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更新日:令和5(2023)年11月30日

ページ番号:404828

未来につながる二週間(令和2年度心の輪を広げる体験作文入賞作品)

未来につながる二週間

中学生区分

千葉県知事優秀賞

いすみ市立岬中学校3年

富澤 心美(とみざわ ことみ)

 

昨年の十二月、私はとても大切な経験をした。それは、千葉県立夷隅特別支援学校での二週間の職場体験だ。

特別支援学校で職場体験をする事になったきっかけは、母のある一言。その頃、友達関係でのトラブルで学校に行けずにいた私に、支援学校で働く母がこんな事を言った。

「特支の校長先生が、うちの学校で職場体験をしませんかって誘ってくれたよ。」

障害を持つ子供と接する事に興味があった私は、その誘いに乗る事にした。

一日目。この日は、肢体不自由の子がいるクラスに入った。始めはどう接したら良いか分からず、ただ笑顔で見守る事しかできなかった。どう接するのが正しいのだろうと考え込んでしまった。そんな時だった。一人の女の子が私の手を優しく握り、顔を見つめ、

「おねえちゃん。いっしょにあそぼ!」

と拙くも一生懸命に話しかけてくれたのだ。その真っすぐで素直な言葉は、私の心の中にあった不安な気持ちを包みこんだ。そして私は、じーっと私を見つめる瞳に笑顔で

「うん! あそぼっか!」

と元気良く返事をした。

私はこの日、障害を持った方と接した時に「障害者」という曇ったフィルターを通して関わってしまっていたのではないかと感じた。「話がかみ合わないから」「何を考えているか分からないから」というような理由で、心の距離をとってしまっていた気がした。しかし、障害を持った多くの方は私達に対して、素直な気持ちを持って近づこうとしてくれている。だから私も、これからは素直な気持ちを持って、もっと相手と心を通わせる努力をしようと思った。そうすれば自然と、曇ったフィルターは取れ、ありのままの気持ちで接することができると考えるからだ。

何日か職場体験をしていると、子供達も私に慣れ始め、私自身適度な緊張感を持ちながらも楽しみながら活動することができるようになった。すると、一週間目の最後の日、特別支援学校の校長先生に

「肢体不自由の子のクラスだけでなくて、元気の良い子供達のクラスにも入ってみませんか。」

と提案された。私は迷わずその提案に明るく「はい」と返事をした。

そして二週間目に入った。みんなエネルギーに満ち溢れていて、私自身元気を貰った。この週、私は「注意することの大変さ」を学んだ。障害を持つ子供は「なぜいけないのか」を理解するのに少し時間がかかる。だから何度も同じ事をしてしまったり、かんしゃくを起こしてしまう。実際私も体験中にこのような場面に何度も直面した。どうして良いか分からず、困っているとクラスの先生がこんな事を教えてくれた。

「確かにみんな障害を持っていて、普通の人とは違うということを、しょうがないと思う事も必要だよ。けど、それで悪い事をしているのを見逃すことはダメなの。根気強く、私達の真剣な思いを伝えたらみんなも分かってくれるようになるよ。」

しょうがないと思って見逃す事は、その子を見捨てる事なんだと知った。それから私も、先生のように強い思いを持って子供達と生活できるよう努力をした。

この二週間の体験を通して、私は障害を持つ方と関わる世界の見方が変わった。世の中には私のように、障害を受け入れることができる人もいれば、偏見を持ったり差別をしたりする人もいる。色々な意見があるのは当然で理解している。しかし現在、この世界は障害を持つ方が生きやすい世界だろうか。決して生きやすいとは言えないだろう。では生きやすい世界は誰が創るべきなのだろうか。私は、障害を持つ方と共に笑い合える世界を創っていきたい。未来に希望を持って、障害による差別をなくす。これは、私達地球人の使命なのではないだろうか。

お問い合わせ

所属課室:健康福祉部障害者福祉推進課共生社会推進室

電話番号:043-223-2338

ファックス番号:043-221-3977

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