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更新日:令和4(2022)年9月26日
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近年、千葉県の水稲栽培ではジャンボタニシ(和名:スクミリンゴガイ)による被害が発生して問題となっています(写真1)。移植直後の苗が食害されて欠株となり、被害が激しい場合は数割の減収につながります。現地では殺貝剤処理をはじめとする種々の対策がとられていますが、被害を完全に防ぎ切れていないのが現状です。ここでは、新たに明らかになったジャンボタニシ対策について紹介します。
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写真1スクミリンゴガイと被害の発生した水田
(左:スクミリンゴガイ成貝、右:甚被害の発生した水田、令和3年7月、旭市)
苗が移植される春期、主に被害の原因となるのは、新たにほ場の外部から侵入してきた個体ではなく、前年に発生し、ほ場の土壌の中で越冬した個体です。これらの数を減らすためには、秋冬期の耕うんが有効ですが、慣行のPTO1速の耕うんよりも、PTO2速の耕うん(時速1.4キロメートル以下)を行うことで、より小型の貝まで防除することができます(図1)。土性区分によってこの効果は異なりますが、貝の周囲の土壌が固まっている収穫後最初の耕うんにおいて最も防除効果が高くなります。一方で、既に耕うんされた土壌では貝の周囲の土壌が膨軟で、貝がロータリー内で空転してしまうため効果が低下します。
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図1.異なる耕うん方法による土壌に埋設したジャンボタニシの殺貝効果
(右上:ロータリーの刃によって殻が割れたジャンボタニシ)
ジャンボタニシが定着している地域内において隣接している2筆のほ場でも、被害の程度に大きな差が見られることがあります。こうしたほ場において、ドローンによる空撮と人工衛星情報を用いた標高の測量(RTK-GNSS)を組み合わせて田面の高低差を画像化し、その均平度を比較すると、被害が発生していないほ場では田面が均平に近く、甚被害圃場では田面に目立った凹凸があることが明らかになりました(写真2)。ジャンボタニシは水中でしか植物を食べることができないため、より水深が深い凹部で被害株が多くなる傾向があります。この凹凸が生じないよう、管理する方法について紹介します。
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写真2.ジャンボタニシ被害程度の異なる水田の田面の高低差(令和2年)
(左上:ほとんど被害のないほ場、右上:隣接する甚被害圃場、下:田面の高低を黒白に着色して可視化した画像)
耕うん時、トラクターのロータリーの高さを一定にする必要があります。ロータリーが上下すると、耕うん作業の一工程の間に田面にストライプ状の凹凸が残ってしまいます。
収穫時、コンバインを用いて周囲四辺から刈り取る方法が一般的ですが、この場合、各角では旋回時にクローラーを切り返す際に土壌が削られ、さらに四辺の刈り始めとなるために稲わらが落ちず、土壌が低く硬くなります。そのため、四隅から圃場中央へ向けてV 字および逆V 字の模様を描くように低い部分が確認されます(図2)。ジャンボタニシの被害が激しかったほ場では、この方法でコンバインが操作されており、コンバインの操作跡と凹凸の様子が一致する傾向がありました(写真2、図2)。
一方で、被害のなかった圃場では、短辺側の端にコンバインが旋回できる幅を刈り取った後は枕で旋回させて、長辺方向の二辺のみ刈り取る方式で操作されていました。
これらの方法により、田面が均平に保たれることでジャンボタニシの被害が甚大化せずに済む可能性が高いです。均平は肥培管理や除草剤、殺貝剤の効果を高めるためにも重要ですので、是非とも心がけて頂きたいポイントです。
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図2.コンバインの異なる操作方法(左)と収穫後の田面の様子(右)
ここで紹介したジャンボタニシ対策技術の詳細については、ジャンボタニシ(和名:スクミリンゴガイ)被害防止対策ページ内のポスター、リーフレットをご参照ください。詳しくは県庁安全農業推進課(電話:043-223-2888)までお問い合わせ願います。
なお、本稿に掲載された試験の一部は、農林水産省「令和3年度病害虫の効率的防除体制の再編委託事業(スクミリンゴガイの総合防除体系の確立)」の中で実施されました。
初掲載:令和4年8月
担い手支援課専門普及指導室
上席普及指導員 清水 健
電話番号:043-223-2913
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