千葉県Chiba Prefectural Government
~ 千葉県にオリンピック・パラリンピックがやってくる ~
東京2020オリンピック・パラリンピック > 東京2020大会千葉県開催記録誌/東京2020聖火リレー千葉県実施記録誌・記録映像 > 東京2020大会千葉県開催記録誌(テキスト版) > 第2部Ⅳ-3.文化プログラム関連イベント等の開催と文化振興
更新日:令和4(2022)年3月25日
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オリンピック・パラリンピックはスポーツの祭典であると同時に「文化」の祭典でもある。東京2020大会は日本文化の魅力を世界に発信する絶好の機会であり、開催地となる千葉県でも文化プログラムを実施し、ちばの文化力向上と文化芸術による地域の活性化を図ることとした。
文化プログラムの枠組みには「東京2020文化オリンピアード」と「beyond2020プログラム」があり、千葉県は、beyond2020プログラムの認証組織の一つとなった。
文化プログラムの実施にあたり、県では、(1)県民参加、(2)多様性、(3)ちばの魅力を発信、(4)未来への継承の4つを事業実施の基本方針とし、「『県民の日』中央行事(県民の日ちばワクワクフェスタ)」「千葉・県民音楽祭」「ちばアート祭」等の事業に取り組んだ。
オリンピック憲章に基づいて行われる公式文化プログラム
2020年以降を見据えたレガシー創出に資する文化プログラム
千葉県は1984年に県の人口が500万人を突破したことを記念し、「県民が、郷土を知り、ふるさとを愛する心をはぐくみ、共に次代に誇りうる、より豊かな千葉県を築くことを期する日」として、6月15日を「県民の日」に制定した。これは、1873(明治6)年6月15日に木更津県、印旛県の両県が合併して千葉県が誕生したことに由来している。
千葉県では、県民の日を記念して、千葉の魅力を再発見し、ふるさと千葉への愛着を深めることができるよう、例年6月15日前後に幕張メッセで参加体験型イベントとして、「県民の日」中央行事(県民の日ちばワクワクフェスタ)を開催している。
このイベントでは、千葉の多彩な魅力を発信するため、県内で活躍する団体や千葉県ゆかりのアーティスト等によるステージ、各種体験コーナー、市町村等の特産品等の販売、千葉県産品を使用した料理等の提供を行っているが、東京2020大会の競技が同じ幕張メッセを会場に開催されることから、大会開催に向けた機運醸成のため、2016年度から競技の紹介や体験を実施してきた。
また、県が実施する文化プログラムと連携し、オリンピック・パラリンピックが文化の祭典でもあることを印象づけるため、2017年度以降は、ステージプログラムとして、東京2020公認文化オリンピアードの認証を受けた「千葉・県民音楽祭」PRコンサートを実施してきた。
このほか、文化プログラムとの連携として、2018年度は、会場内で「ちば文化資産」の投票・パネル展示の実施、2019年度は、この「ちば文化資産」に選定された茂原七夕まつりの七夕飾りや、もばら阿波おどりの実演を行った。また、文化プログラムの一つである「ちばアート祭」のPRとして、デジタル技術を用いたアート作品の体験コーナーも設置した。
2020年度は、新型コロナウイルス感染症の影響により中止とし、2021年度もまだ感染が収束しない状況ではあったが、出演予定であった団体等の発表の場を確保するとともに、千葉の魅力発信のため、無観客ではあったが、当日のライブ映像と後日編集した動画をYouTube等で配信した。収録はステージプログラムを中心に出演者のインタビュー等も併せて行い、千葉・県民音楽祭PRコンサートや「ちば文化資産」である銚子はね太鼓のステージ等を紹介した。
【ちば文化資産】
多様で豊かなちば文化の魅力を特徴づけるモノやコト。伝統的なものに限定せず、現代建築や景観、イベント等さまざまなものが含まれている。
東京2020大会の機会を生かし、多くの県民に県の文化的魅力を再認識してもらい、次世代に継承していくため、2018年度に「次世代に残したいと思う『ちば文化資産』」を県民参加により111件選定した。
また、この「ちば文化資産」を会場や作品のテーマとして活用し、世代や障害の有無を問わず、あらゆる人々が文化の担い手として参加・体験することができる県民参加型のイベントとして、絵画・写真公募作品展と屋外での作品展示を核とする「ちばアート祭」を2019年度から3カ年にわたり実施した。
東京2020大会開催年にデジタル技術を用いた作品展示を予定していたことから、初回となる「ちばアート祭2019」では、「ちば文化資産」をテーマとした絵画・写真の公募作品展に加え、県内に所在する大学の学生やプロのアーティストによるデジタル技術を用いた作品展示を行った。
「ちばアート祭2020」は、東京2020大会の延期および新型コロナウイルス感染症の影響により、絵画・写真公募作品展のみの実施となった。
「ちばアート祭2021」は、大会開催年の実施となることから、会場や内容の規模を拡大し実施することを予定していたが、新型コロナウイルス感染症の収束が見通せない状況であったため、感染防止対策が可能な内容のみとし、初回から続けてきた絵画・写真公募作品展のほか、千葉県ゆかりのアーティストによる屋外作品展示、世界的に活躍するアート集団「チームラボ」による屋外での作品展示を実施。制約がある状況での開催となったが、作品の応募者数および観覧者数は初回の2倍以上となり、多くの人に千葉県の文化的魅力に触れる機会を提供した。
文化プログラムの実施にあたっては、多くの県民がさまざまな分野の事業・イベントを、観るだけでなく、文化の担い手として参加し、交流できることが重要である。そこで千葉県では、2017年度から2021年度まで、県民とプロのオーケストラ等による市民参加型コンサート「千葉・県民音楽祭」を開催した。
東京2020大会の開催年まで年々内容を充実させ盛り上げていくことを目指し、ダンス・和楽器演奏など、公演内容に幅広い音楽ジャンルを追加していくとともに、公募のジャンルも徐々に拡大していった。また、障害の有無にかかわらず多くの人が参加して音楽を楽しめるよう、音楽活動を行う障害者団体のステージや、障害のあるプロのアーティストが演奏やダンス等を披露するステージを設け、音楽を通した共生社会の実現を目的に取り組んだ。
千葉県は音楽祭の開催に向け、県内のプロオーケストラ「千葉交響楽団」と一緒に演奏したい人や共演したい団体等を公募。オーディションで出演が決定した楽器演奏者は千葉交響楽団の楽団員の指導のもとで練習を行った。選考会で選ばれた参加団体なども練習を積み重ね、本番で演奏やパフォーマンスを披露した。
さらに「左手のピアニスト」として第一線で活躍している舘野泉さんや、視覚障害がありながらも国内外で活躍しているヴァイオリニスト川畠成道さんのほか、県内出身の若手アーティストである石田真奈美さん(箏)、實川飛鳥さん(ピアノ)などの多彩なゲストを迎え、プロ・アマチュアの違いや障害の有無などにかかわらず、多様な音楽により皆でステージをつくりあげ、千葉の文化の魅力を発信した。
また、大会競技のPRとして、千葉県フェンシング協会や千葉県テコンドー協会が、県内開催競技であるフェンシングとテコンドーの解説やデモンストレーションなどを行った。さらに、オーケストラ楽器展示・体験、和楽器体験、VRフェンシング体験、車いすフェンシング体験、VRサーフィン体験、サーフィンフォトスポット(トリックアート)、北総四都市江戸紀行・ちば文化資産の紹介展示などを行った。
なお、本事業は「東京2020公認文化オリンピアード」の認証を取得した上で実施。また、集大成となる2021年の公演は、東京2020組織委員会と共催する「東京2020 NIPPONフェスティバル共催プログラム」に採択された。
2021年6月20日、「千葉・県民音楽祭世界に響け!みんなでつくるハーモニー~世界を巡る音楽の旅vol.3~」が千葉県文化会館で開催された。千葉交響楽団の音楽監督で指揮者である山下一史さんによる指揮のもと、公募により選ばれた楽器演奏者が千葉交響楽団と共にオリンピック・パラリンピックにちなんだ楽曲等を披露。県内で活動する合唱団体、障害者団体、ダンス団体がパフォーマンスを披露し、日頃の練習や活動の成果を十分に発揮し、ステージを盛り上げた。
また、義足のプロダンサー大前光市さんや県内出身の若手アーティストである西村悟さん(声楽)、望月太左乃(佐野友紀)さん(邦楽囃子方)のほか、プロダンサー北尾亘さんなどの多彩なゲストが登場し、素晴らしいステージで観客を魅了した。
千葉・県民音楽祭への参加は3回目です。音楽は、世代、言語、宗教、イデオロギー、あらゆるギャップを乗り越え、人と人とをつなぐことができます。メロディをすべての人たちと共有できる、素晴らしい瞬間です。千葉交響楽団は「おらがまちのオーケストラ」として、県民に近い存在になりたいと活動しています。クラシックは敷居が高いと思われがちですが、共演すれば考えは変わります。プロと一緒に準備しリハに参加して、さまざまなプロセスを経て本番を迎える。県民音楽祭は理想的な場です。立場を超え、一緒に演奏し、歌い、踊り、一つになる。回を重ねるごとに皆さんとの距離が縮まっていく、この喜びを大切にしたい。
音楽監督として、定期コンサートなどのほかに、幼稚園や特別支援学校、小・中学校への訪問演奏会を行っています。子どもたちにとって一生に一度のオーケストラの演奏会かもしれないと思うと、絶対に手を抜けない。毎回、汗だくの真剣勝負です。昨年、念願の「千葉交響楽団を応援する会」が発足しました。コロナ禍において我々の心の支えになっています。プロのオーケストラとして何ができるか考え、チャンスがあればいろいろな場所でたくさんのコンサートを開きたいと思っています。
今回練習のために久々に集まって、お互いの気持ちや声、温もり、息吹を感じるには、対面することが一番なんだと改めて実感できましたね。大きい舞台でプロのオーケストラが演奏する中での本番でしたから、皆かなり緊張していました。でも、彼らは本番に強いんです。120%の力を出してくれました!終わった後はぐったりしていましたけどね(笑)。でも、こういった経験が子どもたちの自信となって、将来社会に出たときに嫌なことがあっても、ちょっとやそっとじゃ折れない“しなやかな心”が育まれるのだと思います。
また、社会の大多数は普通に生活していくことが可能な方ですが、一方で何らかのハンデがあり、援助や配慮が必要な方もいます。そのことを理解してもらうには、理屈ではなく、一緒にいる、一緒に何かをやるということが重要です。年齢、性別、それこそ障害の有無に関係なくできるのは文化芸術だからこそですので、さまざまな方が参加できる場を社会がつくっていく必要があると思います。
「日本遺産」は、地域の歴史的魅力や特色を通じて、日本の文化・伝統を語るストーリーを文化庁が認定するもので、魅力ある有形・無形の文化財群を、地域が主体となって総合的に整備・活用し、国内外に戦略的に発信することによって、地域の活性化を図ることを目的としている。千葉県は、東京2020大会開催を意識し、文化遺産を生かして県の魅力を国内外に発信するため、佐倉市・成田市・香取市・銚子市を舞台にしたストーリー「北総四都市江戸紀行・江戸を感じる北総の町並み」を、4市とともに2016年に文化庁へ「日本遺産」認定を申請し、同年4月に認定された。
北総地域は、当時、百万人の人口を有したと言われる大都市江戸に隣接し、関東平野と豊かな漁場の太平洋を背景に、利根川の水運と江戸に続く街道を利用して江戸に東国の物産を供給し、江戸のくらしや経済を支えた。こうした中、江戸の文化を取り入れることにより、城下町の「佐倉」、成田山の門前町である「成田」、利根水運の河岸、香取神宮における参道の起点となる「佐原」、漁港・港町、そして磯巡りの観光客で賑わった「銚子」という4つの特色ある都市が発展した。これら四都市では、江戸庶民も訪れた町並みや風景が残り、いまも東京近郊にありながら江戸情緒を感じることができる。成田空港からも近いこれらの都市は、世界から一番近い「江戸」である。
2016年5月には、関係団体の連携強化を図りながら、これらの歴史的資源を有効活用するため、関係自治体を中心に「日本遺産北総四都市江戸紀行活用協議会」を設立。同協議会では、地域活性化および観光振興に資するようPRイベントを開催するなど、北総四都市のブランド力強化と魅力発信に取り組んでいる。
千葉県は2021年11月、東京2020大会の感動を再び味わうとともに、千葉の文化・芸術の魅力を再発見できるイベントとして「『セレブレーションに出演予定だった団体等による発表及びコンサート』~感動を再び!『ARIGATO TOKYO 2020』フェスティバル~」を千葉県文化会館で開催した。
千葉交響楽団によるファンファーレによって幕を開け、熊谷俊人(くまがい としひと)知事が「オリンピック・パラリンピックはスポーツの祭典であるとともに文化の祭典。千葉県の文化・パフォーマンスを見てもらおうと何年もかけて準備したが、かなわなかった。それらを2021年以降に生かして受け継いでいくことで、千葉の活力にしたい。その一つの場がARIGATO TOKYO 2020フェスティバルになる」とあいさつした。
フェスティバルでは、聖火リレーのセレブレーション等に出演予定だった団体によるパフォーマンスや大会にちなんだ楽曲のコンサートなどを実施。併せて、東京2020大会に出場した船橋市出身のオリンピック体操競技団体銀メダリスト・谷川航(たびがわ わたる)選手と四街道市出身のパラリンピック5人制サッカー(ブラインドサッカー)代表・佐々木康裕(ささき やすひろ)選手へのインタビュー、オール千葉おもてなし隊トークショー&ミニライブなどが行われ、約1,000人が観覧した。
ブラインドサッカーを始めて18年になりますが、パラリンピックに出場したのは東京2020大会が初めてです。私は四街道市出身で、ずっと千葉県で育ってきました。娘が通う幼稚園、小学校における「出場おめでとうございます」といった張り出しや、近所の皆さんからの「頑張ってください」「テレビで観ました」といった声掛けが励みになり、パラリンピックを頑張ることができました。
ブラインドサッカーはキーパー以外の選手がアイマスクをして行うサッカーであり、天気や湿度、風向き等によって、音の聞こえ方や距離感、ボールタッチの感覚等が変わってきますので、試合前には必ずそれらを確認するようにしています。大会ではメダルが取れず、また、私自身の出場時間が短かったので悔いが残りましたが、今後も国際大会に選手として出場できるよう努めるとともに、所属している千葉のチームを強くすることや普及活動に力を入れ、千葉県からブラインドサッカーを盛り上げていきたいと思っています。
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