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更新日:令和4(2022)年8月10日
ページ番号:316982
日本では、仏教の影響で肉食はあまり盛んではなく、牛は農耕のための役用として飼われてきました。
肉食が解禁となった明治時代以降、このような在来種にいくつかのヨーロッパ品種を交雑し、大正年代の始め頃から中国地方を中心に育種改良が重ねられてきました。
昭和20年頃までは役肉兼用種としての利用が多かったものの、昭和30年頃から農業の機械化が進み、役用牛の需要が激減しました。
それとともに和牛は、霜降りの入った肉質をもちつつ増体率もよい、また歩留りが高い肉用種として改良が行われ、産肉性と肉質に優れた黒毛和種が生まれました。
現在、乳用種の雄子牛の肉利用や、ホルスタインのメスに黒毛和種を交配した交雑種の肉利用もさかんに行われています。
写真は「黒毛和種の成牛」です。
千葉県内肉用牛生産者の飼養戸数は年々減少傾向にあり、令和4年は247戸となっています。
しかし、飼養頭数、規模ともに平成27年から増加に転じて、年々拡大してきています。
千葉県は酪農が非常に盛んなため、交雑種が多く生産されています。
年次 | 飼養戸数(戸) | 頭数(頭) | 1戸頭数(頭) | 出荷頭数(成牛計) | 出荷頭数の内訳(頭) | 肉用牛産出額(百万円) | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
うち和牛頭数 | うち和牛以外の頭数 | ||||||
平成30年 | 261 |
39,100 | 149.8 | 23,342 | 3,539 | 19,803 | 9,800 |
平成31年 | 237 |
38,600 |
162.9 |
23,602 |
3,680 |
19,922 |
10,000 |
令和2年 | 251 |
39,600 |
157.8 |
23,486 |
3,913 |
19,573 |
9,400 |
令和3年 | 243 |
40,000 |
164.6 |
23,213 |
4,069 |
19,144 |
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令和4年 | 247 |
41,000 |
166.0 |
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出展:畜産統計、畜産物流通統計、家畜改良センターデータ集計、生産農業所得統計
旭市、袖ケ浦市、匝瑳市
牛肉は、1年を通じて旬です。
生まれた子牛は5~7ヶ月間、母牛に育てられますが、後半の2~3ヶ月間は草や配合飼料、穀類なども与えられます。また、雄牛は生後2~3ヶ月齢時に去勢します。これは、肉質を良くし、性質をおとなしくして飼いやすくするために行います。
こうして大きくなった子牛は、5~7ヶ月齢時に離乳し、雌牛は育成後、一部は肥育に仕向けますが、主に繁殖に用いられ、雄牛(去勢牛)は肥育に仕向けられます。肥育仕向けとなった去勢牛は、約20ヶ月かけて肥育されます。この間、餌は稲ワラなどとともに、大麦やトウモロコシなどもカロリーの高い穀物が与えられ、よい肉質の牛に育てられます。
写真は「黒毛和種の子牛」です。
食肉として利用されるのは、牛の体の筋肉にあたる部分です。そのため、身体が大きいからといって、食肉として利用できる部分が多いとは限りません。
牛を肥育するときには、ただ単に太らせればよいのではありません。肉になる部分を上手に増やしながら、余分な脂肪をつけさせないように、エサの配合や給与法、さらには飼育法まで考えなければなりません。
肉の量を判断するとき、「枝肉歩留まり」、「正肉歩留まり」という2つの基準があります。枝肉歩留まりとは、体重に対する枝肉(肉用牛の身体から皮と内臓を取り除いたもの)の割合を指します。正肉歩留まりとは、体重に対する正肉(枝肉からさらに骨と余分な脂肪を取り除いたもの)の割合をさします。
等級 | 歩留 |
---|---|
A | 部分肉歩留が標準より良いもの |
B | 部分肉歩留が標準のもの |
C | 部分肉歩留が標準より劣るもの |
歩留等級 | 肉質等級 | ||||
---|---|---|---|---|---|
5 | 4 | 3 | 2 | 1 | |
A | A5 | A4 | A3 | A2 | A1 |
B | B5 | B4 | B3 | B2 | B1 |
C | C5 | C4 | C3 | C2 | C1 |
肉質等級は、「脂肪交雑」、「肉の色沢」、「肉の締まり及びきめ」、「脂肪の色沢と質」の4項目で、各項目の判定場所は、いずれも第6から第7肋骨間切開面で総合判定されます。
次の4種類の牛の品種を示します。
毛色はやや褐色を帯びた黒ですが、子牛の間は明るい褐色のものもあります。肉質に優れ日本の和牛の90%以上を占めています。
写真は「黒毛和種の成牛」です。
毛色は明るい赤褐色で、「あか牛」、「褐毛牛」とも呼ばれています。肉質が黒毛和種に近く、体が大きく育ちも良い品種です。
毛色は、赤褐色ですが濃淡があります。手間がかからず成長が早い品種で、主に東北地方で飼育されています。
毛色は黒毛和種より濃い黒色で、角がありません。成長が早く歩留まりが良い品種です。
「交雑種」は生産コストの引き下げ、肉質の向上を目的に「肉専用種」と「乳用種」を交配させた品種です。
乳用種(ホルスタイン)は牛乳を取るための牛ですが、肉用にもなります。肉質は赤身が多く、味は淡白です。
食肉は空気中に浮遊する雑菌やかび類が食肉の表面に付着して増殖することで、変質を起こします。この変質を起こす条件として温度とのかかわりがありますので、低温での管理に留意しなければなりません。
食肉の脂肪や蛋白質が酸化すると、肉の風味を損なう原因となります。また、食肉の表面を乾燥させると、揮発性の芳香分を失いうまみが低下します。
食肉の保存は、次の事項に注意をしてください。
牛肉の良し悪しや等級は、肉の色沢、脂肪の色及び質などで判断することが出来ます。
牛肉の色は鮮紅色が標準的なものとして知られていますが、良いものは艶があります。
良い脂肪とは、色は白色または乳白色で適度な弾力と粘りのあるものです。このような脂肪は、優れた芳香とうまみを持っていて、牛肉の味を一層引き立たせます。
料理の方法には焼く、揚げる、煮込むなどあります。同じ焼く料理でも網焼き、フライパン焼きなどさまざまです。
牛肉の美味しさを味わう最も代表的な料理です。
サーロインなど筋が少なく風味の良い部分が適しています。
焼き加減で肉の内部温度が違ってきます。
一般にミディアムが好まれているようです。
よく分からない時は肉屋さんに聞くのも一つの方法です。
挽き肉を使った料理です。
肉の硬い部分でも、挽き肉にすれば筋の組織が切断されて食べやすくなります。
一般家庭でつくる場合は牛挽き肉に豚挽き肉を混ぜることもありますが、挽き肉に食塩を加えてこね、粘りを出し成形しやすくします。
副材料には炒(いた)めたタマネギを肉の25パーセント以下、パン粉25パーセント以下および卵を5~10パーセントを加えます。
これらの副材料が臭みを抑え、肉汁を吸収し、粘着性を高めます。
焼き方はそれぞれの家庭に応じて加減し、焼き上げたハンバーグステーキには生野菜などを添えて皿に盛り付けます。
千葉県を代表する銘柄牛肉を「チバザビーフ」と称して、PR活動を展開しています。
現在、15の銘柄牛肉が協賛しており、キャッチコピーとロゴマークで消費者の皆さまにちばの牛肉を知っていただくよう努めているところです。
詳しくはこちら⇒チバザビーフ
牛肉はアミノ酸組成のバランスがよく、人間に必要な必須アミノ酸が多く含まれています。『日本食品標準成分表2020年版(八訂)』で、和牛肉、乳用肥育牛、輸入肉のサーロイン脂身つき100グラム当たりのエネルギー含量をくらべてみました。
区分 | エネルギー(キロカロリー) | 水分(グラム) | たんぱく質(グラム) | 炭水化物(グラム) | カルシウム(ミリグラム) | リン(ミリグラム) | 鉄(ミリグラム) | コレステロール(ミリグラム) |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
和牛肉(脂身あり) | 460 | 40.0 | 11.7 | 0.3 | 3 | 100 | 0.9 | 86 |
乳用肥育牛肉 | 313 | 54.4 | 16.5 | 0.4 | 4 | 150 | 1.0 | 69 |
輸入肉 | 273 | 57.7 | 17.4 | 0.4 | 3 | 150 | 1.4 | 59 |
エネルギーをみていくと、和牛肉の数値が一番高くなっています。ただし脂身なしの和牛肉は294キロカロリー、脂身つきの約64パーセントです。同様に乳用肥育牛も167キロカロリーで約53パーセントと低くなります。
ほかにも水分含量やビタミンの量にはそれぞれ違いがあります。
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