜面となり、すべり面の勾配は地表勾配とほぼ等しい緩傾斜を呈しています。滑動は比較的緩慢ですが、斜面の安定度は非常に悪く、少量の土工によっても滑動が活発化する特性を有しています。さらに、極めて豊富な浅層水によって土塊が飽和状態となっているため、ある程度滑動が進行すると泥流状となり、流動性をもった運動状態に移行します。対策工の方針として、地下水面を下げて斜面の安全度を高めることを第一義的に考え、地表水排除工(水路工)、地下水排除工(明暗渠工・横ボーリング工)などによる抑制工を実施し、必要に応じて杭工、アンカー工、押え盛土工などの抑止工を併用しています。また、渓流侵食によって後退性地すべりを誘発させるおそれのある箇所には、床固工も実施しています。
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