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更新日:令和4(2022)年6月8日
ページ番号:516264
慣行の落花生栽培において、マルチングと播種の10アール当たり作業時間は12時間で、栽培全体の約2割を占めています。内訳は、マルチングが3時間、人力による播種が9時間で、特に腰を屈める作業となる播種は重労働です。ニンジンやダイコン等の野菜類では、マルチ同時播種機が普及したことで、砕土・整地・マルチング・播種・覆土作業まで同一行程で行うことが可能となり、播種作業の省力化が図られています。落花生でも播種機の開発は取り組まれてきましたが、現場での普及は大きく進んでいません。
野菜類で使われている目皿式マルチ同時播種機(写真1、商品名:シーダーマルチ、型式:SDSシリーズ(総和工業(株)社製))について、落花生でも使用できないかという農家からの要望に応えて、メ-カーが令和元年にバイブレーション機能が付与された落花生専用播種ユニットを開発し、マルチングと播種が同時に行えるようになりました。
この落花生用播種ユニット(写真2、型式:SD15-PF、SD15-PFO)を「シーダーマルチ」に2台取り付け、他品目と同様に管理機またはトラクターに装着して使用します。取り付けに関して、特にアタッチメント等は必要なく、他品目で使用する際は、品目専用の播種ユニットを使用します。
マルチング・播種作業は、操縦者及び補助者の2人1組で行い、補助者はマルチングの補助、播種ユニットの動作確認及び種子供給を行います。播種粒数は、1粒、2粒及び1粒2粒交互播種に対応できます。加えて、種子の落下検知機能が搭載されており、種子の詰まりがある時はブザーが鳴る仕様になっています。
販売価格は、シーダーマルチ本体が368千円、播種ユニットが1台80千円となっており、一式揃えると、合計581千円(税込み)となります。
写真1.シーダーマルチ
写真2.播種ユニット及びユニット内の目皿
※写真1及び2の提供元は、総和工業(株)。
「シーダーマルチ」によるマルチング・播種作業の現地実証(写真3)では、10アール当たりの延べ作業時間は2.8 時間(慣行体系比24パーセント)に削減されました。また、車速は毎秒0.20から0.23メートルで作業したときにマルチ孔ごとに点播された割合は93から100パーセントであり、播種深度も一定で、マルチ孔内中央に高精度で播種されました。
写真3.シーダーマルチによる播種作業の様子及びその後の出芽状況
前作が緑肥作物等の場合は、圃場内の刈り残された植物体が播種精度に影響することから、事前にプラウ耕等で植物体を土中にすき込む、もしくは作業中にシーダーマルチの溝切り部分をこまめに清掃する必要があります。
播種深度は3センチメートル程度になるよう調整し、播種後に30度近くの気温上昇または土壌の乾燥が予想される場合は、出芽不良になることから、やや深めに調整します。
作業時は、ホッパー内の種子残量に注意して作業を行います。また、各畝のマルチ敷設開
始後の2から3穴は欠株と出るため補植が必要です。
播種後は、マルチ開孔部の外側から出芽する恐れがあるため、出芽後に確認し、必要に応じて芽出し作業を行います。
初掲載:令和4年3月
農林総合研究センター
水稲・畑地園芸研究所
畑地利用研究室
研究員 奥畑 徹之
電話番号:0478-59-2200
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