ペースメーカー
ペースメーカー植え込み手術
1)どんな病気に対して必要なのでしょうか?
不整脈の中でも脈拍が異常に遅くなってしまう病気で洞機能不全症候群と房室ブロックという名前の病気があります。いずれも脈拍数が遅くなるため(一般的には脈拍数が1分間に40以下あるいは4秒以上の脈の停止状態)それに伴い労作時息切れ、眼前暗黒感、失神などの症状が出現します。これらの病気に対して脈拍数を増やすための治療が必要になります。
2)脈拍数を増やすための治療はどんな治療があるのでしょうか?
脈拍数を増やすための治療としては薬で脈拍数を増やす方法とペースメーカーという機械で増やす方法があります。このうち薬で増やす方法は治療法としては簡単で患者さんにかかる負担も少ないのですがその効果が不確定、不十分なことが多いため広くは行われておりません。一般的にはペースメーカーという機械で脈拍を増やす治療方法が行われています。
3)ペースメーカーとはどんな機械なのでしょうか?
心臓は電気刺激で動いています。正常な心臓は自分で1分間に約50~90回の電気刺激を作り自分を動かしています。しかし先程述べました病気の心臓ではこの電気刺激を自分で作れなかったり自分の心臓全体に伝えることができません。ペースメーカーは簡単に言うと病気の心臓に代わり心臓に電気刺激を送って心臓を動かす機械です。ペースメーカーは電池と電気刺激を作る部分からなりたっています。大きさは約5×4cm程で厚さは7mm程です。ペースメーカーから出た電気刺激は血管内にある電線通して心臓まで伝わり心臓を動かします。
4)ペースメーカー植え込み手術はどのように行われるのでしょうか?
ペースメーカーを患者さんの体内に植え込む手術は以下の手順で行われます。
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まず患者さんの鎖骨の下の部分(多くの患者さんで左側で行います)を麻酔してペースメーカーを入れるためのポケットのようなものを皮膚の下に作ります。このときのポケットの大きさは約5x5cm、深さは約1cmです。
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次に鎖骨下静脈という血管を細い針で刺してそこから心臓まで血管内を伝って電線を入れます。
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電線とペースメーカーを接続しそれらを最初に作ったポケットに埋め込み傷口を縫い合わせて終了です。
手術の手順は以上です。手術時間は約1時間から1時間半程度です。手術は局所麻酔で行われますが手術中、手術後ともに痛みはほとんどありません。また傷口も約5cm程の切り傷が残りますがほとんど目立ちません。
5)ペースメーカー植え込み手術の危険性はどのくらいあるのでしょうか?
先程述べました通りペースメーカー植え込み手術は簡単に行われしかも患者さんの苦痛も非常に少ない手術ですがいくつか問題点もあります。
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電線を心臓まで入れるにあたり肺、血管、心臓に電線で穴が開いてしまうことがあります。
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植え込んだペースメーカーや電線にばい菌がつき感染症という病気が新たに発生することがあります。
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植え込んだ電線の位置がずれてペースメーカーが正しく働かなくなることがあります。以上のような問題点がありますが全国平均で言いますと手術にあたり問題が起こる確率は2%程度でありとても少ない確率と考えられます。当院においては年間約100名の患者さんの手術を行っておりますがこのような問題が起こる可能性は約1%程度となっております。当院にでは現在までペースメーカーの手術が原因で亡くなった患者さんはどなたもいらっしゃいません。
6)ペースメーカー植え込み手術後の生活はどのようになるのでしょうか?
ペースメーカー植え込み手術後は約1週間で退院となります。ほとんどの患者さんにおいて手術後は症状もなく生活の制限もありません。(一部電気機器によりペースメーカーに影響がでることもあります。詳しくは主治医にお尋ねください。)ただしペースメーカーの電池には寿命があり約5~10年程度となっております。患者さんには半年に1回外来に通院していただきそのつど電池の残りの量を調べます。電池が残り少なくなった時点で電池が無くなる前にペースメーカーの交換の手術を行います。