ここから本文です。
ホーム > 教育・文化・スポーツ > 教育・健全育成 > 学校教育 > 安全・保健・給食 > 学校給食・食育 > 食育・食に関する指導に関すること > 食育コラム > 令和6年度|食育コラム > 佐倉市立下志津小学校の食育の取組
更新日:令和6(2024)年9月17日
ページ番号:691383
佐倉市は千葉県の北西部に位置し、江戸を感じる町並みは、成田・佐原・銚子とともに日本遺産として認定されています。その昔、佐倉藩の城下町や軍都として栄え、市内には佐倉城跡や武家屋敷が現存しています。また、かつては佐倉順天堂を中心とした蘭学先進地であり、「西の長崎、東の佐倉」と呼ばれた西洋医学の街であるとともに、現在では国立歴史民族博物館などを有する文化都市としての側面をもつ街でもあります。
現在、市内には小学校23校、中学校11校があり、すべて自校方式で給食を提供しています。地場産物や旬の食材を給食に取り入れ、児童生徒が学校給食から地元佐倉の恵みを受け、生涯を通して健康で豊かな生活が送ることができるようにと願い、食育を推進しています。
本校は「よく学び 心豊かで たくましい子どもの育成」を学校教育目標に掲げています。
元気よく気持ちのよいあいさつができ、好奇心旺盛で思いやりのある児童が多く、いつも活気に溢れています。給食では、主食を中心に比較的よく食べていますが、噛むことが多くなりがちな根菜類や大豆を使った煮物などの和食は残りやすい傾向にあります。このような苦手とする料理でも継続して提供していくことで、入学したての頃と比べて、卒業する頃には一人ひとりの食べられる量が多くなったり、好き嫌いなく食べようとしたりする姿から成長を感じています。
本校では、一汁三菜といった和食を中心に佐倉の先人の教えを伝えられるような献立を取り入れ、日々、ひと手間かけた調理を心がけ、子どもたちに喜んでもらえるような給食作りに励んでいます。
1年生 さやえんどうの筋とり
2年生 グリンピースのさやむき
3年生 とうもろこしの皮むき
食に関する指導の年間計画に基づいて、旬の野菜に触れさせる取組を行っています。児童が皮むきや筋とりをした旬の野菜をその日の給食で提供することで野菜を身近に感じさせ、食べる意欲につなげています。
毎年7月には、地元の農家の方が作ってくださったとうもろこしを給食に取り入れ、児童がとうもろこしの皮むきを行い、当日の給食で全校児童に提供しています。とうもろこしの発注から納品までの流れを佐倉市栄養士会の地場産物班が生産者や農協と連絡を取り合っているため、各学校で旬の食材を使用することができています。また、市内共通の地場産だよりを校内に掲示し、児童が地元佐倉の米や味噌、野菜、果物などの旬の食材に興味をもてるようにしています。
旬の野菜に触れてもらえるように、年間を通して地場産物を給食に取り入れています。地元の新鮮でおいしい野菜や果物、米、きのこなどといった食材を提供し、地産地消を推進しています。
〇5年生 「ごはんとみそ汁を作ろう」
昨年度より調理実習ができるようになり、和食の基本である米の炊き方やだしの取り方、みそ汁の作り方を学びました。だしは、かつお節、昆布、煮干しを使ってそれぞれのだし汁の香りの違いを感じさせたり飲み比べを行ったりして、五感に訴える授業を行いました。
〇6年生 「一食分の献立を作成しよう」
6年生では、5年生の時の「ごはんとみそ汁を作ろう」の学習を生かし、ごはんとみそ汁に合う献立を作成しました。最初に各自が主菜を考え、その後、同じ主菜ごとにグループ分けを行い、グループで一食分の献立を一つ作成しました。グループ活動では、同じ主菜を考えたもの同士であったこともあり、意欲的に取り組む姿が見られました。このグループごとに考えた献立すべてを3月の給食で提供しました。当日の給食時間に給食委員会の児童が献立のおすすめポイントを放送で説明しました。6年生の児童は、自分達が考えた献立が給食として実現され、嬉しそうでした。
1月24日から30日までの全国学校給食週間に「全国学校給食週間カード」を児童に配付し、自分自身で給食に関するめあてを決め、達成したら色を塗る取組を行いました。「給食はじまり献立」「千葉県の郷土料理」「全国の郷土料理」「佐倉市の統一献立」「佐倉姉妹都市オランダ料理」等、特別な献立が盛りだくさんな一週間だったこともあり、児童は意欲的に取り組んでいました。
千葉県の郷土料理の日には「いわしのさんが焼き」を取り入れました。いわしのさんが焼きは、6月の「県民の日献立」11月の「いい日本食の日献立」1月の全国学校給食週間における「千葉県の郷土料理の日献立」と年間を通して3度提供しています。6月にいわしのさんが焼きを提供した際には、入学したばかりの1年生にとっては、今まで口にしたことのない児童が多くいたためか、残菜が多く出ました。しかし、残菜率は6月では22%、11月では16.4%、1月では9.0%と回を重ねるごとに減っています。1月に提供した際には、給食終了後の休み時間に1年生の児童が「今日の給食おいしかったよ。ハンバーグがおいしかった。」と声をかけてきてくれました。魚の臭みが苦手で食べられなかった児童も継続して給食を提供することにより、食べられるようになると感じました。
全国学校給食週間では、「自分自身の健康を見つめよう」ということで、自分のめあてを定め、達成したら色を塗り、「がんばったこと」や「はじめて食べられたもの」などを記入する取組を行いました。自分のめあてがすべて達成できた児童は、78.0%、ほぼ達成できた児童は9.2%であり、合わせて87.2%の児童が意欲的に取り組むことができ、来年も継続して行いたいという意見が給食委員会の児童をはじめ、様々な児童から出ました。一方で、ほとんど達成できなかった児童は、9.8%、まったく達成できなかった児童は2.9%であり、支援が必要な児童がみられます。興味をもたせられるような工夫やきめ細やかな対応の必要性を感じました。
全小中学校で「城下町佐倉・江戸ぐるめ献立」、「津田仙献立」、「クララホイットニー献立」、「佐倉市統一献立」など特色ある給食を提供しています。11月16日の佐倉教育の日には、地場産物や塩麹、酒粕などの発酵食品、お城最中を取り入れています。
(佐倉市教育委員会発行 「令和6年度佐倉市教育施策」より一部抜粋)
〇食育授業の実施
〇給食を生かした健康教育の推進
〇安全・安心な給食を提供するための地場産物を中心とした献立作りの推進
〇地産地消を推進するための地場産物推進会議の開催
〇家庭や地域を対象とした学校給食試食会、家庭教育学級等における食育の推進
〇教科等と関連づけた「食に関する年間指導計画」に基づく指導の充実及び児童生徒の望ましい食習慣の確立
〇ホームページの活用等による食育等の情報提供の推進
〇生活習慣病予防教育における個別相談の充実
昨年度より、1年生の保護者を対象とした試食会を再開することができました。学校給食の概要や本校の給食について紹介し、食育の基本は家庭にあることを伝え、幼い頃からの望ましい食習慣が生涯の健康につながることを理解していただきました。保護者の方からは、「普段、子ども達が食べている給食を食べることができて、嬉しかったです。」「家で食べられなかった食材を給食のおかげで食べられるようになり、感謝しています。」「給食ができるまでにとても衛生面に気を付けられていて、安全・安心・おいしい給食を提供してくださりとても感謝しています。」などという感謝の言葉をたくさんいただきました。励みになっています。
家庭でも給食を身近に感じてもらえるように「給食レシピコーナー」を設置し、児童が自分で好きなレシピを持ち帰ることができるようにしています。中でも、本校は「ひじきのマリネ」や「スパゲッティミートソース」「からっとご飯」「ししゃものパリパリ揚げ」はすぐにレシピが無くなるくらい好評です。意識しないとつい不足がちになりやすい野菜や海藻、小魚の摂取を促せるようにと願い、児童を通じて家庭へレシピを配付しています。成長期に必要な栄養素を積極的に摂取し、自分自身や家族の健康に役立ててほしいと思います。
子どもの食習慣の形成は、家庭が基本となりますが、給食を通して児童一人ひとりが望ましい食事内容を理解し、「食べる」という実践を積み重ねることで、正しい食習慣を身につけ、生涯を通して健康に過ごせる児童の育成を目指していきたいと考えています。食べることで人とのつながりが生まれ、感謝する心が育まれます。これからも学校給食が子ども達の心と体の栄養となりますように。
文責:佐倉市立下志津小学校 栄養教諭 柴田 博子
お問い合わせ
より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください