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ホーム > くらし・福祉・健康 > 福祉・子育て > 障害者(児) > 障害福祉に関する施策 > 障害福祉に関する計画 > 第八次千葉県障害者計画(案)に関する意見募集について > 6 障害のある人の一般就労の促進と福祉的就労の充実
更新日:令和6(2024)年2月5日
ページ番号:625714
障害のある人が地域で質の高い自立した生活を営むためには就労が重要であるとの考え方の下、働く意欲のある障害のある人がその適性に応じて能力を十分に発揮することができるよう、多様な就業の機会を確保するとともに、就労支援の担い手の育成等を図り、また、一般就労が困難な者に対しては工賃の水準の向上を図るなど、障害のある人の一般就労の促進と福祉的就労の充実は重要な課題です。
一般就労の促進においては、「障害者の雇用の促進等に関する法律(以下「障害者雇用促進法」という。)」により企業等での雇用とともに、雇用の分野における障害を理由とする差別的取扱いの禁止や職場で働くに当たっての合理的配慮の提供が義務付けられており、地域障害者職業センターによる障害のある人への専門的職業リハビリテーション、事業主に対する雇用管理に関する助言等の支援、障害のある人の職場への適応を促進するための職場適応援助者(ジョブコーチ)による直接的・専門的支援などが実施されています。
同法の改正により、法定雇用率が引き上げられる中、就労意欲のある障害のある人は年々増加傾向であり、千葉県内の新規求職件数は令和2年度の8,222件から令和4年度の9,502件へ増加しており、就職件数も、令和2年度の3,193件から令和4年度は3,668件と増加していますが、新規求職件数と就職者数の間には開きがあり、多くの働く意欲のある障害のある人が就職の機会を得られていない状況にあります。また、多様な障害の中でも特に精神障害(発達障害を含む。)のある人の新規求職件数が大きく増加しており、就職者数についても今後更に増加することが想定されます。
働く意欲のある障害のある人が就職の機会を得て、それぞれの持つ強みや能力を生かし、安心して働き続けられるよう、障害特性に応じた就労支援と定着支援を行う必要があります。
また、大学(四年制大学のほか、短期大学、大学院、高等専門学校を含む。)在学中の障害のある学生についても、早期に専門的な就労支援を利用することが、その後の就職活動を円滑に進める上で効果的な場合もあることから、在学中の就労移行支援事業の実施について、必要に応じて適切に取り組まれるよう、関係機関等と連携し、周知を図ることが求められています。
今後、障害のある人の就業に伴う生活上の支援のニーズはより一層多様化かつ増加するものと考えられます。企業に雇用された障害のある人の早期離職を防ぎ、職場に定着することは、障害のある人の自立した生活を実現するために重要です。
このため、就労定着支援事業の実施に当たっては、実施主体と障害者就業・生活支援センターや地域障害者職業センターなどの関係機関が連携して障害のある人の就労定着に取り組むことが必要であり、連携や事業実施のあるべき姿について就労定着事業所や関係機関等に周知していくことが求められます。
一般就労を促進するため、就労移行支援事業所の支援体制の充実や支援員の資質向上、積極的な企業での実習や求職活動等の支援体制の強化を図ります。また、就労継続支援事業所の工賃(賃金)向上計画の有効性評価のほか、会計や安全衛生等の各種研修を実施するなど支援体制の強化に努めます。特別支援学校をはじめとした教育機関、特例子会社や障害者雇用を進めている企業などと各種支援機関との連携強化を図るためのネットワークの構築を進め、就労に向けた情報の共有を進めます。
就労定着を図るため、就労定着支援事業所と関係機関との連携などによる支援の好事例等を周知し、就労定着支援事業所の支援の質の向上を図ります。また、障害のある人の一般就労を促進するため、就労移行支援事業所の一層の充実とともに、就労定着支援事業の実施事業所や障害者就業・生活支援センターをはじめとする支援機関による就職後の定着支援体制の充実を促進します。(再掲)
県立障害者テクノスクールにおいて、障害のある人が就職に必要な知識・技能を習得し、職業人として自立するために必要な職業訓練の充実を図ります。また、障害のある人が身近な地域で職業訓練を受講できるよう、企業や社会福祉法人等の多様な委託先を活用し、就職に必要な知識・技能の習得を図ることで障害のある人の雇用に向けた効果的な職業訓練の機会の確保を推進します。
民間企業における雇用及び職域が拡大するよう関係機関と連携して働きかけるほか、県内公的機関における障害のある人の雇用を促進します。なお、県においては、障害者雇用促進法に定める障害者活躍推進計画に基づき、職域開拓の取組を進め、職員として採用するとともに、その能力や適性を十分発揮し、生きがいを持って働ける職場環境づくりのための取組を推進します。また、入札参加資格の登録において、障害者雇用率達成企業に対し優遇措置を実施します。
数値目標
№ |
項目 |
4年度実績 |
6年度 |
7年度 |
8年度 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 就労移行支援事業の利用者数(人) | 3,559 | 3,915 | 4,093 | 4,271 |
2 | 障害者テクノスクール※1修了者の就職率(%) | 65.8 | 80 | 80 | 80 |
3 | 従業員40.0人※2以上規模の企業で雇用される障害のある人の数(人) | ー | 14,350 | 15,550 | 16,740 |
4 | 従業員40.0人※2以上規模の企業で雇用される精神障害のある人の数(人) | ー | 3,670 | 4,300 | 5,040 |
5 | 障害者雇用率を達成した公的機関の割合(%) | 77.4 | 100 | 100 | 1000 |
※1:令和6年4月1日から「高等技術専門校」は「テクノスクール」に名称が変更されました。
※2:令和8年7月からの法定雇用率2.7%への引き上げにより企業規模は37.5人以上となります。
数値目標(基本指針)
№ |
項目 |
4年度実績 |
6年度 |
7年度 |
8年度 |
---|---|---|---|---|---|
6 |
福祉施設利用者の一般就労への移行者数(人) |
1,344 |
1,452 |
1,506 |
1,560 |
7 |
就労移行支援事業の一般就労への移行者数(人) |
992 |
1,066 |
1,103 |
1,140 |
8 |
就労移行支援事業所のうち、就労移行支援事業利用終了者に占める一般就労へ移行した者の割合が5割以上の事業所の割合(%) |
ー |
ー |
ー |
50 |
9 |
就労継続支援A型事業の一般就労への移行者数(人) |
211 |
243 |
259 |
275 |
10 |
就労継続支援B型事業の一般就労への移行者数(人) |
109 |
129 |
139 |
149 |
11 |
就労定着支援事業利用者数(人) |
1,191 |
1,597 |
1,800 |
2,000 |
12 |
就労定着支援事業所のうち、利用終了後の一定期間における就労定着率が7割以上の事業所の割合(%) |
ー |
ー |
ー |
25 |
13 |
就労支援部会の設置市町村数(市町村)※共同設置を含む |
50 |
52 |
53 |
54 |
14 |
障害者委託訓練修了者の就職率(%) |
32.5 |
55 |
55 |
55 |
15 |
福祉施設から公共職業安定所へ誘導する福祉施設利用者数(人) |
2,017 |
2,263 |
2,386 |
2,509 |
16 |
福祉施設から障害者就業・生活支援センターへ誘導する福祉施設利用者数(人) |
528 |
610 |
646 |
682 |
17 |
公共職業安定所の支援を受けて就職する者の数(人) |
546 |
630 |
672 |
714 |
障害のある人が安心して働き続けるためには、就労と生活を支える地域のネットワークが重要です。本県では、県内全ての障害保健福祉圏域に障害者就業・生活支援センターを設置し、就労面及び生活面の一体的な支援の充実を図ってきました。
障害のある人が企業等で働く上で、適切な労働条件や職場環境の確保など障害のある人の権利擁護が重要です。障害者就業・生活支援センターにおいても、その環境整備のため障害のある人や企業等を支援しています。
障害の特性に応じた就労支援の更なる充実と強化を図るため、障害者就業・生活支援センターの果たす役割が期待されます。
就労定着支援事業の円滑な実施を図るため、就労定着支援事業の実施事業所とその他の支援機関や特別支援学校、市町村等、さらには支援員同士の横のネットワークを構築するなど、関係機関のネットワークの強化を進めます。
数値目標
№ |
項目 |
4年度実績 |
6年度 |
7年度 |
8年度 |
---|---|---|---|---|---|
18 |
障害者就業・生活支援センター登録者の就職件数(件) |
558 |
618 |
648 |
678 |
19 |
障害者就業・生活支援センター登録者のうち精神障害のある人の就職者の職場定着率(%) |
77.5 |
78.3 |
78.7 |
79.1 |
数値目標(基本指針)
№ |
項目 |
4年度実績 |
6年度 |
7年度 |
8年度 |
---|---|---|---|---|---|
20 |
障害者就業・生活支援センター事業実利用者数(人) |
12,800 |
13,906 |
14,459 |
15,012 |
障害に関係なく、希望や能力に応じて、誰もが職業を通じた社会参加のできる「共生社会」の実現という理念の下、全ての事業主に、法定雇用率以上の割合で障害のある人を雇用する義務があります。民間企業の法定雇用率は、令和6年4月に0.2ポイント引き上げられて2.5%へ、令和8年7月には2.7%へと段階的に引き上げられます。
また、障害のある人の就職件数は増加傾向であり、精神障害のある人がおよそ5割を占めていますが、他の障害種別に比べると定着率が低い状況となっています。
令和4年の障害者雇用促進法改正では、事業主の責務として、障害のある人に対する能力の正当な評価、適当な雇用の場の提供、適正な雇用管理に加えて、新たに職業能力の開発及び向上に関する措置が盛り込まれました。事業主はこれらを行うことにより障害のある人の雇用の安定を図るように努めなければならないという同法の規定を踏まえ、障害のある人がそれぞれの持つ能力を発揮し、やりがいを持って働き続けることができるよう、積極的に取り組む必要があります。
企業における障害者雇用をより一層進めていくためには、障害特性等の理解促進を図り、障害者就業・生活支援センターや地域障害者職業センターなどの支援機関の役割や機能を周知して活用を促すとともに、企業の状況等に応じた丁寧な支援が必要です。
数値目標
№ |
項目 |
4年度実績 |
6年度 |
7年度 |
8年度 |
---|---|---|---|---|---|
21 |
企業支援員の支援企業数(社) |
7,421 |
8,300 |
8,700 |
9,100 |
22 |
従業員40.0人※以上規模の企業で雇用される障害のある人の数(人)【再掲】 |
ー |
14,350 |
15,550 |
16,740 |
23 |
従業員40.0人※以上規模の企業で雇用される精神障害のある人の数(人)【再掲】 |
ー |
3,670 |
4,300 |
5,040 |
※令和8年7月からの法定雇用率2.7%への引き上げにより企業規模は37.5人以上となります。
障害のある人の就労支援に当たっては、関係機関が協力して支援を実施することが重要です。関係機関の連携強化を図るため、障害者就業・生活支援センターを中心に地域意見交換会等を実施し、ネットワークづくりを行っています。
特別支援学校及び高等学校の卒業生のうち、一般就労を目指す障害のある生徒が増加する中、特別支援学校及び高等学校を含む関係機関の連携の重要性が増しています。
また、就労定着支援事業の実施事業所とその他機関との連携や役割分担の在り方を共有することが求められるとともに、生活困窮者自立支援法に基づく自立支援制度など他法の制度との連携が求められる事例も増えており、異なる制度間での関係機関との更なる連携が求められています。
数値目標
№ |
項目 |
4年度実績 |
6年度 |
7年度 |
8年度 |
---|---|---|---|---|---|
24 |
ネットワーク構築のための会議を開催した圏域数(箇所) |
16 |
16 |
16 |
16 |
就労の意欲があっても企業等での就労が難しい障害のある人は、就労継続支援事業所などの福祉施設等において生産活動に従事しており、そのような活動は「福祉的就労」と呼ばれています。福祉的就労を担う就労継続支援事業所には、障害のある利用者が事業所と雇用契約を締結することを原則とする就労継続支援A型事業所と、雇用契約に基づかない生産活動の場である就労継続支援B型事業所があります。雇用契約に基づかない生産活動の結果利用者に支払われる賃金は、「工賃」と呼ばれています。
県では、就労継続支援B型事業所において障害のある人が受け取る工賃の額を令和5年度末に平均月額17,000円とする目標を設定しましたが、令和4年度末で15,371円となっており、全国の平均工賃(令和3年度16,507円)に満たない事業所が全体の7割を超えています。工賃が伸び悩む要因として、新規開設の就労継続支援B型事業所が、目標工賃を達成するだけの作業を確保することが困難な現状が見受けられることや、事業所やその製品等について、広く社会一般に認知されていないことなどが考えられます。
「国等による障害者就労施設等からの物品等の調達の推進等に関する法律(以下「障害者優先調達推進法」という。)」では、国や地方公共団体等が率先して障害者就労施設等からの物品等の調達を推進するよう、必要な措置を講じることが定められています。
県では調達方針を定めて発注増に取り組んでいるほか、発注可能業務を登録するデータベースである「チャレンジド・インフォ・千葉」を設け、受注機会の拡大に努めていますが、官公需にとどまらず民需への展開につなげるためにも障害者就労施設等が受注できる業務内容や、障害者優先調達推進法そのものへの理解を一層広げるとともに、一つの事業所では対応できない大口発注等に対し、共同受注により複数の事業所で対応するなど、受発注のマッチングを図る必要があります。
就労継続支援A型事業所は増加傾向にあり、平成21年度末の7事業所から令和4年度末には124事業所に増えています。就労継続支援A型事業所は、通常の事業所に雇用されることが困難であるが、雇用契約に基づく就労が可能である者に対して、雇用契約の締結による就労の機会の提供や、就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練等を行うものです。このため、最低賃金の支払等の労働関係法令を遵守した上で、利用者に対し必要な支援を行うことが求められます。また、事業の適正化を図るため、(1)生産活動に係る事業の収入から必要経費を控除した額に相当する金額が、利用者に支払う賃金の総額以上になること、(2)賃金を自立支援給付から支払うことを原則禁止すること、などの基準が定められており、障害のある人へ生活支援を提供するという障害福祉サービス事業所としての目的を見失わず、その役割を果たすことが重要です。
近年、就労継続支援事業所では、社会福祉法人のほか株式会社など様々な分野からの参入が増加し、利用者にとっては事業所の選択肢が増える一方で、利用者の意向に沿った支援が行われていないなど、質の低下が課題となっており、質の確保に向けた取組が求められています。
数値目標
№ |
項目 |
4年度実績 |
6年度 |
7年度 |
8年度 |
||
---|---|---|---|---|---|---|---|
25 |
就労継続支援A型事業所が条例の基準を満たしている割合(%) |
57.5 |
100 |
100 |
100 |
||
26 |
県内官公需実績(県及び市町村) |
― |
― | ― | ― | ||
26 | 県発注件数(件) |
237 |
288 |
313 |
339 |
||
26 | 県発注金額(千円) |
22,782 |
27,642 |
30,072 |
32,502 |
||
26 | 市町村発注件数(件) |
903 |
1,048 |
1,193 |
1,338 |
||
26 | 市町村発注金額(千円) |
198,502 |
240,848 |
262,023 |
283,196 |
数値目標(基本指針)
№ |
項目 |
4年度実績 |
6年度 |
7年度 |
8年度 |
||
---|---|---|---|---|---|---|---|
27 |
就労継続支援B型事業所の平均工賃月額(円) |
15,371 |
16,185 |
16,592 |
17,000 |
障害のある人が働くことによって得られるものは、工賃(賃金)だけとは限りません。「感謝される喜び」や「社会のために貢献している感覚」を大切にしたいと思うのは障害の有無に関係ありません。障害のある人も、自らの価値観に基づいて就労の選択ができることが大事です。その際、障害の特性上自分の希望を思うように伝えられない人にとっては、周囲の支援者が本人の価値観を理解し、適切な支援を行うことが欠かせません。
障害のある人の高齢化が進んでいることや、様々な技術革新、多様な働き方の普及等により労働環境が変化してきています。また、新型コロナウイルス感染症の拡大を契機として、テレワークでの在宅勤務が拡充・定着するなど、障害のある人の就労の可能性が広がりつつあります。今後も障害のある人の働き方やその支援の在り方について継続して議論していく必要があります。
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