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更新日:令和5(2023)年6月14日

ページ番号:354461

令和元年12月定例県議会可決された意見書

意見書(令和元年12月20日可決・4件)

新たな過疎対策法の制定を求める意見書

過疎地域は、急激な人口減少と高齢化によりさまざまな問題が生じているが、一方で、豊かな自然や歴史・文化を有する日本人の心のふるさとともいうべき地域であり、都市に対する食料や水等の供給、国土・自然環境の保全などに多大な貢献をしている地域である。

本県においても、勝浦市、鴨川市(旧天津小湊町の区域)、南房総市、東庄町、長南町、大多喜町、鋸南町の7市町が過疎地域の指定を受けているが、海に囲まれた千葉県において、過疎地域に指定されている南房総地域や東総地域は、漁業や観光などの産業分野だけでなく、貴重な自然環境や県土を保全し、我が県独自の歴史や文化を守り育てていく上で、重要な役割を担っている。

一方、南房総地域では、先般の台風15号、19号により、大規模な住宅被害や長期間の停電・断水が生じるとともに、農林水産業など、生活の糧となる産業においても甚大な被害が発生し、地域住民からは、今後、地域で暮らし続けることができるか不安に思う声が出ており、過疎化がさらに加速することも懸念される状況である。

国においては、昭和45年以来、4次にわたる特別措置法の制定により、上記のような過疎地域の持つ多面的・公益的機能を維持し、過疎地域における住民の命と暮らしを守るための対策が講じられてきたところであるが、現行の過疎地域自立促進特別措置法は、令和3年3月末で期限を迎えようとしている。

過疎地域が果たしている多面的・公益的機能は、都市部も含めた国民全体の財産であり、それは過疎地域の住民によって支えられてきたものである。今後もこのような機能を維持していくためには、引き続き過疎地域に対する支援策を充実・強化していくことが必要である。

よって、国においては、新たな過疎対策法を制定し、下記の施策が実施されるよう強く要望する。

  1. 長期にわたり大きな人口減少を呈している市町村はもとより、比較的最近において大きな人口減少を生じている団体もまた同様に深刻な過疎問題を抱えていることから、新法においても、人口要件は長期スパン、中期スパンの両面を基礎として算出するとともに、高齢化率や少子化に伴う生産年齢人口比率なども考慮した、新たな指定要件を設定すること。
  2. みなし過疎、一部過疎の特例措置が講じられている合併前の旧市町村地域においては、社会経済及び生活環境の整備が他地域に比べいまだ低位にあることから、新法においても引き続き同様の措置を講じること。
  3. 地方交付税の充実や過疎対策事業債の対象事業拡大など、過疎地域市町村の財政基盤の確立を図ること。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

【提出先】衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、総務大臣、財務大臣、農林水産大臣、国土交通大臣

「あおり運転」に対する厳罰化とさらなる対策の強化を求める意見書

本年8月、茨城県の常磐自動車道で、男性が執拗なあおり運転を受けて車を停止させられ、容疑者から顔を殴られるという事件が発生した。また平成29年6月には、神奈川県内の東名高速道路において、あおり運転を受けて停止した車にトラックが追突し、夫婦が死亡している。こうした事件・事故が相次ぐ中、あおり運転を初めとした極めて悪質・危険な運転に対しては、厳正な対処を望む国民の声が高まっている。

警察庁は、平成30年1月16日に通達を出し、道路交通法違反のみならず、危険運転致死傷罪や暴行罪等のあらゆる法令を駆使して、厳正な取り締まりに取り組んでいるが、いわゆるあおり運転に対する規定がなく、防止策の決め手とはなっていない。今後は、あおり運転の厳罰化に向けた法改正の検討や更新時講習などにおける教育のさらなる推進及び広報啓発活動の強化が求められるところである。

そこで、政府においては、今や社会問題化しているあおり運転の根絶に向け、安全・安心な交通社会を構築するため、下記の事項について早急に取り組むことを強く求める。

  1. 「あおり運転」の規定を新たに設け、厳罰化については、事故を起こさなかった場合でも、危険な運転を行った場合には道路交通法上、厳しく処罰される海外の事例なども参考としながら、実効性のある法改正となるよう、早急に検討を進めること。
  2. 運転免許更新時等における講習については、これまでの交通教則等の内容に加え、「あおり運転」の危険性やその行為が禁止されていること及びその違反行為に対しては取り締まりが行われることについての講習も行うこと。また、更新時講習等に使用する教本や資料などに、これらの事項を記載すること。
  3. 広報啓発活動については、「あおり運転」等の行為が禁止されており、取り締まりの対象となることや、「あおり運転」を受けた場合の具体的な対処方法などについて、警察庁及び都道府県警察のホームページ、SNSや広報誌などを効果的に活用し、周知に努めること。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

【提出先】内閣総理大臣、国家公安委員会委員長

スマート農業の実現による競争力強化の加速を求める意見書

農林水産業や食品産業の現場では、依然として人手に頼る作業や熟練者でなければできない作業が多く、省力化、人手の確保、負担の軽減が大きな課題となっている。例えば、機械化が難しいとされ手作業でなければできない危険な作業や、きつい作業が残されていたり、選果や弁当の製造・盛りつけなど多くの雇用労力に頼っているが労働力の確保が困難であったり、1人当たりの作業面積の拡大といった点に改善が期待されている。

こうした状況を打破するため、政府は2022年度までに、さまざまな現場で導入可能なスマート農業技術が開発され、農業者のスマート農業に関する相談体制が整うなど、スマート農業の本格的な現場実装を着実に進める環境を整えるため、「農業新技術の現場実装推進プログラム」に即した取り組みを進めようとしている。これにより農業現場が抱える農業従事者の減少や農業の生産性の向上といった課題に対応することが期待されるが、おのおのの施策が着実に現場において推進されなければならない。

よって、政府においては、「農業新技術の現場実装推進プログラム」が農業者だけでなく、企業、研究機関、行政機関などの関係者を巻き込んで推進できるよう、下記の事項に取り組むことを求める。

  1. 農業経営の将来像を示し先進的な農業経営の姿を地元の生産条件を加味し、営農類型をよく把握した上で提示すること。
  2. 技術ごとのロードマップを示し、実証・市販化・普及を農業者が求める技術やサービスとして提示できるよう現場の意見を把握しながら推進すること。
  3. 技術実装は「失敗と成功」の不断の努力が必要であり、KPIを把握しつつも農業の特性に応じた中長期の実践を支援すること。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

【提出先】内閣総理大臣、農林水産大臣

CSFの早期終息に向けた緊急かつ具体的な対策を求める意見書

昨年9月に国内で26年ぶりに発生したCSFは、関係者による懸命の努力にもかかわらず、この1年間に14万頭を超える殺処分が行われるなど甚大な被害をもたらしている。また、感染地域についても、養豚の主要産地を擁する関東圏まで広がるなど、終息が見通せないどころか、さらなる広域化の様相を呈している。この状況は、CSF対策が新たな局面に入ったと認めざるを得ない。

よって、政府においては、今回の事態を国家レベルの危機事案と受けとめ、養豚農家が今後も安心して経営を続けられるよう、CSF終息に向けた下記の事項について緊急かつ具体的に取り組むことを強く求める。

  1. 飼養豚へのワクチン接種を速やかに進めるとともに、ワクチン接種後の接種豚の円滑な流通について、取引価格の下落や風評被害が生じないよう、あらゆる手段を講じること。
  2. 今般のCSF拡大の主要因となっているCSF感染野生イノシシの拡大を抑止するため、野生イノシシの捕獲強化や戦略的な経口ワクチンベルトの構築を行うこと。
  3. 現在、アジアにおいて発生が拡大しているASFの国内侵入を防止するため、罰則の強化も含めた一層の水際対策の強化、徹底を図ること。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

【提出先】内閣総理大臣、農林水産大臣

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