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更新日:令和6(2024)年5月29日
ページ番号:19971
本日ここに、2月定例県議会を招集し、当面する諸案件について御審議いただくことといたしました。
今回提案いたしました案件は、平成23年度の当初予算案、平成22年度の補正予算案、各種条例案、その他附帯議案の74議案のほか、報告2件であります。
まず、「東京湾アクアライン」の料金引下げについて申し上げます。
アクアラインの料金引下げについては、平成21年8月から料金引下げの社会実験に取り組み、この1年6か月で交通量1.5倍、358億円の経済波及効果という予想以上の成果が得られています。この引下げは、千葉県はもとより、首都圏全体の、ひいては日本経済の活性化に大きく貢献するものだと考えます。
このようなことも踏まえ、私はかねてから、国策による恒久的な通行料金の引下げを国に要望してまいりました。
このような中、昨年12月24日、国から「アクアラインについては、地方の負担をお願いしつつ、利用促進に向けた料金の導入を図る。」という料金割引の基本方針が打ち出されたところです。
私は直ちに、この方針についての国の考え方を説明して頂くため、国土交通大臣への面談を求めていましたが、2月7日に国土交通省から連絡があり、急遽、池口国土交通副大臣と面談を行うこととなりました。
副大臣からの提案内容は、「この4月からの新たな高速道路料金制度は、3年後に再び、見直す予定であり、アクアラインについてもより一層精査をしたいので、その間、費用の一部を千葉県に負担をしてもらい、社会実験を継続したい」というものでした。
私は、アクアラインの料金が元に戻ることは、とりわけ千葉県にとって大きな痛手であり、絶対にあってはならないことだと考えます。国策による恒久的な料金引下げを実現させていくためには、社会実験の効果を一過性のものとしてはなりません。
そこで、県も一定の負担をしつつ、国とともに社会実験を継続せざるを得ないと判断いたしました。この3年間の社会実験期間において、4月から開始される高速道路の新たな料金割引の影響や、平成24年度の首都圏中央連絡自動車道開通に伴うアクアラインの効果などを検証し、その後の国策による恒久的な料金引下げを実現したいと考えております。
なお、社会実験期間中の料金は、現在と同様に、ETC普通車を800円、大型車を1,320円などとし、期間は、本年4月1日から平成26年3月31日までの予定となっております。
また、県の社会実験にかかる負担額は、現在と同額の年間15億円を予定しています。予算については、早急に取りまとめた上、2月17日に追加提案させていただきたいと考えております。
次に、平成23年度当初予算について申し上げます。
平成23年度当初予算は、次の3つの考え方に立って編成しました。
1つ目は、「くらし満足度日本一」の実現に向け、総合計画「輝け!ちば元気プラン」に基づく施策の着実な推進です。
2つ目は、県民からの要望が特に多い「安全・安心な社会づくり」、「福祉・医療の充実」、「子育て支援」などの取組に重点を置いたことです。
3つ目は、成田空港をはじめとする本県の持つポテンシャルを活かして、千葉県の魅力発信や雇用の創出を含めた地域経済の活性化について、積極的に取り組んでいくことであります。
以上の考えのもとに編成した一般会計の当初予算規模は、1兆5,594億7,100万余円で、前年度当初予算と比べ、1.7%の増となっています。
歳入については、法人関係税や地方消費税が増えることなどにより県税の増額を見込んでいます。また、地方交付税と臨時財政対策債をあわせた実質的な地方交付税についても22年度当初予算と比べ増額となる見込みです。
歳出については、社会保障費が高齢化の進展などに伴い大幅に増額となる一方で、国体・障害者スポーツ大会に係る経費が皆減となることや、22年度の給与改定などにより職員人件費が減額となることに加え、予算編成段階での事務事業の見直しなどによる経費の節減を図りました。
この結果、退職手当債などの特例的な財源対策を講じることなく収支が均衡した予算を編成することができました。
続いて、当初予算において措置した主な事業について、その概要を申し上げます。
第1は、「安全で安心な社会づくり」です。
「くらし満足度日本一」の基礎は、県民の生命と財産を守ることです。県民が日々安心して生活が送れるよう、犯罪や事故がなく、災害に強い地域社会づくりに全力で取り組んでいかなくてはなりません。
防犯対策については、警察を中心に地域や行政が一丸となって取り組んできた結果、本県の犯罪認知件数は8年連続して減少を続けていますが、多発するひったくり犯罪や豊かで便利な社会ならではの新しい犯罪への対応など、さらに取組を強化していく必要があります。
このため、地域の実情に沿った犯罪抑止活動をより一層強化していく必要があることから、警察官定員を65名増員するとともに、就任以来、取り組んできました移動交番車を13台増車します。これにより、移動交番車は、全県下へ配備されることとなります。また、ひったくり犯罪防止のため、市町村が行う防犯カメラの設置事業に対し助成するなど、犯罪が発生しにくい環境づくりを推進します。
安全・安心のためには、大地震への万全な備えも必要です。私たちは16年前の阪神・淡路大震災の教訓を決して忘れてはなりません。
そこで、災害時における迅速な初動体制を確立するため、私の直接の指揮命令のもと、迅速に対応できる防災危機管理監を新設するとともに、常設の災害対策本部の機能を備えた(仮称)危機管理防災センターを県庁舎内に整備してまいります。
また、被害に遭われた方々の生活を支援するため、食糧、毛布等の備蓄物資や国からの救援物資などを、いちはやく避難所に届けられるよう、災害時における支援物資等の物流計画を作成し、災害に強い体制づくりを進めます。
第2は、「福祉・医療の充実」です。
急速に高齢化が進んでいる本県では、地域の医療及び福祉を支える体制整備や人材確保は待ったなしの課題です。
このため、入所希望者の多い特別養護老人ホームの整備や、老朽化した養護老人ホームの改築等を推進します。
また、重篤な救急患者に対し、高度な救急医療を総合的に24時間体制で提供する救命救急センターの運営費等や、災害拠点病院等の耐震工事費、ドクターヘリの運営費に対し助成するほか、不足する医師・看護師確保にかかる予算を大幅に増額します。
さらに、家庭や地域の支え合う力が低下している中、従来の「施設」か「在宅」か、という二者択一ではなく、高齢者が日常生活のサポートを受けながら、安心して地域で生活ができる仕組みが求められています。
そこで、高齢になっても住み慣れた住宅や地域に住み続けられるよう、一人ひとりの住民の状況に応じた住まいと生活支援のあり方などについて、検討を進めます。
また、全ての県民がそれぞれの地域で安心して医療が受けられるよう「千葉県地域医療再生プログラム」に基づき、地域医療の再生に向けた取組を推進します。
第3は、「子育て支援」です。
平成21年の本県における合計特殊出生率は1.31で、改善傾向にはありますが、子育てにかかる負担や不安を解消し、安心して子どもを産み育てる環境づくりを進めることは大変重要です。
このため、昨年12月に小学校3年生まで拡大した子ども医療費助成を継続し、子どもの保健対策の充実と保護者の経済的負担の軽減を図ります。
また、待機児童の早期解消を図るため、民間保育所の整備を促進するとともに、放課後の子どもたちの生活や遊びの場の確保、安全・安心な居場所づくりのために市町村が行う事業を支援します。
さらに、子育て家庭が受けられる各種割引サービスを充実させていくため、企業等の協賛による事業実施に向けた調査・準備を行います。
第4は、「子ども・若者の育成」です。
子育てを社会全体で支えながら、社会に元気と活気を与えてくれる個性豊かな子ども・若者を育てなければなりません。その基礎は教育環境の向上です。
このため、私立高校及び私立幼稚園に対する経常費補助金について県単独の補助単価を増額するとともに、私立高校等に通う生徒の授業料の一定額を助成するほか、授業料・入学金の納入が困難な状況にある保護者を支援してまいります。
さらに、特別支援学校の児童生徒の増加に伴う過密化・教室不足に対応するため、高校の空き校舎などを活用し、分校・分教室等を整備します。
また、児童・生徒の発達段階に応じた千葉県らしい道徳教育を推進するとともに、ひきこもり対策として、本人の自立を促進するため、「ひきこもり地域支援センター」を設置します。
第5は、「本県のポテンシャルを活かした千葉の魅力発信」です。
千葉県は豊かな自然環境に恵まれるとともに、新鮮で美味しい農水産物も豊富で、なおかつ、多くの観光資源を有しています。
そこで、千葉県の良さをもっと知っていただけるよう、各種メディア等を活用して様々な魅力を発信するとともに、私自らが先頭に立って、アジア地域において、県産加工品や農産物、本県観光の魅力を売り込んでまいります。
また、競争力の強化のため、成田空港周辺における国際交流・国際ビジネス機能の強化や、カジノを含む複合施設の導入可能性などについて調査検討を行うほか、国際会議の県内誘致に向けた新たな助成制度を創設します。
さらに、本県を訪れる方々に気持ち良く滞在・観光していただけるよう、公衆トイレなども含め観光施設の整備を一層推進します。
第6は、「県内産業の振興と雇用対策」です。
本県経済の活力の源泉である中小企業を取り巻く環境は、依然として厳しい状況です。また、過去最低水準と言われている大卒者の就職内定率に象徴されるように、非常に厳しい雇用情勢が続いています。
このような状況を踏まえ、金融機関等と協力して、県内中小企業向けの融資枠4,800億円を確保するとともに、失業者や新卒者に対する雇用機会を創出する緊急雇用対策を実施するほか、若年者や就職困難者に対する就労支援機能を充実します。
また、本県の農業は、担い手の高齢化や後継者不足に直面しています。そこで、農業の担い手を育成する農業大学校を24年度から専修学校とするため、施設の改修等を実施します。
さらに、耕作放棄地の解消を図るため、これまでの再生作業に対する助成に加え、集落ぐるみで再生・利用に取り組むモデル地区の設置や、耕作放棄地を活用した露地野菜や飼料作物の生産を拡大する取組などを支援します。
第7は、「公共施設の維持管理と長寿命化」です。
建物や施設を大事に使い、長持ちさせることは、経済的であり、環境にもやさしい社会づくりにつながります。
このため、公共施設については、これまでの「事後的な修繕」から「予防的な修繕」へと転換し、各施設の長寿命化を推進します。来年度は、道路・橋りょうや県立学校などの施設について、22年度2月補正予算で積み立てた公共施設整備基金を活用し、耐震改修や長寿命化対策等に取り組みます。
次に、平成22年度2月補正予算について申し上げます。
補正額は、一般会計で441億9,300万余円の増額で、補正後の予算額は、1兆6,047億3,000万余円となります。
2月補正予算では、事業費の確定などに伴う減額のほか、国の経済対策に対応し、雇用対策や福祉・医療の充実のための経費を計上しています。
22年度は、県税及び地方交付税の増加や執行段階での経費節減により、収支状況が改善しています。
私は、将来を見据え、今後、需要の増加が見込まれる社会福祉施設の整備、公共施設の長寿命化や成田空港周辺地域をはじめとする社会基盤整備、公債費の償還などへの備えも大事なことだと考えています。
そこで、22年度においては、社会福祉・医療施設整備等推進基金へ50億円、公共施設整備基金へ140億円、県債管理基金へ50億円を積み立てるとともに、後年度負担を軽減するため、退職手当債等の発行を取り止めることといたしました。
引き続き、持続可能な財政構造の確立に向けて、取り組んでまいります。
次に、このたび提案いたしました議案の概要について申し上げます。
最初に、議案第1号から議案第46号までの46議案は、一般会計及び特別会計の予算案です。
次に、議案第47号から議案第68号までの22議案は、いずれも条例の制定、一部改正または廃止に係るものです。そのうち主なものについて御説明申し上げます。
議案第47号は、事務用機器の借入れ及び庁舎管理の委託等の契約について、翌年度以降にわたる長期継続契約の締結を可能とするため、議案第48号は、国からの交付金を受け、市町村が実施する子宮頸がん等の予防接種の促進を図る基金を造成するため、議案第50号は、暴力団の排除の取組を推進するため、それぞれ条例を制定しようとするものです。
議案第51号は、職員の適正な定員管理を行うため、議案第55号は、千葉県防災センターの業務の一部を指定管理者に行わせることができるようにするため、議案第62号は、松戸市に新たに金ケ作県営住宅を設置するため、議案第64号は、安房特別支援学校と館山聾学校を統合するため、それぞれ条例の一部を改正しようとするものです。
議案第67号は、身体障害者療護施設の鶴舞荘について、民間法人による同種の施設整備が進んできたことなどを踏まえ、廃止しようとするものです。
また、議案第69号は、安房中央地区ダム改修工事請負の契約を締結するため、議会の議決を得ようとするものでございます。
最後に、「高病原性鳥インフルエンザ」への対応について、御報告申し上げます。
昨年10月以来、国内で広がりを見せていることから、県では速やかに、全ての養鶏農場への立入り検査を行うとともに、徹底した消毒や防鳥ネットの点検による野鳥等の侵入防止、さらには、早期発見・早期通報の徹底などの指導を行ってきたところです。
また、先月、県や市町村職員、畜産関係者ら約230人が参加した防疫演習を実施し、防護服の着脱方法や車両の消毒方法について確認しました。
これまで県内での感染は確認されていませんが、水際での総合的な防疫対策と初動体制の確保が、現時点でとりうる一番の対策だと考えます。
このため、万一の発生に備え、県では予備費を使用し、県内全ての養鶏農場へ消石灰などの消毒薬を無償配布し、各農家で備蓄して頂きます。また、防疫資材の備蓄や継続的な県民への注意喚起を行うなど、対策に万全を期してまいります。
以上、このたび提案いたしました案件の概要等の説明及び、当面の諸問題について御報告させていただきました。
よろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。
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