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更新日:令和4(2022)年5月25日

ページ番号:3593

生活環境業務の調査研究結果

平成30年度

新築建築物における室内環境中の揮発性有機化合物が水質検査へ与える影響

 千葉県衛生研究所を移設したことに伴い、実験室が新築建材由来の化学物質により汚染を受ける懸念が生じた。そこで、実験室内環境中の化学物質を静的な方法で採取し、水質基準項目にかかわる揮発性有機化合物(Volatile Organic Compounds:VOC)一斉検査へ与える影響を調査した。調査した結果、一般実験室においてトルエンおよびキシレンが微量に検出されたが、妨害ピークとなりVOC一斉検査に影響を及ぼす可能性は低いと考えられた。しかし、一般実験室において検水を開放系で放置すると、実験室内環境由来の汚染を受けることから、汚染を受けにくいケミカル成分除去実験室で一連の作業を行うことが望ましいと考えられた。

(平成30年度地方衛生研究所全国協議会関東甲信静支部第31回理化学研究部会研究会 : 静岡市)

平成24年度

レジオネラ対策における浴槽水中のATP 検査の有用性に関する検討

 サンプリングにマイクロピペットを必要とせず、浴槽水に浸すだけで一定量サンプリングできる水用サンプラーを用いて、県内の公衆浴場等18 施設で採水された浴槽水36 検体のATP 値を測定したところ、培養法では6検体(16.7%)、LAMP 法では10 検体(27.8%)からレジオネラ属菌DNA が検出された。いずれの検査法においてもATP 値が高くなるに従ってレジオネラ属菌検出率が高くなる傾向が見られたことから、ATP 測定法は環境衛生監視員が現場検査の中で浴槽水の衛生管理状態を把握する目的で有効に活用できるものと思われた。

 (第25 回地研全国協議会関東甲信静支部細菌研究部会研究会 (2013) : 横浜市)

レジオネラ対策における浴槽水中のATP 検査の有用性に関する検討

 県で購入したATP 測定器(サンプラーの種類:拭き取り用)を用いて簡便なサンプリング方法の検討を行った。サンプラーの綿棒部分を滅菌精製水に浸して、浸水時間ごとの吸水量を測定したところ、吸水量は時間とともに増加し、20 秒後149.98μL となり、その後はほぼ一定の値を示した。 次に、この方法と、分解したチューブにマイクロピペットで150μL 注入する方法とで測定値に差が出るのか実験してみたところ、このふたつの方法には統計学的に有意差は認められなかった。 以上の検討から、県では入浴施設の立入検査時に浴槽水中のレジオネラ属菌検査と併せて、浴槽水に綿棒を20 秒間浸す方法で、ATP 値の測定を行っている。

 (第51 回千葉県公衆衛生学会(2013) : 千葉市)

平成23年度

接着剤及び粘着剤不使用の床材施工における室内空気中SVOC の濃度調査

 シックハウス症候群を防ぐ目的で建設された実験棟において、6 名中4 名が吐き気の症状を訴えた。そのため、接着剤及び粘着剤を含まない床材にリフォームした際、準揮発性有機化合物(Semi-volatile organic compounds,SVOC)に分類される19 物質の濃度を調査した。施工前と後の濃度を比較すると、第1 室においてはTCIPP が1295ng/m3 から620.0ng/m3 に減少したが、DEP は13.5ng/m3 から100.1 ng/m3、DiBP は12.8 ng/m3 から152.4ng/m3、DnBP は49.9 ng/m3 から176.7 ng/m3 に増加した。第2 室においてはTCIPP が1977ng/m3 から1576ng/m3 に減少したが、DiBP は9.9 ng/m3 から85.0 ng/m3、DnBP は37.9ng/m3 から85.3 ng/m3 に増加した。対照として測定を行った第3 室においては、DiBP が3.5 ng/m3 から16.8ng/m3、DnBP は17.1ng/m3 から61.6 ng/m3、BBP は<3.0ng/m3 から72.9 ng/m3 に増加した。DEHP は1105 ng/m3から580.9ng/m3 に減少した。また、外気においての調査対象物質の濃度範囲は、<3.0 ng/m3 から19.8 ng/m3 であった。TCIPP は他の物質と比較すると床材施工後に大幅な減少が認められた。

 (第20 回日本臨床環境医学会学術集会 (2011):柏市)

千葉県内の源泉10 定点における泉質及び化学成分の2 年間の変動調査結果

 平成19 年の温泉法改正により温泉成分の10 年以内の定期的な分析が義務付けられた後、再分析を実施した温泉施設の分析結果を調査したところ、一部の源泉において泉質名等が変更となっていることが確認できた。更に短期間での変動状況を調査するため、千葉県内の源泉10定点を選定した。2 年間の変動調査においては、泉質名が変更となるほどの成分の変動は認められなかった。地形が山間部である定点は、各成分の変動が平野部及び海岸部の定点に比べて少なかった。しかし、塩化物イオンが1523 → 1248mg/kg 、ナトリウムイオンが316.1 →390.7mg/kg の変動が認められた2 ヶ所の定点は、山間部であっても掘削深度が各々70m、110m と浅いこと、川からの距離が120m、5m と近いことなどが変動と関連するものと推測された。大深度掘削、上総掘りの定点はいずれも主要成分が安定していることが確認できた。今年度の定点は、震災を挟んでの調査となったが、調査不可能となった定点を除き、震災が原因と思われる大きな変動は認められなかった。

 (第48 回全国衛生化学技術協議会年会(2011):長野市)

レジオネラ対策における浴槽水の簡易迅速な検査法(ATP 測定法)の有用性に関する検討

 サンプリングにマイクロピペットを必要とせず、浴槽水に浸すだけで一定量サンプリングできる水用サンプラーを用いて浴槽水のATP 値を測定したところ、検査法に関わらずATP 値が高くなるに従ってレジオネラ属菌検出率が高くなる傾向が見受けられた。このATP 測定法は、環境衛生監視員が現場検査の中で浴槽水の衛生管理状態を把握する目的で有効に活用できるものと思われた。
 また、試料水中のレジオネラ属菌を殺菌した場合、加熱殺菌ではATP 値が殺菌前の3 分の1 以下まで減少したのに対して、塩素殺菌では殺菌前とほとんど変わらないことが判明した。

 (千葉県衛研年報60、69-72、2011)(PDF:310KB) 

平成22年度

Exposure to semi volatile organic compounds including flame retardant indoor air

 In Chemiless Town of Chiba University, Japan,about 50 VOCs have been analyzed. However, semi volatile organic compounds (SVOCs) such as plasticizers and flame retardants which exist at extremely low concentration level have been also reported to cause Sick Building Syndrome, so SVOCs were analyzed and calculated. The concentration level of SVOCs of the 5 rooms were negligible except for Diethylhexyl phthalate (DEHP) and Tri(2-chloroisopropyl) Phosphate in April 2009. In August 2009 after changing the floor carpet, the DEHP decreased from 308 ng/m3 to 34.4 ng/m3. However, Tri(2-chloroisopropyl) Phosphate increased from 442 ng/m3 to 1240 ng/m3, showing the contribution of interior materials to indoor air VOC level.

 (International Society of Exposure Science(2010): Seoul, Korea)

床材リフォーム時における室内空気中の難燃剤を含めたSVOC の濃度調査

 準揮発性有機化合物(Semi-volatile organic compounds, SVOC)に分類される可塑剤及び難燃剤は、空気中濃度が低いため測定には大量の空気が必要である。更にフタル酸エステル類についてはコンタミネーションの機会が至るところにあるため、ブランクの低減が測定時の課題である。SVOC のうち、フタル酸エステル類7種類、アジピン酸エステル類1 種類、有機リン酸エステル類11 種類の測定が可能となったため、床材をリフォームした5 室についてリフォーム前後の室内空気を測定した。リフォームの前後においてフタル酸ブチルベンジル(BBP)以外の物質は全て検出された。フタル酸ジエチルヘキシル(DEHP)は308ng/m3 から34.4ng/m3 に減少、フタル酸ジイソノニル(DiNP)は51.4ng/m3 から<3.0ng/m3に減少、フタル酸ジ-n-ブチル(DnBP)は4.6ng/m3 から50.2ng/m3 に増加、リン酸トリス(2-クロロイソプロピル)(TCIP)は442ng/m3 から1240ng/m3 に増加した。

 (平成22 年度室内環境学会学術大会 (2010):横浜市)

お問い合わせ

所属課室:健康福祉部千葉県衛生研究所医薬品・生活環境研究室

電話番号:043-266-6723

ファックス番号:043-265-5544

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