令和5年度決算審査報告書

本特別委員会は、9月定例県議会において設置されると同時に、令和5年度千葉県一般会計及び各特別会計歳入歳出の決算認定についての付託を受け、閉会中の継続審査の議決を得て、8回にわたる委員会を開催し、執行当局から説明を聴取しつつ厳正な審査を行った。
その結果、各会計とも計数については、監査委員の監査意見書のとおり過誤なきものと認められた。
一方、予算執行に伴う政策効果・経済性、また、外郭団体の適正かつ効率的な運営管理・経営の安定性の観点から、審査の過程において当局の説明を求め、今後の予算執行に際しては、一層の検討を加え、改善・是正すべきものとして要望した事項は、少なくなかった。
それらの諸点については、当局の適切な措置を期待するものである。
なお、主な要望事項は、次のとおりである。

1　県税徴収率の向上について

　徴収率の全国順位15位以内という長期目標に向け、今後、中期目標を設定し、直接徴収体制の強化や市町村研修生の受入れなど、市町村と連携した徴収対策を進め、更なる徴収率の向上に向け、引き続き積極的に徴収対策に取り組むべきである。

（総務部）

2　持続可能な地域公共交通に向けた支援について

　持続可能な地域公共交通の再構築に向けて、市町村等が行う交通モードの転換やデジタル技術を活用した取組を後押しできるよう、より一層の支援について検討すべきである。

（総合企画部）

3　学校における防災教育の充実について

　今後、地域防災の中心的な担い手となっていくこども世代の一人ひとりが防災意識を高く持ち、それが千葉県全体としての防災力強化につながるよう、引き続き防災教育に取り組むべきである。

（防災危機管理部）

4　がん患者QOL向上事業について

　がん患者の療養生活の維持・向上に向けた支援は、経済的・精神的な悩みの軽減及びQOLの向上に資するものであり、今後、県内の多くの市町村が助成制度を創設していくよう積極的に働きかけていくべきである。

（健康福祉部）

5　災害廃棄物対策について

　令和元年度や令和5年度の災害の経験を踏まえ、研修会の実施や対応事例の情報共有などにより、担当者の人材育成に努めるとともに、発災時に災害廃棄物を適切かつ迅速に処理できるよう、引き続き、市町村の支援を行うべきである。

（環境生活部）

6　観光振興について

　観光・宿泊施設で深刻な人材不足に陥っているなど、観光を取り巻く課題は山積しており、特に県南部にとっては、観光は主要産業であることから、県として、引き続きしっかりと誘客に取り組むべきである。

（商工労働部）

7　米の生産について

　飼料用米への転換が着実に進んできたところだが、令和6年産は主食用米の作付面積が増えていることから、令和7年産の主食用米の生産目安の設定については、長期的な需要動向を見据え設定するとともに、飼料用米の推進については、現場の状況をしっかり把握したうえで検討するべきである。

（農林水産部）

8　水産総合研究センター種苗生産施設の再編整備について

　水産資源の維持・増大や漁業者の収入安定には、健全な種苗の生産・放流が重要であることから、引き続き、計画的な施設の再編整備に取り組むべきである。

（農林水産部）

9　道路ネットワークの充実・強化について

　成田空港の機能強化や圏央道の全線開通等の整備効果を県内各地へ波及させるためには、北千葉道路や銚子連絡道路、長生グリーンラインなどの早期整備が重要であり、引き続き、道路ネットワークの充実・強化に向けて、一層の事業推進に取り組むべきである。

（県土整備部）

10　Society5.0を支えるデジタル人材育成について

　Society5.0を支えるデジタル人材育成には、ICTの活用が大切であるため、学校間で格差を生じさせることなく、ICT活用が推進されるよう、専門人材の配置拡充をはじめとした、魅力ある効果的な事業を展開すべきである。

（教育庁）

11　サイバー事案等への対処について

　最新のサイバー事案や匿名・流動型犯罪グループにより敢行された事案等へ対処するため、高度な知識を持つ人材を登用するほか、匿名性の高い通信アプリ等に対応するため、引き続き、的確な捜査や対策が行われるよう体制の強化、人材育成及び捜査用資機材の整備等を進めるべきである。

（警察本部）

12　ICTを活用した業務効率化による経費節減について

　水道料金改定の議論が始まっている中、利用者負担の抑制を図る観点から支出の徹底した見直しが求められるため、ICTを活用した業務の効率化により経費削減を図るべきである。

（企業局）

13　県立病院の経営改善について

　材料費の高騰など厳しい状況が続く中、県立病院は県の政策医療や地域医療という大事な使命を担っていることから、医療の質を確保しつつ、収入・支出両面で更なる経営改善への努力を続け、県民の健康と千葉県の医療を支えていくべきである。

（病院局）

以上のとおり、本特別委員会は要望事項を付し、令和5年度千葉県一般会計及び各特別会計歳入歳出決算は賛成多数をもって、それぞれの決算書のとおりこれを認定すべきものと決定した。

令和6年12月11日