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更新日:令和3(2021)年12月13日
ページ番号:7458
高品質で斉一性の高い肉豚を生産するためには、系統豚(遺伝的にバラツキの少ない豚)を用いた三元交雑豚(以下LDW)の生産が効率的です。畜産総合研究センターでは、繁殖性や発育性などに重点をおき改良したランドレース(以下L)種の系統豚「ボウソウL4」を造成し、平成28年1月に認定されました。
この系統豚「ボウソウL4」の能力を十分に活かすことができる相性の良い、大ヨークシャー(以下W)種とデュロック(以下D)種の組合せを検討するため、ボウソウL4の雌にW種の雄を交配してできた種豚(以下LW)の繁殖成績、LWの雌にD種の雄を交配した肉豚LWDの発育や産肉、肉質成績について調査しましたので紹介します。
W種は、本県の系統豚「ボウソウW」を含む5系統を用いて、LWを生産しました。その後それぞれのLWをD種2系統と交配し、10通りのLWDを生産し、発育や産肉、肉質成績について調査しました。
図1.「ボウソウL4」とW種(5系統)とD種(2系統)の組合せ(LWD10通り)
LWの繁殖成績に差はありませんでした。
またLWDの発育成績、飼料要求率はいずれの組合せも良好で、上物率は69から83パーセントといずれも高い数値となりました(表1)。
肉質については、LW3の産子で筋肉中の保水力が劣る結果となりました。また、格落ち理由については、LW4とLW5産子で薄脂が多く、D種の違いでは、D1産子での厚脂、D2産子での薄脂による格落ち理由が多くみられました。
表1.LWDの上物率と格落ち理由
家畜改良センターで、主に筋肉内脂肪含量を高め肉質を改良したD種「ユメサクラエース」(以下D3)が系統豚として認定されたため、図2のとおりD3を加えてD種の組合せについて検討しました。ここでは、中間雄のW種には、W1(ボウソウW)を用い、D2産子とD3産子の2通りのLWDの発育や産肉、肉質成績について調査しました。
図2.ボウソウL4とボウソウWとD種(2系統)の組合せ(LWD2通り)
D2、D3産子ともに平均出荷日齢は143から146日と早く、表2のとおり上物率も70パーセント以上と高く、本県の系統豚との相性は良好でした。特にD2産子は、1日平均増体量、ロース断面積の大きさが優れ、D3産子は、加圧保水力と筋肉内脂肪含量の肉質に優れていました。
しかし、いずれも雌において格落ち理由は薄脂が多いことから、さらに上物率を上げるうえでは、肥育後期飼料の成分を調整するなど、飼養管理を工夫する必要があると考えられます。
表2.LWDの上物率と格落ち理由
このように、系統豚の組合せによって生産される肉豚に特徴が出てきます。そのため、各農場の飼養管理に合った系統豚の組合せを用いることで、斉一性の高い肉豚の生産をすることができるのではないかと考えられます。
初掲載:平成30年11月
畜産総合研究センター
研究員
吉田早希
電話:043-445-4511
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