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ホーム > 教育・文化・スポーツ > 歴史・文化 > 文化振興事業 > ちば海の魅力ポータルサイト > インタビュー企画「海と人」vol.1 たてやま・海辺の鑑定団 竹内聖一氏
更新日:令和6(2024)年11月1日
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千葉県の海に関わる様々な人を取材し千葉の海の魅力を語っていただきます。
初回は、館山市を中心に南房総地域の自然を生かした体験ツアーや、環境や生態系を守るための活動を続けているNPO法人「たてやま・海辺の鑑定団」理事長の竹内聖一氏にインタビューを行いました。
「南房総の海には体験観光が必要でした」そう話してくれたのは、『うみがめさん』というニックネームで親しまれる、NPO法人『たてやま・海辺の鑑定団』の理事長竹内聖一さん。千葉県館山市を中心に、南房総の自然を生かした体験ツアーや、環境や生態系を守るための活動を続けています。
生まれは東京だという竹内さん「高校生の頃市川市に越してきて。県内の海には釣りに出かけたり、遊びに行ったりしていました。それから、就職も千葉でしました。都会よりも自然の多い場所に身を置きたかったんです。館山に来たのもそういう理由からでした。働いていた家電量販店を辞めて、館山市のホテルに転職。その頃から、観光客の方に館山の海を案内しはじめましたね」
ホテルを訪れる観光客との触れ合いを通して、体験観光の重要性に注目するようになったといいます。
「水族館などの有名なスポットも良いのですが、もっと自然がダイレクトに体験できるような場所を案内したいと思ったんです。例えば、 裏の山に行くと蛍がいるよとか、そういうことをもっと伝えればいいんじゃないかなとか。その頃から館山でも体験観光ということが言われるようになってきて。それで、2004年に仲間とNPOを立ち上げました」
修学旅行で訪れる子どもたちや、観光客に向けた自然体験プログラム(無人島体験、スノーケリング、ビーチコーミング※ 、釣り体験など)を中心に活動する中で、別な視点が生まれてきたといいます。
※ビーチコーミングとは海辺を散策して行う「宝さがし」のこと
「サンゴの北限としても知られる、自然豊かな陸続きの小島「沖ノ島」。館山湾のビーチから続く観光地でもあり、『たてやま・海辺の鑑定団』の皆さんも拠点を置く場所です。
2014年のある日、そんな沖ノ島の景色が目に見えて変わってしまったといいます。「ここの海には、アマモ場があったんです。それが、明らかに小さく、少なくなっていった。海の底で揺れていた緑の植物がなくなれば、生態系が変化してしまう。そんな危機感を覚えました。それから、沖ノ島の森も、元気がないように見えた。立ち枯れしてしまう木なんかも現れて、これは何かがおかしいと感じ始めました」
浅瀬に生息する海藻のアマモ。アマモが群生するアマモ場は海のゆりかごともいわれ、小魚や甲殻類のすみかとなり、海や自然環境をきれいにしてくれます。そんなアマモの減少を観測した竹内さん。専門家の話などを聞き、アマモの再生に取り組み始めます。
「原因の一つに、台風はあったと思います。2013年に直撃した台風26号は、海底の砂を大きく動かしてしまいました。それから、残ったアマモも育ち切る前に魚たちに食べられてしまい、どんどん減っていった。2016年から本格的にアマモの再生活動に取り組んでいます。種を最終して、プランターに撒いて苗床を作り、元のアマモ場に移植する。地元の高校生や子どもたち、たくさんの方に協力いただきながら、地道に活動しています」
さらに、森を守ることが、海の豊かさにもつながるという思いから、沖ノ島の森の保全にも取り組んでいきました。
「ある時期、沖ノ島では観光客が訪れるように、コンクリートで道を作る公園化が進められました。ただ、結果としてそれが森の元気を奪ってしまった可能性があるんです。つまり、コンクリートによって土の中を通る雨水の流れが変わってしまい、植物に影響を与えたということです。ですから私たちは、コンクリートの道や階段を木に替えるなどして、森に影響のない道に整備し直したんです」
このように「観光」と「自然保護」、2つの観点から館山・南房総の海を守る竹内さんたち。その背景には、シンプルながら、ブレない想いがありました。
竹内さんたちによって再整備された沖ノ島の道
「とにかく楽しい方がいいんですよ。ほら、私釣りが好きでよく行っていたといいましたけど、昔から自然が遊び場だったんですよ。だからなんです。観光客や子どもたちにも“ほら、こんな楽しいことがあるよ” って。そして、そんな場所を守らなければいけないって」ストレートな言葉で語る竹内さん。海が好き、自然が好き、という素直な想いが原動力になっていることが伝わります。
「でもね、地元の人でも海のことを知らなかったり、逆に近すぎてそんなに気にしていなかったりすることもあるんです。だから、地元の人たちにも伝えて遺していくことも重要。例えば、コロナ以降修学旅行などで県外に遠出することが難しくなりましたよね?それで、地元の子どもたちが、僕たちのツアーに参加することが増えたんです。その時初めてへー!知らなかったってリアクションが返ってきて。そういった、未来伝える活動を続けて、次の担い手を増やしていくことも大切だと感じました」
とビジョンを語る竹内さん。その言葉はいつもポジティブで、常に未来を真っ直ぐ見据えています。
「台風などの災害によって生態系が変化してしまったことは、もちろん残念なことです。でも、不思議なものでほら、ここ。台風によって沖の島の御神木が倒れたんですが、今はその切り株から新しい木がいくつも生えているでしょう。それから、御神木が倒れたことによって、森が拓けてここに陽が差した。すると、地中に眠っていたダンドクという多年草が芽を出し初めたんです。こうやって実際に海に触れ、森に触れ、知ることで感じることもあるでしょう」
今、そこにある自然を出発点に、未来にどんな「楽しいフィールド」を遺せるか。竹内さんの行動や考えには、常にそんな想いが込められているように思えます。
南房総・館山
海と人をのぞいてみると、
深い愛が根を張る、
自然豊かな未来をみつけました。
この辺の地域って「焼き豚文化」がある気がします。竹岡ラーメンとか。どこのお店行っても焼き豚がおいしいって感じるんですよね。これは意外と知られていないかも。それと、やっぱりなんと言っても海のもの。
キスの天ぷらは絶品ですよ。自分で釣ったキスの天ぷらは人生最後に食べたい味ですね。
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