ここから本文です。
更新日:令和6(2024)年10月16日
ページ番号:353733
【千葉の梨は日本一!】
千葉県は土壌条件、気象条件に恵まれた梨の栽培適地で、栽培面積、収穫量(生産量)、産出額ともに、日本一を誇ります。(令和3年)
千葉県は土壌条件、気象条件に恵まれた梨の栽培適地です。
三方を海に囲まれた温暖な気候のため、関東地方の中では、花が咲く時期が早く、収穫時期も早くなります。
主力品種の「幸水」は、真夏を迎える8月上旬には県内各産地が出揃い、暑くて梨が食べたくなる時期と、最も味の乗る収穫最盛期が重なることなどから、昔から千葉県の梨はおいしいと言われてきました。
また、千葉県に多い火山灰土壌は、栄養分を保つ力が強く、排水性も良いことから、梨の栽培に向いており、おいしい果実が実ります。
果実も太陽の光をたっぷり浴びて育ちます。
主力品種の「幸水」「豊水」は、果実に袋をかけずに栽培されます。(「新高」の一部や「二十世紀」は袋をかけます)
一般的に果実にも光が当たった方が、糖度が高くなります。夏の太陽をたっぷり浴びて、果実はどんどん甘くなります。
消費地に近いため、お客様の声もすぐに届きます。消費者は、おいしい梨を求めていることを、千葉県の生産者は、良く理解しています。
また、鮮度のよい、収穫したての梨をお届けすることができます。
さらに、遠隔産地と比べて、完熟に近い状態まで樹につけておくことができるため、収穫適期の味の良い梨が収穫できます。
江戸時代より続く千葉県の産地では、おいしい梨を作るため長年蓄積された技術があります。そして、今でも、もっとおいしい梨を作るため、技術の研鑽に励んでいます。
例えば、土づくり。土づくりは一朝一夕にはできません。長い年月をかけて堆肥などの有機質肥料を梨園に施用し、梨の樹が健全に育つ土壌を作っています。健全な樹は病気に強いだけでなく、おいしい果実を成らせます。
また、せん定作業、肥料のやり方は、すべて味を重視して行われます。そして、最もおいしい時期を逃さず収穫し、皆様にお届けしています。
この他、千葉県の各産地では、農薬を適正に使用し、農薬散布履歴の記帳はもちろんのこと、細かい目合の網で梨園全体を覆い害虫の侵入を防いだり、フェロモンと呼ばれる害虫の雌の臭いを梨園に充満させ、交尾できないようにして害虫の発生を防ぐなど、様々な工夫をして、おいしい梨を生産しています。
千葉県における梨のルーツは江戸時代にまで遡ります。
千葉県の梨栽培は、江戸時代の1769年※に、八幡地方(現在の市川市八幡地区)で、川上善六により広まったと言われています。
川上善六は、1742年八幡地方に生まれ、幼児より書を好み学識に富んでいました。殖産興業に熱心で、八幡地方にどんな作物が適しているかを探していたところ、美濃国大垣周辺で品質の良い梨が栽培されているのを見てその技術を学び、枝梢を持ち帰って八幡地方に広めました。
八幡地方で収穫された梨は江戸に運ばれ、高級品としてもてはやされていました。
このため、産地は急速に拡大し、江戸末期には関東で最大の梨産地になったと推定されています。
※徳川第十代将軍家治の時代で、田沼意次が側用人をへて老中となり権力をふるった頃。田沼は、商人の財力を利用して印旛沼や手賀(てが)沼(ともに利根川の下流域)の干拓を進めた。
写真は「下駄を履いた女性が梨をもいでいる図」です。
出展:千葉県果樹のあゆみ(千葉県果樹組合連合会発行)より「江戸名所図絵」(天保5年、1834年)
梨の品種「二十世紀」の発祥の地は千葉県松戸市です。
松戸市在住で、当時13歳の松戸覚之助が1888年(明治21年)、裏庭のゴミ捨て場に生えていた梨の木を偶然発見し、その梨を移植して育てたところ、10年目の1898年(明治31年)に実が成りました。
その食味が今までになく新鮮で多汁であったため、やがて迎える二十世紀に王座を成す梨になるだろうと、農学者の渡瀬寅次郎や池田伴親らによって「二十世紀」と命名されました。
その後、「二十世紀」は1904年に鳥取県に渡り、当地において「二十世紀」の日本一の産地を築くこととなりました。
千葉県の日本梨は、栽培面積・収穫量(生産量)・産出額ともに全国順位では第1位となっています。
栽培面積は、1,340ヘクタールで、大消費地である東京に近く、消費者の多い東葛飾地域に産地が多いことが特徴です。
順位 県名 |
第1位 千葉県 |
第2位 茨城県 |
第3位 栃木県 |
第4位 鳥取県 |
第5位 長野県 |
全国 | 千葉県 の順位 |
千葉県 のシェア |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
産出額(億円) | 65 | 63 | 50 | 49 | 45 | 683 | 1位 | 9.5% |
栽培面積(ヘクタール) | 1,320 |
882 | 724 | 589 | 616 | 10,400 | 1位 | 12.7% |
収穫量(トン) | 19,200 | 17,800 | 17,000 | 11,800 | 13,000 | 196,500 | 1位 | 9.8% |
出典:農林水産統計速報
市町村名 | 白井市 | 市川市 | 鎌ケ谷市 | 船橋市 | 八千代市 | 松戸市 | 市原市 | 柏市 | いすみ市 | 香取市 | その他 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
産出額 (億円) |
13.3 |
12.0 | 8.5 | 7.9 | 3.1 | 2.6 | 2.3 |
2.3 | 1.8 | 1.7 | 9.5 |
比率 % |
20.5 | 18.5 | 13.1 | 12.2 | 4.8 | 4.0 | 3.5 | 3.5 | 2.8 | 2.6 | 14.6 |
資料:農林水産省、市町村別農業産出額(推計)(令和4年)
「幸水」の簡易被覆栽培が昭和60年頃より、一宮町、岬町(現いすみ市)等に導入されました。
早期出荷が可能な他、労力分散を図ることができます。
千葉県の梨は、市川市大町の直売街道や鎌ケ谷市梨業組合産直部会に象徴される直売・宅配や観光もぎ取り園などで多く販売されています。
また、JA長生グリーンウェーブや白井中央梨選果場等に代表される大型選果場を設置しているところや、出荷組合で販売を行うところ等、市場対応型の産地も多くあります。千葉県や東京都等の市場の主要産地であり、梨の時期には首都圏の量販店で多く取り扱われます。
千葉県で推進している「ちばエコ農産物」の梨での申請戸数は、31戸、16ヘクタールです(令和5年3月時点)。また、エコファーマーへの取り組みも積極的であり、県全体のエコファーマーは、令和5年3月時点で、720戸が認定されています。
*写真は梨の花です。
千葉の梨は、8月から9月が旬の時期です。
また、7月下旬から10月上旬まで、時期によって出回る梨の品種が替わりますので、様々な味を楽しむことができます。
・幸水:7月下旬~8月中旬
・豊水:8月下旬~9月中旬
・あきづき:9月上旬~9月下旬
・新高:9月中旬~10月上旬
・秋満月(あきみつき)(新品種):9月中旬~10月上旬
千葉で栽培されている主な品種は次の6つです。令和3年には「秋満月(あきみつき)」も仲間入りしました。
最も人気のある品種です。両親は、菊水(きくすい)×早生幸蔵(わせこうぞう)で、名前は、両親の一字ずつを取ってつけました。
昭和34年に品種登録されましたが、未だに「幸水」に代わる早生品種は育成されていません。
果実の色は「豊水」のような赤梨と「二十世紀」のような青梨の中間色タイプです。特にハウスなどで栽培すると湿度等の条件により果面がまだら状になるものもありますが、品質的には問題ありません。
果肉は緻密で「二十世紀」より柔らかく、甘みも強く、特有の風味があります。
露地栽培では8月上旬~中旬に熟しますが、ハウス栽培は7月下旬には店頭に並びます。
日持ちは、室温で5日程度しかないので、早めに召し上がることをお勧めします。
両親は、「幸水」×イ-33(「石井早生」×「二十世紀」)です。
昭和47年に登録された品種です。発表時には両親が不明とされていましたが、2003年にDNA解析等の調査から、「幸水」×イ-33の交配可能性が高いことが明らかになりました。
果実は「幸水」より大きくなり、糖度も高く、多汁で酸味と甘みのバランスがよく、豊かな食味です。特に、完熟した「豊水」は、まさに極上の味と言えます。
8月下旬から9月中旬に熟します。
日持ちは、室温で10日程度と「幸水」より長く持ちます。
昭和2年に命名された品種です。これまで両親の「天の川」(あまのがわ)、「今村秋」(いまむらあき)がそれぞれ新潟県、高知県の原産であることから、両親の県名から一字ずつ取って「新高」と名づけられたと言われてきましたが、最近のDNA鑑定により、片親は「今村秋」ではなく、「長十郎」と推定されました。
大型の梨で、中には1キログラムを超えるものもあります。肉質はやや粗いですが、柔らかくて甘みも強く香気にも富む高品質な梨です。
9月中下旬から10月上旬に熟します。大きくて見栄えが良いので贈り物にもぴったり。
日持ちも良く、冷蔵庫などで保存すれば、1ヶ月以上持ちます。
平成13年に登録された品種です。
両親は、(「新高」×「豊水」)×「幸水」という、人気の高い3品種の掛け合わせです。
まさに親たちの良いところを受け継いだおいしい梨といえます。
果肉は柔らかく果汁もたっぷりで、糖度が高く酸味が少ないのが特徴です。
9月上旬から下旬に熟します。
日持ちは、室温で14日程度です。
1888年(明治21年)、松戸市在住の松戸覚之助少年が、ゴミ捨て場で自然交配の苗木を発見し、梨園に移植したのが始まりです。
黄緑色の果皮で果肉は柔らかく、多汁で甘みがあるものが成り、明治31年に「二十世紀」と命名されました。"二十世紀に王者になるべき果物"との意味から命名されたようです。
9月上~下旬に熟します。表面に光沢があり、「水晶梨」「果物の芸術品」などと言われていますが、皮が薄いので傷付きやすく、袋をかけて栽培されています。
「新興」に「幸水」を交配して育成された系統です。
系統番号は「ナシ平塚16号」で、命名登録及び品種登録はされていませんが、「かおり」の俗称で販売されています。
大果の青ナシで、特徴的な香りがあります。果肉はやや硬く、肉質は粗い特徴がありますが、甘味が強く、果実が大きいほど甘さが増します。
「豊水」の収穫後期に当たる9月上中旬に熟します。
外観をきれいに仕上げるため、袋をかけて栽培されることが多いです。収穫適期が短く、日持ちが短いので、主に直売所で販売されています。
夏期に収穫され流通する梨は、日持ちの良いものではありません。購入したらすぐに冷蔵庫に入れ、早めに食べきるようにしましょう。
箱入りの梨が送られてきたら、すぐに箱を開け、色のまわっている果実から食べてください。すぐに食べきれない場合は、冷蔵庫に保存しましょう。
梨は菓子等への加工に適さないため、加工品は少ないといわれていましたが、最近は、産地とお菓子屋さんのコラボレーションで地元の梨を使ったケーキやお菓子も多く開発されています。加工品には、生理障害や気象災害などにより形が悪い等、味は問題ないが青果での販売に向かない規格外の梨が使われています。ぜひ、地元の梨を使った加工品もお楽しみください。
千葉県では平成24年より梨の輸出にも取り組んでいます。これまで、タイやマレーシア、シンガポールでプロモーションを実施してきました。令和6年度からは台湾への輸出にも取り組んでいます。日本一の千葉の梨を世界の人にも楽しんでいただけるよう取り組んでいます。
台湾での日本一の千葉の梨、産地紹介(PDF:817.6KB)
お問い合わせ
より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください