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更新日:令和5(2023)年9月20日
ページ番号:7408
千葉県内のナシの主力品種である「幸水」では、老木化に伴う単収や品質の低下による収益の減少が問題となっています。そのため、関係機関では改植を推奨していますが、改植初期の所得の減少や将来の所得の増加の予測が難しいため、順調に進捗しているとは言い難い状況です。
このような状況を踏まえ、農林総合研究センターでは平成23年度に個々の経営に合わせた改植計画を作成できる「ナシ改植意思決定支援システム」を開発し、平成28年度には改良版である「ナシ改植意思決定支援システムver.2.0」を開発しました。このシステムは、経営面積や樹齢構成、労働力等を入力することで、所得が最大となる改植計画を作成できます。また、条件を変えた複数の改植計画の比較や改植計画の任意の修正も可能となっています。
本システムはMicrosoftExcel(2007、2010、2013、2016で動作確認済み)のワークシート上で稼動するため、これらがインストールされたパソコンが必要です。
改植計画作成において必要な情報は以下のとおりです。
(4)~(8)については千葉県での調査データがサンプルとして入っており利用可能ですが、正確な予測のためには個々の経営にあわせて修正する必要があります。特に(4)の樹齢別収量は、設定する値によって改植計画が大きく変わるので、各経営の実態に基づいた値を用いることが望ましいです。しかし、自分の経営の樹齢別収量を把握することは困難なため、「高収量」、「標準収量」、「低収量」から選択・修正できるようになっています。(5)~(8)は販売形態別に「市場出荷(選果場利用有)」、「市場出荷(選果場利用無)」、「直売」から選択・修正できます。
以下の条件でシミュレーションを実施した結果を示します。
結果は、今後30年間の改植計画(改植時期と面積)、所得と収穫量の推移で表示されます。まず所得の推移が表示されますので、この結果で概ね納得できたら、詳細について確認します。
所得確認画面の抜粋を(図1)に示しました。結果を比較するために、他のシミュレーション結果2つを画面上に表示することができます。今回は比較シナリオ1として、改植を行わなかった場合のシミュレーション結果を表示しています。改植実施により、所得は現状よりも下がりますが、一定水準の所得を25年以上維持することが可能です。
図1.所得確認画面
改植計画の確認画面(図2)を見ると、品種別の改植時期と改植面積が5年ごとに表示されます。30年間の合計所得を大きくするため、初期に改植面積が多くなる傾向にありますが、適正な改植面積は年によって異なります。なるべく改植面積を変えたくない場合には、この結果を参考に自分で改植計画を立て、所得や収穫量の推移を確認する機能も備えています。
図2.改植計画確認画面
収穫量の推移を確認すると、(図3)改植の実施により収穫量は一度下がりますが、改植樹の成長に伴い収穫量が増加していきます。品種ごとの最低収穫量を設定して収穫量の品種間の偏りを防ぐことも可能です。
図3.収穫量確認画面
本システムは、担い手支援課(電話番号:043-223-2907)に利用申請書を提出することで入手可能です。
初掲載:平成29年6月
農林総合研究センター
研究マネジメント室
研究員
髙橋ゆうき
電話:043-291-9985
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