千葉県誕生150周年とJリーグ開幕30周年を記念して、Jリーグ開幕時のジェフユナイテッド市原に所属していたリトバルスキーさんと知事が令和5年6月30日に対談を行いました。
このページではその様子(全文)をお届けします。
リトバルスキーさんにチーバくんを持っていただき、知事と2人で記念撮影。
リトバルスキーさんは、対談中、日本語でお話ししてくださいました。
リトバルスキーさん、久しぶりの千葉へ
知事:ようこそお越しいただきました。千葉県に来ていただいて、大変うれしく思っています。日本に来るのはどのくらいぶりですか?
リトバルスキーさん(以下、リティ):コロナ禍だったからあまり来ていないです。去年は1回来ましたけども。以前はだいたい夏と冬はリフレッシュのために必ず来ていました。
知事:千葉市に来られたのはどのくらいぶりですか?
リティ:いつも成田から飛行機で来て、舞浜に泊まっていました。千葉市には最近は来ていなかったですが、今日はJFA夢フィールド(注:千葉市にあるJFA=日本サッカー協会のトレーニングセンター)の訪問や、幕張メッセも見ました。建物が増えましたか?
知事:(リトバルスキーさんがジェフで活躍していた1993年)当時に比べると、新展示場の9-11ホールが増えました。
リティ:イメージがちょっと明るくなったような。
知事:ありがとうございます。
リティ:昔は買い物では、すぐ行ける『ららぽーとTOKYO-BAY』や、いろいろなショッピングセンターにも行きました。食べ物は舞浜の辺りやいろんなところにチームで集まって食べに行きました。
知事:そうですか。おいしかったお店とか、思い出の味はありますか?
リティ:外国人は多分焼き肉は(誰でも)大丈夫、平気。最初は焼き肉ばかり行きましたね。それから少しずつ、魚、刺し身など食べられるものが増えて……。
知事:お寿司屋さんとかも。
リティ:そうそう。
知事:今、デュッセルドルフに日本食のレストランやお店はありますか?
リティ:あります。残念なのは、焼き肉屋はなくなっちゃったこと。でも、デュッセルドルフのインマーマン通りには結構いろんな日本のレストランがあります。おいしいラーメンも食べられる。毎月1回は日本食を食べに出かけます。本当の和牛もあります。
2022 FIFAワールドカップカタール大会グループステージ 日本対ドイツ戦について
知事:デュッセルドルフには時々行かれるんですか?
リティ:行きます行きます。JFAの人にもたまに会います。
知事:デュッセルドルフにJFAのヨーロッパの拠点がありますよね。そういう意味では、千葉にJFAのトレーニングセンターができて、千葉県と姉妹都市のデュッセルドルフにJFAの拠点があってということで。
リティ:大切なポイントですね。今日、JFA夢フィールドを見ましたが、成田からも羽田からも便利な場所です。
知事:あの場所は便利だと思います。航空会社に働いてる人たちが幕張辺りによく住んでいるんですよ。
リティ:あとホテルもたくさんあって。代表の選手が結構泊まります。
知事:あそこで練習したり鍛えたりして。
リティ:だからドイツは負けた!!(注:2022年FIFAワールドカップカタール大会グループステージ 日本対ドイツ戦にて2対1で日本が勝利)
一同:(笑)
リティ:準備が良すぎ!!
知事:あれは僕ら日本にとってはうれしかったですけれども、ドイツの方々にはちょっとショックですよね。
リティ:僕はこの試合は日本の会社で観ていました。日本人と一緒に。
知事:じゃあみんなでどっちの応援をするかみたいな話に。
リティ:部屋には半分ドイツ人、半分日本人。僕は最初から「どんなコメントをすれば良い?」と考えていました。まずドイツは1点取りましたね。
知事:そうですね。
リティ:それで私は「はい、オッケー」と思ったけど、そんなジャンプして(喜んで)はいない。でも、日本の会社の社長は、1対1になった堂安選手のゴールの時、結構ジャンプしましたよ(笑)我慢ができなかったんでしょう。私は心の中では日本を応援していた。でも、ドイツ人がすぐに怒るからなにもコメントが出せませんでした。
知事:あの試合をご覧になっていて、これは(日本が)行くんじゃないかっていう瞬間は、やっぱり後半に行くにつれて感じられていましたか。
リティ:だいぶ変わりました。監督の森保さんのチェンジは結構深いな。ドイツはあまりリアクションができなかった。本当にプレイが良くなかったです。浅野選手のセカンドゴールは、ディフェンスもスピードがなかった。浅野選手は速いよ。
知事:リトバルスキーさんは事前にも日本の活躍、堂安選手の活躍とかも予言されていましたね。
リティ:日本に来るときは昔の選手と会います。横浜も行きましたね。横浜の選手と会って、あとは昔のジェフユナイテッドの選手、後藤選手や江尻選手も、昔の私のチームメイトの影山さんにも会って。昔は直接話(通訳を介さないこと)はできなかったから。今はたまにコンタクトがとれる、そういうことがすごくうれしいです。
ジェフの時代を振り返り「今日まで忘れていないです」
知事:ジェフの時代を振り返られて、例えばあの時の千葉のサポーターですとか、ホームで試合されるときの印象っていうのはどうですか。
リティ:最初の日、電車で市原市役所まで行きました。初めての日本です。それで市役所に入ったら、みんなもう立って(ここで拍手のジェスチャー)。
知事:大歓迎だったでしょう。
リティ:みんな拍手してくれて、少し恥ずかしかったです。初めての経験でした。ドイツ人はそういうことやらないですから。みんな座って「あーはいはい」って(笑)
そのあとは市原臨海競技場に行って。サポーターも3千人くらい、みんな黄色いシャツを着て(迎えてくれて)、もうビックリしました。僕のことは知らないと思っていたから。
知事:やっぱりその時の光景はまだ強くイメージとして残ってますか。
©JEFUNITED
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リティ:今日まで忘れていないです。あとはホテルでも、毎回ホームゲームの時は(ファンが)ホテルの前にしっかり並んで、それでみんな1回チェックインしてからまた出て、1時間くらい(ファンとの交流を)。
知事:あの時はそうですよね。それはもうファンも喜びますよ。
リティ:たまにサッカースクールのイベントもありましたね。結構面白かった。
知事:今でも千葉の人たちにとって伝説ですからね。明日もスタジアムで、皆さん興奮をすると思いますね。(注:対談翌日はフクダ電子アリーナにて、ヴァンフォーレ甲府戦「千葉県誕生150周年記念イベント」に出演)
リティ:(当時の)チームは選手一人一人、すごくいい選手が集まって、結構いいチームでしたね。スタートが結構良かったです。そのあとはちょっと波があったけど。技術のレベルはすごく高かったなと。
それで、2年間はプレイヤーをして、そのあとはコーチになって、その時が多分一番楽しい時間でした。若い選手も何人も代表メンバーになって、すごく楽しかった。
最初は嫌だったんです。「私コーチやりたくない」って。でも祖母井(秀隆)さん(ジェフの育成部長・当時)がいろいろちゃんと説明してくれて、楽しかったです。
知事:そういう形で千葉に愛着を持っていただいて嬉しいです。
ドイツからみた日本のサッカー選手の変化
知事:今でもドイツから見た日本、千葉っていうのも、いろいろな視点でご覧になっているのではないですか。
リティ:(来日した)1993年当時は、試合のとき(日本の選手は)みんなまだすごく我慢していました。あんまりファウルはしないで、頑張っていたけど、すごく優しい感じ。有名な選手、ジーコ選手らも来ましたね。選手みんな、目の前で会えてもう楽しかったんだと思います。僕も試合が終わってからうちのサポーターだけじゃなくて、相手のサポーターにも会いに行きました。それはドイツでは絶対に無理なことです。
リティ:でも10年くらい前から日本人、特に海外に行った選手はだいぶ変わりました。例えば、堂安選手はもう本当にすごくまじめな選手。体ももっともっと強くなった。それで本当に我慢しない、「(まだ)パーフェクトじゃない、もっともっと行ける」というタイプ。遠藤選手もリーダーになったし、スターティングメンバーなんかもブンデスリーガにはいっぱいいますね。
知事:そうですよね。そういう意味で(日本人選手がドイツで活躍するようになって)ドイツの中での日本のイメージっていうのも、どんどんリアルな感じになっているんではないかなと思うのですが。
リティ:いろいろなコーチとも話しますが、みんな日本の選手が大好き。しっかりやってくれて、技術のレベルが高い。戦術のレベルも結構高くなって、ファイティングスピリットも。長谷部選手は、半年ぐらいはスターティングメンバーには入っていなかったと思うが、毎日しっかり練習していました。みんな本当に日本の選手が大好きです。本当にみんな強くなった。
知事:サッカーでこんなにドイツと関係性が深くなっていっているので、ドイツの人たちと日本の距離もさらに縮まったのかなと思います。
千葉の魅力をもっと発信してほしい
知事:千葉県も、せっかくデュッセルドルフと姉妹都市提携していますから、やはりドイツの人たちにもっと千葉のことを知ってほしいなと思うんです。どのように、千葉がうまくドイツの中に入っていけばいいですかね。
リティ:デュッセルドルフの人たちはあまり千葉のことを知らないです。もっとなにか違うアピールをしなきゃいけないですね。
知事:そうですよね。せっかく成田空港がありますから、ドイツから旅行するにしても千葉は比較的遊びやすいと思うんですよね。
リティ:そういったことは多分ドイツ人はまだあんまり知らないです。もうちょっとパンフレットかなにか、コマーシャルしなきゃいけないですね。
ドイツ人は、1回日本に行った人はみんな「また行きたい!行きたい!」という気持ちがあります。でも多くの人はまだ知らないです。「アジアは全部同じですよね」と。私はいつも頑張って「中国も韓国も違う」と(説明します)。僕は10年間は(日本に)住んでいましたから、他のアジアの国と比べて全然違う(ことを知っています)。でもドイツ人はまだまだ知らない。
知事:そうですね。リトバルスキーさんが仮に、ドイツの人たちに千葉を紹介するとしたら、どういったところを紹介されますか。
リティ:デュッセルドルフで千葉のための何かキャンペーンをやったりというアイデアはあるのでこれから一緒に何か考えていけたら。
知事:そうですね。僕らも将来デュッセルドルフでジャパンデーがある時は「千葉県」としていろいろPRをしていきたいと思っていますので、その時にご協力いただけると大変ありがたいなと思います。
リティ:日本を紹介するときに、千葉と一緒に紹介することで、千葉のことも知ってもらえば良いんじゃないですか。
知事:食べ物や名所を紹介して。
リティ:あとは、日本の電車が僕はすごく大好きです。昔は車は怖かった。1993年に来たときは、車もあったけど電車の方が早くて便利でした。今日もここまで京葉線で来ましたよ。電車はすごく良いポイントです。
それからジャパン・レール・パスがありますね。(注:JRグループ6社が共同で提供する、外国人観光客専用の特別乗車券)どこでも、新幹線でも乗れて、すごく安くなる。こんなことドイツ人はあまり知らないです。もっとコマーシャルしなきゃいけない。ちょっと探せば見つけるけど、だいたいの人は分からないです。
知事:僕らもっともっとドイツで日本と千葉をPRしたいと思います。
リティ:あと、結構みんな値段の心配をします。「日本は高い高い」と。そんなに高くないです。
知事:やっぱりまだそういうイメージがあるんですね。
リティ:そう。「東京は高い高い」って。僕も最初半年ぐらいは全然分からなかったので高いお店にも行って、勉強しました。でもその後は、そんなに高くなくて、本当にいいところ、おいしいところに食べに行きました。そういったことは(ドイツ人は)みんな知らない。
知事:ではそういった、安くておいしく、外国の方に喜んでもらえるところも紹介していかなくてはいけませんね。
リティ:僕は子どもが2人いますが、2人からお土産に食べ物を頼まれました。お米とか。「肉はもういいけど、ソースも肉のたれも、もう全部買ってきてくださいね」と。
知事:お子さんも今サッカーで活躍されていますね。さすがです。ではいろんなお土産も買われましたか。
リティ:そう。友達には「クッキーが欲しい」と。僕はもう嫌です(笑)
そうそう、息子には無洗米を頼まれています。一人暮らしなんですよ。それで自分でご飯は作る、炊飯器もある、でも洗うのは嫌だ、と。僕はちゃんと5回ぐらい洗いますよ(笑)2年前からは結構自分が作りますね。おでん、ラーメン、焼きそばも全部。
知事:すごいですね!リトバルスキーさんが作る日本食、食べてみたいです。
リティ:お好み焼きも。プレートを買いました。食べ物は結構大きな思い入れがあります。
知事:そう言っていただけると嬉しいですね。
日本とドイツの国際親善試合への期待
知事:今年も日本とドイツの国際親善試合がありますね。ドイツのヴォルフスブルクで。(注:9月9日に開催され、4対1で日本が勝利)
リティ:僕はちょっと心配しています。ドイツチームは最近勝ってないから。それで日本と試合。そのあとはフランスも。2024年にはヨーロッパ選手権もありますね。大変です。
知事:ドイツの人たちも注目しますよね。今度こそリベンジを、みたいな。
リティ:リベンジもありますけど、結構「日本人、日本のチームを応援します」という人もいます。なんでか?(日本人選手が)一生懸命がんばっているから。
知事:ドイツの人たちも応援したくなるようなプレイスタイルなんですね。やっぱりジェフが強くなって、日本代表にどんどん選手を送り込んで、ドイツで活躍してもらわないと。
リティ:昔は良かった(笑)
知事:明日はリティのパワーを注入していただいて。私が市長だった頃からずっとJ2なんですよね。
リティ:J1の試合を観たいよね。
知事:観たいですよね。サポーターの迫力が違うし、アウェーの人たちの来る人数が違いますよね。
リティ:7連勝してJ1昇格プレーオフに進出したことがありましたね。去年だっけ?2年前?
知事:2017年?いやぁもうそんな前か。
─話題は尽きませんが、時間ということで……。明日もよろしくお願いします。
リティ:よろしくお願いします。
ユニフォームにサインをいただきました!
(中庁舎1階出入口付近にて御覧いただけます。)
ジェフユナイテッド市原・千葉コラボ企画(終了しました)
ジェフユナイテッド市原・千葉のホームゲームにて、イベントを実施しました。当日は、リトバルスキーさん参加のトークショーが開催されたほか、黒アヒージョや習志野ソーセージ、千葉市内で醸造されたクラフトビールを提供する店舗などが出店し、千葉の食の魅力も発信しました!
イベントの様子
日付
令和5年7月1日(土曜日)
場所
フクダ電子アリーナ(千葉市中央区川崎町1-20)
主な内容
- 知事×リトバルスキー氏×佐藤 勇人氏によるトークショー
- 千葉県の食のPR(飲食店・キッチンカーの出店)
- スタジアム内にてスタンプラリーの実施
- 千葉県マスコットキャラクター チーバくん登場
- スタジアム内、大型ビジョンで150周年記念動画を放映 ほか
プロフィール
ピエール・リトバルスキー
©︎JEFUNITED
1990年イタリアW杯の優勝国である西ドイツ(当時)のメンバーの1人。
1993から1994年までジェフユナイテッド市原に所属。(現:ジェフユナイテッド市原・千葉)
「リティ」の愛称で親しまれ、Jリーグ開幕当時から日本中を沸かせたスーパースター。
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