新井総合施設(株)(管理型最終処分場)への指導について
発表日:平成24年3月30日
環境生活部廃棄物指導課
新井総合施設(株)が君津市怒田に設置している管理型最終処分場において、周囲の観測井戸から、通常より高い濃度の塩化物イオンが検出された件について、事業者から3月26日に場内の保有水が流出しているとの調査結果の報告及びその改善計画書が提出されました。
県としては独自に実施した周囲の観測井戸における漏水の指標とした塩化物イオンに加え、臭素イオン及び有機フッ素化合物の調査結果から、処分場内の保有水が流出していると判断しました。
事業者からは、内部保有水の水位が高いため土(ど)堰堤(えんてい)から保有水が流出したと報告され、応急対策の実施と恒久対策が示されましたが、県は事業者に対し、
- (1)具体的な流出経路の特定、漏水の他の要因の検討、改善策の効果の確認など、より詳細な調査を実施すること。
- (2)改善策の効果が確認できるまで、産業廃棄物等の受け入れをしないこと。
などを本日、文書で指導(勧告)したところです。
なお、県が行った観測井戸の水質測定結果では、
- (1)地下水中の重金属等は環境基準内であったこと。
- (2)放射性セシウムは検出されなかったこと。
- (3)塩化物イオンの濃度も概ね低下傾向が見られていること。
から、周辺への影響はないと思われます。
県としても、引き続き監視指導を実施してまいります。
1事業者が示した調査結果及び改善計画の概要
(1)漏洩した原因の可能性について
- (1)埋立地内の保有水の水位が上昇したことにより、遮水工の上部にある不織布をとおり土(ど)堰堤(えんてい)の法(のり)尻(じり)から滲み出した保有水が埋立地外へ流出。
- (2)埋立地内の保有水の上昇により、平坦部の土(ど)堰堤(えんてい)の法(のり)尻(じり)に滲み出し、集水した保有水をピットに集めポンプで強制排水をしていたが、停電や流出土砂によりポンプの運転が停止し、ピットから内部保有水が流出。
- (3)周辺のガス抜き管から吹き出した内部保有水をピットに集めポンプで排水しているが、停電や流出土砂によりポンプの運転が停止し外部へ流出。
(2)井戸の汚染に至った経路
- (1)保有水は、土(ど)堰堤(えんてい)の遮水シート等の固定工や排水路の目地等の間隙から地下浸透して観測井戸を汚染。
- (2)流出した保有水が外周の排水路を経由して調整池に流下して、調整池を汚染し、観測井戸を汚染。
(3)対策について
- (1)土(ど)堰(えん)堤(てい)際の保有水排水機能の確保(ドレン管の設置)
- (2)観測井戸No.1、No.3周囲の汚染除去(現在、井戸水の汲み上げを実施)
- (3)埋立地内の排水管の増設
- (4)埋立地内に井戸を掘り内部保有水の排水 など
2県が実施した調査結果の概要
(1)水質調査結果
- (1)地下水の環境基準項目
ヒ素以外は検出されず、検出されたヒ素も環境基準値よりは、低い濃度であった。
- (2)放射性セシウム濃度
1月30日:観測井戸No.1、観測井戸No.3とも不検出(約1Bq/L未満)
2月23日:観測井戸No.1、観測井戸No.3とも不検出(約1Bq/L未満)
(2)内部保有水の漏洩調査
漏洩の事実を確認するための指標物質として、内部保有水に高く環境中で低い臭素イオンと内部保有水に高く自然界で合成されない有機フッ素化合物の調査を行った。
- (1)臭素イオン濃度
臭素イオン濃度は内部保有水で高い値を示しており、観測井戸No.1とNo.3で他の井戸より高い値となっていることから、埋立地内の浸出水(保有水)の影響を受けていると考えられる。
- (2)有機フッ素化合物濃度
有機フッ素化合物のうちPFOA(パーフルオロオクタン酸)は、内部保有水に高く検出されており、自然界では生成されることのない物質のため、観測井戸No.1とNo.3で高く検出されていることから、埋立地内の浸出水(保有水)の影響を受けていると考えられる。
- (3)塩化物イオン濃度
観測井戸No.1、観測井戸No.3でやや低下傾向を示している。
(3)漏水検知システムの確認
- (1)電気的漏水検知システムの作動確認(24年2月15日)
埋立地内の一角において、漏水検知システムの作動確認したところ、異常はなかった。
参考
1県の調査結果
(1)臭素イオン濃度
- 臭素イオンは、塩素イオンと同様内部保有水に高く存在している。
- 観測井戸No.1及び観測井戸No.3は他の観測井戸に比べ臭素イオンも高くなっていることから、内部保有水の影響を受けていると考えられる。
(2)有機フッ素化合物
有機フッ素化合物は、化学合成で作られたもので自然界で生成されない物質である。PFOAの値を見ると県内河川の測定結果では、平均値は約12ng/Lとなっており、40ng/Lを超える地点は2地点だったことから、この値と比較すると、観測井戸No.1と観測井戸No.3で大きく超える値が測定されたため、この二つの井戸は内部保有水による影響が出ていると考えられる。
(3)塩化物イオン濃度
- 観測井戸No.3は、徐々に低下傾向が見られる。
- 観測井戸No.1は、変動が大きいが横ばいから低下傾向となっている。
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