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更新日:令和4(2022)年2月21日
ページ番号:7465
稲作農業においては、従事者の高齢化と減少に伴い、担い手への農地集積と規模拡大が進んでいます。また、近年の極端な気象変動により、生育状況に合わせた適期管理の実施がより重要になっています。
一方、次世代の農業として、近年「スマート農業」が注目されています。稲作のスマート農業技術には、
などがあります。
東葛飾地域では、大規模稲作経営体を中心に、スマート農業技術を活用し、作業の省力化や従業員の経験不足を補うことで、経営を効率的に行う取組が始まっています。
写真1.ロボットトラクタ
写真2.自動給排水
写真3.ドローンセンシング
東葛飾農業事務所では、近年普及が進んでいるGPS等の衛星測位情報を活用した運転アシスト装置を組み込んだ田植機(以下、「GPS田植機」)の導入効果を検討するため、平成30年度、我孫子市で現地実証試験と検討会を行いました。
今回試験に使用したGPS田植機は、衛星測位情報を利用し、直進をアシストする自動操舵機能を搭載しています。最初の田植え行程は基準線を登録するために手動で運転しますが、次行程からは基準線に対し自動的に並行走行でき、簡単にまっすぐな田植えができるものです。
写真4.試験に使用したGPS田植機
実証試験では、GPS田植機を利用することにより、田植えにかかる時間を21パーセント短縮できることが分かりました(図1)。試算ではGPS田植機の導入経費は、田植面積が54.2ヘクタール以上で労働費と相殺できることから、55ヘクタール規模以上の稲作経営体への普及性は高いと考えられます。
また、現地検討会では、参加した生産者から「田面に凹凸があっても機械のアシストにより綺麗に植えられるのか?」「導入することによるメリットは?」などの質問が上がり、関心の高さが伺われました。更に、田植えの実演を担当した農家からは「作業時間が短縮でき、機械のアシストで、集中して運転する時間が減り疲労感も軽減する」とのコメントがあり、忙しい田植えシーズンの労力負担軽減対策として期待できます。
図1.田植時間の比較
※隣接する同面積(32アール)ほ場で田植え時間を計測した。
※苗、肥料を満載にした状態から計測開始、ほ場間の移動は含まない。
経営面積が大規模化するに従い、わずかな作業時間短縮の積み重ねが結果的に大きな省力効果を生みます。GPS田植機の導入は田植え労力負担軽減に加えて、田植え前の落水が不要になり排水による環境負荷を軽減できる、経験が浅いオペレーターでも簡単に操作ができる、などのメリットがあります。
また、東葛飾地域では、刈取り時に玄米収量や玄米たんぱく含有量推定値を計測できる収量食味コンバインや、完全無人化を実現するロボットトラクタの実証実験が国の事業により行われています。今後も農業現場における人手不足が予想されるなか、活発に研究開発が行われているスマート農業技術を活用し、効率化を進めていく取組はますます重要になります。将来にわたり安定的に経営を続け、地域の水田を次世代につなぐため、大規模稲作経営体の努力は続いています。
初掲載:平成31年1月
東葛飾農業事務所改良普及課
北部グループ
上席普及指導員
長谷川美奈
電話:04-7162-6151
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