令和4年度児童相談所における第三者評価の実施結果について
発表日:令和5年6月9日
健康福祉部児童家庭課
令和元年に改正された児童福祉法において、「都道府県知事は、児童相談所が行う業務の質の評価を行う等により、当該業務の質の向上に努めなければならない」と規定されているところです。
これに基づき、令和4年度については、市川児童相談所、銚子児童相談所、柏児童相談所(相談部門)、君津児童相談所(相談部門)において第三者評価を実施し、この度その結果がまとまりましたのでお知らせします。
1 児童相談所の第三者評価について
第三者評価を行うプロセス並びに評価結果を踏まえ、「機能しているところ」や「改善すべきところ」を確認し、児童相談所の質の確保・向上を図ることを目的とするとともに、今後の千葉県における児童虐待防止対策推進のための参考とします。
なお、児童相談所の第三者評価は、利用者への情報提供を目的として実施するものではありません。
2 評価の実施方法
(1)評価業務委託先
ア 市川児童相談所及び銚子児童相談所(相談部門及び一時保護部門)
一般社団法人Riccolab.(福祉サービス第三者評価機関 所在地:東京都渋谷区)
イ 柏児童相談所及び君津児童相談所(相談部門)
合同会社フェアリンク(福祉サービス第三者評価機関 所在地:東京都世田谷区)
※令和3年度は、柏児童相談所及び君津児童相談所に係る第三者評価について、委託事業者を公募型プロポーザル方式により募集しましたが、応募する事業者がなかったため、一時保護部門のみ実施しました。そのため、令和4年度は前年度実施できなかった両児童相談所の相談部門について、第三者評価を実施しました。
(2)評価実施日程等
ア 市川児童相談所(相談部門及び一時保護部門)
(ア)職員・児童等への調査 令和4年10月28日(金曜日)から令和4年11月22日(火曜日)
(イ)訪問調査 令和4年12月5日(月曜日)、12月28日(水曜日)
イ 銚子児童相談所(相談部門及び一時保護部門)
(ア)職員・児童等への調査 令和4年10月28日(金曜日)から令和4年11月22日(火曜日)
(イ)訪問調査 令和4年12月12日(月曜日)、12月15日(木曜日)
ウ 柏児童相談所(相談部門)
(ア)職員・児童等への調査 令和4年10月28日(金曜日)から令和4年12月13日(火曜日)
(イ)訪問調査 令和4年12月22日(木曜日)
エ 君津児童相談所(相談部門)
(ア)職員・児童等への調査 令和4年10月17日(月曜日)から令和4年11月30日(水曜日)
(イ)訪問調査 令和4年12月15日(木曜日)
(3)評価方法
- ア 児童相談所職員による自己評価とその集計結果の報告
- イ 措置児童に対する調査(書面によるアンケート調査)の実施とその集計結果の報告
- ウ 関係機関に対する調査(書面またはインターネットによるアンケート調査)の実施とその集計結果の報告
- エ 定例の援助方針会議へのオブザーバー参加
- オ 訪問調査(管理・指導職層の職員に対するヒアリング及び取り組みの根拠となる資料・記録類の確認)の実施
- カ 受審施設に対する評価結果のフィードバック
3 第三者評価の結果等
市川児童相談所(相談部門)
これまで行ってきた取組に対して評価を受けた主な項目
課内研修の計画的な推進
- 一時保護所も含めて、職員数が少ない状況のまま事業を進めざるを得ない中で、課内研修を開始して職員の専門性向上に努めている。
- 研修内容についても、法律や医学など、児童相談所職員として必要とされる児童福祉領域の周縁部分にまで行き届く設定となっている。
今後改善の取組が必要と考えられる主な項目
児童相談所を必要とするニーズにこたえるための人材の確保
- 現在勤務している職員の約7割が勤務経験5年未満という状況の中、児童相談所を必要とするニーズが年々増加傾向となっている。
- そのため、多種多様な相談への対応が適宜、適切に行われていないとの職員の自己認識も高まっており、対応できる人材の確保が課題となっていることから、各種施策が着実に育成につながっているかを把握しつつ、継続的に助言・指導していくことが望まれる。
市川児童相談所(一時保護部門)
これまで行ってきた取組に対して評価を受けた主な項目
職員間でのコミュニケーション等による連携の強化
- 一時保護所の機能の特性から、子どもの人数が日々変動する状況の中、職員同士が役職や担当等の立場を超えて率直に意見交換し合える職場風土のもと、子どもに関する情報についてコミュニケーションを丁寧に図っている。
- 子どもの個別情報を迅速に共有しつつ、職場全体で子ども一人ひとりに適した養育・支援となるよう努めている。
今後改善の取組が必要と考えられる主な項目
居心地がよくプライバシーが確保できる環境作り
- 定員を28名に設定して運営している一方、実際にはその2倍ほどの子どもを受け入れる場合も多い状況が続き、子ども一人ひとりにとって居心地が良い生活環境を提供できているとは言えない現状がうかがえる。
- 定員超過の解消が急がれるとともに、空間や日課の工夫を行い、子どものプライバシーが確保できる環境作りに取り組んでいくことが期待される。
銚子児童相談所(相談部門)
これまで行ってきた取組に対して評価を受けた主な項目
子どもの最善の利益を考慮した職場風土の醸成
- 日頃、ワンフロアの職員室で勤務する環境の下、会議で検討する場面以外にも、適宜、カンファレンスを開催し、子どもの最善の利益に適した判断が組織的に行われるように努めている。
今後改善の取組が必要と考えられる主な項目
家庭復帰や里親に対する取り組みの充実に向けた組織体制の整備
- 社会的養護を必要とする子どもの施設、里親の受け入れ先が不足しており、一時保護所の長期入所が慢性化している。
- 専任で家庭調整をする家庭復帰支援員等の配置や、里親対応専門員等の増員により、家庭養護の受け皿の増加を推進することが望まれる。
銚子児童相談所(一時保護部門)
これまで行ってきた取組に対して評価を受けた主な項目
子どもの学習意欲を高める取り組みの実施
- 入所後に学力テストを実施し、学力や得意、不得意を把握したうえで、一人ひとりの子どもに応じた学習支援を通じて学習権を保障している。
- 教員資格のある学習指導員が配置され、既存のテキストの他、自作の漢字練習プリントや算数ゲームワークシートの使用、英語学習や理科の実験も行うなどして学習意欲を高める工夫もしている。
今後改善の取組が必要と考えられる主な項目
子どもにとって最適な生活環境を提供するための工夫
- 空間をカーテンで仕切る等により、子どものプライバシーを確保するよう努めているが、プライバシーを保護するための十分な生活環境を用意できない状況は改善が望まれる。
- 令和9年度には新築移転により個室が整備される予定となっているが、それまでの期間について子どもにとって最適な生活環境を提供するための工夫を進めることが期待される。
柏児童相談所(相談部門)
これまで行ってきた取組に対して評価を受けた主な項目
実践的な研修の計画的な実施及びケース検討を通じた職員同士の視点を深める取り組みの実施
- 県の研修に加えて所内の研修に力を入れており、リーダー層の職員が中心となって、それぞれの業務に即した実践的な研修を計画的に実施している。
- ・困難ケースを中心にグループスーパービジョン(※)の機会を設け、職種を超えて意見を出し合う中で、職員同士の視点を深める取り組みを行っている。
(※)「グループスーパービジョン」…支援をする中で、問題について担当者以外の職員も含めて意見を出し合い、解決策や対応方法を検討していくこと
今後改善の取組が必要と考えられる主な項目
職員の業務負担の軽減等の検討
- 児童福祉司一人当たりの担当ケース数は目に見えて減少しているものの、当児童相談所が目指す水準にはまだ開きがあり、引き続き適正化を図っていくことが望まれる。
- 今後、職場環境の改善や職員のストレスマネジメントをより一層進めるとともに、職員の業務負担の軽減に向けた取り組みについて、県の他の児童相談所とともに検討を進めていくことが期待される。
君津児童相談所(相談部門)
これまで行ってきた取組に対して評価を受けた主な項目
子どもの意見表明権の保障に向けた取り組みの実施
- アドバイザーとして登録された外部の弁護士が援助方針会議等に同席し、その際、一時保護所で生活する高齢児に対する個別面談を実施し、心配事や様々な意見を聞き取ってもらうなど、子どもにとって直接利害関係のない職員以外の大人による意見表明権(アドボカシー)の保障に向けた積極的な取り組みを行っている。
今後改善の取組が必要と考えられる主な項目
職員の離職を防止するための業務負担の軽減等の検討
- 県全体で専門職の人材流出が問題となっており、他の児童相談所ではキャリアを積んだ児童心理司が県外に流出する事例が見られている。
- 離職原因の原因となりやすい業務負担の軽減をさらに進めるため、AIを用いたアセスメントシートの分析及び意思決定の支援の取り組みについての検討を県の他の児童相談所とともに進めていくことが期待される。
4 報道発表
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