地域に密着したサービスの提供により住民の生活を支える企業、高度な技術を有するものづくり企業、新技術を開発する革新的なベンチャー企業など、多彩な中小企業が幅広い分野で活躍し、本県の経済を支えている。
一方で、中小企業の事業環境は大きく変化しており、資金繰り、人材の確保、事業承継などの従来の課題に加え、エネルギー燃料・原材料価格の高騰への対応やデジタル化の急速な進展、グローバルな動きへの対応、カーボンニュートラル、SDGsの達成に向けた動きやライフスタイルの多様化など、新たな課題への対応も求められている。
県内企業の99.8%を占め、地域経済を支える中小企業が、持続的に成長・発展できるよう、千葉県産業振興センターの相談窓口においてワンストップで対応するとともに、支援機関と連携して事業再構築の促進やDXの推進等必要な支援を講じていく。
また、地域で働くことの魅力を積極的に発信することにより、“働きたい”人の選択肢を広げるとともに、中小企業と求職者双方のニーズに応じたマッチングや多様な人材の育成を図ることにより、産業の担い手を確保する。
〔重要業績評価指標(KPI)〕
- 産業振興センター(チャレンジ企業支援センター)における窓口相談件数
現状値 4,262件(2022年度) ⇒ 3,580件(2027年度)
新型コロナ・物価高騰等の影響により、中小企業における経営支援ニーズが高まったことから、現状値は高くなっている。目標値については、支援 ニーズが平準化していくことを考慮し、過去5年間の平均値を踏まえて設定
- 産業振興センター(チャレンジ企業支援センター)における専門家派遣企業数
現状値 118社(2022年度) ⇒ 67社(2027年度)
新型コロナ・物価高騰等の影響により、中小企業における経営支援ニーズが高まったことから、現状値は高くなっている。目標値については、支援 ニーズが平準化していくことを考慮し、過去5年間の平均値を踏まえて設定
- ジョブカフェちばを採用活動に利用した企業数(累計)
現状値 27,593社(2022年度) ⇒ 32,597社(2027年度)
- 県内中小企業におけるプロフェッショナル人材の正規、副業・兼業等の採用件数(累計)
現状値 502件(2022年度) ⇒ 927件(2027年度)
- 県立高等技術専門校における在職者訓練(ちば企業人スキルアップセミナー)事業の受講者数
現状値 196人(2022年度) ⇒ 200 人(2027年度)
過去3年(R2~R4)の実績(平均166人)を踏まえ、目標値を設定
- 千葉県事業承継・引継ぎ支援センターにおける相談件数(累計)
現状値 2,909件(2022年度) ⇒ 5,764 件(2027年度)
- デジタル技術の活用・実践に向けた伴走型研修の参加企業数(累計)
現状値 37社(2022年度) ⇒ 137社(2027年度)
ア 中小企業の経営基盤強化
社会・経済環境が変化する中、中小企業が、複雑化・多様化する経営課題に適切に対応し、持続的な成長を図るためには、人材や資金等の経営資源を安定して確保するとともに、継続的に事業計画を見直し、デジタル技術を活用し、効率化・省力化など新たな取組を進めていくことが重要である。
このため、高度な専門性を有する支援機関による伴走型の支援、助成金等の各種支援制度、優れた製品や独創的な製品の認定、販路拡大のための相談、商談会の開催、金融機関や信用保証協会等と協力した融資などを通じ、県内中小企業の生産性の向上や競争力強化に向けた取組を支援する。
- チャレンジ企業支援センター等におけるワンストップ相談や専門家派遣
- 中小企業におけるAI・IoT 等の活用に向けた支援
- 中小企業振興資金による金融支援
- ものづくり制度による魅力発信
- 中小企業への販路拡大支援 等
イ 事業再構築の促進
感染症の流行下では、ポストコロナを見据えた新分野への参入や、事業・業態転換等を行う事業再構築が注目され、国や県において中小企業の事業再構築を促進する補助金等が措置されたことなどもあり、県内中小企業による事業再構築が一定程度進んだが、特に小規模事業者において、事業の見直しに必要な知識・ノウハウの不足が未だ課題となっている。
このため、関係機関と連携しながら専門家派遣などの支援制度を活用して、個々の事業内容や経営課題に応じた伴走支援を行う。
- チャレンジ企業支援センター等におけるワンストップ相談や専門家派遣 等
ウ 中小企業等の人材確保
中小企業における人材不足に対応するため、経営者や人事担当者向けに、人材採用強化に向けたセミナー・研修を開催するとともに、企業の魅力発信や、求職者との交流イベントの実施により、若者、女性、中高年齢者等、多様な人材の確保や定着支援を行う。
また、県内中小企業が抱える様々な経営課題を解決するため、「プロフェッショナル人材戦略拠点」を設置し、デジタル人材をはじめ、専門技術や知識を有するプロフェッショナル人材の採用を支援する。
県立高等技術専門校(令和6年4月1日以降、「県立テクノスクール」に校名変更)において、民間の訓練機関が取り組みづらい、ものづくり分野の職業訓練を実施し、主に地域の中小企業に対して一定の技能を習得した人材を供給するとともに、在職者訓練を実施し、技能・知識のスキルアップや資格取得を支援する。
さらに、障害者雇用を検討している企業に対して、企業支援員の訪問等による相談支援を実施し、雇用環境づくりのアドバイス等を行う。また、障害者雇用をしている企業に対して、雇用管理上のアドバイスや定着支援等を行う。
- 県内中小企業の魅力発信等による人材確保への支援
- 若者、女性、中高年齢者、外国人の雇用促進・定着支援
- プロフェッショナル人材の採用支援
- 県内企業とUIJターン希望者のマッチング支援
- 雇用に結びつく効果的な職業訓練の実施
- 在職者への能力開発支援
- 障害者雇用の促進と定着支援 等
エ 事業承継の推進
経営者の高齢化を理由に休廃業や解散を余儀なくされる企業の中には、取引先との人脈や顧客情報、他社に模倣できない技術やノウハウ等を有している企業もある。こうした企業が培ってきた経営資源を守っていく観点からも、次世代に引き継いでいく事業承継は重要であることから、支援機関や金融機関等と連携したネットワークによる支援ニーズの掘り起こしを行うとともに、事業承継支援助成金や事業承継資金等の制度融資による支援措置などにより、中小企業の事業承継の取組を支援していく。
- 千葉県事業承継・引継ぎ支援センター等と連携した支援強化
- 市町村・金融機関・商工団体との連携強化 等
オ 産業人材の育成支援
離職者・転職者をはじめとする様々な求職者を対象に、高等技術専門校や大学、専修学校、NPO法人、企業などの教育訓練機関を活用しながら、地域や企業のニーズに応じた効果的・効率的な職業訓練を実施する。また、デジタル技術の社会実装に対応して
いくために不可欠である基礎的なITリテラシー※などの習得に向けた訓練コースを実施するとともに、訓練カリキュラムの導入・拡充を進める。
さらに、若者のものづくり離れや技能者の高齢化により、技能の振興や継承が課題となっていることから、若者のものづくりに対する関心を高め、若年技能者を育成するため、県立高等技術専門校において、ものづくり分野の職業訓練を実施し、主に地域の企業に対して一定の技能を習得した人材を供給するほか、卓越した技能者に光を当てる取組を推進する。
※ITリテラシー:ビジネスや社会でIT を効果的に活用するために必要な、基礎的知識や技能、情報活用能力
- 雇用に結び付く効果的な職業訓練の実施
- 在職者への能力開発支援
- 高等技術専門校と地域等との連携強化
- ものづくり分野等における技能の振興・継承
- 地域の企業等のニーズに応じたものづくり若手技術者の育成 等
カ 中小企業のDX推進
中小企業がデジタル技術(IoT・AI・ロボット等)を活用し生産性の向上や事業の高付加価値化を図るためには、個々の業態やデジタル化レベルに応じて、システムの導入や人材育成などの取組を進めていくことが重要であるため、企業のDXの実現及び本県産業の競争力強化へ向けてきめ細やかな支援を実施する。
- 中小企業におけるAI・IoT 等の活用に向けた支援 等