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更新日:令和5(2023)年6月2日
ページ番号:589721
市川市は千葉県の北西部に位置し、都心へのアクセスがよく県内で4番目に人口の多い市です。「健康寿命日本一」を目指している市川市は、健康的な食生活を送るために、幼少期からの食習慣が重要だとして食育に力を入れており、2023年4月より全ての市立学校の給食費無償化が始まりました。市立学校55校のうち、46校が自校方式、9校は近隣校から配給される親子方式をとっており、子どもたちが食事をより楽しみ、苦手な食材にも挑戦できるように、各校の栄養教諭・学校栄養職員が、子どもの実態に応じた献立作成や調理方法等を工夫しています。また、季節の食材や市川市産の食材(梨や海苔など)を取り入れ提供しています。
本校は、市内でも残菜率が大変低く、学校経営方針には「残菜率3%以下の維持」が挙げられています。「今日はなんの野菜をつかっているの」「先週の○○がおいしかった」などのやり取りが日常的に行われ、食への関心の高さや、毎日の給食を楽しみにしている児童の多さを感じます。児童と給食室の『心の距離の近さ』を日々実感し嬉しく思います。一方で、年度当初に「苦手なものでもひとくちは食べる」と共通理解を図っていますが、クラスによっては配膳しなかったり、全く食べずに戻したりする様子も見られます。
成長期の児童にとって、栄養バランスのよい食事をとることが重要であることはいうまでもありません。様々な料理や食材を食べることで食の経験が豊かになり、その経験が人生を豊かにしていくと考えます。自ら進んで楽しく栄養満点の給食を食べられるようになってほしいと考え、日々食に関する実践を行っています。
(1)食に関する授業
担当の教員と連携し、令和4年度は年間を通して23時間の授業を行いました。
1年生 |
生活科「そらまめのさやむきをしよう」 |
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2年生 |
生活科「とうもろこしのかわむきをしよう」 生活科「さつまいもパーティーをしよう」 |
5年生 |
家庭科「おいしいみそ汁の秘密を探ろう」 家庭科「バランスの良い食事について知ろう」 |
6年生 |
外国語科「My curryrice have …」 家庭科「ナンバーワン献立をたてよう」 家庭科「千葉県の伝統料理 太巻き祭り寿司をつくろう」 |
特別支援学級 |
生活単元学習「カレーライスについて調べよう |
昨年度、2年生は生活科でさつまいもを苗から育てる学習をしました。収穫後には、「さつまいもをおいしくたべる方法を考えよう」というテーマで授業をし、さつまいもの栄養や調理特性についてクイズ形式で学習しました。クイズの最後には、電子レンジとオーブンで加熱方法の違うさつまいもの食べ比べを行い、調理方法の違いによる甘さや香りの変化を体験しました。授業の最後には、子どもたちと相談しスイートポテトを作る調理実習を行いました。自分たちの育てたさつまいもをおいしく調理したいという思いも高まり、班で協力して丁寧に作ることができました。また、お世話になったさつまいも博士(本校の理科専科)や、校長先生、教頭先生にもおすそ分けし、感謝の気持ちを伝えました。
事後アンケートの結果から、食べることへの関心が高まっただけでなく、その料理が出来るまでのプロセスに関心を持つようになったり、お手伝いを積極的にするようになったりと家庭での様子が変化したこともわかりました。
学習の後、おうちでさつまいも料理をつくりましたか? |
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学習のあと、自分の生活の中で変化はありましたか? |
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外国語科では、給食のカレーの食材や産地、3つの食品のグループなどを学習しました。また、英語専科教諭から朝、食材が納品されてカレーが出来上がるまでの動画を作成して欲しいという依頼があり、給食室に協力してもらい作成しました。児童からは、「改めて給食室の様子を知り、給食を大切に食べようと思った」「英語で給食のことを知ることができて新鮮だった。いつもの英語より楽しかった」という感想がありました。給食ができるまでの様子や裏で支えてくれる人の存在を知ったことにより、より給食を大切に食べようとする児童が増えたようでした。また、英語専科教諭からも「普段、英語に消極的な子たちも、毎日食べている給食が題材になることで積極的に授業に参加しようとする姿がみられた」という声がありました。
(2)ヘルシースクール
本校では、体育・保健・給食の3つの柱をからだ部会(ヘルシースクール部会)と位置付け、連携して健康教育に取り組んでいます。昨年度は、それぞれの委員会活動で動画を作成し、1月に「すこやか週間」と称して全校で視聴しました。
給食委員会では「苦手なものも食べて元気にすごそう」をテーマにして、オリジナルキャラクターを考え、低学年にもわかりやすい内容となるよう工夫しました。振り返りシートから、「野菜をのこさずたべようと思った」「給食の時間にひとくちは食べようと思った」「野菜のパワーを初めて知った」という感想がありました。給食委員会の児童からは、「調べてきたことが伝わってよかった」「みんなにわかる内容だと思ったが、わからない子もいたことに驚いた」という声があり、動画視聴以降も野菜のパワーなどがわかるようにポスターも作成し掲示しました。
(3)その他
毎日発行しているランチタイムだよりには、毎日のもりつけ・食材の栄養や旬・豆知識などをまとめ、献立の意図や食に関する情報が伝わるようにしています。毎日各学級に配り、給食時間に放送しています。また、学校ホームページにも日々の給食写真とともにランチタイムだよりをアップし、保護者や地域の方にも発信しています。
司書教諭や放送担当の教員と連携して、毎月1冊ずつ本の内容と関連付けた給食を実施しています。当日の給食を楽しみにするだけでなく、おはなし給食をきっかけに、「図書室で借りて読んでみた」という児童や、「普段、本を読まないような児童がその本を探していた」という司書教諭からの嬉しい声もありました。
令和4年度は11月の食育月間に合わせて、千産千消マップを作成して給食室前に掲示し、とれる場所と生産量がわかりやすいように工夫しました。貼り出したところ、早速「生乳の生産量に驚いた」という声をいただきました。また、農産物の少ない市川市の特産品が分かりやすいようにし、身近に感じてもらえるように工夫しました。今後も自分の住む地域に愛着を持ち、自分の食べるものがどこから運ばれてくるのか意識して食べてくれたらと思います。
【給食で提供した市川市の特産品】
【完熟の市川とまと】
【雹害にあった市川のなし】
【行徳産の板海苔】
食材に親しみを持ち進んで食べる児童の育成を目指すためには、栄養教諭だけでなく担任・給食主任・専科教諭など様々な立場の教員と連携して進めていく必要があります。日々の給食を活用し、また各教科と連携して食に関する実践を行い、子どもたちが自らの食生活を振り返り、食への関心を高める機会をこれからも作っていきたいと思います。
文責 市川市立鶴指小学校 栄養教諭 藪野 愛
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