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更新日:令和4(2022)年5月31日
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感染源調査
感受性調査
日本脳炎ウイルスJaGAr#01株を用いて、赤血球凝集抑制(HI)試験により県内ブタの日本脳炎ウイルス抗体価を測定した。HI抗体陽性ブタは、日本脳炎ウイルスに感染したことを意味する。HI抗体保有率が高い時期には日本脳炎ウイルスが県内に存在しているため、感染に注意が必要である。調査対象は、前年の秋以降に生まれたブタで、媒介する蚊が活動する8月から9月にかけて毎週10頭から採材し、計80検体のHI抗体価の測定を行った。結果、全ての検体においてHI抗体価は10倍未満であった。
参考:感染症流行予測調査速報:夏期におけるブタの日本脳炎抗体保有状況(国立感染症研究所)
7月から12月にかけて、県内流域水道の中継ポンプ場1カ所で得られた環境水計60検体について、ポリオウイルスの検査を行った。結果、全て陰性であった。
2019/2020シーズンのインフルエンザワクチン株であるA/ブリスベン/02/2018[A(H1N1)pdm09亜型]、A/カンザス/14/2017[A(H3N2)亜型]、B/プーケット/3073/2013[B型(山形系統)]、B/メリーランド/15/2016[B型(ビクトリア系統)]の4種類の株について、赤血球凝集抑制(HI)試験により抗体価を測定した。HI抗体価40倍以上(重症化予防または感染リスクを50%に抑える目安)の抗体保有率を各年齢群で検討した。各年齢群の調査数は、0-4歳群11名、5-9歳群13名、10-14歳群21名、15-19歳群14名、20-29歳群43名、30-39歳群43名、40-49歳群61名、50-59歳群55名、60歳以上群25名であった。
A/ブリスベン/02/2018[A(H1N1)pdm09亜型]を調査株としてHI抗体価の測定を行った。抗体保有率は、5-9歳群、10-14歳群、20-29歳群の各年齢群では40%以上を示し、その他の年齢群と比較して高い傾向を示した。特に0-4歳と60-歳の年齢群では抗体保有率が10%未満であった。
A/カンザス/14/2017[A(H3N2)亜型]を調査株としてHI抗体価の測定を行った。抗体保有率は全ての年齢群で50%以下であった。今シーズンは調査株が変更となり、全体の抗体保有率は26.3%と、昨年より約30%低下し、4つの調査株の中で最も低い抗体保有率を示した。
B/プーケット/3073/2013[B型(山形系統)]を調査株としてHI抗体価の測定を行った。抗体保有率は、10-30歳代の各年齢群で80%以上の抗体保有率を示し、他の年齢群と比較して高かった。本調査株は5シーズン継続しており、全体の抗体保有率は68%で、4つの調査株の中で最も高い抗体保有率を示した。
B/メリーランド/15/2016[B型(ビクトリア系統)]を調査株としてHI抗体価の測定を行った。抗体保有率は、20-50歳代の各年齢群で50%以上の抗体保有率を示し、他の年齢群と比較して高かった。特に10歳未満の年齢群では10%以下の抗体保有率を示した。
年齢群別にPA抗体保有状況を調査した。日本環境感染学会が示す「医療関係者のためのワクチンガイドライン」によるワクチン接種推奨抗体価は256倍未満である。256倍以上の抗体価をもつ割合は、15-19歳群で57%と最も少なかった。1期接種後と考えられる2-3歳群で100%、2期接種後の7-9歳群で67%であった。10-14歳群は62%、20歳以上の年齢群では83~100%であった。
年齢群別にHI抗体保有状況を調査した。日本環境感染学会が示す「医療関係者のためのワクチンガイドライン」によるワクチン接種推奨抗体価は16倍以下である。16倍以下のものは、15-19歳群で34%と最も多かった(図4)。
男女間で比較すると、10歳以上の年齢群では差が認められた。特に15-19歳群の男性では、16倍以上の抗体保有率は50%と低い傾向がみられた(図5)。
年齢群別に中和抗体保有状況を調査した。発症予防に必要とされる中和抗体価は8倍以上であり、8倍以上を抗体保有とした。1型の抗体保有率は、7-9歳群の78%、40歳以上60歳未満の年齢群を除き、80%以上であった。2型の抗体保有率は、15-19歳群で79%だったが、残りの年齢群は80%以上であった。3型は、1型2型に比べ抗体保有率が低い傾向にあり、7歳以上の抗体保有率は80%に満たなかったが、不活化ワクチンを接種している年齢層(0-1歳群、2-3歳群、4-6歳群、7-9歳群)では、10歳以上に比べ高い抗体保有率で推移した。以前から抗体保有率が低いことが分かっている1975年~1977年生まれを含む40-44歳群は、本調査においても、特に1型で低い傾向が確認された。
EIA法を用いて年齢群別にIgG抗体保有状況を調査した。判定基準において抗体陽性と判断されるEIA価4.0以上の割合は、0歳、1歳、2-3歳群、4-9歳群、10-14歳群でそれぞれ0%、0%、67%、29%、62%となった。その他の年齢群では概ね80%を上回り、30歳群以上の年齢群では、90%を上回る結果となった。この事から、年齢とともにEIA価4.0以上の抗体保有率は増加することが確認された。
20歳以上の208名について、HPV16型に対するIgG抗体保有状況をEIA法で調査した。調査対象者のうち、ワクチン接種者は9名であり、3名が抗体陽性であった。結果、ワクチン未接種の12名を合わせて計15名が抗体陽性であった。
EIA法を用いて、HBs抗原、HBc抗体、HBs抗体の保有状況を調査した。HBs抗原は286名中5名(1.7%)から検出された。HBc抗体は286名中5名(1.7%)が陽性であった。また、HBs抗体は血清中の抗体価が10mIU/mL以上の場合を陽性とし、286名中63名(22.0%)が陽性であった。
HBs抗体陽性者のうち44名がワクチンを接種しており、12名が接種歴不明、7名が未接種であった。一方、HBs抗体陰性者においては、ワクチン接種者30名、接種歴不明103名、未接種者90名であった。
HBs抗原あるいはHBc抗体が検出された9名の検体について国立感染症研究所に依頼しDNA検査を実施したところ、全て陰性であった。
EIA法を用いて年齢群別にIgG抗体保有状況を調査した。判定基準において抗体陽性と判断されるEIA価4.0以上の割合は、0歳、1歳、2-3歳群、4-9歳群、10-14歳群においてそれぞれ、0%、50%、33%、36%、48%で、抗体保有率は年齢が上がる毎におおむね上昇傾向にあった。一方で15-19歳群で21%となり年齢群によって抗体保有率の低い年齢群が存在する事が確認された。
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