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千葉県議会 > 本会議・委員会 > その他の特別委員会 > 東日本大震災復旧・復興対策特別委員会県内調査報告書(その1)
平成23年6月1日
千葉県議会議長伊藤和男様
東日本大震災復旧・復興対策特別委員長宇野裕
本委員会が県内調査を実施したところ、その概要は下記のとおりでした。
記
(1)日時:平成23年5月31日(火曜日)10時22分から11時15分
(2)経過
我孫子市布佐地区にて、我孫子市長ほか市職員と合流後、布佐地区内の被災民家、商店街等にて市長、市職員及び住民の方々から被災状況の説明を受けながら調査を行った。
(3)概要説明
我孫子市における被害の状況は、幸い人的被害はなかったものの、家屋等への被害が多数発生した。5月6日現在の被害状況は、市民の家屋においては、住家553件、非住家21件、計574件。公共施設においては、90施設、約600件で被害総額約24億8,500万円となっている。重大な家屋の被害は、そのほとんどが地盤の液状化が起因しているものと考えられる。
また、布佐東部地区における被害状況としては、特に成田線布佐駅東側の区域では、被害が著しく、全壊家屋のほとんどがこの地域に集中している。なお、地下からの水が噴出し始めたのは、本震の約30分後に発生した余震直後だったとの証言が被災地周辺の住民から寄せられている。
布佐東部地区における家屋等の重大な被害は、地盤の液状化が発生した約13ヘクタールの区域に集中している。
被害が集中した場所は、明治3年に利根川の堤防が決壊して洪水となり、その後も、幅100メートル、長さ500メートルの沼や、堀となって残っていた場所と一致していることが、地震後の調査で明らかになっている。これらの沼などが昭和27年からの河川改修工事において浚渫土により埋め立てられ、その後昭和30年代当初の区画整理事業により宅地化された。
液状化は、主にこの地域で発生していることから、当時の埋め立て土砂が起因していると考えられる。
(4)主な質疑応答
問.地震発生後どのくらいでこのように家が傾き、損壊したか(液状化により家が傾いた住家にて)。
答.記憶では夕方くらいに発生した大きな地震発生時である。現在はここには住めない状況である。このような傾いた家で生活したならば、三半規管がおかしくなるであろう。
(5)市からの要望
(1)日時:平成23年5月31日(火曜日)12時45分から13時40分
(2)経過
浦安市今川地区にて市職員と合流し、同地区、明海小学校、日の出地区等にて市職員から被災状況の説明を受けながら調査を行った。
(3)概要説明
浦安市における被害の概要は、被災者数96,473人、被災世帯数37,023世帯、液状化面積約1,455ヘクタール、下水道破損地区面積約820ヘクタール、道路の被害延長111.8キロメートル、応急危険度調査対象8,878戸となっている。
ライフラインの復旧状況は、ガスは3月30日に、上水道は4月6日に、下水道は4月18日にそれぞれ応急復旧が完了した。
平成21年6月に内閣府が示した「災害に係る住家の被害認定基準運用指針」等に基づいた被害認定調査の結果では、全壊が8件、大規模半壊が0、半壊が33件、一部損壊が7,930件、被害なしが1,028件となり、今回の大震災の地盤の液状化による住家被害の実態に即していない状況が出てきた。そこで液状化被害等の実態を踏まえながら、住家被害認定の運用の見直しが行われた。その見直しのポイントは、傾斜による判定が追加(基礎と柱が一体的に傾く場合)され、基礎と柱が一体的に傾く場合、外壁または柱の傾斜により被害程度を判定する、というものである。この新基準適用により、全壊が12件、大規模半壊が1,387件、半壊が1,912件、一部損壊が5,100件、被害なしが1,290件となった。(5月16日現在の調査物件数)
また、平成19年の都市計画基礎調査での航空レーザー計測による高度の調査と今回の震災後の調査との比較により、明海小学校周辺や日の出地区辺りの地盤沈下が多く見られるほか、市内が全体的に沈下していることが分かる。
(4)主な質疑応答
問.液状化により噴出し、日の出地区に山のように積載された砂はどのように処理されるのか。
答.これらは産業廃棄物扱いとなり海への投下もできず、その対応に苦慮している。
(5)市からの要望
(1)日時:平成23年5月31日(火曜日)13時56分から14時28分
(2)経過
塩浜2丁目護岸にて県河川整備課長及び県環境政策課職員と合流後、同地における被災状況の説明を受けながら調査した。次に塩浜1丁目護岸へ移動し、市長及び市職員と合流後、同地における被災状況の説明を受けながら調査した。
(3)概要説明
今回の震災により、三番瀬の干潟の一部が沈下していることがわかった。
基準値から10から20センチ沈下しているようだが、秋ごろには正確な数値が出る見込みである。また、大潮の干潮時にも干潟が現れないという状況がおきている。
塩浜1丁目護岸は護岸が海域側に傾き、護岸敷は沈下や陥没、舗装版が壊れるなどの被害を受けた。これからの台風シーズンに備え、安全対策を早急に図る必要がある。このことは、5月16日に知事あてに要望書として提出したところである。
また、津波と液状化により、浅瀬だったところの干潟が見えなくなってしまったことで、漁業環境に何らかの影響が出ているのではないかということを懸念している。
(4)主な質疑応答
問.塩浜1丁目護岸(約600メートル)の完成形はいくらかかるのか。また捨石だけではいくらかかるのか。
答.完成形では約14億円かかる。また捨石だけでは約1億円かかる。
(5)市からの要望
塩浜1丁目護岸(約600メートル)については、県が平成25年度の完成を目指し、今年度から約300メートル区間の捨石工事を実施する計画であるが、捨石工事の更なる延長などにより、約600メートル全区間の早急な安全対策を実施していただきたい。また、全区間の早期完成をお願いしたい。
あわせて、漁業環境への影響にかかる実態調査も実施していただきたい。
(1)日時:平成23年5月31日(火曜日)14時58分から15時39分
(2)経過
習志野市香澄地区にて同市職員と合流し、その後香澄小学校にて習志野市長、同市議会議長と合流。車中にて市の被災状況の説明を受けた。その後、同市香澄地区の汚水放流箇所、陥没箇所、液状化箇所にて市住宅整備部長及び市職員、また市民の方から被災状況の説明を受けながら調査を行った。
(3)概要説明
習志野市における5月17日現在の被害状況は、人的被害においては、死亡者1名、負傷者6名、家屋被害においては、全壊7件、大規模半壊141件、半壊414件、一部損壊3,617件、物的被害としては火災1件となっている。主なライフライン、インフラの状況としては、電気、ガス、上水道は5月20日時点では全て復旧しているものの、下水道においては、3月22日時点で下水道の排水不良区域が500ヘクタール(国道14号以南の香澄・秋津・袖ケ浦・谷津地区)。うち下水道管が土砂で埋まって使えない区域が約50ヘクタール(約1,500戸)となり、マンホールから溢水が生じたため、緊急的に菊田川へ放流した。その後5月20日時点でも、排水不良区域が500ヘクタール(国道14号以南の香澄・秋津・袖ケ浦・谷津地区)は変わらず。下水道管が使えない区域における汚水管の清掃や管内カメラ調査を実施した。菊田川の簡易処理施設は4月29日で完成、塩素を添加し放流した。これは6月末目途に段階的に緩和し、抑制区域とする予定となっている。
(4)主な質疑応答
問.下水道等の復旧の見込みはどうか。
答.応急対応は取り急ぎ行うが、最終的には4年くらいかかると思われる。道路の復旧も行わねばならないが、まず地下にある下水道の復旧を行ってから道路に取り掛かかることになり、道路についても高さを揃えるまでの本格的なものとなると、6年はかかる見込みである。
問.仮設トイレは今設置しているのか。
答.今、学校や公園等に設置している。まだ下水道が全て復旧していないため、一定の場所に設置して住民の方に利用していただいている。
(5)市からの要望
下水道の災害復旧については、「都市災害復旧事業国庫補助に関する基本方針」、道路については、「公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法」により、国庫補助事業として事業を進める予定だが、災害査定は、応急的処置的な観点により査定が行われることとなる。実態として、耐用年数に達しつつある管きょについては、損傷の応急処置のみでは近いうちに再び更新のための入れ替え等の工事を要することとなるほか、管理者としては、再び起こりうる液状化現象の対策のため、耐震対策を講じた管きょの整備を行わなければならないという責務もある。また、道路についても、応急的な処置では、本来あるべき道路構造までの復旧には至らず、利用者に不便を強いることとなる。
安全で安心なまちの復興を目指し、応急措置ではない下水道、道路等の都市基盤施設の万全な復旧を実施するためには、市町村が確保出来る予算に加えて国庫補助金並びに起債制度の活用による予算の拡充が必要である。
近日中に予定されている災害復旧の査定においては、査定基準の緩和について一層ご考慮いただけるよう国にご要望いただくとともに、市町村の災害復旧事業に対する県、国のさらなるご支援を要望するものである。
(1)日時:平成23年5月31日(火曜日)15時58分から17時11分
(2)経過
まず、アクアリンクちばにおいて、施設内会議室で同教育委員会社会体育課長補佐、アクアリンクちば指定管理者株式会社レジャーインダストリー所長から同施設の概要及び被災状況の説明を受け、その後被災箇所を確認しながら調査を行った。
次に、高浜南住宅へ移動し、同自治会長及び自治会の方から被災状況の説明を受けながら調査を行った。
(3)概要説明
[アクアリンクちば]
本施設は、隣接の新港クリーン・エネルギーセンター(新港清掃工場)から供給される電気と蒸気を利用したアイススケート場及び温浴施設(温水プール)であり、平成17年にオープンした。施設の管理運営は、指定管理者制度及び利用料金制度により、民間事業者が独立採算で管理しており、余熱利用施設として、電気及び蒸気については清掃工場より無償提供を受けている。
今回の地震では建物自体の損壊はなかったが、周辺の液状化、地盤沈下が非常に激しかったために、給排水設備、冷暖房設備が完全に破壊されてしまった。千葉市はこれから6月議会が始まるため、こちらの災害復旧補正予算を1億1,000万円盛り込み、全て市債で対応したいと考えている。
[高浜南団地]
地震発生後、1週間の断水があった。また、220トンもの土砂が浮き出た。この土砂の処理の負担は、公的な補助がないので住民で行った。
また、災害復旧対策小委員会を毎週水曜日に開催し、被害状況の調査・確認と復旧対策工事の概算見積書、優先順位、各工事の仕様、資金繰りなどの検討を行った。その結果5月29日付けで自治会内住民の方へ災害復旧対策本部の活動報告として復旧に係る「行程表」を発表した。これらの工事等にかかる費用は、概ね1億5,000万円かかる見込みである。
(4)主な質疑応答
問.地震後のアクアリンクちばの営業状況はどうなのか。
答.今回の地震により施設の安全確認も含め、完全に一時営業をストップした。トイレの給排水が損壊したため早急な復旧により、4月9日からスケートリンクのみ再開した。
問.給排水管等の復旧工事に対する公的な補助はあるのか(高浜南住宅にて)。
答.補助対象は一戸建てのみである。このような復旧にかかる費用を何とか公的補助にて負担してもらいたい。
職名 | 氏名 | 会派 |
---|---|---|
委員長 | 宇野裕 |
自民党 |
副委員長 | 佐藤正己 |
自民党 |
委員 | 阿井伸也 |
自民党 |
委員 | 谷田部勝男 |
自民党 |
委員 | 臼井正一 |
自民党 |
委員 | 今井勝 |
自民党 |
委員 | 鈴木衛 |
自民党 |
委員 | 村上純丈 |
自民党 |
委員 | 木村哲也 |
自民党 |
委員 | 花崎広毅 |
民主党 |
委員 | 矢崎堅太郎 | 民主党 |
委員 | 阿部俊昭 |
公明党 |
委員 | 小松実 |
共産党 |
委員 | ふじしろ政夫 |
市社無 |
委員 | 松戸隆政 |
みんな |
職名・所属 | 氏名 | 備考 |
---|---|---|
防災危機管理監 | 岩舘和彦 | - |
防災危機管理監付理事 | 吉田雅一 | - |
防災危機管理監防災危機管理課長 | 布施高広 | - |
防災危機管理監防災危機管理課副主幹 | 渡邉晃 | - |
総務部総務課主幹 | 武本優 | 議事課主幹(併任) |
議会事務局議事課班長 | 伊菅久雄 | - |
議会事務局議事課主査 | 江波戸春美 | - |
議会事務局議事課主査 | 本間正人 | - |
5月31日
場所 | 着 | 発 | 備考 |
---|---|---|---|
県議会 | - | 9時08分 | - |
我孫子市(布佐地区) |
10時22分 | 11時15分 | 調査 |
浦安市(明海小学校・日の出地区) | 12時45分 | 13時40分 | 調査 |
市川市(市川塩浜護岸・三番瀬) | 13時56分 | 14時28分 | 調査 |
習志野市(香澄地区) | 14時58分 | 15時39分 | 調査 |
千葉市(アクアリンクちば) | 15時58分 | 16時30分 | 調査 |
千葉市(高浜住宅) | 16時38分 | 17時11分 | 調査 |
県議会 | 17時40分 | - | - |
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